その馬鹿らしさの本質は、「スマートメーター」である。 ──
東電は節電のための「時間帯別料金」を制度化した。ピーク需要を移すことで節電を狙っている。
《 東電、6月から選択制時間別料金 家庭用、昼高く夜安い 》記事の数字を整理して示すと、次の通り。(kWh 単価)
東京電力は11日、家庭用などの電気料金で、電力が最も使われる昼過ぎを高くし、夜間を安くする「時間帯別料金」を取り入れると発表した。6月から選択できるようにする。
新料金は値上げが認められた場合、標準的な家庭(契約電流が30アンペア、月間の電気使用が290キロワット時)では、……
( → 朝日新聞 2012-05-12 )
通常料金は、値上げ後 23.00円
新プラン料金は、下記の通り。
(1) 7〜9月 午後1〜4時 …… 53.29円(値上げ前は45.15円)
(2) 午後11時〜翌朝 7時 …… 12.13円(値上げ前は9.72円)
(3) 他の時間帯 …… 29.66円(同27.08円)
また、基本料金は通常は819円、新プランは 1260円。
──
以上を評価すると、どう見ても馬鹿高い料金だ。この料金制度を取る家庭はほとんどない、とわかる。(夜間にしか行動しないような人だけが対象だ。たとえば昼間は家に帰らない単身者……かと思ったが、違う。こういう人は夜間にも電気を使わないから、関係ない。夜間だけ活動する人というと、徹夜ばかりする漫画家ぐらいしか思い浮かばない。)
この制度は馬鹿げている。ではなぜ、この馬鹿げた制度があるのか? そのことは、次のことからわかる。
「時間別料金のメーターにかかるコストがある」
この分を一律で引き上げると、次のようになる。
・ 昼間は高く、深夜は低い、というのが原則。
・ メーター料金が一律で上乗せ。
・ 午前や夕方以降は、メーター料金の分だけ高い。
・ 基本料も、メーター料金の加算がある。
まとめて言うと、次のようになる。
「時間別料金制度は、メーター料金ばかりが高くなって、制度導入の効果がまったくない」
愚直の極みというべきか。
──
ただし、これは、不思議ではない。実は、上記のような「時間別料金」というのは、現時点でのスマートメーターの本質だからだ。
「現時点でのスマートメーターは、ただの時間別料金メーターにすぎない。それは、単にコストがかかるばかりで、何の意味もない」
このことは、私が前に指摘したことだ。「東電がスマートメーターの導入で何を狙っているか」という話。
結局、東電のやろうとしていることは、「スマートメーターの配備」を名目に、「時間帯別の料金制度」というプランを強制導入して、「そのためのメーターの料金」という名目で、「基本料金の大幅引き上げ」を狙っているものだ。まあ、ほとんどこのまんまである。ただし、次の2点で違う。
つまり、「省エネ」という名目で、どさくさにまぎれて、「基本料金の引き上げ」を狙っている。これが真相だ。
( → 東電のスマートメーター )
・ 今回は強制導入ではなく、任意導入だ。
・ 基本料金だけでなく従量料金も上げる。
もう一つ、あくまで名前の話だが、名前が「スマートメーター」としていない。しかしまあ、このメーターは、東電が「スマートメーター」と呼んでいるものと大差ない。
だから、東電はこれを「スマートメーター」と呼んでもいい。もしそう呼べば、早速、エコマニアの朝日あたりが飛びついて、「スマートメーターを導入して節電しよう!」と大騒ぎするだろう。
そのあげく、家庭は、「スマートメーターの機械の分の料金」という名目で、電気料金を大幅に引き上げられる。そして東電は、「しめしめ」とにんまりするのである。「エコを名目にすれば、馬鹿な連中はどんどん金を出すぞ。うひひ、がっぽり」と。かくて、節電は何ら進まないまま、東電の懐ばかりが豊かになる。
それが(現段階の)スマートメーターの本質だ。そのことが、今回の料金制度で、明らかになったと言える。
( ※ ま、詐欺ですね。)
[ 付記 ]
「じゃあおまえはスマートメーターに反対するのか?」
と言われれば、こう答える。
・ 現段階のスマートメーターは、ただの時間別料金メーターにすぎない。
それは値上げの効果しかなく、節電の効果がないので、駄目だ。
・ 将来のスマートメーターは、次の機能をもつべきだ。
「スマート家電と連動して、系統電力の瞬間的な変動を吸収する」
しかしこれを実現するには、技術的な壁がある。ずっと先の話だ。
今のところは、技術規格を決めることが先決だ。普及はずっと先。
・ 現段階のスマートメーターを導入するべきは、家庭ではなく、企業だ。
(企業が午後休業などをすればいい。または、猛暑日の休業。)
【 関連項目 】
似た話題については、本サイト内で何度か述べた。そちらを参照。
→ サイト内検索(スマートメーター)
管理人様が言われる様にこの料金制度でメリットがある人は昼間にほとんど電気を使っていない人だけです。
と言う事でこの料金制度では、ピーク電力を下げる効果は無いですね。
まぁその事を東電が分からない筈が無いのでまさに詐欺ですね・・・
LDとVHDの2規格が争って、
LD「1時間再生のディスクだと静止画ができない」
⇒「映画で静止画再生のニーズはない」
VHD「一周2フレーム収録の為静止画がぶれる」
⇒「面白い画像効果がある」
と、技術上の(当時)解決できなかった問題を視聴者のニーズに強引
にすり替えて正当化していました。
結果的にDVDの登場とメモリ等電子機器系の劇的な低価格化で、
双方共(各種映像サービスに吸収・転化される形で)自然消滅した訳
ですけど、その過程でオーディオ・電機メーカーが払った高い授業料
と体質転換のための努力を東電は未だ全くしていない事が管理人様の
指摘から明らかですね。かの企業の直面している困難には決して感情
的に叩いてはいけない側面もあるかとは思いますが、こうしたどさく
さ紛れのやり得狙いには騙されてはいかんですね。
夜間に莫大な電力を使って、アルミや銅を精錬するとかいうのならともかく。いや、それだって、わずか8時間だけしか操業せずに、他の時間ラインを止めたら、まともな製品はできないでしょう。
時間帯別料金体系というのは別に今に始まったものじゃない
これまでもお得なナイト、とかの深夜電力メニューは存在するし、実際に深夜メニュー契約もそれなりに契約者が存在する。
誰も使わないかどうか、一度現状を確認してから書かないと思わぬ恥をさらすことにもなる
スマートメータは世界の流れだからこの採用は当然だろうが、スマートフォンの轍を踏まないよう、しっかり国産でがんばるべき
誤読ですね。時間帯別料金のことが指摘されているのではなく、特別高価な料金のことが指摘されているのです。
> しっかり国産でがんばるべき
独自規格にこだわると、世界から取り残されて、ガラパゴス規格になります。
電気自動車の電源の規格は「チャデモ」というひどい名前(茶でも、のダジャレ)の日本規格があるが、欧米を無視したせいで、欧米は独自規格を採用することになり、日本は世界の孤児となるガラパゴス規格となることに決まりました。
そんなことをやっていれば、日本中の企業がシャープみたいになる。最後は倒産。