2012年04月30日

◆ 太陽光の普及は阻害される

 前項の続き。42円という高価格は、太陽光発電の普及を狙った価格だが、このような高価格のせいで、かえって普及は阻害される。つまり、裏目だ。 ──
 
 前項に述べたように、42円という高価格は、太陽光発電の普及を狙った価格だ。この件は、「利潤に配慮する」という言葉で、引用文がある。(前項)

 なるほど、「高価格にすれば、普及が促進される」という効果はあるだろう。しかし、それは、短期的な話だ。長期的には、普及はかえって阻害される。なぜか? 次の原理による。
 「総額が同じならば、単価が高いほど、数量は減る」

 
 たとえば、百円もっているとしよう。単価が 10円ならば、10個買える。しかし単価が 20円なら、5個しか買えない。単価が安ければ安いほど、数量は多くなる。
 これと同じことが、太陽光発電にも成立する。
 補助金の額が一定だとすれば、単価が高ければ高いほど、数量は減る。たとえば、次のようになる。
  ・ 補助金単価が 40円 …… 100万kW の促進
  ・ 補助金単価が 20円 …… 200万kW の促進
  ・ 補助金単価が 10円 …… 400万kW の促進

 というわけで、単価が低ければ低いほど、促進される電力の量は増える。
 では、単価を下げるには、どうすればいいか? こうだ。
 「単価が下がるのは、時間がたってコストが下がったときだ。ゆえに、数年間待って、コストが下がってから、補助金を出せばいい」


 つまり、結論はこうだ。
 「太陽光発電を大幅に普及させたければ、単価の高い今現在において補助金を出すよりは、単価の下がった数年後に補助金を出せばいい」


 実際、次のことは言えるだろう。
 「過去において拠出した多大な太陽光発電の補助金は、ほとんど効果がなかった。出しても出さなくても、現時点における太陽光発電のコストには影響しなかった。(影響したのは日本ではなくて海外のパネル販売量だった。)」


 とすれば、今後数年間、42円とか 30円とかの高価格で買い取りをする(ように補助金を出す)としても、たいして効果はないのである。それよりは、買い取り価格が 25円ぐらいに下がった時点で、補助金を出せばいい。どうせ同じ補助金を出すにしても、価格が下がってから出す方が、実現可能となる発電量はずっと大きくなるのだ。
 たとえば、毎年百億円ずつを出すよりも、今は全然出さずにおいて、数年後にたっぷりと出す方がいいのだ。
 
 ──

 以上のことを、教訓ふうに、諺で言おう。
 「急がば回れ。あわてる乞食は儲けが少ない。急いては事を仕損じる」

 つまり、急げば急ぐほど、かえって遅れてしまうわけだ。皮肉なことに。

 あるいは、次のようにも言える。
 「朝に三つで夕べに四つじゃ、イヤだ。朝に四つで夕べに三つがいい」
 いや、もっと悪い。こうだ。
 「朝に三つで夕べに四つじゃ、イヤだ。朝に四つで夕べにゼロの方がいい。総数は減ってもいいから、朝のうちにいっぱい食べたい」
 これが今の日本政府である。猿知恵。いや、猿にも劣る。
 


 【 関連項目 】
 実は、この話と同様のことは、前にも述べた。
  → 10年後の太陽光発電
 ここから、一部を再掲しよう。
今すぐ最大限の普及をめざすと、10年後には普及率を上げることができなくなる。
 このことは、「ウサギとカメ」の話にも似ている。マラソンにおいてスタートで全力疾走すると、すぐに疲れてしまって、一休みするしかない。そうして休んでいる間に、亀に抜かれてしまうので、最終的には負けてしまうのだ。
 詳しくは、この項目を読んでほしい。
 


 【 追記 】
 興味深いデータを得た。
  ・ ドイツのFITによる一般家庭の負担(2011年)は14.7ドル/月( 出典
  ・ ドイツの2012年の固定価格買い取り制度の賦課金は、月額1069円 ( 出典
 
 つまり、ドイツでは月 1200円ぐらいでは負担に耐えかねた(2011年)ので、それよりも引き下げることに決まった。(2012年)
 
 一方、日本の場合は、「太陽光発電の設置量が前年比 11%増えただけで、月 70〜100円の増加」である。とすれば、110%増えれば、月 700〜1000円の増加となり、上限額に近づく。
 42円というのは馬鹿高値だから、初年度に前年度比 110%増えることは、十分あり得る。そして、もしそうなったら、その時点で、負担限度額に達してしまうのだから、欲念以降は、もはや補助金を出せない。(つまり高額買い取りができない。)
 つまり、初年度にあまりにも高い価格を設定すると、使える枠を使い切ってしまうので、次の年から先は、もはや太陽光発電の推進ができなくなるのだ。「促進が減る」どころか、「促進がほぼ皆無」になるのだ。初年度にして枠をすべて使い切ってしまうがゆえに。

 比喩的に言うと、「朝三暮四」の猿が、朝のうちに7個を得たせいで、そのあとは1個も得られない、という状況だ。
 ひどいね。猿より愚かというべきか。地デジの補助金を得たせいで、その後に大損した家電業界より、もっと愚かかも。
posted by 管理人 at 19:53| Comment(1) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2012年05月01日 00:09
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ