太陽光発電の買い取り価格は 42円と決まった。が、個人家庭からの買い取り価格は、実質的にはこれをかなり下回る。喜んでホイホイと乗らないようにした方がいい。 ──
太陽光発電の買い取り価格は 42円と決まった。この 42円という高価格が、20年間ずっと維持される。
→ 固定価格で一定期間買い取る
これはけっこうボロ儲けに見える。そこで、「じゃ、おれも」と思う人もいるだろう。しかし、喜んでホイホイと乗ると、あとで痛い目に遭いそうだ。
というのは、今回の制度では、家庭の分については、「発電の全量買い取り」ではなく、「余剰分のみの買い取り」だけだからだ。
で、余剰ではない分はどうかというと、電灯線から購入する電力が減るのが節約できるわけだが、その分は、23円(家庭向け電力の価格)に相当する。つまり、
・ 家庭で消費する分の価格 …… 23円 (+ 17%の値上げ)
・ 余剰で売電する分の価格 …… 42円
となる。二本立てだ。
一方、ソフトバンクなどの事業会社の方は、全量が 42円だ。
比較して、家庭向けの方が、買い取り単価は大幅に低くなっていることになる。
これでは不公平なので、「家庭向けも全量買い取りにする」か、「事業会社の方は買い取り価格を下げる」というのが、当初の方針だった。
ところが、今回の決定は、そうではなくなった。平均買い取り価格は、家庭向けでは実質的には 30円程度であり、企業向けには 42円である。大幅に不公平な制度となっている。
また、家庭向けでは、故障などの問題も起こりそうだ。
→ ソーラーパネルの故障 (前項)
というわけで、喜んでホイホイと乗ると、あとで痛い目に遭いそうなので、注意しよう。
──
結論としては、こうだ。
今回の買い取り制度は、あくまで「メガソーラーなどの事業者を優遇すること」が狙いである。家庭用は大幅に差別されている。うまく行けば利益が出るだろうが、下手をすると、11年目に出力が大幅に低下するという故障が起こるかもしれず、リスクが大きい。企業ならばリスクを一定に見込めるが、家庭では当たり外れが大きい。「はずれにぶつかって、大損した」というふうになる可能性もある。
下手に欲をかかずに、個人では手を出さずにいた方がいいだろう。どうしてもやるなら、メガソーラーに出資でもした方がマシかも。
あるいは、個人でやるなら、例の8万円のやつだ。これなら、リスクを会社に負担させることができる。
それ以外は、リスクが高すぎるので、下手に手を出さない方が賢明だろう。
( ※ 唯一、例外的に利益が見込めるのは、別荘のように、自宅ではほとんど電力を消費しない場合だけだ。……とはいえ、別荘を持てるのは、金持ちだけだ。民主党の決めた制度は、とことん、金持ち優遇だ。金持ちはどんどん補助金をもらえるが、貧乏人は電気料金値上げを通じて、金持ちに貢ぐばかりだ。)
[ 付記 ]
メガソーラーの買い取り価格が 42円というのは、不当に高い。(前述)
では、どのくらいが妥当なのか? それについては、欧州と米国の買い取り価格を示したグラフがある。
→ http://kettya.com/2012/log04269469.htm
これによると、2008年の時点では 44円ぐらいだったようだが、現時点では 15円を割る価格にまで低下しているようだ。
42円は 14円の3倍だから、欧米に比べて3倍の価格設定となっている。ボッタクリと言っていいだろう。
( ※ 簡単に言うと、欧州では、個人に比べて事業者は、低い価格でしか電力を買ってもらえない。個人には補助金を出すが、事業者には補助金を出さない。一方、日本は逆で、個人には少ししか補助金を出さないが、事業者にはたっぷりと補助金を出す。で、その補助金を出すのは、一般国民および産業界である。……つまり、欧州の政治は国民のためにあるが、日本の政治は政党に献金する悪党のためにある。)
2012年04月26日
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