2012年04月22日

◆ 危機と情報管理

 危機のときの情報管理がなっていないことを、二つの事例で示す。放射線予測の SPEEDI の情報と、北朝鮮のミサイル発射の情報。いずれも情報管理がなっていなかった。 ──
  
 放射線予測の SPEEDI の情報と、北朝鮮のミサイル発射の情報。この二つの事件が話題になっているが、どちらにも共通するのは、「危機のときの情報管理がなっていない」ということだ。そこで、この視点から、二つの事例を考える。

 (1) SPEEDI の情報

 SPEEDI の情報管理がなっていなかった、ということが、新たに判明した。
 原子力安全技術センターから福島県に寄せられた SPEEDI の情報があるのだが、受信した県の担当者が、すべて削除してしまったそうだ。その理由は、受信容量が多くなったので、容量を確保するため。
  → 指揮命令混乱しデータ削除 SPEEDIで福島県
  → 指揮命令混乱でデータ削除 SPEEDI消失県検証
  → SPEEDIメール消去 「命軽視」と怒り
  → SPEEDIをめぐる不可解なこと
 
 しかし、( Windows95 の時代じゃあるまいし)「容量不足」というのは、あまりにもおかしい。下記で指摘している。
  → 福島県がSPEEDIデータ65通のメールを消去
大目に見て10MBとしても、全部で650MBです。例えば、私の現在使っているパソコンは、HDDが500GBあります。今や、ノートパソコンでも100GBは普通でないでしょうか。受信しているメールの合計は1GBにとどかない容量です。一体、県職員はどんな旧式のパソコンを使っていたのでしょうか。
 まったく、わけがわからないほど、デタラメな話だ。この職員は、よほどITリテラシーが低いのか。
 いや、それより問題なのは、このようにITリテラシーの低い人が一人いるだけでマヒ同然になってしまうという、日本の情報管理のデタラメさだ。
 実は、この職員は、情報を得ただけでも、まだマシだった。他の政府関係者は、情報をあえて隠蔽しようとしていた。何もしない愚図や、何もできない無能より、さらに悪い。昨年の事故直後の状況を、Wikipedia から引用しよう。
 実際の風向きなどでの20〜100km四方程度の地域について一定時間後の各地の大気中濃度、地表蓄積量などをSPEEDIで出して配信した。
 SPEEDIは100億円以上かけて開発され、事故後5,000枚以上の試算結果があったとされるが、試算なので国民の無用な混乱を招くだけと判断されたために国民に公開されず、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかった。情報を非公開としたことにより、放射性物質の飛散方向と同じ方向に避難した住民を多く発生させてしまい、強い批判を受けた。情報を非公開としたことについては、後に政府が「パニックを避ける」ことを優先させすぎたが故の誤った判断だったと認め、謝罪している。
 ここに示してあるように、「試算なので国民の無用な混乱を招くだけと判断されたために国民に公開されず」ということだから、意図的に情報を隠蔽していたことになる。
 しかしながら、実際には、国民に公開されないだけでなく、政府首脳にすら情報は伝わらなかった。
 総理大臣官邸危機管理センターには2・3号機の緊急時対策支援システム(ERSS)の予測を送付しただけで、SPEEDIでの放射性物質の拡散予測結果は報告していなかった。原子力安全・保安院で解析した45件もそのうち2件のみしか送付しなかった。送付しなかった理由は分からないが、SPPEDIの結果を使うという思いが至らなかった。……1・3号機の予測値は9月2日に初めて公表された。
 ……高木義明文部科学大臣に対して、3月12日にSPEEDIの算出結果を公開しなかったことを質問したところ、「現地情報がないため計算できなかった」と答弁した。しかし保安院の指示で文部科学省所管の原子力安全技術センターが計算していることをさらに問われると、「計算していることを私は知らなかった」と答弁した。
( → Wikipedia
 情報を隠しただけでなく、情報を隠したことさえも隠そうとしている。まったく、呆れたものだ。ほとんど漫才レベルだ。

 (2) ミサイル発射の情報

 北朝鮮のミサイルの発射後、日本政府はいつまでたっても「未確認です」と語るばかり。世界中の誰もが知っているのに、日本政府だけは「わかりません」と語って、世界中に間抜けぶりをさらした。
  → 防衛省:「本当なのか」「確認中だ」
  → ショボイ野田政権!発射確認できませんでした
  → 予告時限の正午までミサイル発射確認されず

 なぜか? 北朝鮮のミサイルは、発射後まもなく爆発した。そのせいで、日本のレーダーには引っかからなかった。
  → 地球は丸い
 それでも日本政府は、米国からは「発射」という情報を得ていた。だが、日本政府は「自国とのダブルチェック」という原則にとらわれたせいで、せっかく得た情報を生かせなかったわけだ。

 ────────────
 
 以上の二つの例を見ると、こうわかる。
 「情報はあっても、情報を生かせなかった。情報をお蔵入りさせてしまった」


 これは、国家的に、情報管理の体制が狂っていることを示す。
 では、正しい情報管理とは、どういうものか? こうだ。
  ・ 一次情報を、一元的に中央に集約する。
  ・ 一次情報を、中央に集約したあとで、なるべく広く共有する。
  ・ 一次情報を公開できない場合も、加工した要約情報は共有する。

 
 このような情報管理体制が敷かれていれば、「 SPEEDI の情報が秘匿されていた」ということはなかったはずだ。
 そもそも、「国民に知らせない方がパニックを阻止できる」なんていう、国民を馬鹿にした発想が、根本的に狂っている、と言える。何とまあ、国民を愚弄した発想であることか。「情報公開」を基本前提とする、ということが、まったくわかっていないようだ。

 政府の情報は、基本的には全部公開するべきだ。特に、科学情報や基礎データはそうだ。
 例外的に公開できないのは、軍事情報だが、その場合も、精度を粗くした要約情報ぐらいは公開するべきだ。北朝鮮のミサイルの事例で言えば、「米国からは情報を得ていた」のであれば、その情報を公開するべきだった。何しろ、世界中の誰もが知っているのだから。今さら隠しても意味がない。
 韓国国防省や米国防総省が10分程度で「発射確認」を公表したのに、日本政府は「わが国としては、発射を確認していない」と言い続け
( → zakzak
 漫才じゃないんだから、いちいちボケを演じてくれなくていいんです。そんなに馬鹿をやりたいんだったら、野田さんは首相を辞めて、吉本に入ればいいんですよ。職業を間違えましたね。(橋下と二人で、ボケとツッコミをやっていればいい。二人でお似合いだ。)

 ──

 結論。

 今回の二つの事例で明らかになったのは、日本の情報管理のお粗末さだ。それがいかにお粗末であるかということが、危機のときに露呈した。
 せっかくわかったのだから、日本の情報管理の体制を抜本的に改革するべきだろう。各省庁でバラバラに情報をもつのでなく、すべての情報を一つのシステムとして運用できるように、抜本的に改革するべきだ。

 ただ、何でもかんでもアクセスできるようにすると、個人情報の漏洩という問題もあるから、
  ・ 公開すべき情報
  ・ 公開しない情報(個人情報や軍事情報)

 の区別をした上で、公開すべき情報については徹底的に公開するべきだ。
 また、「公開しない情報」については、目次や要約などを適切に示すべきだ。

 ひるがえって、何が駄目かというと、次のことだ。
 「情報を役所に溜め込んでおいて、役所の外にはなるべく出さない(隠す)」
 これが今の体制なんですよね。呆れたことだが。
posted by 管理人 at 20:14| Comment(0) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
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