「次期戦闘機は F35 に決定」というのが、日本の方針だった。
→ 次期戦闘機、F35に正式決定 野田内閣
これは昨年末の決定だったが、懸念されていたとおり、F35の開発はまたしても遅れに遅れることが判明した。少なくとも2年は遅れる。かくてF35 の調達は不可能であることが判明した。
詳しくは下記の記事を参照。
→ F35調達 2年延長 日本の調達計画破綻 米報告書に明記
→ F35 見直し必至 防空と安全性に懸念
→ F35 国際スキャンダルに発展も
これに対して、日本政府の対応は、冗談並みだ。
→ F35、納期・価格厳守で米と折衝
すでに不可能だと決まっているのに、「何とかして下さい」と交渉している。交渉すれば不可能が可能になると思っているらしい。軍事常識を知らないとか何とかいうレベルじゃないね。正常な判断力を失っている。白痴だ。
[ 付記 ]
F35 が駄目なら、どうなるか? 「アメリカとの協調」を大前提として、「機能が落ちても米軍機にする」という方針ならば、F18にするしかない。
ところが、FA18がまた墜落した、というニュースが出た。ほやほやのニュース。
記事。
→ 米海軍戦闘機が住宅地に墜落、バージニア州
動画。
関連情報。
「 FA18の墜落は、今年に入って三度目だ」という情報もある。
→ 検索
これほど墜落してばかりならば、F18 はもはや落後したね。残るはユーロファイターの一択。
ただし……愚かな政府のことだから、FA18 を選択するかもしれない。その場合、頭の上から落ちてくるのは、北朝鮮のミサイルじゃなくて、日本の F18 だ。どっちが怖いかな?
【 関連サイト 】
F35 の話を引用しよう。
カナダの国防省は調達コスト見積もりを機体(90億ドル)とメンテナンス(70億ドル)の総額160億ドルとしたようだが、監査監の見積もりでは、250億ドル以上かかる見込み。
1997年からF35開発プログラムに参加し、2010年の段階でF35の導入を決めたカナダでさえ、第一号機の納入予定は2019年。
( キヤノングローバル戦略研究所 )
レガシーとスーパーでは、同じFA-18を名乗って外見が似てるけど、実質はまったく別なの飛行機です。なので一緒くたに評価すると本質見間違えますよ。
中身がまったく違うのに呼び方を同じにしたのは昭和40年代以降の国鉄にも見られましたね。「暖房用ボイラーを積んで中間台車を乗せた交流電気機関車だから」と同じにされたED76-0番台と500番台。「山岳線用の直流電気機関車だから」と同じにされたEF64-0番台と1000番台。制御機器の構成がまったく違うのに同じにしたのは、「新型を導入すると新しい機器を覚えないといけないから労働負担が増える」と国労・動労が反対したという伝説がありますが。
ま、どっちみち、性能面ではスーパー型でもユーロファイターには負けるから、あまり意味はないかも。
日本が導入を予定している最新鋭戦闘機F35の納期遅れが懸念される中、米側は、日本への納期を書類上順守する代わりに機体は未完成のまま米国内で管理する見通しとなった。米国防総省関係者が明らかにした。日本に実際納入されるのは、米軍で戦闘機の運用能力や量産が承認されて開発が完了する2019年以降となり、日本が契約しても防空網に穴が開くことは不可避な情勢となる。
F35が米国から引き渡されないなら国産F1再生産(実際にはラインがないので無理)とか純国産シジェットエンジンの開発、イギリスが売り込みに熱心なユーロファイター導入再検討、果てはF22の日本輸出用機体の生産強要を本気でちらつかせるのも良いかもしれません。
何しろ、日本が買わないとF35の開発は頓挫します。
コストの高騰と納期遅れに当の米国はF35の計画自身の見直しすら言い始めています。
何とか、良いお客さま(先払い可能で納期遅れに文句ひとつ言わない)を繋ぎとめるためにメーカー(ロッキード・マーチンマリエッタ)は必死になっているのでしょうか?
しかし、一方で純国産のまともなジェット戦闘機用(大出力でスーパークルーズ/アフターバーナ不使用での超音速巡航の可能な)エンジンの開発すらできず、既に数十年来使用してきたアメちゃん製機体のための訓練・教育/整備・アップグレード/保守/保安システムを、設計思想も規格も全く異なるヨーロッパ製機体への全面転換配備や二重配備の導入は運用上のリスクもコスト(機体だけ買えばよいわけではない)も非常に高くなるという点を考えれば、現状は非常にヤバイ状況であることは間違いありません。
ヨーロッパの次期第五世代戦闘機はF35の共同開発/共同導入(実際には各国のバージョンを用意するため膨大な手間とコストがかかってしまい納期が毎日のように遅れている)となっているので、ユーロファイターは導入しても直ぐに古くなってしまうので長期的にはコスト・パフォーマンスに問題があります。(オーストラリアやシンガポール等も導入予定)
個人的にはF22の導入検討をするまえから純国産第五世代戦闘機開発に全力を挙げるべきだったのでは思います。
まあ、巧みに米国に計画つぶされるでしょうけど・・・
 ̄ ̄
《 F35、1機 189億円 米国防予算案で判明 》
米国防総省が発表した2014会計年度(13年10月〜14年9月)国防予算案で、日本の航空自衛隊が調達を決めた最新鋭ステルス戦闘機F35Aの価格が、1機当たり約1・9億ドル(約189億円)であることが明らかになった。日本政府は12年度予算で最初の4機を1機当たり102億円で計上しており、90億円近い差額を米側から請求されるのは必至。
→ http://sankei.jp.msn.com/world/news/130414/amr13041401000000-n1.htm
こちら参照
「 産経新聞の誤報「F-35A戦闘機1機189億円」は機体単価ではない」
http://obiekt.seesaa.net/article/355313872.html
それより産経の問題点は「12年度予算で最初の4機を1機当たり102億円」というふうに12年度の数字を示していること。米国は 13年度なんだから、日本も13年度で示すべき。で、その数値は、これだ。
> 本年度予算で購入する機体は米側の提案価格を上回る一機百二億円となり、新年度分は
一・五倍に高騰して百五十四億円になる。
→ http://military38.com/archives/22471159.html (東京新聞の転載)
つまり、「価格は大幅にアップする見込み」ではなくて、「価格は大幅にアップすることがすでに半分が決まっている」である。
そして、この価格は、「兵器システム込み」ではない。object は「日本のは評価機だから、兵器システム込みではなく、もっと安いはずだ」と言いたいのだろうが、現実にはすでに百五十四億円にまで上昇している。これは円安が進行する前の見積もり(2013/01/19 掲載)だから、現実にはもっと高額になるはずで、180億円ぐらいの支払いは免れそうにない。
その意味で、産経の数値は、たいして間違えているわけじゃない。どちらかと言えば、大騒ぎしている object の方が間違えている。「根拠が狂っている」という指摘は妥当だが、「結果的には数字はほとんど間違っていない」という点を理解できていない。あと、円安がもうちょっと(5%ぐらい)進行したら、日本が払う金は本当に 189億円になりそうだ。
ま、もともと予想していたけどね。「100億円で契約しても、実際には 200億円ぐらいになるだろう」って。
想定の範囲内。