2012年04月04日

◆ スマートメーターで節電?

 スマートメーターを使って料金制度を変えると、1割の節電効果があった、という実験結果がある。しかしこれは無意味だ。 ──

 スマートメーターを使って料金制度を変えると、1割の節電効果があった、という実験結果がある。(数週間前の記事。)
 家庭の夏の昼間の電気代をほかの時間帯よりも高くすると、1割ほど電力の使用量が減る――。そんな調査結果を経済産業省がまとめた。次世代電力計の「スマートメーター」の導入を促進させるため、2年がかりで調べた。
 スマートメーターは、電力使用量が30分ごとにわかる。東京電力管内の約600世帯と、関西電力管内の約300世帯に、同意を得て取りつけ、2010〜11年にかけて調べた。
 一部の家庭では、電気代を7〜9月の午後1〜4時、ほかの時間帯より2〜3倍高く設定した。実際には調査家庭に払う協力金の額を、この時間帯の使用量によって変動させ、効果を観察。すると、電気代が一日中同じの家庭よりも、使用量が約10〜17%減った。
( → 朝日・朝刊 2012-03-13
 ── 

 記事では、「スマートメーターの導入を促進させるため」ということだから、これをもって「スマートメーターを普及させるべし」と結論したがっているのだろう。ほぼ同じ時期に、その趣旨の記事がある。
  → 経産省、スマートメーター規格を決定
  → 時間帯別料金に節電効果 スマートメーター
  → 節電「スマートメーター」 導入加速へ議論再開

 ──

 しかしながら、私の考えは、不同意だ。「節電のためにはスマートメーターを配備する」という経産省の方針には賛成できない。
 理由は、下記の通り。

 (1) 時間帯料金/スマートメーター

 明らかに効果があるのは、「時間帯料金」だ。これに対して「スマートメーター」がどれだけ寄与したかは、今回の実験ではわからない。実験するならば、次の実験でなくてはならない。
 「時間帯料金を定めた上で、スマートメーターの有無で比較する」
 しかるに、今回の実験では、次のようになった。
 「時間帯料金とスマートメーターのある家庭を、どちらもない家庭と比較する」
 これでは、たとえ効果があったとしても、時間帯料金とスマートメーターのどちらが効果的であったか判明していない。
 実際には、時間帯料金の方が圧倒的に効果があったはずだ。なのに経産省は「スマートメーターが効果があった」という結論を出して、「ゆえにスマートメーターを普及させよう」という方針を取っている。
 これはインチキ論理だ。
 「AとBがともにあると有効です。ゆえにBは有効です」
 こうして、「本当はAが有効である」という結論から、「Bが有効である」という間違った結論を引き出す。ペテン師。

 (2) ゲーム感覚の効果

 「スマートメーターを見ることで節電意欲が増す」……ということは、現実には考えられる。実際に、その効果もあるだろう。
 ただしその効果は、初期だけに限られるはずだ。初期ならば、スマートメーターが物珍しく思えるので、「おもしろいな」と思いながら、ゲーム感覚で節電ごっこをすることもあるだろう。
 しかし、そのような効果は、あくまで初期だけだ。ゆえに、「初期に効果があったから、その後も効果が永続する」と思うのは、早計だ。どんなゲームだって、やり続ければ、飽きてしまう。スマートメーターも、最初は物珍しくて、節電ごっこをしたがるだろうが、時間がたてば、飽きてしまうので、スマートメータなんかいちいち見なくなる。……となれば、「誰も見ないスマートメーター」なんて、無用の長物でしかない。
 というわけで、「数カ月だけの実験」なんて、もともと意味はないのだ。
( ※ それはいわば、「恋人たちが最初の数カ月間だけ蜜月だったから、その後も蜜月が永続する」と思い込むようなものだ。……スケートの清水だって、ロッテの西岡だって、そう思って美女を射止めたあげく、捨てられてしまった。自分の浮気のせいだが。いずれにせよ、蜜月は永続しないものだ。スマートメーターへの興味も、また同じ。)


 (3) 時間帯の計測器

 時間帯料金を決めたならば、スマートメーターは、特に必要ない。なぜなら、そのためのメーターは、すでにあるからだ。
 それは「深夜料金制度の利用者について、電力使用量を調べる」というメーターだ。こういうメーターは、深夜料金制度の利用者には、すでに付いているはずだ。(そういう料金制度になっているのだから当然だ。)
  → 東京電力 時間帯料金 (プランの例)

 で、これはスマートメーターとどう違うか? メーターが室内から刻々とモニターできない、という点だけだ。どこかの隅っこの方にある配電盤か何かに数字が出るだけで、家庭ではモニターできないのだろう。
 「だからスマートメーターが必要だ」
 というのが経産省の認識だろうが、しかし、すぐ上の (2) で述べたように、スマートメーターを見るのは、それが物珍しい、初期だけだ。というわけで、いちいちスマートメーターの必要性を唱える必要はないのだ。

 結局、(1)(2)(3) に示した理由で、スマートメーターは、効果も必要性も認められない。

 ──

 さらに言おう。
 「温暖化ガスの削減」という目的のためならば、節電はあった方がいい。しかし、「温暖化ガスの削減」ということ自体が、たいして必要性はないのだ。実際、21世紀に入って以来、「地球は温暖化する」という当初の予測は大ハズレで、現実には寒冷化しているからだ。「地球が温暖化する」というのは、「狼が来た」というのと同じ嘘だということが、すでに判明しつつある。(温暖化のモデル予想はハズレっぱなし。信頼性が皆無。)

 一方、「日本電力事情が厳しいから」というのは、理由とはなる。昨今、原発の停止などがあって、日本電力事情は厳しい。だから節電の必要がある、というのは、感情的にはわかる。
 しかし論理的には、それは成立しがたい。理由はこうだ。
  ・ 夏季以外は、余裕があるので、特に節電の必要はない。
  ・ 夏季ならば、企業が夏休みを取ればよく、家庭は節電の必要はない。


 特に、後者が大事だ。夏季に節電するとしたら、クーラーの節電だろうが、そんなことは、強引にやる必要はない。次のことゆえに。
  ・ やる必要があるのは、電力の最大供給量を突破しそうな、数日間だけだ。
  ・ その数日間だけ、企業が休めばいい。それで済む。
  ・ その数日間は、猛暑なのだから、家庭は節電すべきでない。

 要するに、「猛暑のときには、家庭はクーラーで冷やして、企業は休業する」というのが、本質的だ。
 逆に、「猛暑のときには、家庭はクーラーを止めて、企業はフル稼働する」というのは、あるべき姿とは正反対だ。そんなことのためにスマートメーターを利用するとしたら、スマートメーターは「状況を悪化させるための道具」となるだけだ。有害無益。人殺しの道具にすらなる。(ケチ根性のせいで熱中症で死ぬ、というお年寄りが、続出するはずだ。スマートメーターは殺人器となる。)

 それでも、「節電は大切だ」と思うのであれば、スマートメーターよりももっとうまい方法がある。それは「料金制度の変更」だ。具体的には、次のようにすればいい。
  ・ 家庭では、冒頭のように、時間帯料金を定める。
  ・ 企業では、「夏季には従量料金を上げる」というふうにする。


 特に、後者が大切だ。
 しかるに、実際には、正反対だ。次のようになっている。
 「企業では基本料金と従量料金がほぼ半々。一定量以上を使う企業は、超過分に対して、大幅な割引制度(6割引)」
  → 前出項目
 つまり、企業に対しては、「節電を推奨する」どころか、「浪費を推奨する」という、ひどい料金制度になっているのだ。それも、「6割引」という極端な形で。
 実は、企業に対しては、「夏期料金制度」というのがあって、「夏季の料金はちょっと高くなる」というふうになっている。しかしそれは微小な額であり、焼け石に水程度であるから、まるきり無視して差し支えない。
 とにかく、基本としては、企業に対しては「浪費の分は6割引」というふうに、「浪費を推奨する」という料金制度になっている。
 とすれば、その逆にするべきだ。つまり、「節電を推奨する」という料金制度にするべきだ。具体的には、「基本料金を大幅に引き下げる(ゼロまたはマイナスにする)」とした上で、「従量料金を2倍〜3倍に引き上げる」というふうにするべきだ。つまり、現状とは正反対の料金制度にするべきだ。……常に、ではないが、夏季に限っては、このような料金制度にするべきだ。
( ※ このように従量料金を引き上げることで節電効果が出る、ということは、上記の前出項目でも述べたとおり。)
 
 ──

 結論。

 「スマートメーターで節電する」という経産省の方針は、インチキ論理による嘘だ。
 そもそも、節電の必要性は、夏以外には少ない。
 それでも節電するなら、料金制度の変更による方がいい。
 家庭では、時間帯別の料金制度があれば十分。(スマートメーターは不要。)
 企業では、時間帯別・季節別の料金制度を制定するべきだ。
 現状では、企業の電力浪費を優遇している。ここを是正するのが核心だ。家庭向けは、副次的にすぎない。見当違いの方向ばかりを狙うべからず。




 [ 付記1 ]
 物事を本質的に考えれば、「夏季はあまり働かない」というのがベストだ、とわかる。将来的には、日本でもフランスのように、「猛暑のときにはなるべく休む」という体制になるだろう。
 そして、そうなれば、企業の活動も減るから、自然に企業における電力消費が減る。となると、「夏には電力不足になる」という現象自体が、将来的にはなくなるだろう。
 日本が正しい方針に進めば、次のようになるはずだ。
  ・ 7月は、学校は午前のみ。ただし、夏休みの期間は短縮する。
  ・ 企業も、夏は、稼働は午前のみにすることが多くなる。
  ・ サマータイムふうに早期始業が普及するようになる。


 企業はおおむね、「8時始業」から「7時始業」に早まり、「7時〜13時」までの6時間の就業となる。(途中休憩もあり。)
 で、こうなったら、13時〜17時という猛暑の時間帯には、企業は半ドンで休みとなっているから、企業の消費電力量は激減する。そうなれば、「夏の電力不足」は、もはや起こらなくなる。
 「今はみんな半日就業で半分バカンスみたいになっているけど、昔は猛暑のなかで朝から晩まで働いたんだなあ。馬鹿みたいだったなあ」
 と回想するようになるだろう。
 それが正しい日本の姿だ。

 しかるに、それを阻止しようとするのが、経産省だ。
 「企業が金儲けのために、夏の間も朝から晩までフル稼働できるようにしよう。そのためには、家庭に犠牲を押しつけて、猛暑のなかではクーラーを切るように誘導しよう。そのためには、スマートメーターを配備すればいい」
 という発想だ。人を人とは思っていない。人を「使い捨ての道具にしよう」という発想。ワタミみたいなブラック企業の発想。「猛暑のさなかに節電すると、熱中症で死ぬ? そんなの関係ねえ。企業が嬉しい、オッパッピー」という発想。

 [ 付記2 ]
 この発想は、橋下の発想でもある。
  → 「橋下 熱中症」(サイト内検索)
 橋下のことだから、そのうち強制的に電力の使用状況をチェックして、違反者を吊し上げにするつもりかもしれないね。「猛暑のときには君が代を歌え! 歌えば、涼しくなる。心頭滅却火もまた涼し」と言って、君が代を歌っているかどうかをチェックする気かも。



 【 関連項目 】

 → 「スマートメーター」(サイト内検索)
posted by 管理人 at 21:17| Comment(8) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前項の井上さんのコメントへの回答。
 ( ※ 項目違いだと思うので、本項に記します。)

> ピーク電力の節電でないとあまり意味がないので、
> 分単位で消費電力を測定できるスマートメータは必要不可欠かと思います。

 私の立場は、「測定は不要」ということではなくて、「測定装置は必要だろうが、現状のスマートメーターは機能不足の中途半端なものなので駄目」というものです。この件は、次項あたりで述べますが、前にも述べたことがあります。

 ただ、家庭におけるピーク時電力の節電は、不要だ、というのが私の立場。本項でも述べたように、有害無益。ピーク時には家庭では節電するべきではない。むしろクーラーや冷蔵庫をフル稼働させるべきだ。そのために電力はある。
 猛暑の時に、(生命維持のための)一番大切な電力を節約して、不要不急なもの(過労)のために電力を使うなんて、本末転倒だ。「酒代をひねる出すために食費を削って餓死する」というようなもの。
 人間にとって一番大切なのは生命維持だ、という本質に立ち戻って下さい。
Posted by 管理人 at 2012年04月05日 12:25
ピークの7月8月の使用量が昨年の同時期より少なければ10月11月の料金から一定金額差し引く・・・というのはどうですか?
Posted by maromaro at 2012年04月05日 16:15
その案はよく言われますが、公平性が担保されない。

  ・ 今年はともかく、来年はどうするの? 
  ・ もともと節電していた人は不利で、もともと浪費していた人が有利。
  ・ 新築して引っ越しした人は不利。
  ・ 家族の人数の変動で差が出る。

 一般に、個別の家庭ごとに変わる制度は駄目です。全世帯に一律に決まる制度であることが必要。
Posted by 管理人 at 2012年04月05日 21:22
「現在の電子カルテは中途半端だから不要」ということはなく、中途半端な機能でも、使い道はあります。もっとも、ソフトバンクが言うように、「全国共通電子カルテ」なんて途方もない計画は時期尚早ですが。
スマートメータについても、池田信夫氏が言うほど高機能なものは、まだ研究途上であり、まずは、時間帯別消費電力を測定して、電波で送信するダムターミナルで十分かと思います。検針員の人件費が節約できるだけでも、付け替える意味がある。水道事業やガス会社とも提携するといい。
つまり、当初、東電が計画していたスマートメータでも、十分価値があったと思うのです。1万円ではちょっと高すぎますが。
Posted by 井上晃宏 at 2012年04月05日 22:13
本日分の「東電のスマートメーター」で記してあるように、時間帯別のメーターはすでにあります。あとはそれを強制的に買わせるかどうか、という問題があるだけ。
 強制的に買わせても、五年ぐらいたったら、新しいスマートメータに付け替えることになりそうだが。
 全世帯の整備には4年かかるとしたら、4年目に付けた家庭では、1年たったら付け替えることになる。

 あと、機器のコストは1万円でも、工事費にもお金がかかるので、各家庭の基本料金は月 数百円の値上げになります。値上げは年1万円ぐらいでしょうね。……それが東電の狙い。
Posted by 管理人 at 2012年04月05日 22:31
問題の「ピーク時電力削減策」ですが、仕事や勉強をしさえしなければ、家庭のエアコンなんて、なくても大して問題ないんです。昭和30年代までは、エアコンなしでなんとかやってたじゃありませんか。地域や家屋のつくりにもよりますが。
私は、エアコンつきの部屋で、エアコンをほとんどつけずに暮らしています。

高齢者は確かにリスクがあるので、介護施設を割安料金で利用させるといい。彼らは寒さに敏感で暑さに鈍いので、自宅に独居させておくと危ない。たとえ、エアコンがあっても、エアコンを使おうとしないので意味がない。
Posted by 井上 晃宏 at 2012年04月05日 23:58
> 昭和30年代までは、エアコンなしでなんとかやってたじゃありませんか。

 あの頃とは猛暑の度合いが違いますよ。あの頃は高くても32度ぐらいだったし。

> 私は、エアコンつきの部屋で、エアコンをほとんどつけずに暮らしています。

 私もそうですけど、さすがに 34〜35度を超えるようだと、エアコンなしでは済まない。話題にしているのはピーク時ですから、そういう特別な場合です。
 33度ぐらいのときには、エアコンをつけなくてもつけても、供給不足にはなりません。そんなときにエアコンをつけないからといって、何の意味もありません。

> たとえ、エアコンがあっても、エアコンを使おうとしないので意味がない。

 そりゃまあ、使わない人もいるけど、たいていの人はエアコンを使いますよ。介護施設? 年に数日のために、莫大なビルを大量に建設しますか? 5000万人分も? 何百兆円かかるかな。
Posted by 管理人 at 2012年04月06日 00:51
時間帯料金も悪くは無いのですが、例えば13時から16時が高額になるとしましょう、その場合に13時にいっぺんに電気使用量が削減されて、送電に影響を及ぼす可能性があります。特に家庭用に関してはね。スマートメーターの有効性というのも賛否両論あるのでしょうが、基本的には送電側の調整がスムーズになる、ロスが少なくなる(101Vに対する変動幅を高めに設定しなくても済む)という利点はあります。太陽光発電と蓄電の普及が進めば必要になりますから、その際には普及するでしょう。

企業の電灯契約に関しても、現在は契約電量を見直し、デマンド警報装置を付けるなどの動きはあります。使うのを助長しているような契約?そんなのあるんですかね?特高で契約している会社でも、必要量以外は削減していますよ。

>人間にとって一番大切なのは生命維持だ、という本質に立ち戻って下さい。

まあ産業界が壊滅していけば、日本人は生活困難者が増えて生きていくのもままならない人が増えるんですけどね。
円安に振れるのか、大地震が来るのか、いずれにしてもこの10年以内に危機に直面するでしょう。
家庭の電気代なんか2倍にすれば良いのでは?
さすがに削減するでしょ?
Posted by 通りすがり at 2012年04月24日 23:10
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