2012年03月07日

◆ 菅直人の決断(原発)

 福島原発が暴走状態に陥ったとき、菅直人が東電に乗り込んで、東電の方針を覆した。
 これについて、新たな情報が出たので、紹介する。 ──
 
 東電が撤退の方針を決めたあとで、菅直人が東電本店に乗り込んで、その方針を覆した……という話は、すでに昨年中に示した。日経の記事の転載で。
  → 怒鳴った菅首相

 その後、「いや、菅直人が乗り込む前から、東電は別に撤退を決断していなかった」という弁解が、東電から流れた。
 ま、東電という犯罪者が自己弁護をするのは当然だろう。「私は悪いことなんかするつもりはありませんでした」というわけだ。とはいえ、それは、犯罪者の弁明だから、とても信用が置けない。
 それでも、「嘘つきは首相だ。正直なのは東電だ」というふうに、東電の肩を持つ人がたくさんいた。たとえば、池田信夫がそうだ。



 池田信夫に限らず、読売や産経や自民党は、何度も菅直人を攻撃した。そのせいで国民はだまされて、「菅直人は無能だ」と信じたあげく、菅直人をクビにしてしまった。(そして有能だと信じた野田を迎え入れた。 (^^); )

 ──

 しかし、その後、検証が進んだ。菅直人が乗り込んだときには、まさしく東電は撤退の方針を取っていたらしい。そのことは、朝日新聞の連載記事「プロメテウスの罠」にも詳しく掲載された。丹念に取材して検証したようだ。
  → 記事の一部抜粋
 この記事は、単行本にもなった。


プロメテウスの罠

 こうして、嘘つき東電の自己弁護とは異なり、東電が撤退の方針を決めていたことは暴露された。
 
 ──
 
 さて。そのことについて、さらに後追いまたは確認ふうの記事が出た。東電が撤退を決めたことを、さらに別の視点から調査して報告している。朝日新聞は、政府関係者から証言を得たのだが、今回は現場の東電職員から証言を得たようだ。
 事故発生から5日目、東電が現場にいた職員・技師たちを総員撤退させることを決定し、それを首相が押しとどめる場面。この間の経緯について、東電側は「全員を避難させるとは言っていない」としているが、現場にいたある人物は、当時の吉田昌郎所長が現場職員全員を集め、「みんな家に帰ってくれ」と語ったことを証言している。吉田本人だけは残って死ぬ覚悟だったのではないかとその証言者は類推するが、そのうえで、「家に帰れ」と言われて「ホッとした」という率直な心情をも明かしている。
 菅直人が総員撤退したいという連絡を受けたのはその日の午前3時。数時間後にはテレビ電話で、現場にいる技師・職員たちにとどまるよう「かなり強く」命じたと菅は証言する。
( → WIRED
 興味深い話なので、紹介しておく。
 他にもいろいろと話があるので、興味があれば、上記のリンク先を読んでほしい。



 [ 余談 ]
 もし菅直人がいなかったら、どうなっていたか? 福島原発は暴走して、とんでもない状態になっていたかもしれない。想像するだけでも、ぞっとする。
 それにしても、日本国民の命を救うという点では最大の功績を挙げた首相をクビにするなんて、日本人はいったいどうなっているんだか。特に、鳩山ルーピーと来たら。
 鳩山ルーピーは、すごくイカレた頭だとわかるが、日本人全体もほとんど同レベルですね。
 


 【 追記 】 (2012/03/16)
 東電が撤退を決めていた、ということの証言。朝日の記事を転載したものから孫引き。
 午前3時前、総理応接室にいた東電幹部が「放棄」「撤退」を伊藤に明言したからだ。
元警視総監の伊藤はそのやりとりを鮮明に記憶している。
伊藤「第一原発から退避するというが、そんなことをしたら1号機から4号機はどうなるのか」
東電「放棄せざるを得ません」
伊藤「5号機と6号機は?」
東電「同じです。いずれコントロールできなくなりますから」
伊藤「第二原発はどうか」
東電「そちらもいずれ撤退ということになります」
( → 出典ブログ
posted by 管理人 at 23:46 | Comment(6) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
菅直人の訓示の全文がある。

 → http://blogs.yahoo.co.jp/atsunori517/52442654.html
 → http://twitpic.com/6i49re

 p.s.
 本サイト内を検索してみたら、次の項目の最後にすでに追記の形で転載してあった。
  → http://openblog.meblog.biz/article/4542364.html#ps4

 この紹介を書いたのは、下記の日付。
  → http://openblog.meblog.biz/article/5935283.html
Posted by 管理人 at 2012年03月09日 19:06
朝日の webronza の記事。本項と同様の趣旨。

  http://astand.asahi.com/magazine/wrscience/2012030800005.html
Posted by 管理人 at 2012年03月10日 06:55
最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2012年03月16日 12:01
新たに話題になった記事。
  → http://www.47news.jp/47topics/e/226717.php

 その感想。はてなブックマーク。
  → http://b.hatena.ne.jp/entry/www.47news.jp/47topics/e/226717.php
Posted by 管理人 at 2012年03月16日 12:59
この件では菅さん、もっと評価されるべきですね。非常に同感です。

現在ネット上にあふれる暴力的なエセ「正義」――特に菅さんへの個人攻撃は目に余るものがあります。また、原子力ムラの圧力のせいか、はたまた村八分的な性格のせいかはわかりませんが、今の日本の報道は具体的な誰かを悪役として据えないと物が言えない、ずれた正義感が育っている気がします。

そういえば最近話題のZDFの番組も、ネットが菅氏にまつわるデマを拡散したと言い切ってました。あの番組のように企業の闇を見破るのが今の日本メディアの本当の仕事だのに、TVは相変わらず誰かのネガキャンばかりです。

未だに3.11にまつわる情報が入り乱れている中、貴兄のブログから知ること・学ぶことが多いです。これからもお願いします。
Posted by ジュブナイルス at 2012年03月28日 17:51
脱原発を言ったあたりから、ひどくなった菅攻撃、今思い出しても呆れるばかりです。私の周りとはあまりに違う、連日の報道に戸惑う毎日でした。皆で菅総理を心配したり,怒ったりしても声はどこにも反映されないと思う毎日でした。どこで、誰が操作していたのか?民主党の中にも大勢いた反菅総理・次の選挙が心配だったのか?長島昭久とか吉良某とか記憶にあるが、随分と熱心に攻撃していたから、次の選挙は大丈夫?でしょう?
菅さん頑張れ。私達が応援しています。
Posted by 加藤 at 2012年05月20日 23:57
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ