【 結論は重要 】 ──
元エルピーダ技術者の見解
元エルピーダ技術者(湯之上 隆)の見解がある。→ エルピーダよ、2度目の敗戦を無駄にするな
これは内部の事情も詳しく分析して、会社の経営方針が間違っていたことを指摘する。私の見解(前項)とよく似ているが、私よりもずっと詳しい。一部抜粋して紹介しよう。
(社長やアナリストなど)彼らは、経営破綻の原因を、「DRAM価格の下落、歴史的円高、震災、タイの洪水」にあるとしている。私としては、ほぼ完全に同意したい。ただ、注釈を加えるべき点がある。
全員、間違っている。
上記に列挙した要因は、経営破綻のトリガーになったに過ぎない。経営破綻の本質的な原因は、ここにはない。
──
韓国サムスン、ハイニックス、米国マイクロンなどのDRAMメーカーと比較して、エルピーダの利益率は極めて低い(エルピーダだけでなく、日本の大手である東芝やルネサス エレクトロニクスも低収益率である)。
たまたま2010年だけ、このようになっているのではない。国別半導体の営業利益率の推移を見てみると、日本半導体が10%を超えた年はないのである。
つまり、日本半導体は、昔も今も、相も変わらず低収益体質なのだ。
この古くて新しい問題「低収益体質」こそが、本質的問題なのだ。
なぜ低収益なのか? その原因が、過剰技術で過剰品質を作る病気にあること……
──
坂本社長は、電子ジャーナルの記者に対して、「DRAM1ドル時代? あり得ない」と回答したと聞いている。坂本社長は、DRAM1ドルは一時的な異常現象と思ったのだろう。これは明らかに経営判断の誤りと言える。2011年にDRAM価格は、1ドルどころか0.5ドル前後が当たり前になってきたからだ。今や「DRAM 0.5ドル時代が到来」したのである。エルピーダはこの変化に対応できなかったし、する気もなかったように見える。
──
「DRAMを安く作る技術でサムスンに負けた」ということを、しっかりと認識していただきたい。ビジネスはもちろん、技術で敗北したということを肝に銘じてほしい。坂本社長は、記者会見の中でぽろっと「エルピーダの技術は高い」と述べていたが、そう思っている内は、改革はできない。
──
安く作る技術は「低級」ではない。簡単でもない。極めて高度な技術である。
例えば、1台50億円もする露光装置について、サムスンやTSMCがなぜASML製をずらりと並べているかをご存じですか? ニコン製やキヤノン製に比べて圧倒的にスループットと稼働率が優れているからだ
──
私はエルピーダから追い出され(自ら辞めたことになっているが、閑職に回され辞めるように仕向けられた。この顛末はメルマガに書く予定だ)、その後、日立に早期退職を勧告された。今エルピーダに在籍している社員と違って、私は「負けた」ことを、退職を通じてずっしり重く受け止めなければならなかった。だから、同志社大学の経営学の教員になってまで、その原因を追究し続けてきたのである。
現在、エルピーダの全社員は、2度目の敗戦の事実を「会社更生法申請」として重く受け止めていると思う。この痛みを無駄にしないでいただきたい。
負けた原因を「DRAM価格下落、円高、震災、タイ洪水」などに転嫁しないでほしい。何度も言うが、これらは単なるトリガーだったに過ぎない。負けた原因を自身にあることを認め、これを変革していただきたい。
文中には、コスト高の理由を「過剰技術で過剰品質」と述べている。これに対して、「エルピーダだってコストダウン意識が高い」という社員の反論もある。( → 出典 )
しかし実は、「過剰技術で過剰品質」というのは、一般論というよりは、特にステッパーのことを述べている。具体的には、ニコンやキヤノンのステッパーだ。これが「過剰技術で過剰品質で、高コスト」の原因になっている。そのことは、以前の記事で指摘されていた。
→ 日本の半導体製造装置はなぜスループット、稼働率が劣るのか
→ その転載
つまり、「過剰技術で過剰品質」というのは、オブラートをかぶせた書き方であり、婉曲な表現だ。ズバリ言えば、
「ニコンとキヤノンのステッパーを使ったから」
「国産品を使ったから」
ということだ。それが本質だ。
ただ、あからさまに言うと、ニコンやキヤノンへの悪口となって、身も蓋もない。それは下品だ。そこで、オブラートをかぶせて、「過剰技術で過剰品質」と言っているわけだ。
( ※ 比喩的に言うと、結婚を拒むときに、「あなたは美人すぎて私には釣り合わないので」と言って断るようなもの。「あんたみたいにお高くとまっている人は好きになれないよ」というふうに言うと、身も蓋もないので、婉曲に表現するわけだ。今回も同様。「ニコンやキヤノンみたいにコスト無視の製品なんか使うから倒産するんだよ」というのが本心だが、それでは身も蓋もないので、婉曲に表現するわけだ。)
結局、エルピーダの倒産の原因は、婉曲に言えば「過剰技術で過剰品質」を求めたことだが、本質を言えば「コスト無視の国産品のステッパー」を使ったことだ。
要するに、世界市場から最優秀の基幹装置を調達せず、仲間内で性能の低い国産品ばかり使った。そのせいで、高コストになって、倒産に至った、というわけ。
※ 高コストという点については、上記ページの利益率の図からわかる。
日本には「仲間で仲良し」という風潮がある。その風潮のもとで、「高品質」という宣伝に踊らされて、ニコンとキヤノンの製品を使った。おかげでニコンとキヤノンはありがたかったが、一方、エルピーダは、落ちこぼれ会社の製品を使ったことで、自分自身が落ちこぼれになってしまった、というわけだ。
エルピーダは、ニコンとキヤノンのステッパーを捨ててしまえば、生きながらえたかもしれないが、捨てることができなかったから、自分自身が市場から捨てられてしまった。「仲間で仲良し」というもたれあいのあげく、共倒れとなったわけだ。
( ※ 似た例はある。サッカーチームで、下手な仲間を切り捨てることができずに使ったせいで、チーム全体が敗北してしまった、というふうな。生意気な転校生を使っておけば、チームは勝てたのに、下手な仲間を使ったせいで、チーム自身が切り捨てられてしまった。……あなたの近辺でも、見た覚えがありませんか?)
池田信夫の見解
同じサイトで、池田信夫の見解もある。→ 「エルピーダの『失われた13年』」
何ちゅう言いますか。素人のたわごとというのは、見当違いで、読むに耐えないというべきか。スパコンのときもそうだったが、例によってトンチンカンだ。
「コモディタイズ(陳腐化)して価格競争の激化した」
「装置さえあれば誰でも作れるので、メモリの価格が低下した。そして高コストの日本は不利になったから、市場で負けた。人件費の安い海外が勝つのは当然だ」
というのが池田信夫の理屈だが、こんな陳腐な見解を言うくらいなら、まずは、前項の話や、本項前半の話を読むべきだろう。(正確にはそのリンク先記事。)
池田信夫の説が成立しないことを示そう。背理法で。
仮に池田信夫の説が正しければ、次のようになるはずだ。
・ 他の産業(家電など)も、同じ理由が適用されて、全部倒産する。
・ 海外が有利ならば、海外企業はみな日本以上であるはずだ。
現実には、そうではない。次のようになっている。
・ 他の産業の多くは、十分に黒字生産している。(特に素材関係。)
・ 海外で優位に立つのは、メモリではサムスンぐらいしかない。
要するに、「日本では不利だから海外に出ればうまく行く」というような池田信夫の説は、あまりにも物事を単純化しすぎているのである。
──
個別に論じれば、次の通り。
日本との競争に敗れたアメリカの半導体メーカーはDRAMから撤退し、インテルのようにCPUなど付加価値の高い半導体に集中した。こうしたメーカーは研究開発に特化し、製造をアジアの製造専業メーカーに委託して国際分業が進んだ。誤り。
「アメリカの半導体メーカーはDRAMから撤退した」というのは正しいが、「インテルのようにCPUなど付加価値の高い半導体に集中した」というのは正しくない。それが成立するのはインテルぐらいだろう。アメリカのメモリ会社のほとんど(マイクロンを除く)は、撤退しただけであり、他の何かを生産しているわけではない。マイクロンだって、かろうじて生きながらえているが、シェアを急速に失っており、また、会長の飛行機事故死もあるから、あと2年ぐらいで倒産してもおかしくない。また、インテルはよくとも、AMD はすっかり不調であり、リストラの最中だ。
「こうしたメーカーは研究開発に特化し、製造をアジアの製造専業メーカーに委託して国際分業が進んだ」というのもおかしい。アップルはそうだが、だからといって多くの会社がそうであるわけではない。そもそも、そんなことだったら、自社では部品を生産していないわけだから、いくら利益を出しても、従業員数は増えないし、会社規模もあまり大きくならない。
「国際分業が進んだ」というのは、事実としては確かにその通りだが、「国際分業が進んだから生き残れた」というような認識は、間違いだ。アップルにしても、「国際分業が進んだから成功した」というわけではない。アップルが成功した真の理由は、革新的なアイデアを持ち込んだからだ。「国際分業」は、iPhone や iPad のコストを下げる効果はあったが、それだけだ。「国際分業をしたから、iPhone や iPad を生み出せて、アップルは大成功した」と言わんばかりの見解は、とんでもない見当違いだ。
世界との競争にますます立ち後れ、破綻寸前になってスカウトされたのが坂本社長だった。彼は外資系メーカーの経営者を歴任したあとエルピーダの社長になり、大胆な改革を行って業績を回復させたが、それでも再建はできなかった。これは問題が経営手法のレベルにはとどまらないことを示している。「外資系メーカーの経営者を歴任した」からという理由で成功が約束されていると思うのは早計だ。また、「大胆な改革を行って業績を回復させた」というのは事実誤認だ。(本項前半の記事のリンク先で示されている。)つまり、この社長は黒字化に失敗しているし、経営も(前述のように)最悪だ。
主力の2ギガビットDRAMの価格は、2008年には20ドル以上だったが、今は1ドル以下。世界中のメーカーが赤字生産の消耗戦である。本項前半のリンク先を読むべし。価格低下はあるが、コストも大幅に低下している。世界のたいていのメーカーは黒字だ。サムスンは大幅黒字だ。ボロ儲けしていた時期もある。「赤字生産の消耗戦」というのは、国産ステッパーを使っていたエルピーダぐらいだ。弱小の台湾メーカーでさえ、大きな黒字率を誇っている。(上記のリンク記事のグラフを見よ。)
半導体のようにコモディタイズした製品を、日本のように雇用規制が強く高コストの国で生産する意味はないのだ。前項のリンク先には、次の話がある。
「メモリは『装置があれば作れる汎用品』なわけではない。回路ひとつをとってみても、『アナログ』技術の塊で、記憶素子のわずかな物理量(数10フェムトとか言ってた)の変化を増幅する高精度なアンプだとか、秒速数ギガビットの信号を処理するためにピコ秒単位で信号のタイミングを自動調整する回路とか、そういうものを作る必要があって、最近の高速な製品の設計には職人的な設計技術が求められる」
これが現場の現実だ。それも知らずに、「半導体のようにコモディタイズした製品」なんて言う池田信夫は、半導体産業の現場を理解していないわけだ。
DRAMは、超ハイリスクのビジネスである。製品差別化ができないため価格競争が激しく、需要がコンピュータの売れ行きに左右されるため、「シリコンサイクル」と呼ばれる循環が大きい。何を寝惚けたことを言っているんだか。「シリコンサイクル」という言葉の概念も知らないようだ。ググればすぐに初心者向け解説が見つかるから、知ったかぶりの記事を書く前に、そっちを読むべし。
→ シリコンサイクル
エルピーダの「失われた13年」から政府や経営者が学ぶべきなのは、国内の「ものづくり」に執着せず、比較優位のない事業を捨てる決断力である。比較優位? 何をボケているんだか。日本には半導体生産が不利であるような国家的な事情(土地制約など)はない。あるのはただの「経営ミス」だけだ。ただの「経営ミス」に対して、「国家的な事情」を理由に持ち出すなんて、てんで見当違いだ。
エルピーダがなすべきことは、「日本という土地を捨てて、外国に出ること」ではない。たとえ外国に出ても、今の生産体制を取る限り、必ず大赤字となる。一方、今の生産体制を改めて、低コストの生産体制にすれば、日本国内にいても十分に競争力を持つだろう。(自動車産業だってそうだ。他の素材関係の産業もそうだ。)
──
結論。
「おのれの無能を周辺環境のせいにするべからず」
この言葉を、エルピーダに贈りたい。池田信夫の言うように、「日本のせいさ」なんて責任転嫁していれば、自分の無能を理解できないまま、いつまでも無能な状態を保ち続けるだろう。おのれの無能さを理解できない社長の下で、エルピーダという会社はおのれの無能を改善できないままとなるだろう。……そして、そうであれば、そんな会社は存在価値がないのだから、倒産するのが妥当だろう。
ただ、私としては、
「競争に負けた会社を倒産させれば、状況は改善する」
という見解は取らない。また、
「競争に負けた会社が、日本から海外に出れば、優良会社になる」
という見解も取らない。かわりに、
「競争に負けた会社は、抜本的に体質改善をすれば、生き残ることができそうだ」
という見解を取る。
これは人間についても同様だ。遊んでばかりで成績の悪い馬鹿な人間がいるとする。これを改善するには、どうすればいいか? 池田信夫ならば、こう言うだろう。
「馬鹿な奴は死ねばいい。そうすれば生き残るのは優秀な奴だけだ」
「馬鹿な奴は、日本を出て、海外に出れば、優秀になる」
しかしこんな方針を取っても、「馬鹿は死んでも治らない」という結果になるだけだ。それよりは、こうするべきだ。
「馬鹿な奴は、自分で必死に努力して、かつ、優秀な教師の教えを受ければ、利口になる」
エルピーダも同様だ。駄目会社が立ち直るには、どうすればいいか? 倒産させればいいのでもない。海外に出ればいいのでもない。おのれが駄目会社であることを自覚して、駄目な点をきちんと認識し、その駄目な点を改善することが必要だ。
そして、それをしないで、「おれのせいじゃないよ、日本という環境のせいだよ」なんて言っている限りは、立ち直る可能性は皆無である。そんな会社は、つぶれるのが世の中のためだ。
( ※ この意味で、「エルピーダを救うべきではない」という池田信夫の見解は、そこについてのみは正しい。……エルピーダがつぶれたからといって、何かが改善するわけではないが、少なくとも、これ以上の悪化の拡大は防げる。)
[ 付記1 ]
前半記事の著者は、
私はエルピーダから追い出され(自ら辞めたことになっているが、閑職に回され辞めるように仕向けられた。とのことだ。エルピーダのこういう体質こそが、エルピーダ自身を滅ぼすことになる。オリンパスの元社長(英国人)を追放したのと似た体質だ。「正しいことを言う奴を追放すれば、臭いものに蓋ができる」という発想。
[ 付記2 ]
先に私は、次のように述べた。
ステッパーの敗北が、半導体産業の敗北となって結果する、という構図だろう。たぶん。この推定は当たっていたようだ。そのことは、本項前半の話(リンク先)からわかる。
( → エルピーダとシグマ )
【 追記 】
「エルピーダの露光装置は、ニコンとキヤノンじゃなくて、ASML のだぞ。昔はともかく今ではそうだ」
という趣旨のコメントがあった。( → コメント欄 2012年03月07日 12:33 )
この件については、害というのコメントを参照。また、それに続く私の見解もあるので、そちらも参照。
※ エルピーダの露光装置が、実際にどうであるかは、はっきりとしたことは言えない。私としては「古いのも新しいのもあるのでは」という気がする。
※ ただ、本項の話は、全体として、推定である。今になって直接全部を調べたわけではないので、事実の調査ではない。話はあくまで推定だ、ということで、理解していただきたい。現実がどうなっているかは、エルピーダの再建処理をしないと、はっきりとはわからないだろう。( → エルピーダ再建の方法 )
【 関連項目 】
→ エルピーダとシグマ
→ エルピーダ倒産の教訓 (前項)
【 関連サイト 】
→ エルピーダという会社について(中編)〜経済戦争〜
※ エルピーダと関係のある仕事をしている東大卒官僚の解説。

街中の寿司屋と回転ずし(小○寿し)
理髪店と1000円床屋(Q○ハウス)
にも席主様のご指摘がそっくり当てはまるように思います。
昔はキヤノンやニコンの装置でしたが、液浸露光世代からはASMLしか採用していません。
とすると、古い世代のステッパーをまだ捨てずに使っているせいかな? よくわからないけど。一挙に設備を全取っ替えするわけにも行かないから。過去の蓄積が影響するわけ。
それでは自殺行為では?ありえないと思われます。
高コストになってしまいます。持ってるだけで損。
あと、最近のDRAM市場価格に関して、
サムスン(ダンピング犯)以外全社赤字出してるような状況です。
1年で価格が3分の1とか4分の1とか異常な下落。
(韓国は会計基準がよくわからない)
ちなみにエルピーダは負債は減少傾向だったみたい。短期資金がショートしたって感じ?
なんか乱暴な口調になってしまって、申し訳ないです。
半導体産業は、ランニングコストは余りかからず、初期投資のコストがかかる装置産業みたいなものですから、古い装置で安い製品を作るというのも、それなりに事業として成立します。
サムスンも、古いASMLで激安品を作っているのかも。で、古いASMLと古いニコン製とが競争しているのかも。……そういう可能性は十分にあります。
最新モデルだけは互角だったかも知れないが、全体としてはコスト差が出てしまう、ということは考えられる。
あと、サムスン製品は、made in KOREA じゃなくて、人件費の安い途上国製だ、という説もある。
→ http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0305&f=national_0305_099.shtml
──
DRAMの市場価格、需給に応じて極端に変動するので、特に最近だけ見ても余り意味はないでしょう。エルピーダの倒産が確定すると、市況がきつくなって、暴騰する可能性もある。
>償却の済んだ装置を使うことは、必ずしも高コストではありません。
専らステッパーのみでなく他のにも言及されているならならそうかも。
最小加工寸法については生産コストの大部分を決める(例:ウェハ1枚からチップ何個造れるか)し、
回路設計、レイアウト設計でも当然大きく影響しますし、
スケーリング則から見ると消費電力や動作速度等の製品スペックに効いてきますね。
>DRAMの市場価格、需給に応じて極端に変動するので、特に最近だけ見ても余り意味はないでしょう。
仰る通り最近だけ見ても余り意味はないです。
が、リーマンショック以降のspot価格やらcontract価格見てると好転する要素が
(勝手な私見として)あまりないような気がしてきて。
bloombergあたりでグラフ見れます。
ちょこっと上がるor大きく下がるって感じが。。。
>エルピーダの倒産が確定すると、市況がきつくなって、暴騰する可能性もある。
暴騰とまでいくかはわかりませんが、
キマンダが破綻したときのような「残存者利益」みたいに幾分上昇するでしょうね。
実際、エルピーダの今回の一件を織り込んだDRAM価格予測もでていますね。
Elpida Bankruptcy Set to Boost DRAM Prices and Revenue
http://www.isuppli.com/Memory-and-Storage/News/Pages/Elpida-Bankruptcy-Set-to-Boost-DRAM-Prices-and-Revenue.aspx
参考になるかわかりませんけどこんな記事がありました。
「過剰品質」はあったのか
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120307/207651/
「キチ」氏のコメントに湯之上氏の記事について突っ込みされていました。
勿論真偽の程は判断できかねますが。
(「キチ」氏)
>湯之上氏退職後のエルピーダは、それまでのエルピーダとはまったく違い、広島工場は常にPowerchip、Rexchipとのグループ内コスト競争をして、最先端開発と並行した低コスト化は大変厳しかったと聞いています。
データを見る限りでは、
(湯之上氏)
>国別半導体の営業利益率の推移を見てみると、日本半導体が10%を超えた年はないのである。
とは反対にエルピーダはリーマンショック前に営業利益率10%を達成したことがあります。
(1四半期だけ、ではなくきちんと通期で。)
http://www.elpida.com/ja/ir/achievement/library.html
その直後リーマンショックがきたようですが。
コストとか技術とかとはあまり関係ないですけど、今回の一件の報道姿勢について興味深い指摘もありましたので以下
“坂本さん”とメディア
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120306/207594/
すみません、書いててダラダラと纏まりが無い。
※ 正常な円レートについては nando ブログなどで述べています。
また、ウォン安を主張するのも見当はずれで、台湾や米国マイクロンも黒字経営です。
さらに、工場の海外移転を言うなら、エルピーダ自身がそうすれば良かった。
結局、リーマンショックの影響はあるが、それに耐えきれないほど劣悪な体制だったということがすべて。他の企業はリーマンショックで悪化しても、それを乗り越える基礎体力があった。エルピーダにはなかった。もともと虚弱だった。それが理由なのに、リーマンのせいにしたり、政府のせいにしたりする。そこが駄目。エルピーダだってずいぶん支援を受けていたんですけどね。それを忘れている人が多い。
読者の皆様は、さまざまな意見を読んで、参考にしてください……ということかな。
気分を害されてしまわれたならすみません。
ただ単に、記事を見た結果を申し上げただけなのですが。
>台湾や米国マイクロンも黒字経営です。
(マクロ)
アメリカは金融緩和を積極的にやり、デフレの芽を徹底的に潰して来ました。
(台湾はどうなってんでしょうかそのへん)
(ミクロ)
2年位前ですけど
台湾メーカーって死に体で政府主導で再編しようって話になってませんでしたっけ?
>正常な円レートについては nando ブログなどで述べています。
これですか?
http://nando.seesaa.net/article/235840734.html
>大幅に円安状態だった
http://nando.seesaa.net/article/232653097.html
>適正な円レートは、いろいろ考えると、1ドル=85〜90円程度だと思える。
(この数字の根拠が書いてません。)
それとも他のエントリでしょうか?
>円高はここ数カ月だけのことで、それまでずっと大幅な円安が続いていました。こんなにすごい円安が続いていたのだから、
(リーマンショック後の数年の話だとして)
世界にはいろんな通貨・国があります。USDJPYだけで単純に済む話ではありません。
韓国勢との競争を見るなら、USDKRWも。
USDJPY
http://stooq.jp/q/?s=usdjpy&c=10y&t=l&a=ln&b=1
USDKRW
http://stooq.jp/q/?s=usdkrw&c=10y&t=l&a=ln&b=1
データを見る限り変動に差がありすぎです。
USDとKRWでは変動はあまりありませんが、円だけ独歩高。
>エルピーダにはなかった。もともと虚弱だった。
エルピーダを贔屓する気は無いんですが、
先のコメントに書いたとおり、
リーマンショック前
・積極的に設備投資(数千億規模)をし、スケールメリットを出し生産コストを下げてきた。台湾に工場を建てたときは1兆6000億だったとニュースで記憶。
・短期要因のショックが発生する前は収益は徐々に改善し、エルピーダはリーマンショック前に営業利益率10%を達成したことがあります。シェアも20%弱(isuppliあたりで見れます)まで伸ばしています。
(そのときにきて、投資の成果がでてきて/ペイできるようになった。その後はマクロ的には上記)
・2007年サムスンとエルピーダのみ黒字他赤字
・2008年-2009年特に2008年は営業利益が赤字だった(全社赤字)
・2010年は営業利益(と経常利益)は黒字だった模様。
2009年はDRAM価格暴落で各社ともに苦しんだ
(キマンダ死亡/サムスンのみかろうじて黒字/他赤字)
最近
・エルピーダは負債は減少傾向でした。
・2011年後半以降は2009年よりは少しだけマシな価格暴落(DRAM全社に共通)+為替急激円高(エルピーダのみに直撃)
また、単純にUSDJPYだけ見るとして、
1ドル=85〜90円が適正と仮定の上で見てみると、
2010年半ばまではそのとおり「円安」にあたる為替レートでした。
逆にその後は短期要因の円高が進み、管理人様ご自身が円高だと言っているに等しくなします。
http://www.elpida.com/ja/ir/pdf/2011-05-12-Q4FY2010PMJ.pdf
のP22に
2003年から2010年までの各社営業利益率の推移が出ています。
不況期には実はサムスンに次いで赤字(利益率ベースで)が少なかった。
300億円融資でしたっけ?今回この返済期限が発端で破綻へ逝ったと理解しています(今年に入ってからの流れとして)。
マクロの問題がある中でミクロの問題で対応しようとする政策は砂漠に水を撒くがごとく。明らかに失策ですね。
他の製造業企業にも言えますが。
>工場の海外移転を言うなら、エルピーダ自身がそうすれば良かった。
既に示した記事にあるように、積極的に海外に生産を移していたようですが?
まぁ、それで収益力を改善はしても結局為替が打ち消しましたね。
>まあ、いろいろな意見があるようですね。
エルピーダのステッパー等、内情を詳しく知れない部分があり、設備投資やらはどうしても推測になるので
ここから競争力云々を議論するのはどうしても十人十色ですね。
もっとも、マクロ経済的なもの・DRAM価格・収益・各社シェアに対しては、データを見た結果を
そのまま述べただけです。
なお、スケーリング則がどうのこうのは
タウア・ニン 最新VLSIの基礎
を参考にしています。
余談ですけど、
上記のnandoブログ、「グローバル化」の話はかなり的を得ていますね。
(空洞化とややこしい書き方でしたけど)
http://nando.seesaa.net/article/231780411.html
http://nando.seesaa.net/article/233856979.html
グローバル化が空洞化をさせてない、という話。
でもどっかで見たなと思ったら、菅原氏のブログを参照してたのか、世間は狭いなぁ。
デフレは問題ない、という意味ではないはずだが。文字通りの「空洞化」になるから。
ただ、感想として以下の点が疑問です。
・デフレが解決を専ら消費者が積極的に消費行動を求めること一辺倒に求めている
(デフレ期待がある中でそんな不合理な行動をとれ、という矛盾。)
・「海外進出の増加は、輸出減をもたらすが、同時に、円安をもたらす。」
(必ずしも輸出減を齎さないし所得収支が増えます、また、菅原氏もいつだったか指摘している通り、貿易収支は只の一要素です。)
ネットで検索したところ、つい最近になってのことのようです。遅すぎたみたい。
エルピーダの一人あたり売上げ高は、日産自動車の半分なので、人件費が高すぎる。もっと早く海外進出するべきだった。全部を移転する必要はないが、工場の半分以上は海外に出すべきだった。この点は明白な経営ミス。
> 菅原氏のブログ
ついでに同内容の話を検索して、他の人がリンクしていたので、私もリンクを付けただけです。ちらりと見ただけで、まともに読んだことはありません。
> デフレは問題ない
> デフレが解決を専ら消費者が積極的に消費行動を求めること一辺倒に求めている
誤読。そんなことは言っていません。その逆です。
> 必ずしも輸出減を齎さない
それだったら何も問題はないので、最初から問題外。私が言っているのは、「輸出減があるか否か」ではなくて、「輸出減があっても大丈夫」ということ。
失礼致しました。お詫び申し上げます。
ところで、「Open ブログ」と「nando ブログ」の「管理人」様は中の人が一緒?なのでしょうか。
>エルピーダの一人あたり売上げ高は、日産自動車の半分なので、人件費が高すぎる。
一人あたり売上高(連結ベース/通期)
*小数第一位四捨五入
エルピーダメモリ
http://www.elpida.com/ja/company/outline.html
http://www.elpida.com/ja/ir/pdf/2011-05-12-Q4FY2010PMJ.pdf
21ページ
ただし、21ページの営業利益率の数字は実は経常利益率っぽい。(?)
http://www.elpida.com/ja/ir/achievement/highlight.html
売上高については単独or連結の記載無しだが、連結として扱った。
従業員数 5,957人
売上高 514,300,000,000円 (5143億円)
一人あたり売上げ高 86,335,404円
日産自動車
http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/
http://www.nissan-global.com/JP/IR/SUMMARY/
従業員数 155,099人
売上高 8,773,100,000,000円 (8兆7731億円)
一人あたり売上高 56,564,516円
計算途中で桁入力を間違えていなければ、
「一人あたり売上高」についてはエルピーダの方がかなり高いです。日産の1.53倍。
つまり、(一人あたり売上高で判断するなら、)人件費は低いです。
>ネットで検索したところ、つい最近になってのことのようです。遅すぎたみたい。
生産移管はつい最近始まったことではありませんよ。
http://www.elpida.com/ja/company/history.html
エルピーダのDRAM製品の開発事業を開始が2000年。
台湾のPowerchipへの生産委託開始が2003年。
Rexchip(台湾にある子会社)設立が2006年。
数年前から移転を進めていたようです。何年も前から日台連合なんて言われてましたし。
具体的には「既に」これくらい移転済み。
http://blog.goo.ne.jp/buhin_1978/e/9714570586fd0b95b719d1e054e1aa1c
日本経済新聞 2011年9月15日(木)1面
前工程の生産能力(300mmウェハ換算)
広島工場 約12万枚 (国内拠点)
Rexchip 約8万5千枚
(この記事にはないけど他にPowerchip,ProMOS,Winbond,Nanyaへの生産委託分もあり)
なお、秋田工場は後工程らしいです。
最近のニュースは更に広島の4割?を台湾へってやつみたいですね。広島で製造してた残りを更に移転しようって話(?)。
(DRAM価格の変動が起こるときは突然かつ急速なのも注意)
よって、「移転が遅い」のではなく、
DRAM不況時にその設備をDRAM以外の製品の生産にもっと使う、とかがもっとできてれば良かったんじゃないかな、とは思いますが。
SpansionのNOR Flashのファウンドリ事業してたみたいですし、そういうのをもっと、とか。
(DRAM以外も需要サイドが落っこちてる以上限界はあるけれども。)
つまり、現在の設備でDRAM以外への「保険」がもっと必要だったんじゃないか、と。
また、PC用DRAMに限られますが、チップ単体まででなく、モジュール(マザーボードに挿せる形状)まで一貫で作れたら良かった、とか。
これは設備投資に対してリターンがないか。
まぁ、私の素人考えに過ぎませんのですけど。
・[コスト削減]テスト部門の分社化(テラプローブ)
・[付加価値]脱PC用DRAM(プレミアDRAMへシフト)
・[付加価値]XDR DRAM
・[コスト削減]ファブライト化(台湾への生産移管・委託)
・[DRAM専業リスクヘッジ]NOR Flashのファウンドリ事業(上記)
・[付加価値]GDDRへの参入
・[付加価値]wide I/O, LPDDR3 DRAMへの注力
・[近い将来の飯の種]ReRAM,TSV,他
この産学連携のReRAMプロジェクトに関わる経済産業省官僚さんのブログ
http://ameblo.jp/ipponseoinosuke/entry-11187081732.html
http://www.elpida.com/ja/ir/achievement/highlight.html
2006年と2009年2010年の売上高は5000億円と同じくらい。
2006年は好調な決算だったが2009年2010年は
営業利益/経常利益は2006年より少なく純利益はぎりぎり黒字
つまり
・わざとコストを増やしたor何らかの理由で増えざるを得なかった
・コスト削減を上回る単価の下落が響いている
のどちらかです。
http://anond.hatelabo.jp/20120229223543
からも前者は考えにくいですが。
なお、その後の数ヶ月は更に為替も絡みます。(既述)
あと、読んでいてずっと気になっていたんですが、
引用なされていた記事でも
>「低収益体質」こそが、本質的問題なのだ。
と書かれていましたが、
この考え方は原因と結果を逆転させてしまっています。
(これは湯之上氏の問題ですね)
そうです。
>>エルピーダの一人あたり売上げ高は、日産自動車の半分なので、人件費が高すぎる。
私は、Wikipedia の単独決算の数値に基づきました。そちらの数字も参考にします。
>具体的には「既に」これくらい移転済み。
>http://blog.goo.ne.jp/buhin_1978/e/9714570586fd0b95b719d1e054e1aa1c
> 日本経済新聞 2011年9月15日(木)1面
2011年9月15日の「方針」じゃ、実現はつい最近です。(もしかしたら未実行かも?)
いずれにせよ遅すぎ。2005年の段階で6割を海外移転しているのが必須。
> また、PC用DRAMに限られますが、チップ単体まででなく、モジュール(マザーボードに挿せる形状)まで一貫で作れたら良かった、とか。
それに似た話はどこかで聞きました。汎用チップをやるとかなんとか。でもそれは異分野ですよねえ。あまり手を広げても、かえって赤字かも。何事も業界トップでないと利益が出にくい。
> 実際に、ニュースから流れを追うと、エルピーダはいろいろやってたみたいです。
それでも駄目だったんでしょうね。聞くところでは、ソニーもパナソニックも、もっとひどい経営をしていた。
→ http://www.j-cast.com/2012/03/10124619.html?p=all
こういう日本企業の体質が根本原因だったのだと思う。
それでも家電では倒産に足らなかったが、DRAM ではブランド差がないし、消費者向けでなく企業向けだから、性能だけで簡単に決まってしまうので、あっさり勝敗が付いた、ということなのかも。
まあ、自動車でもそうだけど、日本企業は韓国企業に比べて、相当、体質が古臭くなっている。英国病みたいになっている。技術差よりも経営の差で負けた、というのが、私の見解かな。
昔からよく言うように、日本は「兵は一流、将は三流」
あと、ちょっとデータが古い。
生産とか子会社で行ってたりもするから連結で見ないと。
敢えて単独データを纏めると、
[単独] wikipedia 2009年
エルピーダメモリ
従業員数 3,089人
売上高 310,715,000,000円
一人あたり売上げ高 100,587,569円
日産自動車
従業員数 30,389人
売上高 3,053,312,000,000円
一人あたり売上高 100,474,251円
同じくらい。
最新データ 単独ベース
エルピーダメモリ
http://minkabu.jp/stock/6665/independent
従業員数 3,190人
売上高 501,950,000,000円
一人あたり売上げ高 157,351,097円
日産自動車
http://minkabu.jp/stock/7201/independent
従業員数 28,403人
売上高 3,432,989,000,000円
一人あたり売上高 120,867,127円
エルピーダのほうが多いですよ。
レックスチップ8万5千枚(+他4社委託分)は数年前に移転完了済み。
>瑞晶電子は現在、約8万5千枚の生産能力がある。
2011年9月15日の「方針」は
殆ど移転が完了して、
その後残った広島(約12万5千枚の中の4割)を更に移転しようって意味。
>広島工場のDRAM生産能力は、直径300mmのシリコンウエハー換算で月間約12万枚。最大で4割に相当する約5万枚分の製造装置を、今後1年間かけて台湾子会社の瑞晶電子に段階的に移設する。
もう既に殆どは海外生産してますよ。
>汎用チップをやるとかなんとか。でもそれは異分野ですよねえ。あまり手を広げても、かえって赤字かも。
それはSoCを指していますか?
SoCはロジックの部分は他社が作り、メモリとそれらを載せる部分はエルピーダって意味で。
他社の得意な分野まで自前で作って競合する意味は無いでしょう。まさに「かえって赤字」。
なお、「モジュール(マザーボードに挿せる形状)まで一貫で」はSoCとは違います。
>それでも駄目だったんでしょうね。
結論言っちゃうとそうなんですけどね。問題はなぜだめな結果に終わったか。
で、マクロな要因とミクロな要因(経営)でそれぞれどれくらいの要因で影響してたのか、ということですね。
経営でももうちょっとなんか求められるところはあるでしょうし。(具体的にはもう書いたけど)
マクロな要因が大きな問題がある。
・単純にマクロのせいだ経営は問題ない
・経営が全て悪いマクロのせいは甘え
という単純な問題ではなく、データに基づいて、できるだけ定量的にやりましょう、と。
ことも「データをつけて」書きました。
というわけで、
決算データを追ったり、ニュースを追ったり、
同業他社とも比較してデータを示したわけです。
決算は同業他社と比較して悪くなかったのは決算の比較で示したとおりで、
で、DRAMが過当競争なのが問題なんですが、これはDRAM価格(spot/contract)のチャートを追えば分かります。
bloombergは過去5年まで追えます。
DRAM業界自体が過当競争なので、
他の業界へ業態換えできれば話は簡単ですが、ムリ。
「異分野ですよねえ。あまり手を広げても、かえって赤字」です。
DRAMが中長期的な意味でもう時代遅れな化石と化したなら、潰したほうがいいけど、
実際はそんなことは無い。DRAMがないと、殆どの機器は動かないし、代替も現在無い。
短期要因が大きい(既述)中でそれでは「不況ならもその業界潰せ」になってしまうし。
経営の問題で全て片付くものではないのはデータが示しています。
(かといって、経営の思考放棄は許されませんが、上記の事実は事実として存在しています。そして、エルピーダに限らず経営者は試行錯誤している。)
売上げ高からすると、まともに事業ができているので、ちょっと利益率を上げるぐらいで、何とかなりそうですね。事業継続は可能でしょう。海外生産もそこそこ進んでいるようなので、再建は可能に思えます。
「海外生産すればいい」という池田信夫氏みたいな説は成立せず、現状から大差ないまま、事業継続・再建ができそうです。
ただ、経営はどこかがまずかったと思えるので、マイクロンあたりの子会社になるのが妥当かも。
DRAM は構造赤字ということはなくて、数年前にはサムスンは超高率の利益率を誇っていました。あのころにエルピーダが利益率を高められなかったのには、どこかに問題がある。
あと、技術面でも、特許の内容が全然違うんですよね。サムスンの特許は、「低コスト化」のためのコストがすごく多い。日本企業とは狙いが違う。サムスンの目的は「高収益」だけど、日本企業は(エルピーダに限らず)「自己満足」であることが多い。
これに似た例は、下記にもある。
→ http://anond.hatelabo.jp/20120313001659
やはり、経営の問題だった、と思える。
その伝で言うと、ソニーやパナソニックがつぶれるのも、時間の問題かも。エルピーダは単に「倒産企業のなかで一番早かった」というだけかも。
そもそも、日本の輸出企業で協力なのは、自動車産業ぐらいで、これでほとんどの黒字を稼ぎ出している。他の企業はみんな弱体なんですよね。(素材産業などは世界一も多いが、いかんせん、規模が小さすぎる。)
こうなると、さっさと空洞化して、海外進出するのがベスとかな。そうすれば円安になるはずだし。……と思ったが、エルピーダやソニーやパナソニックが現地生産しても、サムスンには勝てそうにない。そもそもサムスン自身がとっくに現地生産しているから、ウォン安のメリットもほとんどないし。世界各地で圧倒的にシェアを失っているから、もはやエレクトロニクス産業は日本は駄目なのかも。老害ばかりだし。
だけど、その駄目な日本の人件費が、韓国の数倍になっている。それだけ経済力は強い。 (^^);
韓国はサムスンと現代自動車とポスコだけが強くて、あとは弱体だから、国全体としては、強くない。サムスンと現代自動車とポスコのライバルとなる日本企業だけが狙い撃ちにされている感じだ。
どうなるんでしょうかね? ま、いくらひどくなっても、日本の方が韓国よりもずっと恵まれているのは事実。また、個別の企業はいくらつぶれても構わない。マクロ的には不況業さえ解決すれば、あとは個別の企業は栄枯盛衰があっても構わない。
ま、カメラもプリンタも日本企業が強いから、全産業で最強である必要はない。NECトーキンが米社に買収されたように、エルピーダもマイクロンに買収されれば、それで問題はないのかも。
それでは、なお更、経営の問題、で片付けられられませんよ。
(経営の問題が全く無いというわけではない。)
>DRAM は構造赤字ということはなくて、数年前にはサムスンは超高率の利益率を誇っていました。
その頃は仰るとおりです。
エルピーダもシェア伸ばしたりしてましたし。
(他の会社も稼げていた。)
業界全社で赤字を出す近年とは全く状況が異なります。
>あのころにエルピーダが利益率を高められなかったのには、
各社の利益率の推移のグラフは既に提示しました。
>技術面でも、特許の内容が全然違うんですよね。
個別の内容までは追ってないので、的外れなこと言うかもしれませんが、
『昔からよく言うように、日本は「兵は一流、将は三流」』とは異なり、技術の問題でもあります。
(そっちに「早めに」重点的に力を入れなかった経営方針の問題も当然あります。)
特許はクロスライセンスの交渉材料でもあるし、
エルピーダが設立された当初の経営陣のもとでウダウダやってたころも
サムスンは蓄積してたでしょうし、そこらへんがイタイ?
あと、営業方面(の人的リソース)とかはドウダッタンダロウ?
>その駄目な日本の人件費が、韓国の数倍になっている。それだけ経済力は強い。
>韓国はサムスンと現代自動車とポスコだけが強くて、あとは弱体だから、国全体としては、強くない。
いろいろと日本と間逆ですね。
ところで、まだ循環出資とかやってるんですっけ、韓国?
>カメラもプリンタも日本企業が強いから、全産業で最強である必要はない。
比較優位は中長期的な話です。
デフレ下では判断つきにくい。
まぁ、ギリシャ語つけたのが落ち目かな。
まさに、10年先読みしてたわけですよ。
>池田信夫氏
あの人、自ら自分は経済は門外漢だと言って他人に丸投げする人です。
相手にするだけ無駄でしょう。
決算データの営業利益率のところで触れましたが、
DRAM単価が落っこちている以上、これがまたとんでもなく障壁が高いんですよね。
設備を活かしてファウンドリが(ryも需要が落っこちてるので限界が。
じゃあ、思いっきり設備投資して相手を駆逐しよう、なんていっても
(破綻前でも)デフレで資金調達が難しい。
(破綻した)今となっては更に難しい。
どうなるんでしょうね。
>海外進出するのがベスとかな。そうすれば円安になるはずだし。
既に指摘したことの繰り返しになりますが、
海外進出が円安を招きません(デフレ円高を解消しません)。
データで出ていますので、追ってみるのも一興かと。
>そもそもサムスン自身がとっくに現地生産しているから、ウォン安のメリットもほとんどないし。
得た外貨を自国通貨に両替(または決算で通貨換算)するわけですけど。
>日本の人件費が、韓国の数倍になっている。
名目賃金の「相対的な」上昇の原因が「デフレによる」円高なわけで。
この辺はもうエルピーダ「だけ」がどうのこうのの範疇ではありませんけどね。
また、実質賃金とかも考えないと。
実質賃金を上昇させるには?
http://ameblo.jp/yuta0328t/entry-11073901179.html
あと、先の特許の件でソースか何かありましたらURL教えていただきたく。
長々と書いてしまったにもかかわらず付き合っていただき、ありがとうございました。
ステッパーの実情は存じませんが、安く、早く造るという点で日本の半導体企業はどこもアジア勢に負けているのは事実です。
3年位前、台湾で耳にした話で「エルピーダさんから出た中古機を中国に持っていて立ち上げるのは非常に骨が折れる」ということがありました。同じ型式の装置でも、どの装置も「エルピーダ仕様」が盛り込まれており、熟練の半導体プロセスの立ち上げ経験者でも容易に立ち上がらないとのことでした。
また、半導体デバイスでは多量の消耗品が使用されますが、もしかするとこれらも「エルピーダ仕様」に拘っていた可能性があります。実例として、ダイヤモンド工具であるφ4インチCMPドレッサーの場合、エルピーダはサムスンやTSMCの×1.5〜2.5の価格で国産品を購入しておりました。「価格差は品質・寿命に反映させる」というセールストークに巻き込まれ、いつまでも(今でも?)「エルピーダ仕様」に対応してくれる国産品を適用していたというのが実情では?
技術面では、3次元実装技術など先端技術は、サムスンやTSMCなどアジア勢に比べれば随分と進んでいたと思われますが、この先端技術を早く市場にかつ安価に提供できなかったのは、上記の様な技術偏重な風潮が災いしているかも知れません。(⇒ 技術的難易度がかなり高いことを承知の上での発言です)
一方、日本国内の人件費云々を言う意見がありますが。。。
肝心の半導体シリコン基板は大半が日本企業ということをお忘れなく。但、その日本企業でも大手2社の信越とSUMCOとでは業績に大きく差が開いたのは周知の通りです。その要因は寄せ集め所帯であるSUMCOの企業体質なども勿論ありますが、コスト、スピード、品質に対する要求が信越とSUMCOでは格段に違う為ではないでしょうか?
一例をあげれば、会議の席上、役員が直接装置メーカーの上層部に電話を入れ、「今月中に○台納入」という電話一本で¥数億もする装置があっさりと納入されるのを見聞きしていますが、こんなことは他の日本企業ではあまり考えられないでしょう。当然、そんな装置に独自仕様が入る余地はなく、過酷な品質要求を生産技術でカバーするエンジニアの働く環境はさぞかし厳しいことでしょう。
>エルピーダさんから出た中古機を中国に持っていて立ち上げる
何年か前に報道された広島の200mmラインの装置売却の件ですかね?
http://www.elpida.com/ja/news/2007/02-19.html
相当昔の設備では?
エルピーダというよりNEC時代の。
DRAMは価格の値崩れで薄利多売になってる状況だから為替が異常に効いてくると思ってたんですが。
昨年末で2GDDR3が70セントとか。。。
>肝心の半導体シリコン基板は大半が日本企業ということをお忘れなく。
そうですね。
信越化学みたいにエルピーダもDRAM市場でシェアを確保できていたら、状況は違ってたでしょうかね。
また、
エルピーダは資材調達って課題にもっと改善できる余白が残されてるということなんですかね?
とりあえず、信越とSUMCOだけの話に限りますが、
信越とSUMCOはどちらも日本企業なのでマクロ環境に対してはどちらも同じ環境にあります。
その点を勘案すれば信越とSUMCO間での競争は仰るとおりかと思われます。
>何年か前に報道された広島の200mmラインの装置売却の件ですかね?
左様です。
今となっては相当昔の設備でしょうが、当時、国内では多くの同系機種が稼働していた筈です。
>信越化学みたいにエルピーダもDRAM市場でシェアを確保できていたら、状況は違ってたでしょうかね。
>エルピーダは資材調達って課題にもっと改善できる余白が残されてるということなんですかね?
利益率の差はシェア確保だけでは説明できないと思います。資材調達の障害になったのは、残念ながら技術が足枷になった可能性は大きいと感じます。
⇒ 当事者らがこの意見を見たら、激怒するでしょうが、ここは現実を受け止め、発想転換すべきでしょう。
>信越とSUMCOはどちらも日本企業なのでマクロ環境に対してはどちらも同じ環境にあります。
>その点を勘案すれば信越とSUMCO間での競争は仰るとおりかと思われます。
世間一般のアナリストを自称する方々が、日本の税制度や雇用形態などを引き合いに出して、製造業の限界をあれこれ言いますが、彼らの何人が製造現場や商取引の実態を知っているのやら? 本題から逸れますが、その一方で信越の金川会長を手放しで持ち上げている(⇒ 最近は影を潜めましたが。。。)のには、批判精神の欠如、後出しジャンケン、俗物信仰(?)の感を強く感じます。
>安く、早く造るという点で日本の半導体企業はどこもアジア勢に負けているのは事実です。
デッドコピー戦略を甘く見るなと、竹内健氏が述べていましたね。
http://togetter.com/li/266922
>今となっては相当昔の設備でしょうが、当時、国内では多くの同系機種が稼働していた筈です。
(半導体業界で)300mmラインが使われ始めたのは確か2000年位からです。
エルピーダが200mmラインを売却したのが2007年。
300mmラインの立ち上げ・移行・製品ウェハ面内特性ばらつき/歩留まり改善とかで時間が幾分掛かるはずです。
(どれくらいかかったかは知りませんが。)
200mmラインが売却前まで現役ではコストに合わないし、
F値(最小加工寸法)からも旧世代品しか作れず、尚更安値しかつかないので、理屈に合わないような?
用途にも依りますが、200mmラインが使われている業界は今でもあります。
半導体の中でも何を作るかに依っても事情が変わってきます。
(DRAM・NAND FLASHやX86系プロセッサは300mmでないとコスト上やってられないと思いますが。)
ところで、450mmラインはいつになったらでてくるのやら?
あと、2007年当時には液浸露光装置は出回っていたはずですし、
(たかし様のコメントが正しいとして、)ASMLを採用していたそうです。
わざわざ特注品みたいな注文してようには考えられませんが。
>資材調達の障害になったのは、残念ながら技術が足枷になった可能性は大きい
技術が足枷⇒資材(材料・設備投資)調達の障害(割高?)
の因果関係がよく分かりませんでした。
できれば
>製造現場や商取引の実態
とあわせてkwsk
(「エルピーダ仕様」が具体的に意味するところも曖昧でよく分かりにくかったです。)
液浸露光の話ともあわせて考えると、
独自仕様がどうのこうのではなく、
開発も生産現場も含めて普段の発注を出すときのコスト意識が甘々(「少しくらいなら気にしなくてもいいや」)ってこと何じゃないんですかね?
でも、資材調達が無駄に高くついた、というなら
寧ろ利益を出すための「伸び代が大きい」要素がハッキリした、ということだから
私が当事者なら歓喜(大袈裟)しますね。
エルピーダは設備投資時に製造現場の声を聞きすぎだと思います。
年に数回の瞬時電圧低下での生産進捗低下があるからコジェネを導入するとか、
特殊材料ガスの人体への影響がわからないからppmオーダーのガス漏洩監視システムを各設備に何十個も付けるとか。
他にも、設備運用中のトラブルをメーカー設計起因との一声で無償で対応させて、次世代機導入時での導入コストを高くしちゃったりとか(メーカー談)。
運用面においては、メーカーからよく言われていたのが「韓国メーカーは高額消耗品をいち早くコピーして自社で安く入手している」ということですね。
日本のエンジニアは「コピー品」を導入すれば設備運用コストが抑えられることはわかっていても、生産設備へ導入していくまでの執念を感じません。韓国メーカーにはこのへんで完全に負けていた気がします。
エルピーダの支援企業が、アメリカのマイクロンと、日韓の「ハイニックスと東芝」とに絞られてきたようだ。(ハイニックス単独になる可能性も。東芝単独はすでに落後した。)
観測によると、エルピーダの売却価格は 1500億円程度になるらしい。ま、妥当な金額だろう。このような形で、事業再生ないし売却がなされるわけだ。
池田信夫は、本文中で述べたように、「つぶしてしまえ」という説だ。
> エルピーダの「失われた13年」から政府や経営者が学ぶべきなのは、国内の「ものづくり」に執着せず、比較優位のない事業を捨てる決断力である。
大前研一は、「これ以上は政府は金を注入するな」という説だ。
→ http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1333611368/
どちらも予測ははずれたことになる。
一方、私は、本項のコメント欄で、次のように述べていた。
> 「海外生産すればいい」という池田信夫氏みたいな説は成立せず、現状から大差ないまま、事業継続・再建ができそうです。
> ただ、経営はどこかがまずかったと思えるので、マイクロンあたりの子会社になるのが妥当かも。
この予測は、どんぴしゃりで当たった、と言えるだろう。現時点では。
やたらと悲観的になる池田信夫や大前研一は、業界のことを何もわかっていないのである。