2012年03月01日

◆ エルピーダ倒産の教訓

 エルピーダが倒産したことから、どんな教訓を得るか? 日本企業はもはやサムスンとは対抗できない、ということだ。そう理解すれば、白旗を揚げるかわりに、何をするべきかもわかる。 ──

 エルピーダが倒産した。ここから何か教訓を得るだろう。そこでネットを探すと、次の話が見つかる。エルピーダの社員の話。
 「体力勝負で負けたのは否定しない。だけどな、装置があれば誰でも作れるというのは大間違い」
 「最大の要因は、やつらの技術力が高かったことだと思う。というか、うちの規模の会社が研究開発で対抗できてたのがある意味奇跡」
( → 先日倒産したメモリメーカーの友人と飲んできた話
 匿名記事ではあるが、ここで示された話は妥当だろう。コスト面だけでなく技術面でも、
 「うちの規模の会社(= エルピーダ)が、研究開発で対抗できない」
 というのは、まさしく事実であるはずだ。
 というのは、サムスンの会社規模は、非常に大きいからだ。日本のライバル企業の全体と比べて、売上げ高は及ばないとしても、利益では圧倒的に上回る。数倍ぐらいの差が付く。当然、個々の日本企業は、サムスンの足元にも及ばない。

 その典型的な例が、有機ELの開発だ。日本企業は当初は圧倒的に上回っていたが、年々の研究開発費は、サムスンの方が圧倒的に上だった。研究開発費に大差があるのだから、たいていの日本企業が脱落した。そのあとで、サムスンの独走となった。
 たぶん今後は、有機ELの市場を独占するだろう。もしかしたら、そのうち、テレビや PCモニタは世界中ですべてがサムスン製となるかもしれない。
 また、メモリについては、その時期はずっと早くなりそうだ。エルピーダもマイクロンも脱落するとなると、小人のような台湾メーカーもつぶれるだろうし、あとは韓国製しか残らない。
 また、ケータイ電話についても、同じようなことが起こるだろう。(日本企業全滅。)
 というわけで、今後、同様のことが次々と起こるだろう。

 ──

 では、メモリのほかに、有機ELや携帯電話や家電などがすべてサムスン製になるとしたら、日本企業は撤退するしかないのだろうか? 
 ステッパーならば、撤退するしかないだろう。私が指摘したのは 2009年12月01日だったが、あれから2年あまりを経て、ニコンとキヤノンは無為無策であったために、今は撤退寸前である。キヤノンの方は撤退したも同然であるらしい。(未確認だが、噂ではそうだ。)
 ステッパー以外でも、現状を放置すれば、次々と撤退することになるだろう。その第1号が、エルピーダである。

 では、現状を放置しなければ? それが問題だ。

 ──

 現状の延長にある未来を避けるには、どうすればいいか?
 私としては、次のことを提案したい。
 「すべてのエレクトロニクス企業(部門)を、合併する。そのことで、サムスンの対抗馬とする」

 具体的には、パナソニック、ソニー、NEC、富士通、シャープなどの全社。また、東芝と日立のエレクトロニクス部門。
 これに当てはまらないのは、プリンタ会社( or 部門)の、キヤノンとエプソン。(どちらも自立できている。)

 デジカメ会社( or 部門)はどうかというと、これも合併した方がいいかもしれない。というのは、現状では、キヤノンもニコンもソニーもデジカメ部門はつぶれそうだからだ。というのは、シグマの3層イメージセンサーが強力であり、これがサムスンに買収されたら、敗北は避けがたいからだ。だから、そうなる前に、サムスンがシグマを買収できないように、他のカメラ会社(ニコン・キヤノン・ソニーのカメラ部門)と合併させるしかないだろう。
( ※ ただ、独禁法の問題はある。また、資本でなく特許権だけで足りるかもしれないが。)

 ──

 ともあれ、サムスンに対抗するには、サムスンに匹敵する大企業があるだけでは足りず、サムスンを上回る大企業が存在する必要がある。それを実現するには、日本のエレクトロニクスが束になってかかるしかない。つまり、大合併するしかない。
 その大合併した会社の名称を、仮に「J電」とするなら、「J電」こそがサムスンに対抗する唯一の方策だ。それを自覚しておくといいだろう。

( ※ 「J電」って鉄道会社みたいな名前だな……という半畳は入れないでください。 (^^);



 [ 付記1 ]
 ただし、私の予想を述べるなら、「J電」は実現しない。それぞれの日本企業は別々のまま、徐々に衰退していくことになる。あげく最終的には、「そして誰もいなくなった」となる。
 日立の社長は、三菱重工と合併することを望んでいたが、その方向性は正しい。ただし、合併の方向がズレている。三菱重工を吸収合併する(= 呑み込む)前に、自社のエレクトロニクス部門を分離して、吸収合併される(= 呑み込まれる)べきだ。……こういう経営判断ができないでいるから、「半導体部門を分離して、自社主導でNECと合併する」なんていう愚行をすることになる。それが今回の「エルピーダ倒産」という事実だ。
 過去の失敗に何も学ばなければ、今後も失敗を次々と続けることになるだろう。それがつまり、「日本の全企業撤退」ということだ。

 [ 付記2 ]
 「合併すればそれでいい」というものでもない。合併は企業規模という一番の条件を満たすだけだ。
 実は、もっと大切なのは、「経営力」だ。日本企業の経営力は非常に劣っている。そのことは、ソニーが超優良企業から一挙に脱落したことからもわかる。技術者は変わらなくても、経営者しだいで、超一流会社が二流会社に転じることもあるのだ。(ソニーは出井というひどい経営者がいたせい。他の日本企業も似たり寄ったりかな。)
 日本の会社を全体としてみても、まともな経営者は、日産のゴーンぐらいしかいない。日本人の経営者をクビにすることが、最も大切なことかもしれない。(オリンパスも東電もそうだしね。)
  → 兵は一流、将は三流 (Google 検索)
  


 [ 余談1 ]
 「日本のエレクトロニクス企業は合併すべし(まとまれ)」という趣旨のことは、実は 2005年にも述べたことがある。下記のように。
 現状では、日本メーカーが束になっても、サムスンには勝てないだろう。それでもともかく、束になるしか、対抗策はあるまい。(現状は違うが。)
( → 泉の波立ち 2005年6月08日
 これは、有機ELについての話題だが、ともあれ、本項とよく似た趣旨のことを述べている。
 で、そのまま6年以上が無駄に流れて、その間に、「エルピーダが設立されて倒産した」という歴史が発生したわけだ。一方、韓国では、弱小企業だったサムスンがいつのまにか日本勢の全体をしのぐようになってしまった。
 
 [ 余談2 ]
 ついでだが、上記項目には、次のページへのリンクも記してある。
  → NEC、有機ELディスプレイ事業から撤退 (サムスンに技術譲渡)
 また、似た例として、次の例もある。
  → ソニー社員をサムスンが大量引き抜き
 本サイトでも、似た話題を扱った。
  → 先端技術の国外流出
  → 日本企業の衰退

 今になってこれらの記事を読み直すと、感慨深いものがある。今になって騒ぐようでは遅れている、ということかな。
 
( ※ 結局、サムスンが勝利したのは、サムスンが圧倒的に利口だったからではない。日本企業がサムスン勝利のためにさんざん協力したからだ。自分で自分の墓穴を掘る。そこに気づかないと。)

 [ 余談3 ]
 競合相手はサムスンだけじゃない。電気自動車に必要なリチウムも、韓国企業に奪われつつある。
  → 韓国がボリビアのリチウム確保へ ,参考情報
 日本はここでも後塵を拝しつつある。日本政府は、ボリビア政府から協力を求められたのに、やったことは、留学生を二人受け入れることだけ。
  → 資源の開発などで協力
 その間に、韓国企業はボリビアでさっさと生産の実験を開始しつつある。
  → 韓国のポスコ、ボリビア塩湖の水からリチウム抽出
 このままだと、どうなっちゃうんでしょうね。
posted by 管理人 at 19:20 | Comment(2) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
池田信夫氏が「エルピーダの『失われた13年』」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34665?page=2)の中で、DRAMがコモディタイズ(陳腐化)した事で、価格競争になり、負けた原因と指摘していますが、どう思いますか?
Posted by 市場原理主義過激派 at 2012年03月01日 22:41
明日の項目で説明します。
Posted by 管理人 at 2012年03月01日 23:01
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