2012年02月29日

◆ 焼却灰をどう処分するか

 ゴミ焼却にともなって生じる焼却灰は、放射線濃度が高い。これを、どう処分するか? 首都圏で問題となっている。 ──
 
 原発事故のあとで、放射線は各地にばらまかれた。その濃度自体は低いが、さまざまなゴミを焼却したあとの焼却灰は、放射線濃度が高い。これをどう処分するかが、問題となっている。
 《 地域の焼却灰どこへ  放射性ごみと向き合う首都圏 》
 首都圏各地でごみの焼却灰から高濃度の放射性物質が検出された問題をめぐり、住民の反応が割れている。千葉県で焼却灰の一時保管場所の候補地で猛反発が起きる一方、栃木県では最終処分場への受け入れに同意した。地域の放射性ごみを、どこに持って行けばよいのか。容易に答えの出せない重い課題に、市民が向き合っている。
( → 東京新聞

 この話は、朝日新聞・朝刊 2012-02-29 にもある。(紙の新聞)
 そこで気になって調べると、上記のように、同趣旨の記事が見つかった。

 ──
  
 この問題に対しては、私は次のように答えたい。
 「地下で採掘したあとの空洞に埋める」



koudou.gif
坑道の図


 細かく言うと、次の通り。
 (1) 地盤陥没をする地域で、地下の空洞を埋める。そのために、焼却灰を使う。
 (2) 大深度には放射線の高い焼却灰を。浅深度には放射線の低い残土を。


 これならば、一石二鳥だ。なぜなら、地盤陥没のある地域は、地下の空洞を埋めたいが、そのための数百億円ものコストをまかなえずに、ずっと放置されているからだ。また、この空洞がいつか補修される見込みもない。なぜなら、私有財産の権利を増やすために税金が投入されることはありえないからだ。
 しかるに、焼却灰を埋めるならば、「地盤の補修」のためではなく、「放射性物質の廃棄」のためであるから、税金投入が可能である。かくて一石二鳥で、「地盤沈下の補修」と「放射性物質の廃棄」が同時に可能となる。
 名案ですね。  (^^)v
 


 [ 付記 ]
 参考情報として、地盤沈下の事例を紹介する。

 (1) 御嵩町 - Wikipedia
坑道には深度15メートル以下の空洞もあり、陥没の危険性も高い。実際に町の至る所で小さな陥没が報告されており、大きなものでは2010年10月に顔戸地区で道路と周辺家屋が陥没している。逆に深度が50メートルをこえる空洞は、地下水がたまっている可能性が高く、土の圧力に対して抵抗力があるため陥没の危険性は比較的低いとされている。
 近年、空洞を支える柱の劣化により町のいたるところで陥没事故が発生するようになった。大規模地震が発生した際には町全体が陥没する可能性があり、町は対策に追われているが、予算不足などもあり、抜本的な解決には至っていない。なお、町にある坑道を埋めるためには500億〜1000億掛かるとも言われている。

 (2) 地下空洞と地盤環境
 北九州や北海道における深い石炭廃坑の現場で今まで広い範囲で地表沈下が発生しているが、浅い地下空洞では浅所陥没による直接的な地表構造物の破壊や人命の損傷を生じている。負の遺産としての地下空洞による地盤陥没災害としては、石炭鉱害(盆状沈下と浅所陥没)、亜炭採掘跡空洞による陥没事故、防空壕跡地、石材採掘跡空洞(例えば、大谷石、笏谷石)における陥没事故等がある。宇都宮市大谷地区においては、大谷石の採掘空洞が原因で1946年以降30件以上の陥没事故が発生したが、大規模な陥没が1989年から3ヶ年連続して発生している。

 (3) いわき市の炭鉱の地盤陥没
 (4) 三笠市の炭幌内炭鉱跡地の陥没
 (5) 三笠 旧幌内鉱跡で陥没
 (6) 美濃炭田・尾張炭田の危険性
 (7) 地盤沈下の各種の例(PDF)
 (8) 大谷町の採石場跡の陥没
 


 【 関連項目 】

 以前は別案として、「汚染土やガレキで堤防を作れ」という案を示した。
  → 汚染土で堤防を
  → ガレキの処分
  → 防災林の整備へ

 本項との違いは、放射線の濃度だ。上記の例では、ただの汚染土やガレキだから、放射線の濃度は低く、盛り土すれば放射線は簡単に遮断される。一方、本項で述べた焼却灰は、放射線がかなり高濃度である。ちょっと盛り土したぐらいでは放射線を遮断できそうにない。そこで地中深く埋めるわけだ。
 本文中の例によれば、地下 10〜50メートルの深度になるようだから、いくらか高濃度の放射線があっても、十分に遮断できるだろう。(別にウランをそのまま埋めるわけではなく、たかが焼却灰にすぎない。)

 なお、土による遮断については、前に「ガレキの処分」で記述した。再掲しよう。
 土(砕石と海砂の混合土)で、放射線の遮断をする。厚さ2センチで、68%の遮断となる。厚さ10センチで、93%の遮断となる。
 このデータからして、厚さ1メートル以上の盛り土があれば、かなり高濃度の放射線も遮断できるとわかる。
 「地下に埋めるなんてとんでもない」
 と思っている人もいるかもしれないが、人々の思っている以上に、土による遮断効果は高いのだ。科学的に考えるべし。
posted by 管理人 at 19:00 | Comment(1) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
良いアイデアだから、石原都知事のところに出向いて説得してきたらどうでしょうか。
Posted by m at 2012年03月01日 10:59
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