「ドイツは節電意識が高い。日本もドイツの真似をして節電せよ」
という意見がしばしば主張される。原発反対やら、太陽光発電やら、風力発電やら。……しかしながらその主張に論拠がないことは、本サイトで何度も指摘してきた。
・ ドイツの太陽光発電の比率はごくわずか。(2%以下)
・ ドイツの電気料金はものすごく高い。(日本の2倍)
・ ドイツの太陽光発電パネルには雑草がかぶさっている。
→ http://openblog.meblog.biz/article/5308822.html
→ http://openblog.meblog.biz/article/7776364.html
また、ドイツの夜は照明がなく、ほとんど真っ暗で、とても暮らしにくい。
→ http://openblog.meblog.biz/article/7776364.html#night
※ ドイツ生活の面白いエピソードがたくさん紹介されている。
──
このうち、最後の点が、気にかかっていた。どうしてドイツではほとんど真っ暗なのか? そんなに暗いと、暮らしにくいのではないか? これに対する理由を、次のように推定した。
「ドイツ人は瞳が黒くない。メラニン色素がないので、青や緑の瞳だ。だから、目に入る光が瞳のメラニン色素で吸収されないので、網膜には多くの光が入る。だから、弱い光でも、十分に明るく感じる」
生物学的に言えば、アルビノ(メラニン色素欠損)みたいなものである。肌も髪も瞳も、メラニン色素が少ない。そのせいで、肌は白いし、髪は金髪だし、瞳は青や緑だ。
→ ドイツ人の髪の色と瞳の色 (知恵袋)
そして、それだからこそ、網膜では多くの光を受光できる。欧州でも北方に位置するドイツ人だからこそ、そういうことになる。
上のことは、推定だが、実証となる例を見つけることができた。朝日新聞の経済気象台 2012-02-16 の記事を引用しよう。(オーストリアのウィーンの例)
ウィーンの森の中の小さなホテルで、ささやかな国際会議が開かれたときのことだ。夜も更けて会議の結論もまとまったので、一同そろって近くの湖に泳ぎに行くこととなった。すでに月は落ちて満天に薄い雲がかかり、あたりは暗闇である。われわれは一列に並んで手探りでそろそろ歩く。欧米の連中は、どんどん歩いて行き、遅れに遅れる日本の連中を怪訝そうに待っていて、「どうした? 日本人はみんな鳥目か」と言った。日本人には暗闇のように見える明るさでも、青い瞳の欧州人には十分な明るさに感じられるのだ。それというのも瞳の色が違うので、網膜の受光量が違うからだ。
──
欧州人と日本人とは、肉体的な差がある。彼らの瞳は暗い夜に強く、われわれの瞳は明るい昼間に強い。その差はどうしようもないものだ。
なのに、何でもかんでもドイツの真似をすればいい、というものではない。真似をするよりは、むしろ、ドイツから教訓を得る方がいいだろう。
→ 太陽光はドイツの例に学べ (失敗に学べ)
【 追記 】
次の指摘があった。
「虹彩は光を通さないのだから、視神経の感度の問題では?」
これはもっともな指摘だ。瞳の色は虹彩によって決まるが、虹彩は光を通さないので、瞳の色は光の感受性には影響しない。では、正しくは? それは次項で説明する。
→ 瞳の色 & 光の感度
【 関連サイト 】
ドイツの夜の話
→ http://terrarossa.exblog.jp/11737637/
→ http://homepage3.nifty.com/minui/essay/senzo.html
[ 余談 ]
余談だが、「鳥目」という言葉を聞くと、鳥は夜に目が見えないと思われるが、必ずしもそうではない。例外がある。フクロウ,ヨタカ,ゴイサギ,カラスなど。
→ トリはなぜ鳥目なのですか? - 知恵袋
→ カラスは鳥目じゃない? - 教えて!goo