2012年02月12日

◆ Facebook の行政利用

 Facebook を行政利用しよう、という試みがある。これに高木浩光氏が扱っている。
 ( ※ IT関係者向けの話題です。それ以外の人は、特に読む必要はありません。) ──

 Facebook を行政利用しよう、という試みがある。
 《 職員全員フェイスブック登録 情報発信狙い佐賀・武雄市 》
 佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長は27日、市職員全390人をインターネット上の交流サイト「フェイスブック」に登録させると発表した。3月末までに実名で登録し4月1日から運用。職員個人から市民に情報発信し職員間の議論も促す狙いで、全国初の試みという。
 登録の際は実名と所属を載せ、顔写真や趣味などの個人情報の掲載は各職員の裁量に任せる。市秘書広報課は「文書の共同作成や役所内のイベント情報の議論に役立ち、作業時間の短縮につながる」と効果を期待する。
( → 朝日新聞 2012-01-27
 これについて、高木浩光氏が扱っている。RT を集める形で。
 RT @kogawam: FBアカウントは個人の所有物であり、それを強制徴用することは何らかの権利の侵害では。職員の自宅に役所の窓口を設けるようなもの。
 ──
 RT @dreamaster_38: 基本、FB上では一人、1アカウントしか認められず重複が発覚すると停止されたりもします。
 ──
 RT @hamanobakeneko: これ、業務命令できる範疇を越えている。 他のSNSなら2重登録して公私使い分ければいいんだがねぇ。
 ──
 RT @nadreck7: 行政機能の根幹を外国に頼るという感覚が不思議 RT @sasakitoshinao: 庁内イントラの運用費が年間600万円。これに対してFbは無料でしかも圧倒的に使いやすい。だからFbに移行。当たり前のことだと思うんだけど
 ──
 RT @3yosi: 仕事で使い始めるとプライベートで使うことに問題が出てくる可能性はないでしょうか?

( → 高木浩光の Twilog
 まあ、そこで論じられていることは、一応、もっともである。要するに、
 (1)「一人に一つしか得られない Facebook のアカウントを行政で利用すると、個人利用ができなくなる」
 ということ。さらに、
 (2)「過去の発言についてのプライバシーが保てなくなる」
 という危険もある。

 ──
 
 このうち、(2) の点については、問題をなくすことが可能だ。
 第1に、武雄市ではすでに市を通じて職員全員の Facebook アカウントを取ったということだから、もともと職員はアカウントをもっていなかったと推定される。田舎の公務員だから、さもありなん。
 第2に、仮にすでにアカウントをもっている人が数人ぐらいはいたとしても、その人については「過去のアカウントを消滅させる」という形で、プライバシーについては問題をなくせる。
  → 知恵袋
( ※ ただし、そもそもネット上で公開しているデータに、プライバシーもへったくれもない、という気もするが。非公開の分が公開されるわけじゃないので。)

 問題があるとしたら、(1) の点だ。「職員が個人としては Facebook を使うことができなくなる」という点だ。つまり、「 Facebook を使う個人の権利を奪うな」ということだ。
 これはまあ、Facebook という会社が二重登録を許容しないことが問題なんだが、それはそれで会社の方針だから仕方ない。タダで使わせてくれるものに文句は言えない。
 で、「ただで使わせてくれるものを使う権利を奪うな」というのが、論者たちの言い分だが……
 私としては、「そんなもの、どうでもいい」という気がする。Facebook を使えなくても、Google+ を使えるはずだ。そっちだって構わないだろう。(ま、利便性は、いくらか下がるようだが。加入者数の関係で。)

 ──

 私の個人的な感想を言えば、「 Facebook なんか使えなくても、どうでもいい」となる。あんなもの、どうせ時系列で、古いものはどんどん消えていく。それをなくそうとして、過去記事を読み取る能力を新たに強制追加したそうだが、そうだとしても、過去記事はどんどん時間の底に沈殿していく。そんなものはたいして利用価値がない、というのが私の判断だ。

 ──

 武雄市 の Facebook というのがあるのだが、これはどういうわけか、個人でなく自治体の名義でアカウントとが取れている。あら不思議。
 で、そのページを見ると、「超簡単ホームページ」という感じで、いかにも貧弱なサイトになっている。まともなホームページにすればいいものを。
 このページを Facebook にする理由はあるか……と言うと、メリットは次の二点か。
  ・ 個人からの意見を Facebook 経由で受け取る際、スパム発言を排除できる。
  ・ 職員からの対応を、名前付きで表示できる。

 しかし、どっちも、たいした理由にならないね。

 ──

 市の言い分だと、「費用の年 600万円を節約できる」ということだが、市が職員の Facebook のアカウントを利用するなら、その分、職員に補償金を払うべきだろう。たとえば、年 15000円。職員が 400人なら、計 600万円。差し引きして、トントンだ。つまり、費用節約効果は、補償金のせいで、すっかり消失する。 (^^);

 ──

 ま、以上のように、いろいろ考えると、「補償金を払う」という前提のもとで、「やってもやらなくても、大差ない」というのが、私の判断だ。メリットもデメリットも、ごく小さい。いちいち論議するような問題じゃない。

 職員としては、次のことを推奨したい。
 「年 15000円の補償金をもらった上で、Google+ に移行する。また、以前の Facebook アカウントは削除する」
 これで議論するような問題は消失するだろう。
 


 [ 付記1 ]
 ほかの市で同様のことをやろうとするところもあるかもしれないが、……私としては、こう言いたい。
 「やってもやらなくても、たいして意味がない。メリットもデメリットも、あまりにも小さい。それよりは、普通にホームページと掲示板を利用する方がいい。できれば格安でできるように、IT知識のある職員を雇用すればいい」
 
 ま、私が市長だったらどうするかというと、……「IT知識のある職員を雇用する」ことにして、そのためには、「Webデザイナーを(中途採用)市職員として雇用する」というふうにしますね。で、必要なときにはホームページの製作をやらせて、普段は事務の雑用で働かせればいい。それでいいんじゃないの? 

 Facebook をホームページがわりに使うというのは、確かにセンスがないのだが、フラッシュばかりで重たい企業ページに比べれば、軽いだけマシだろう。
 また、東京都のホームページみたいに、ごちゃごちゃしていて下品なのよりも、マシだろう。
 そう思って、あちこちの自治体や官公庁のホームページを見たけれど、どこもかしこもごちゃごちゃしていて、目的の情報がどこにあるのかさっぱりわからない。ひどいものばかりだ。
 それに比べると、シンプルなデザインである武雄市の Facebook ページは、はるかに利用しやすい。案外、いいかもね。

 ま、はっきり言えることは、日本の公的部門のIT利用度は、あまりにもひどすぎる、ということだ。Facebook か否か、を論じる以前ですね。ITリテラシーが低すぎる。

 [ 付記2 ]
 ちなみに、米国政府のポータルサイト
  → http://www.usa.gov/index.shtml

 シンプルですね。最初に「何をしたいか」という項目を選ばせて、そのあとで選択項目が出るようになっている。わかりやすい。
 ITリテラシーがあるというのは、こういうことだ。こっちを見習うことの方が先決だ。
  


 【 追記 】

 Facebook は、個人ページのほか、法人ページを作ることができる。「ファンページ」という形。
  → 日経トレンディネット

 武雄市も、個人アカウントでなく、業務アカウントを使えばいいだろう。たとえば、「総務部管理課」というアカウントを作る。これを数人で利用する。別に顔写真なんかを付ける必要はないだろう。こうすれば問題ないはずだ。

 ただね。Facebook は、原則、広告が掲載される。今は掲載されてなくても、そのうち掲載されるようになる。自治体のホームページに、(少数ながらも)企業の広告が掲載されて、いいんですかね?
posted by 管理人 at 23:55 | Comment(2) | コンピュータ_03 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に [ 追記 ] を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2012年02月13日 08:28
Posted by 管理人 at 2012年02月23日 00:30
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