2011年12月25日

◆ 豚インフル・パニックと放射線

 2009年、豚インフルエンザをめぐるパニック騒動があった。これは 2011年現在の、放射線をめぐるパニック騒動に似ている。 ──
  
 現在、放射線をめぐって、「危険だ、危険だ」と大騒ぎする人々がいる。
 早川由紀夫みたいに、「放射線のせいで福島では年間2人が死ぬ」と唱える人もいる。(将来の癌発生者増加と、現在の死亡とを、混同している。)
 池田信夫みたいに、津波の死者と原発の死者を混同して、「放射線のせいで死者が数千人」と騒ぐ人もいる。( → 前項 )
 武田邦彦みたいに、「年間1mSv にしないと危険だ」と騒ぐ人もいる。
 かと思えば、結構まともな人(上記を批判する人)でさえ、「 LNT仮説は正しい可能性があるから、念のために、放射線はできる限り減らした方がいい」と唱える人もいる。(それがかえって死者を増やすということは、前項で示したとおり。)

 これらの人々は、いずれも、放射線というものを過剰に恐れている。それは「パニック」という状況に近い。
 そこで、思い出すのは、豚インフルエンザのパニックだ。2009年の時点でも、同様の騒動があった。次のように。
 「豚インフルエンザはすごく危険だ。スペイン風邪のように、何万人もの死者が出るかもしれない。だから水際で絶対阻止するべきだ。阻止できなかったとしても、隔離したりして、被害を最小限にするべきだ。学校は一斉休校するべきだ。あらゆる手立てを使って、感染被害を最小限にしなくてはいけない。あえて感染するような努力は、ホメオパシーと同様で、すごく危険だ。また、患者が出たら、減圧室を備えた特殊病院で集中処理するべきだ。」

 しかし、私はこれを批判した。次のように。
  ・ 豚インフルエンザは、もともと通常のインフルエンザと大差ない。
  ・ タミフルが有効で、重症化が防げるという点で、例年よりも軽くて済む。
  ・ 夏の時点で感染すれば、重症化せずに免疫力が付いて、かえって有利だ。


 これらのことから、私は次のように結論した。
 「夏の時点で感染を減らすのは、冬の時点で重症者を増やすことになるので、かえって有害だ。ゆえに、夏の時点では、阻止するべきではない。むしろ感染を増やして、軽く感染して免疫を付けておく方がいい。隔離も一斉休校もするべきではない。大事なのは、高齢者や妊婦などの虚弱者の対策だ。つまり、重症者を減らすことだ。そのためには、リレンザやペラミビルの用意を十分にしておくことが大切だ。また、感染者が出ても、普通のインフルエンザと同様に、一般病院で扱えばいい。たいして危険ではないからだ。そもそも、減圧室を備えた病院は少ないので、数百万人もの患者を処理できない。

 で、結果的には、まともな対策は取られなかったのだが、たいして問題も起こらなかった。死者数に至っては、前年度の3分の1で済んだ。(タミフルが有効だったことが大きい。その点、前年度の季節性インフルエンザは、タミフル耐性があったので、タミフルが無効となった。そのせいで死者増加をもたらした。)

 要するに、「大山鳴動ネズミ一匹」みたいなものだ。ひどいパニック騒動は、まったくの空騒ぎだったわけだ。そのことを、人々は反省した方がいい。特に、医療関係者は、当時の自分がいかにバカ騒ぎをしたか、ブログでも読み返して、反省するといい。(何も語っていなかったなら、それはそれで問題だ。パニックを鎮静する責務[正しい医療情報を出す責務]を果たしていなかったことになる。……医療関係者として。)

 ──

 以上が、過去の豚インフルエンザをめぐるパニック騒動の顛末だ。
 そして、これを振り返ると、現在の放射線をめぐるパニック騒動とかなり重なる。
  ・ 豚インフルエンザについて「大変だあ」と大騒ぎする。
  ・ 福島の放射線について「大変だあ」と大騒ぎする。

 いずれも、馬鹿げた空騒ぎだ。そして、こういう空騒ぎをする人は、かなり共通しているのである。
 なぜか? おそらく、知能と性格の双方に、問題があるのだろう。……ま、マスコミというのは、騒ぎによって金を稼ぐ産業だから、そういう詐欺師みたいな産業にだまされた人々が多いのかもしれないが。
 典型は、武田邦彦だろうか。騒ぐことで、マスコミへの露出を増やして、出演料をたっぷりと稼ぐ。呆れた詐欺師がいるものだ。人々をだまして金儲け。(マスコミとグルになっている。)



 [ 余談 ]
 といっても、それを批判する医療関係者だって、LNT仮説を信じていたりするから、似たり寄ったりであることも多いが。
 まったく、ひどい国だ。まともなことを書いているのは、本ブログぐらいなのだが、そういう本ブログを、「トンデモだ!」と批判することに熱中する人もいる。
 だから、武田邦彦やら、池田信夫やら、デタラメを唱える人ばかりが跋扈するわけだ。
posted by 管理人 at 11:49 | Comment(1) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>武田邦彦

数年前までは豚インフルにしても放射能にしても
まともなこと(?)を言っていたのに

http://takedanet.com/2009/05/post_dbf8.html

>今度の新型インフルエンザは,
>現在のところ感染力,致死率ともに
>普通のインフルエンザとそれほどは変わらない

>治療が成功しているので,「感染しても
>死亡しない」人が増える.このことは素晴らしい
>ことで,その人が免疫を持つようになり,
>次の流行の時に防波堤になってくれる可能性がある.

>放射線の害を一言で言えば,「放射線で
>障害を受けることは,少ない.
>なかなか障害を受けることはできない」と言える。

>放射線と人体の関係を研究している人の
>多くが「放射線を少し浴びた方が発癌性が低い」と考えている。
>でも,決して口に出さない.口に出すと袋だたきにあうからが,
>民主主義だから専門家はおそれずに「本当の事」を言うべきだ.

こんなことを言っていたのに
何が彼を今のような詐欺師にさせたんだろうww



ちなみに早川由紀夫氏は昔からあんな感じだそうですw
Posted by てとら at 2011年12月26日 14:26
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