2011年12月05日

◆ 被災地の問題

 大震災・原発の被災地では、さまざまな問題が持ち上がっている。これらについての解決策を考える。 ──
 
 大震災・原発の被災地では、さまざまな問題が持ち上がっている。

 (1) 津波被災地の高台移転

 津波の被災地では、「高台への移転」という案が出ているが、さまざまな問題が持ち上がっている。( → 朝日新聞 および、紙の新聞 2011-12-05)
  ・ 3千万円ぐらいかかる移転費用(新築費用)を捻出できない。
  ・ 従来の土地はごく安価でしか買い上げられない。
  ・ だったら従来の(危険な)土地に住みたい。
  ・ 高い堤防は景観を悪化させる。( → 朝日新聞

 (2) 福島の農業

 福島県では風評被害のせいで農産物の価格が暴落している。そのせいで農民が非常に苦しい立場におかれている。
  → 福島の農民の苦痛の声
  → 福島の農民が四散して農業が壊滅状態だというレポート


 以上 (1)(2) のように、大震災・原発の被災地では、さまざまな問題が持ち上がっている。では、これらを、どう解決するべきか? 「解決なんかできっこない」と絶望する人が多いようだが、「いや、ちゃんと解決できる」ということを示そう。
 以下では具体的に解決策を示す。
 
 ──

 (1) 津波の被災地

 津波の被災者は、原理的には、救済の必要がない。なぜなら、被災地は急に海辺になったわけではないからだ。この百年のうちに二回も大津波による被害を受けた。(明治三陸沖地震・昭和三陸沖地震。)そこに津波がくるということは、先祖代々、古くから言い伝えられていた。その教えに従って命を救われた人も多いはずだ。
 そこに津波が来ることはわかっていた。とすれば、それによる被害は、「自業自得」である。当然ながら、全責任は自分で負うべきだ。国は市町村に救済を求めるのは筋違いだ。全財産をなくしたとしても、「自業自得」だと思って諦めるしかない。被災者には何かを要求する権利などはない。
 以上が原理だ。
 その上で、国や自治体が何かをなすとしたら、「生活保護に準ずる形」だけでいい。つまり、最低限の衣食住を保証するだけでいい。
( ※ つまり、それ以上、何らかの財産を与える必要はない。厳しいが、それが原理だ。どうせ救うならば、交通事故や犯罪被害の遺児でも救う方が、よほど道理が通っている。これらの子供たちは、何の責任もないのに、放り出された。こちらの生活を守る方が、ずっと大切だ。それに比べれば、被災者の大人など、「欲張りの自業自得」にすぎない。)

 では、最低限の衣食住を保証するとは、どういうことか? 次のことだろう。
  ・ 低利の融資はしてもいいが、数百万円もの贈与はしない。
  ・ 贈与は、震災被災者向けの、支援金だけでまかなう。(赤十字など。)
  ・ 住居については、公的住宅を整備して、低額で賃貸する。

 このくらいのことをやればいい。具体的には、高台に公的住宅を整備して、低い家賃で貸与すればいい。一方、高台の土地を整備して贈与または分譲する必要はない。そのような財産形成のために莫大な公費を投入する必要はない。
 自分で住居を建築したいという人には、生涯借地権の形で、高台に造成した土地を貸与すればいい。この権利は、相続できないものとする。(財産権は与えない。)
 一般的には、次のようにするといい。
  ・ 高齢者 …… 住居込みで公的住宅(アパート)の賃貸
  ・ 中年  …… 生涯借地権 (建物は自力建設)
  ・ 若者  …… 関東などへ流出

 費用については、次のようにしたい。
 「 高さ 14メートルの高い堤防という、馬鹿げた巨額建築をやめる」
 この件は、下記で述べたとおり。
   → 田老地区の防潮堤の再建
 冒頭の朝日の記事にもあるが、野田村で 14メートルの防潮堤が建設されるそうだ。
   → 解説図
   → 参考記事(岩手日報) 
 この巨大防潮堤で何を守るかというと、実は、何も守らない。なぜかというと、この防潮堤の内側には、人は住んでいないからだ。以前ならば、防潮堤の内側に人が住んでいたが、今後は住居は高台に移転するので、防潮堤の内側はすっからかんである。何もない。資材置き場ぐらいしかない。そこを守るために、巨大な防潮堤を建設する。本当ならば、高さ 5メートル弱の防潮堤(台風からの防護)だけでいいのに、その3倍もの高さの防潮堤を構築する。防潮堤の費用は、高さの2乗に比例するから、高さが3倍になれば、費用は9倍になる。約 10倍だ。無駄な防潮堤を構築するために、10倍もの巨額費用をかける。それでいて、守るのは、資材置き場だけだ。 (^^);
 こういう馬鹿げた防潮堤をやめれば、高さ5メートルの防潮堤で済むので、費用は格安で済む。それでいて、津波への効果は、きちんとある。なぜなら、津波から人々を守るのは、海辺の防潮堤ではなくて、内陸の防潮堤だからだ。
  → サイト内検索「内陸堤防」
 このような内陸堤防は、朝日の図を見ればわかるように、ちゃんと用意されているようだ。とすれば、巨額の防潮堤は、ただの無駄でしかない。これを普通の防潮堤に代えることで、莫大な費用が節約できる。防潮堤の費用が 300億円だとして、被災世帯が 150世帯ならば、防潮堤の建設をやめるだけで、1世帯あたり 2億円をプレゼントできる。(これは試算なので、いくらかの変動は起こるだろうが。)
 というわけで、「馬鹿げた防潮堤の建設をやめる」という方針を取るだけで、すべては簡単に解決する。むしろ、お釣りがたっぷり来る。


 (2) 福島の農民

 福島の農民の場合も、基本的には、救済の必要がない。なぜか? その大部分は、高齢者であるが、高齢者はさっさと引退して、年金生活に入ればいいからだ。実際、都会の高齢者は、みんな引退している。都会で農地を耕している人なんかいない。農地がないからだ。(……若干の例外を除く。)
 福島の農民も、高齢者は、それまでの蓄えと年金でくらせばいい。今さら農業を続ける必要はないのだ。さっさと引退すれば、それで済む。

 では、高齢者でなければ? その場合は、TPP 対策で済む。TPP に参加すれば、国内の農民の数は縮小する。なぜなら、農業は大規模農地に集約されて、生産性が向上するので、同じ生産量を維持するためには、農業人口は大幅に減るからだ。
 で、農業人口は大幅に減ることになるので、その分を、福島に集約すればいい。福島の中年の人々が、政府から「 TPP対策補助金」というのを受け取って、農業をやめればいい。かわりに、大都会で、工業や商業・サービス業の分野で働けばいい。もちろん、賃金は低下するだろうが、その分は、政府から補填される補助金でまかなえばいい。

 問題は、大都会では失業率が高いことだ。そのせいで、農民がすぐには雇用されない。
 しかしこれは、「景気対策」という別問題だ。政府がきちんと景気対策をすれば、不況を脱して、失業は解決する。それなら、福島の農民も、東京でまともな職業に就ける。福島の若者や中高年は、こうして問題を解決される。

 ──

 結論。

 というわけで、次の二点を取れば、問題は解決する。
  ・ 被災地では、防潮堤の建設をやめて、莫大な費用を浮かせる。
  ・ 福島では、農民に補助金を与え、同時に、景気対策をする。

 この二点によって、問題はすべて解決する。解決策がないわけではないのだ。解決策はある。ただ、実際には、その解決策が採られない。それだけのことだ。

 被災地の福島の惨状を見て、「大変だあ」「困ったなあ」と人々は思っている。しかし、解決策がないわけではない。解決策はある。あわてて騒ぐ必要はないのだ。
 何かを騒ぐとしたら、「解決策が見つからないこと」についてではなく、「解決策があるのに政府が解決策を採らないこと」についてだ。騒ぐべき対象を、間違えてはいけない。

 ──

 比喩。

 (1) 台風が来る。洪水があふれそうだ。土嚢を積むべきだ。そこで専門家が「土嚢を積め」と警告した。しかし市民は、「台風が来る、大変だあ、大変だあ!」と騒ぐことに熱中していて、土嚢を積まない。そのせいで、洪水が起こり、町中は水浸しになってしまった。(タイの例に似ている。)
 (2) 原発は地震に弱い。そこで私が「地震対策をせよ」と警告した。しかし市民は「原発は危険だあ、危険だあ!」と騒ぐばかりで、原発の地震対策をしない。そのせいで、地震が来ると、原発が暴走して、放射能をまき散らしてしまった。(どこかの国で起こった実例。)

 騒いでばかりいて、まともな対策を取らないと、どうなるか? それはすでに判明している。
 


 [ 付記 ]
 というわけで、残る問題は、その解決策が実際には取られていない、ということだけだ。
 で、その理由は、野豚……じゃなくて、野田という人を、首相に据えたことだ。で、それというのも、「菅直人は最低だが、野田ならばずっとよくなる」と人々が思い込んだからだ。
 だとしたら、責任は、「野田にすればいい」と言っていた愚かな人たちすべてに、ある。こういう愚かな人々が、懺悔すればいいのだ。
 だいたい、自民や公明は、「菅直人の復興が遅い」と文句を言って、「復興庁を創設せよ」と言っていたが、復興庁が創設されるのは、来年3月だ。こういう馬鹿げたことを推進していたのが、反・菅直人派の馬鹿連中だ。
 
 問題の解決策がないわけではない。問題の解決策をぶちこわしている馬鹿連中がいるから、問題がなかなか解決しないだけだ。問題を解決したければ、まずは愚かな自分たちの頭をぶんなぐるのが一番手っ取り早い。
 「菅直人がやめれば日本はよくなる」
 と言っていた連中は、どうやって責任を取るつもりなんだ? そっちを考えた方がいいだろう。
 
( ※ ただし、私の想像では、「菅直人がやめれば日本はよくなる」と言っていた連中は、自分の言ったことを忘れてしまっている。頭がボケている。……ここが一番の問題だな。)
posted by 管理人 at 20:21 | Comment(5) |  震災(東北・熊本) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>  福島の農民も、高齢者は、それまでの蓄えと年金でくらせばいい。今さら農業を続ける必要はないのだ。さっさと引退すれば、それで済む

 と本文中で述べた。これの裏付けとなる話が、下記にある。
  → http://d.hatena.ne.jp/losttechnology/20100720/1279555213

 一部引用しよう。

> 農業は本当に儲かりません。人々が喜ぶ現金収入のレベルは、マクドナルドの時給水準以下です。半年かけて育て上げた何アールもの作物が、例えばスイカやカボチャが、10万円に達すると喜ぶレベル。地面にはいつくばって藁まみれ埃まみれになって、雨に打たれ肩や腰に食い込む重労働をこなし、きちんとパッケージして商標タグもつけて商店に並ぶ状態にお化粧付けをして出荷してもそのレベル。下手すると年に一人当たり100万円の売上も厳しいのです(農家の一部の人々は売上と収益の区別がつきません。肥料・機械・箱代等に根こそぎ持って行かれても売上があると喜ぶorz)。……農業は実は趣味の延長に相当するものであり、儲かっても儲からなくてもいいものなのです。

 ──

 要するに、農業とは、仕事(所得を得る手段)ではなくて、趣味(農業ごっこ)かボランティアみたいなものである。労力に見合う所得を得ていない。コンビニのレジ係なら、客が来たときだけレジを打てばいいが、そっちの方がまだ高所得となる。
 しかも、である。農業は一般に、補助金を食う。また、消費者の農産物価格を高めている。農民が奪う補助金の額は、農民が得る生産高よりも、高いのが普通だ。だったら、農民がせっせと仕事をして低い所得を得るよりは、農民は遊んで補償金を受ければいい。その方が国民の負担は少なくて済む。
 簡単に言えば、農民は、せっせと働くことで、赤字を生産しているのだ。だったら、働かなければいい。そうすれば、赤字を生産しないで済む。
Posted by 管理人 at 2011年12月06日 06:10
>津波が来ることはわかっていた。「自業自得」
関東大震災なんかが起こっても自己責任?
Posted by mugu at 2011年12月06日 21:20
地震が起こるのは誰の責任でもないけど、地震対策をしないで被害に遭うのは自己責任でしょう。
 だから、「対策をしろ」と口をすっぱくして言っているんだが。
 まあ、mugu さんの見解は、「地震で被害に遭ったら政府の責任だから、死んだあとで政府に補償してもらえばいいさ」ということで、人々が無為無策で死ぬように推奨したいんでしょうけどね。

 この諺、聞いたことがありますか? 
 「天は自ら助くる者を助く」
Posted by 管理人 at 2011年12月06日 21:39
地震対策?
個人で出来るのは、食料の備蓄とかでしょう
津波とかの対策は個人には荷が重すぎる
 管理人さんの言う対策は具体的には何が
あるのでしょうか?
 自宅を免震、耐震化したって延焼にあえば
無意味だし
 私には管理人さんは、地震が起きるような
場所に住んでいるのが悪いと言っているように
思えます
 つまり地震が多い日本に住んでいること自体が
間違いと言いたいんでしょう
Posted by mugu at 2011年12月06日 23:49
> 個人で出来るのは

自宅ならば補強工事。賃貸ならば引っ越し。そのくらい、できるでしょ? 命を失うのに比べれば。

> 自宅を免震、耐震化したって延焼にあえば 無意味だし

耐火工事。消化器も用意しておきましょう。……だけど、地震で火災になる例は、そんなに多くない。

> 地震が起きるような 場所に住んでいるのが悪いと言っているように

 そうじゃないって、すぐ前のコメントに書いてあるでしょ。私が言っているのは、「できる限りの対策を取れ」ということ。
 松井やイチローも言っているが、自分にできないことについては考えない。自分でできることについては最大限の努力をする。……そういう人生態度ですよ。
 松井やイチローの本でも読めばわかります。
Posted by 管理人 at 2011年12月07日 01:05
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