2011年12月05日

◆ 温暖化説の二枚舌

 温暖化論者は、「このままでは地球温暖化が進んで、大変なことになる」と警告している。しかしそれは、自己矛盾を含む二枚舌だ。 ──

 地球温暖化防止の新たな国際協力体制づくりを目指す第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が南アフリカのダーバンで始まった。2013年以降の協力の枠組みについて協議している。
  → 日経 2011-12-05
 
 これについて、国連環境計画(UNEP)の研究結果が提出されている。
 温暖化対策が取られずにこのまま各国が経済成長を続けると、20年の温室効果ガス排出は二酸化炭素(CO2)換算で、現在の1.2倍の約560億トンに達する。
( → 朝日新聞 2011-12-05
 この記事には、「温暖化対策が取られずにこのまま」の場合の炭酸ガス量が、グラフで示されている。
 同様のグラフは、他にも見つかる。
  → Google 検索

 なるほど、「温暖化対策が取られずにこのまま」の場合には、そうなるのだろう。

 ──

 しかし、ここには論理のペテンがある。それは「主語が明らかでない」ということだ。「温暖化対策が取られず」というが、「温暖化対策を取る」の主語は、何なのか? 次の二通りが考えられる。
  ・ 政府
  ・ 人類


 第1に、主語が「政府」であるならば、政府は何もしない場合と、何かをする場合とがある。そして、何かをするとしたら、「温暖化ガス排出阻止のための規制」だろう。ここから、「規制が必要だ」という結論が出るようだ。しかし、それは早計だ。
 第2に、主語が「人類」であるならば、たとえ政府が何もしなくても、人類は何かをすることがある。具体的には、政府以外の民間技術者が、太陽光発電の技術をどんどん開発していくだろう。その技術は、あと 10年ぐらいはあまり効果がないだろうが、20年後の 2030年ぐらいには、結実するはずだ。その場合、現在の石油技術をしのぐ低コストなエネルギー源が出現することになる。と同時に、化石燃料による炭酸ガスの排出は、自動的に減っていくことになる。

 以上から、こう結論できる。
 「たとえ政府が何もしなくても、人類は太陽光発電を発展させる。その結果、2030年ごろには、温室化ガスは大幅に減っていくだろう。2050年にはさらに減っていくだろう。……つまり、政府が何もしなくても、技術進歩のおかげで、温室化ガスは大幅に減っていくのだ。」

 ポイントは、次の違いだ。
  ・ 政府が何もしないこと
  ・ 人類が何もしないこと

 この両者は異なる。政府が何もしなくても、人類は大きな変化を自動的に進んでいく。つまり、「温暖化対策が取られずにこのまま」というような過程は、言葉自体が自己矛盾を含む。政府が温暖化対策を取らなくても、人類の歩む道は「このまま」ではないのだ。自動的に大きな変化をたどるのだ。

 温暖化論者の主張の原理は、次のことだ。
 「過去と現在の延長上に、未来がある」

 そのことは、朝日新聞の記事のグラフを見ると、典型的な例がある。
  → 朝日のグラフ
 この図では、過去と現在の延長上に、未来がある。だが、そうではないのだ。今後、太陽光発電の技術開発という、大規模な事件が起こる。そのことで、「化石燃料から太陽光発電へ」という変化が、自動的に大規模で進むのだ。それは人類史上でも稀な、大きな変化である。90年代以降に、IT分野では情報革命とも言える大規模な進展があった。それと同様に、2020年以降には、エネルギー分野では「エネルギー革命」「太陽光革命」とも言える大規模な進展が起こるはずなのだ。
 そして、それを起こすには、「大規模な補助金」などは必要としない。単に人類の進歩を黙って待つだけでいい。
 90年代には、IT分野で大きな進展があった。それを起こしたのは、技術革新だった。それは決して、「補助金による大量生産」でなされたのではない。仮に政府が補助金を出して、8ビットの PC8801 や 16ビットの PC9801 を大量生産したって、その時点では Windows みたいなものは誕生しなかった。Windows みたいなものが誕生するには、それなりの技術発展が起こるような時間が必要だった。

 エネルギー革命も同様である。2020年以降には、「エネルギー革命」「太陽光革命」とも言える大規模な進展が起こる。政府が何もしなくても、人類の進む方向は大幅に変化が起こるのだ。それにともなって、温暖化ガスの発生量は劇的に減るのだ。

 ──

 地球温暖化論者は、次の二通りの言葉を語る。
  ・ このままでは大変だ! 温暖化ガスの規制をしなくては!
  ・ 太陽光発電は素晴らしい技術です! 近く実現可能です! 

 しかし、この二つ()は、矛盾する。
 この二つのうち、後者は正しい。太陽光発電は、素晴らしい技術だし、遠からず実現可能だろう。そして、そうだとすれば、太陽光発電のおかげで温暖化ガスは減るのだから、温暖化ガスの規制は必要ないのだ。(規制しなくても自動的に減少するからだ。)
 逆に、温暖化ガスの規制が必要だとしたら、それは太陽光発電の技術革新がなされない場合だ。もしそうならば、「太陽光発電は素晴らしい技術です! 近く実現可能です!」という言葉を取り消さなくてはならない。逆に、こう語るべきだ。
 「太陽光発電は実現しません。原子力発電も見込み薄です。だから、化石燃料を削減する必要があります」
 これらならば、理屈は通る。論理が成立する。
 しかるに、上記の二つ()を語るのは、自己矛盾というものだ。それ自体、論理が破綻している。二つのうち、どっちかに絞るべきだろう。
 こんなこともわからないようでは、温暖化論者の頭の構造が知れるというものだ。地球の構造を論じる前に、自分自身の頭の構造を見直す方がいい。

 ──

 現実は、どうか? すでに述べたように、太陽光発電の技術革新が起こるだろう。それが結実するのは、2020年から2030年だろう。
 とすれば、われわれが今なすべきことは、「焦らずに黙って待つこと」だけだ。
 これが結論となる。



 [ 付記 ]
 その結論とは逆にしたら? それは、孫正義の唱えることだ。
 彼の言うように、今の時点で太陽光発電のために莫大な金をかけようとすれば、どうなるか? やがて来る肝心の時期に、太陽光発電を推進するための資金が枯渇してしまう。
 その場合、こうなるはずだ。
 「 2020年に、太陽光発電の価格は劇的に下がった。世界各国は、化石燃料の発電所を捨てて、太陽光発電の発電に転換していった。しかし、日本とドイツだけは違った。これらの国は、補助金によって、2015年の段階で、大量の太陽光発電所を設置していた。その大量の太陽光発電所は、2015年の古い技術を使っていたため、効率は悪く、コストは莫大になった。日本とドイツだけは、古い発電所の設備を維持するために、莫大なコストを負担していたせいで、新たに高能率の太陽光発電所を設置する能力がなくなった。かくて、世界各国では、低いコストで太陽光発電率を 50% にしたが、日本とドイツだけは、莫大なコストで太陽光発電率が5%にしかならなかった」
 これが愚かな国の末路だ。

 教訓。

 「あわてる乞食はもらいが少ない」

 焦って、転んで、すってんてん。
posted by 管理人 at 20:19 | Comment(5) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
主語じゃなくて動作主ですよ
Posted by ill at 2011年12月06日 00:45
仮に太陽光発電の技術革新が起きて、現在化石燃料を使って発電している電力量を賄えるようになったとしても、地球上にある温暖化ガスが消えるわけではありません。増え続けます。だから、今の段階から削減努力をしないといけないんですよね。
あなたの主張は、「太陽光発電の技術革新が起きたら、地球上にある余計な温暖化ガスがすっかり消えてしまう」ということが前提にないと成り立ちません。そもそも前提が違います。
Posted by DICE at 2013年10月29日 13:37
> 地球上にある温暖化ガスが消えるわけではありません。増え続けます。

 植物がたくさんあれば、現状よりも減ることもあります。植物の炭酸ガス固定能力をお忘れなく。

> 「太陽光発電の技術革新が起きたら、地球上にある余計な温暖化ガスがすっかり消えてしまう」ということが前提にないと成り立ちません。

 「すっかり消えてしまう」必要はなく、単に「減る」だけで十分。
Posted by 管理人 at 2013年10月29日 19:21
>植物がたくさんあれば、現状よりも減ることもあります

それは理論上は間違っていないと思いますが、しかし果たしてどれだけ現実的な話でしょうか?
もしも地球上の森林面積が、産業革命前と同程度に回復したとしても、温室効果ガス吸収量はどれだけ増えるのでしょう。
現在の排出量を上回り、加えて現在大気中に存在する余分なガスをも吸収できる程に上回るでしょうか?
温室効果ガスをより多く吸収する植物によって、炭素固定量を上げようとする説もあるようですが、
無闇に植えてしまってはその地域本来の植生が変わり、逆に在来種を死滅させるのではという懸念もあります。
ですので、それらを全てクリアできる何かスーパーな植物が見つかれば良いのかもしれませんが、現段階では到底あてにできるものではありません。


>「すっかり消えてしまう」必要はなく、単に「減る」だけで十分。

いや、確かに太陽光発電の技術革新が起きたら減ることは減りますが、何が減るのかというと、それは「排出量」です。
今地球上に存在しているガスの「絶対量」は、太陽光発電の技術革新が起きたところで、減りません。ガスの絶対量が減ることと、
太陽光発電の技術革新により排出量が減ることは別箇の話です。
排出量は確かに減るでしょうが、上記の炭素固定能力の限界の話からも、既に排出されたガスは減りもしないと考えた方が建設的だと思います。
Posted by DICE at 2013年11月10日 12:46
> by DICE

 話の前提が根源的に狂っているので、下記を読んでください。

http://openblog.meblog.biz/article/1215098.html
http://openblog.meblog.biz/article/16378567.html
http://openblog.meblog.biz/article/16375869.html
Posted by 管理人 at 2013年11月10日 13:41
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