医療でケアレスミスによる死亡事故が発生した。喉にあいた通気口である「永久気管孔」というを、新米看護婦が理解できず、勝手にふさいでしまったため。
愛媛県立中央病院(松山市)は4日、70歳代の男性入院患者ののどに開けられていた呼吸用の穴を、看護師が誤って塞ぐミスがあり、男性が窒息死したと発表した。こういう問題は、ヒューマンエラーゆえに、ときどき発生する。病院の側では、何らかの注意書きをしておけば予防できただろう。(たとえば枕元に「永久気管孔! 注意!」というカードを置いておく。)
看護師は男性が口や鼻でも呼吸できると誤認しており、主治医らとの間で情報共有ができていなかった可能性があるという。県警松山東署が、業務上過失致死容疑で調べている。
同病院によると、男性は脳内出血で11月15日から入院。約10年前に受けた喉頭がんの手術以来、口や鼻で呼吸ができず、のど元に「永久気管孔」(直径2センチ)が開けられていた。
病院では気管孔をガーゼで覆って異物混入を防いでいたが、ガーゼが外れがちだったため、20歳代の女性看護師が3日午後3時頃、代わりに通気性のない合成樹脂製の粘着シートを貼って穴を塞いだという。約1時間半後、巡回していたこの看護師が男性の呼吸が止まっているのに気づき、午後5時頃、死亡が確認された。
看護師は11月25日から男性を担当。男性のカルテには「喉頭の摘出、気管切開あり」との記載はあったが、「永久気管孔」とは記されていなかったという。
( → 読売新聞 2011-12-04 )
とはいえ、その病院だけで再発を防いでも、意味はない。多くの病院で対処するべきだ。また、同種の例について、広く一般化するべきだ。
とすれば、そのために、「失敗学」のデータベースに登録するべきだ。つまり、「医療失敗学」のデータベースを用意するべきだ。
ところが、「失敗学」のデータベースには、「医療」の分野が欠けている。工学系がほとんどだ。
→ http://www.sozogaku.com/fkd/index.html
失敗学は、原発事故の予防には、役立たなかった。それに懲りて、原発にも注力するようになったらしく、福島原発の調査責任者に、失敗学の提唱者が就任した。
→ 「失敗学」権威が福島原発事故を検証へ
しかしね。原発で「失敗学」の無効さが判明したのだから、それを反省したなら、もっと別の分野でも「失敗学」をうまく適用するべきなのだ。たとえば、医療に。
失敗学もまた、自分自身の失敗に学ぶべきだろう。
( ※ 「うまいこと言った」 (^^)v )
( ※ 「おまえ、それを言いたかっただけだろ」と言われそう。)
【 関連サイト 】
あとで調べたら、医療版「失敗学」の試みは、すでになされている。医療関係者の間で。
→ http://www.genki-medical.net/seminar/study_2011.html
→ http://genki-medical.at.webry.info/
しかし、一部の有志がやっているだけのようだ。もっと国家規模で、大々的に推進するべきだろう。特に、日医が頑張るべきだ。
日医と来たら、「あれをやるな」「これをやるな」というふうに、「やめること」ばかり努力している。それよりは、「やること」に努力するべきだ。
日医というのは、それ自体が、失敗の見本かも。
( ※ また、うまいこと言った。 (^^)v )