2011年11月30日

◆ ITの公的調達

 ITの公的調達には、すごく無駄が多い。多額の税金が無駄になっている。ここを何とか解決してもらいたいものだ。 ──
 
 ITの公的調達には、すごく無駄が多いことがわかった。報道を引用しよう。
 《 国の情報システム調達、随契や1者応札8割 検査院指摘 》
 国の情報システムの調達を巡り、各省庁が民間企業などと結んだ契約のうち、随意契約や入札に1業者しか参加しなかった「1者応札」が 8割強を占めることが 29日、会計検査院の検査で分かった。検査院は「競争性が十分に確保されていない」と指摘している。
 検査院は 2008〜10年度に計 25の省庁などが結んだ約 5246億円分の契約を検査。1677件の契約のうち 43.4%にあたる 727件が随意契約で、残る 950件の競争入札でも1者応札だったケースが 631件あった。
 予定価格に対する落札率でみると、複数社が入札した契約は平均 70.1%だったのに対し、随意契約は同 98.6%、1者応札は同 96.0%と高かった。検査院は「国の厳しい財政状況を鑑み、各省庁で連携して効率的な調達方法を検討すべきだ」としている。
 情報システムは行政サービスの効率化を目指して各省庁が導入しており、代表的なものに財務省の電子申告納税や厚生労働省の社会保険関連の電子申請などがある。関連予算は年間1兆円規模で推移している。
( → 日経
 ※ 「1者応札」は誤変換で、正しくは「1社応札」だろう。ただし、コメント欄を参照。
 このように「1社応札」という「無競争状態」があるのだから、コストは高止まりしていることが推定される。

 ──

 さらに、別のサイトからの情報だが(出典は忘れたが)、次の情報もある。
 「国のソフト調達では、日立やNECや富士通などの大手会社が落札する。落札したあと、1次下請けに流され、さらに、2次、3次、4次、……などの下請けに流される。そのたびに手数料が中抜きされる。最終的に引き受けるのは、末端の小規模企業で、そこでは、時給1000円〜2000円程度で、技術者がこき使われる。」

 情報はあちこちに書いてある。末端のソフト技術者が、憂さ晴らしに、しばしば2ちゃんねるに書き込むからだ。一例を挙げると、下記だ。
お国がシステム発注・・・適当に1人月150万円で
      ↓
(一次受け)大手IT会社・・・1人月60万円で監視をつけて丸投げ ← ★NTTデータ★
      ↓
(二次受け)中堅IT会社・・・作業場を提供&1人月45万円で人集め ← NTTデータ○○(通称デー子)
      ↓
(三次受け)弱小IT会社・・・ブローカーに人集めを依頼して10%中抜き ← 日立ソフトなど(通称メー子)
      ↓
(四次受け)中抜きIT会社・・・5%手数料を中抜きして丸投げ ← 富士ソフトなど(大手独立系SI)
      ↓            
(五次受け)人売りIT会社・・・給料15万円でIT土方を雇用して、
      ↓          二次受けの作業場に派遣(まさに人売り) ← 名もなき企業たち(零細独立系SI)
      ↓
     IT土方・・・二次受けの作業場に遠距離通勤  
            35歳になったら売れなくなるのでクビ(35歳定年)

ちなみにこの業界では、七次受け・八次受けも珍しい事ではありません。

( → 出典
 こういうふうにして、次の結果となる。
  ・ 国は馬鹿高い金を払う。(1人月150万円で)
  ・ 末端の労働者に渡る金は少額。(給料15万円)
  ・ 差額は、中抜きした会社へ。


 しかも、金の問題だけではない。発注者(政府)と、実際のプログラマとの間に、多大な介在者が入るから、意思の疎通ができなくなり、要望通りのものができなくなる。つまりは、必要なものとは大幅に異なる、粗悪品(というか勘違い品)ができる。
 これを一言でいえば、次のようになる。
 「大金をドブに捨てている」
 ここでいう「大金」とは、税金のことだ。

 ──

 では、どうすればいいか? 私としては、次のことを提案したい。
 「ITの発注には、専門知識が必要となる。その専門知識とは、利用者の要望をソフトハウスにきちんと伝えることのできる、介在者だ。特に、法律や行政手続きを、うまくソフトハウス向けに翻訳することのできるような、双方に知識のある人材だ。そのような人材は、普通の役所にはいない。ソフトハウスにもいない。そこで、専門家を養成する」

 要するに、「IT発注庁」みたいなものを創設する。そこが次のことをやる。
  ・ 各省庁の注文を一括して受けつける。
  ・ それらの注文について一括して、発注者となる。
  ・ あとは、担当者が「各省庁」と「ソフトハウス」の介在をする。(個別に)

 これで無駄の問題を解決ができそうだ。
 
( ※ 現状では、「自分が何をほしいか」を理解していない公務員が多い。つまりは、要求基準そのものが狂っていることが多い。何がほしいかもわからないまま、デタラメな要求基準でソフトを発注したあげく、ろくに使い物にならないものができて、何度も手直しして、そのたびに莫大な手直しコストがかかる。非能率の極み。……そこで、コーディネータみたいな調整者が、実際の利用者とソフトハウスとの介在をするといい。しかも、このことで、「中抜き」によるコストが省略できるので、価格を大幅に引き下げることができる。……それが本項の提案。)
( ※ 元はと言えば、「自分が何を必要としているかわかっていない」という公務員が多い。そこが最大の問題。)



 [ 付記1 ]
 私としては、省庁の行政用のソフトは、標準化するべきだと思う。基本的なシステムを用意しておいて、あとは全省庁で個別のカスタマイズだけで済ませるようにするべきだ。つまり、一から開発するのをやめるべきだ。
  ・ 基本的なシステムは大手企業に。
  ・ 個別のカスタマイズは、小さなソフトハウスに。

 というふうに任せるべきだ。基本システムとカスタマイズとは、全然レベルが異なるからだ。
 今は一つの会社が全部まとめてやるから、下請けだの中間搾取だのの問題が起こる。もっと調達基準や運用基準を明確化した方がいいだろう。そうすれば、莫大なコストを節約できるし、国家的に莫大な無駄を削減できる。

 [ 付記2 ]
 それにしても、ソフトについて、もっと「標準化」を推進できないものだろうか? 一つ一つ作り上げるなんて、手間がかかりすぎる。ま、各社のレベルでは、ある程度は標準化はできているだろう。たとえば、富士通なら富士通の内部で、ソフト設計の標準化はできているだろう。しかしそれはガラパゴスのケータイみたいなものだ。もっと全般的な共通化を推進するべきだ。ガラケーのかわりに Android を作ったように、各社共通のシステムを構築するべきだ。
 今のところ、そういう共通化は、OSでしかできていないようだ。unix とか linux とか。そうではなくて、基本となるデータベースみたいなソフトを、共通化しておくべきだろう。

( ※ マイクロソフトの「アクセス」を使えばいい……と思っている人もいるかもしれないが、あれは大手企業レベルでは使えません。扱えるデータの上限が小さすぎるので、ソフトやハードがパンクしてしまう。「アクセス」で済むのは、せいぜい中小企業だろう。)
( ※ SQL Server Express というソフトもあり、こちらはかなり役立つらしい。しかし、それで国家レベルのデータが扱えるのかというと……私は詳しくないので、知りません。[ 付記2 ] の提案は、あくまで素人の私見ということにしておいてください。)
posted by 管理人 at 20:23| Comment(4) | コンピュータ_02 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
セールスフォース・ドットコムやSAPがこの辺のお金を狙っているみたいです。セールスフォースは前回のエコポイントで名を挙げました。彼等の標準仕様を使う事でシステム構成が速くできる様です。
ただ、カスタマイズはイマイチで、入力とかはかなりイライラさせられるそうです。
この辺、ソフトハウスが入力専用ソフトを作って、クラウドの標準仕様へ流し込める様にすれば、かなり改善されそうですが、その辺のハードルが高い様です。
Posted by 京都の人 at 2011年11月30日 21:02
JV応札などもあるので「1社応札」ではなく「1者応札」で正しいものと思います。

重層下請構造、発注庁、標準化などは、旧来からの発注である公共工事などで強固にシステム化されてきました。けれども、複雑化巧妙化するばかりで役所組織の焼け太りにばかり繋がっていたような気がします。財政危機と行財政改革の煽りを受けて効率化された部分も若干ありますが、まだ本丸は手付かずというのが実感です。
各省庁の発注を国交省の出先機関が「専門家集団」として実施していますが、実態は見ての通りです。技術職員の技量低下も目を覆うばかりです。「IT発注庁」もすぐにそうなってしまう懸念を持ちますが、いかがでしょうか。

行政監察や行政監査などの組織を作っても、メンバーは内部の人間であったり外部の門外漢だったりしてチェック機能を果たし切れません。

予定価格算出根拠自体を洗ってみると、落札率が高い低いで何の議論ができるのだろうかという疑問も湧いてきます。随契ならネゴの結果を予定価格とするので率が高くなるのは当然ですし、落札率70%でも予定価格が丼だっただけの場合もあります。

次善の策として、第三者性の高い監査を導入してはどうかとも思いますが、正直有効性を確信できません。仙台市の監査を宮崎市の民間の専門家が行うとか、国の事業監査をどこかの県の職員が行うとか。人的・経済的つながりが無い目でチェックできるのが理想ですが、無理なのかも知れません。
Posted by けろ at 2011年11月30日 21:17
> JV応札などもあるので「1社応札」ではなく「1者応札」で正しいものと思います。

 なるほど。で、調べてみたら、日経と共同が「1者応札」で、朝日と時事が「1社応札」でした。

> 技術職員の技量低下も目を覆うばかりです。「IT発注庁」もすぐにそうなってしまう懸念を持ちますが、いかがでしょうか。

専門家がやれば、少なくとも素人がやるよりはマシになると思います。
そのためのコストがかかるとしても、浮く費用は何百倍か何千倍にもなるのでは? 
場合によっては、外注してもいい。「浮いた無駄費用の3割を還元します」なんて言ったら、やりたがる人が殺到するでしょう。「年収5億円」も夢ではない。(やりすぎか。)

> 行政監察や行政監査などの組織を作っても、メンバーは内部の人間であったり外部の門外漢だったりしてチェック機能を果たし切れません。

 会計検査院は結構よくやっていますよ。この分をきちんと反映させて、責任者に責任を取らせると、状況は劇的に改善しそうです。責任を取らされそうになる人は、事前に相談するでしょうから。

> 次善の策として、第三者性の高い監査を導入してはどうかとも思いますが、正直有効性を確信できません。仙台市の監査を宮崎市の民間の専門家が行うとか、国の事業監査をどこかの県の職員が行うとか。人的・経済的つながりが無い目でチェックできるのが理想ですが、無理なのかも知れません。

 莫大な無駄があるのは確実なので、さまざまな方法をいろいろと適用するといいでしょう。
Posted by 管理人 at 2011年11月30日 21:30
SQL Server Expressは無料版です。通常はサポートのあるソフトを使うでしょう。OracleやMySQLのサポート付き版等

OS以外にも業務系で使うデータベースソフトは数種類しかほぼ選択肢ない状態で、毎回作っているわけではないです。プログラム言語も大体決まってます。

全体的な趣旨としては確かにおっしゃるとおりで、無駄が多いというのも事実です。
過去に天下りが作った会社がほとんどの入札案件を受けていて、未だに続いていて強みでもあるので、メーカーが入ってきても最初は安い金額で受けてメーカーを追い払って実質一社応札状態を維持しているところがあります。(地方自治体レベルの話)
Posted by Sumeshi at 2011年12月01日 15:30
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