首都圏直下地震への対策として、食糧の備蓄が必要だ、と言われている。
国や首都圏の自治体、経団連などが参加する「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」は22日、首都直下地震で交通機関が途絶した際に社員をむやみに帰宅させないことなどを求める「一斉帰宅抑制の基本方針」を承認した。企業などに求める取り組みとして、「従業員が待機できるよう3日分の水、食料、毛布などの備蓄に努める」−−などを挙げた。──
会合後、東京都の猪瀬直樹副知事は、企業などに食料など3日分の備蓄を求める条例案を来年2月の都議会に提出することを表明。
( → 毎日新聞 )
もっともらしい話だが、考えればわかるように、食糧はもともとある。飲食店やスーパーなどでは、普段から大量の食糧を用意している。
問題は、電気やガスが止まるせいで、調理ができなくなることだ。そのせいで、生ものを食べられないし、放置すれば腐ってしまう。どちらかというと、腐りそうな生ものが大量にあって、腐る心配がある。腐ると、不衛生になり、疫病などの問題が起こる。特に、ゴミ収集車が来ないから、この問題は大きい。
だから、生ゴミを出さないように、生ものをさっさと食べてしまうことが最優先となる。こういうときに「備蓄の乾パンを食おう」なんて考えていると、かえって状況は悪化する。
つまり、東京都のように「備蓄を用意しよう」というのは、状況を改善するよりも、状況を悪化させる。
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では、どうすればいいか? 生ものを食べるには、エネルギーが必要だ。では、どのエネルギーか?
第1に、電気があれば、特に問題はない。冷蔵庫が使えるので、生ものは腐らない。また、ガスを使えなくても、IH式の電磁調理器を使える場合が結構ある。それがなくとも、最低限、電子レンジがあるはずだ。で、電子レンジでお湯を沸かせれば、たいていの問題は解決する。肉でも野菜でも、電子レンジで鍋物にしてしまえばいい。米だって大丈夫だが、時間がかかるので、通常は、麺類がお手軽だろう。(ラーメンやスパゲッティ。)……とにかく、電気があれば、お湯を沸かせるので、特に問題はない。
第2に、電気がない場合はどうか? ガスが使えればいいが、電気が使えない場合は、都市ガスも駄目だろう。とすれば、対策はただ一つ。簡易式のガスコンロだ。つまり、カセットコンロだ。
カセットコンロ(各種一覧)
ボンベ1本で、(中火なら)2時間ぐらい使えるそうだ。小さな飲食店ぐらいなら、ボンベを 10本かそこら用意しておけば、店内の材料を十分に加熱できるだろう。いちいち美味に調理する必要はない。加熱してから、スパイスと塩味でも付けて、さっさと安値で売り切ってしまえばいい。
とにかく、腐敗するのが一番の問題だ。腐らせて捨てるのが最悪だ。売れ残ったら、従業員が自宅で食べればいい。
もちろん、家庭でも役立つ。いざとなったら、これで湯を沸かせば、カップラーメンを食べられる。また、水道が止まっても、風呂の水を浄化して、煮沸すれば、水の不足にはならない。(煮沸できるのが最大の美点。)
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結論。
地震対策で食糧の心配をするなら、非常食の備蓄ではなく、ガスコンロを備蓄するべきだ。備蓄するものを間違えてはいけない。
また、実際に地震が来たら、非常食を食べてはいけない! 最優先のことは、生ものの腐敗を避けることだ。そのために、非常食のかわりに、生ものを加熱して食べてしまえばいい。
飲食店では、生ものをさっさと売り切ってしまうべきだ。売るのが面倒なら、タダで配ってしまえばいい。とにかく、腐敗を避けることが最優先だ。
【 追記 】 ( 2013-04-06 )
ガスコンロのかわりに、炭を使うといいようだ。読者コメントで教わったが、実際に東日本大震災のときには大活躍だったという。
炭ならば、ガスと違って爆発の危険がないので、保存や利用が容易だ。デパートでも保存できるし、屋上で使用もできる。(煙が出るので室内ではできないが。)
また、普段から魚焼きやバーベキューにも使える。自動車に乗せて、郊外に出掛けて、高原や川原でバーベキュー、というのも楽しそうだ。普段から楽しみのために用意しておくと、地震のときにも役立つ、という一挙両得。(あと、子供のための教育にもなるね。サバイバルごっこや、炊事の訓練など。)
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[ 付記 ]
特に、夏には、このことに注意。下手をすると、不衛生のまま、疫病が流行するかもしれない。東北では大丈夫だったから首都圏も大丈夫だ、ということにはならない。東北で地震が起こったのは、3月11日だから、暑くはなかった。首都圏直下地震は、関東大震災と同様に、9月1日に起こるかもしれない。9月1日は、昔の感覚では秋だが、今では猛暑の時期だ。猛暑のさなかで、疫病が流行するかもしれない。
実を言うと、東北でも、夏にはガレキのあるところで巨大なハエが大量に発生した。東京では、生ものがあちこちで廃棄されたあとで、巨大なハエやらゴキブリやらがやって来るかもしれない。家の中がゴキブリだらけになるかも。
【 関連サイト 】
以下は、見ない方がいいです。
→ その気持ち悪い画像 (閲覧注意)
→ ゴキブリ大量発生のホラー動画 (閲覧注意)
※ 悪趣味で紹介しているわけではありません。警告のため。
これを見ても、死にはしないだろうが、対策をしなければ、死者が出るかも。
(自分も当然用意してあります)
>飲食店やスーパーなどでは、普段から大量の食糧を用意している。
といいますが、先の震災での状況を考えても
スムーズにそれらを調達出来るとは限りません。
しかも東京都が想定してる首都直下型になれば
当然飲食店やスーパーも被災し品物はゴチャゴチャになり
ガラスが割れたり照明が落ちてきたり
レジも電源が切れれば精算できなくなり閉店する
可能性もあります。
うちは北関東ですが、311直後に大手スーパーは
軒並み閉店してました。
(タダで配ることもあるでしょうが少ないでしょう)
パニック状態になれば商品の奪い合いなども
起きるでしょう。
行列に並んでいる時に大きな余震でもあったら
被害が拡大しますし。
私の備蓄は特に
「パニック状態になった群集の中に突入したくない」
なるべく家や会社から出ない
というのが一番の目的でもあります。
(原発爆発直後の水パニックは酷かった)
多数の従業員の食料を災害時に外部から
調達するというのは難しいと思います。
(官庁ビジネス街なんかは特にスーパーなどは少ない)
コンロ備蓄は生ものを食べるというよりも
「暖かい食事を食べることで精神的に落ち着かせる」
と言う効果のほうがあると思います。
(特に311のような真冬ではなおさら)
(それに今の備蓄食は湯煎やお湯を加えるのも多いです。)
「備蓄をするのもいいが、もっと大切なことを忘れていませんか」
という趣旨。無駄をなくそう、という趣旨。備蓄のことばかり考えていて、発想が尻抜けになっているんじゃないの、という指摘。
現実には、双方できれば、それに越したことはない。会社の備蓄と、飲食店のガスコンロ。双方やればいい。ただ、優先順位は、後者でしょう。少量のガスコンロを用意するだけで、大量の食材を廃棄しないで済む。
なお、官庁ビジネス街だって、普段はちゃんと昼食を取っているんですから、食材はたっぷりありますよ。どこに? 官庁の庁内食堂です。
要するに、食材そのものは、もともと用意されているんです。火がないだけで。だから、その点を解消しよう、というのが、本項の趣旨。
コンビニ、スーパーは非常時にどのように食料をはき出すのか、平時から方針を決めておいて欲しいと思います。ただで配ってあとで回収できる仕組みがあればいいのですが(ただで配ったからその後しばらく値上げして、客もそれを理解して高くても買う空気を持つ)・・・
ところで、燃料の備蓄には大賛成なのだが、備蓄した燃料の安全性はどうだろう。かといって七輪と練炭を置いておくのもスペースを食うし、使い勝手がガスより大分悪い。