2011年11月19日

◆ 続・光速よりも速い粒子

 ニュートリノの速度は光速よりも速い、という実験が出たあと、再実験しても、同じ結果が出た。しかし、この実験には根本的な欠陥がある、と私は思う。 ──

 ニュートリノの速度は光速よりも速い、という実験が出た。この件は、先に記したとおり。
  → 光速よりも速い粒子? ( 9月23日 )

 そのあと、再実験しても、同じ結果が出た。
  → 再実験でも超光速

 これを聞いて、「やっぱり光よりも速いのか」と思う人もいるだろうが、それは早計だ。もともと同じ実験を繰り返しただけだから、同じ結果が出るのは当り前のことだ。前回の結果が測定ミスではないと確認にされただけだ。しかし、測定ミスということは、このレベルではありえないことだ。(初回から何度も検証されていた。)……だから、もともと「測定ミスはなかった」という再確認が出ても、そのこと自体にはほとんど意味はない。
 その意味で、今回の再実験には、ほとんど意味はない。

( ※ 厳密に言うと、同じ実験ではなくて、測定の時間を短縮していた。その意味で、少しは違う。ただし原理は同じだ。)

 ──

 問題は、もっと別のところにある。この実験には根本的な欠陥がある、と私は思う。
 それを知るには、実験の詳細を見るといい。
  → 再実験結果(実験の図あり)
  → 元の実験の原論文 (PDF:5MB)

 これを見ると、次のことがわかる。
 「ニュートリノの速度を測るというとき、次の二点の時間を計っている。(1) 発生した時刻 (2) 到達した時刻」

    ■ ────────→ ●
   発生          到達

 
 しかしこれでは、ニュートリノの速度を測ったことにはならない。なぜなら、発生装置の内部で、何らかのタイムラグがあった可能性があるからだ。
 ニュートリオの速度を、発生のタイムラグなしで検出するには、次の測定をしなくてはならない。

         到達1  
      ──→ ●
    ■
      ────────→ ●
   発生          到達2


 この場合には、到達1の時刻と、到達2の時刻とを調べて、その差分を取ればいい。そうすれば、その差分の時間と、二つの場所距離を比較して、ニュートリノの速度を算出できる。つまり、この場合には、発生の場所でのタイムラグを消去できる。

 一方、今回の実験では、発生の場所のタイムラグが込みになっている。その場合には、ニュートリノの速度を測定したことにはならない。「タイムラグの箇所を込みにした速度」を検出したことになる。

 ──

 ここで、問題は、次のことだ。
 「タイムラグがあったとすれば、速度は遅くなるはずなのに、実際には速くなっている」

 タイムラグがあれば、遅延部分があったことになるから、光速よりは遅く測定されるはずだ。なのに実際には、速く測定されている。では、これはどういうことか? 
 それには、次のように考えるといい。
 「マイナスのタイムラグがあった」

 では、「マイナスのタイムラグ」とは何か? 私なりに想像すれば、次のような例が考えられる。
 「ニュートリノを発生させる、予備的な粒子がある。予備的な粒子がニュートリノを発生させる。装置内では、予備的な粒子が発生したあとで、遠くの検出器に届く。それに少し遅れて、予備的な粒子が崩壊して、ニュートリノが発生する。予備的な粒子が崩壊するには、時間がかかるが、その崩壊の時間は、発生の装置内では遅れる。そこで、ニュートリノの測定だけを見ると、発生装置内では遅れてニュートリノが出現し、一方、測定装置では早めにニュートリノが出現する。予備的な粒子の速度自体は光速であるが、ニュートリノの発生時刻を見ると、ニュートリノが光速よりも速く移動したように見える」

 これによって、次のことが説明される。
 「現実の粒子の速度は光速以下であるが、見かけ上は、ニュートリノが光速以上で移動したように見える」


 ここで、「予備的な粒子とは何か?」が問題となるが、たぶん、ニュートリノの仲間だろう。ある種のニュートリノが崩壊して、別のニュートリノになるだけだろう。……ちょっと違うかもしれないが、だいたいそんなところだろう、と私は推定する。

 ──

 ともあれ、ニュートリノの速度を厳密に計測するには、上に示した方法で、新たに実験する必要がある。そして、到達点1 と 到達点2 における時間の差分を取る必要がある。
 今回の実験は、実験としては不十分なものだ。
 本項で示した新たな実験をすれば、「差分を計測したら、ニュートリノの速度は光速以下でした」と判明するだろう、と私は予想する。
 
 ※ ただし、その場合にも、新たな未知の現象が見つかることになる。それはそれで、興味深い。ただしそれは、「ニュートリノの崩壊の新たな現象」というようなものであって、世間をにぎわすような大きな話題とはならないだろう。
 


 【 追記 】
 あとで気づいたのだが、前出項目のコメント欄に記したように、次の情報があった。
 こうした指摘を受け研究チームは今月27日から、再びニュートリノを発射する追加実験を行う。陽子の通過時刻だけでなく、新たな検出器を設置して発射直後のニュートリノの通過時刻もとらえ、時間計測の正しさを立証する計画だ。実験は約10日間の予定で、結果を論文にまとめる
( 産経新聞 10月23日(日)1時29分配信
  → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111023-00000505-san-soci参考図
 こちらの実験が必要だ。この実験はなされたのだろうか? そこがよくわからない。



 【 後日記 】

 さらに新情報が出ました。この実験の報告は、再実験の結果、否定されました。
  → 続々・光速よりも速い粒子
posted by 管理人 at 11:15| Comment(2) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「OPERAの光子がやられたようだな」
「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
「ニュートリノごときに負けるとは光子の面汚しよ」
Posted by 通りすがり at 2011年11月19日 14:14
そうですよね、別にニュートリノを直接検出できるわけじゃないので、せめて衝撃波を2点で検出し、その速さを測定すべきですよね。 先にそれやりなさいって感じですw
あと、静止衛星での時刻同期も予定しているそうですね。
なんか片道の光波のスピード自体もそこまでやっているのかって感じです。
ひゃまの予想は、光波もニュートリノも同じ速さです。
Posted by ひゃま at 2011年11月22日 22:47
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