2011年11月16日

◆ 後脚をもつイルカ

 イルカやクジラには、前肢から変化した前ビレだけがあるのが普通だが、腹ビレをもつイルカが見つかった。腹ビレは、後肢の痕跡だという。その意味は? ──
 
 イルカやクジラには、前肢から変化した前ビレだけがあるのが普通だ.しかしこのたび、腹ビレをもつイルカが見つかった。
 和歌山県沖で世界で初めて見つかった腹びれを持つイルカを東京海洋大学などが詳しく調べた結果、このひれが後ろ脚の痕跡をとどめ、先端に指の骨もあることがわかった。
 このイルカはバンドウイルカの雌で、2006年10月に和歌山県太地町沖で捕獲された。左右に腹びれがあり、「はるか」と名付けて同町立くじらの博物館で飼育されている。今回、左右の腹びれをエックス線撮影した結果、右に3本、左に2本の指を確認。左右ともに太もも、すね、甲に相当する部分もあり、後ろ脚にあたると判明した。
 鯨の祖先は5000万年前に4〜5本指、3500万年前に4本指の後ろ脚を持っていたが、加藤秀弘・東京海洋大教授は「水の抵抗を減らして泳げるように、鯨は指を減らし後ろ脚を引っ込めていった」と説明。2〜3本指のはるかは、約3000万年前の鯨に「先祖返り」したとみている。
( → 読売新聞 2011年11月16日
 ──

 このこと自体は、特に不思議ではないだろう。なぜか?

 単純な発想では、次のように思えるかもしれない。 
 「後肢の遺伝子はいったん失われたのに、逆方向の突然変異が急激に起こって、イルカが大幅に退化してしまった」

 しかし私は先にクラス進化論で、次のストーリーを示した。
 「遺伝子はいったん発現しなくなることがある。つまり、遺伝子 A は存在しても、その遺伝子 A を作用させる( ON にする)ための引き金となる遺伝子 B が作用しない( OFF になっている)せいで、遺伝子 A が発現しないことがある」

 このように発現しない遺伝子は、「偽遺伝子」と呼ばれる。通常は、遺伝子とは見なされず、「 DNA(塩基・染色体・二重らせん・ゲノム)における、遺伝子ではないガラクタ部分」というふうに見なされる。

 ところがあるとき、突然変異により、遺伝子Bが作用する( OFF が標準なのに、エラーによって ON になる)ことがある。すると、眠っていた遺伝子 A が目覚める(発現する)ことになる。

 ──

 以上のストーリーのもとで、次のように主張した。
  ・ 偽遺伝子の突然変異の量は、ものすごく多い。(= 中立説そのもの)
  ・ 偽遺伝子が目覚めるとき、急激な進化が可能である。
  ・ 鳥の翼は、「眠っていた前肢の遺伝子が目覚める」という形で発生した。


 このようなストーリーが成立する、ということを、今回のイルカの例は示したと言えるだろう。
 つまり、今回のイルカの例は、上記のストーリーの傍証となる。(鳥の翼はいかにして生じたか、という件について、仮説の傍証となる。)



 [ 付記 ]
 鳥類の場合は、いったん失われた前肢が復活したとき、次の二通りがあり得る。
  ・ 前肢として復活する
  ・ 貧弱な翼として復活する

 前肢として復活した例は、これだ。 → ティタニス
 貧弱な翼として復活したのは、これに近い。 → シギダチョウレア

  ※ レアについては別項でも言及した。 → キジ類の祖先
posted by 管理人 at 19:23| Comment(1) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、吉野と言います。

うーん、面白いですね。

でもイルカに後ろ脚がある所を
想像すると…

なんか奇妙な感じです。

素晴らしい記事で大変
参考になりました。

ありがとうございました。

また遊びに来ますね。
Posted by バランスダイエット◆吉野ゆう at 2011年11月17日 16:48
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