関電が原発耐性評価をした。
関西電力は28日、定期検査で停止中の大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町)について、「想定の 1.8倍の地震の揺れや 4倍の高さの津波にも耐えられる余裕がある」とするストレステスト(耐性検査)の結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。ここでは「想定の 1.8倍でも大丈夫」という理屈を出しているが、福島原発の際には「想定外のことが起こった」のが事故の理由だった。つまり、想定そのものが狂っていた。そこを反省するべきなのに、またしても「想定は正しい」という前提のもとで、「想定の 1.8倍でも大丈夫」という理屈を出している。福島原発を見ても、反省はゼロ。(反省するだけなら猿でもできるのに、猿以下だな。これじゃ、猿の惑星 になるのも、仕方ないか。 (^^); )
関電の報告によると、大飯3号機は想定の 1.8倍の加速度 1260ガル(想定700ガル)の地震の揺れや、高さ11.4メートルの津波(想定 2.85メートル)が襲っても、原子炉や配管の強度に十分余裕があるとした。
( → 読売新聞 2011年10月28日 )
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現実の数値はどうか? 次の項目ですでに示した。
→ 浜岡原発は停止へ(菅直人)
そこに、次のリンクがある。
→ ガルと震度の対応表2
ここにある数値を見ると、次のことがわかる。
震度6強 …… 830〜1,500程度
要するに、1260ガルというのは、震度6強の地震だ。震度7以上の地震では、もっと大きな値となる。震度8を超える大地震では、4000ガルぐらいになるようだ。
つまり、今回の報告は、次のことを意味する。
「 1260ガル(震度6強)までは、かろうじて耐えきれます。それ以上になると、原発は壊れます。特に、震度8になったら、目も当てられない惨状になるでしょう」
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実を言うと、今回の大飯3号機は、まだマシな方である。次のデータを見るといい。
→ 大飯発電所 - Wikipedia
これによると、運転開始は、こうなる。
・ 1号機 …… 1979年
・ 2号機 …… 1979年
・ 3号機 …… 1991年
・ 4号機 …… 1993年
つまり、3号機と4号機は、比較的新しい。1号機と2号機は、ずっと古い。こっちの方がはるかに危険だ。
で、その危険なもののうち、1号機は停止中だ。(2011年7月16日にトラブルが発生した。おお、怖い。) 一方、2号機は、稼働中だ。こいつのストレステストをすればいいのに。古い原発だから、1260ガルどころか、500ガル(震度6)ぐらいしか耐えられないだろう。それより大きな地震が来たら、おじゃんだ。
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結論。
今回のストレステストでわかったことは、「 1260ガルまで耐えられるから大丈夫」ということではなく、「 1260ガルぐらいまでしか耐えられないから危険だ」ということだ。要するに、「大型地震には耐えられない」ということだ。
ただし「小型の地震しか想定していない」という前提のもとで、「想定よりもはるかに大きな地震が来ても大丈夫です」というふうに、言いくるめることができる。ペテン。ですね。電力会社はまたしてもペテンでだまそうとしている。
この分だともういっぺん、大地震で大事故が起こるかな。
[ 付記1 ]
実は、いちいちストレステストをするまでもなく、今回の結果は最初かから明らかだった。いちいち調べなくても、最初からわかっていた。本サイトでも一般的な数値として、同様な数値をすでに掲げている。( 1000ガル程度までしか耐えられないものばかりだ、ということ。)
ストレステストなんて、最初から「すべて不合格」と判明していたのだ。なのに、「何とかして合格という報告を出したい」という狙いで、勝手に報告を捏造しているわけだ。それだけのこと。
[ 付記2 ]
じゃ、どうすればいいか? 「ストレステストにはすべて不合格だ」と認めればいい。その上で、「数年以内に改修する」という方針を示せばいい。別に、「合格しなければ止める」というものでもない。「数年以内に改修する」という方針があれば、とりあえずは「夏だけの原発稼働」は許容されていいだろう。……これが私の方針だ。
で、数年後に改修が終わったら、夏も稼働すればいい。
それだけのことだ。
( ※ なお、「改修」というのは、「水棺」の処理のこと。)
【 関連項目 】
→ エネルギー政策の提言
高木仁三郎の論文によると、問題なのは単純な揺れではなく、揺れが繰り返されることだ。すると、何度目かの揺れで配管が破断する。なのに、今の原発はそのことが想定されていない。
実際に原子炉を揺らすわけにはいかないし。。。
設計図をから計算するのであれば手抜き工事などは想定されていなのでしょうね。