2011年10月20日

◆ セディバ猿人と二足歩行

 人類の進化について、
  ・ セディバ猿人
  ・ 人類と二足歩行
 この二つについての情報を紹介した上で、部分的に批判する。 ── 

 (1) セディバ猿人

 セディバ猿人についての記事は、2010年4月に報道された。今さら書くのも時期遅れという気もするが、もともとたいして重みのある情報ではなかったからだ。それでもあらためて示すと、次の通り。
  ・ 猿人(アウストラロピテクス)と、ホモ族との中間だと、見なせなくもない。
  ・ しかし全体としては、明らかに猿人である。
  ・ 学名もアウストラロピテクス・セディバであり、アウストラロピテクスの一種。
  ・ 生存時期は、初期のホモ族であるホモ・ハビリスよりも少し後。

 特に最後の点から、人類(ホモ族)の直接の祖先とは見なされないようだ。

 もっと詳しい情報は、下記で。(たいした情報はないが。)
  → http://j.mp/nn1sJC
  → http://j.mp/pn17zm
  → http://j.mp/nz5FwX
  → http://j.mp/piKc1v
  → http://j.mp/puoerl
  → http://j.mp/qTopjV

 ──

 (2) 人類と二足歩行

 セディバ猿人の化石を調べて、人類と二足歩行の関係を考える新説が出たそうだ。( → 朝日新聞・朝刊 2011-10-20。紙の新聞のみ。)
 一部を引用しよう。
 人類の骨盤が二足歩行に適した形になったのは、有力な説である赤ちゃんの頭が大きくなったためではなく、草原がひろがった環境への適応による──。二足歩行の起源に関する新説。(米科学誌サイエンス)
 これまで、人間の祖先のホモ族は、脳が大きい赤ちゃんを生むために産道が大きくなり、骨盤の幅が相対的に狭くなっても効率的に歩ける現代人に近い形に変化した、と考えられてきた。
 しかし、ホモ族と同時期に存在したセディバの頭は少年も女性も小さく、産道は小さいままなのに骨盤の幅が狭くなっていた。
 馬場研究員は「セディバ猿人と人間の祖先の関係はわからないが、骨盤の変化の要因で脳の拡大を重視する最近の有力説を、今回の化石が覆した点が興味深い」と話す。
 要する、こうだ。
 従来の発想では、次の理屈だった。
 「赤ん坊の脳が拡大 → 産道が拡大 → それでも歩ける形の骨盤になる」
 しかし化石を見ると、こうだった。
 「赤ん坊の脳が小さいセディバ猿人でも、同様の形の骨盤になる」
 これによって、従来の発想が否定されたことになる。

 このことから、次のように結論される。
 「二足歩行の理由は、脳の拡大ではない」(別のことが理由だ。)
 そこで、次の節が有力になった。
 「脳の拡大が理由でないなら、草原への適応が理由だろう」 ……(*

 以上が、記事の報道だ。

 ── 

 以下では、私なりに批判を加えよう。
 (*)では、「AではないからBだ」というふうな論理を立てているが、論理が滅茶苦茶だ。「Aではない」ということは、「Bである」ということを意味しない。もし意味するとしたら、その前に、「AかBか、いずれかである」ということを示さなくてはならないが、そんなことは示されていない。ゆえに、「Aでない」からといって、「Bである」というとは成立しない。(論理的に。)
 具体的に言えば、「二足歩行」の理由について、「脳の拡大」が理由として成立しなかったからといって、「草原への適応」が成立する、ということにはならない。論理的に滅茶苦茶だ。

 さらに、進化論の立場からは、もっとはっきりしたことが言える。それは、ラミダス猿人だ。
 ラミダス猿人は、アウストラロピテクスよりも古い猿人だが、この段階で、すでに樹上生活と直立二足歩行ができたらしい。
  → ラミダス猿人
 要するに、初期人類(猿人)は、草原に進出するよりもずっと前の時点で、なかば樹上生活をしながら、直立二足歩行をいくらかやり始めていたのである。

 ──

 時間順に並べよう。

   440万年前    …… ラミダス猿人   (半・直立二足歩行)
   400〜200万年前 …… アウストラロピテクス (直立二足歩行?)
   230〜140万年前 …… ホモ・ハビリス    (直立二足歩行?)
   190万年前    …… セディバ猿人     (直立二足歩行?)
   190万年前 〜  …… ホモ・エレクトス


 つまり、440万年前のラミダス猿人の段階で、すでに半分ぐらいは直立二足歩行ができていたのだ。そのときは樹上生活と半々だったので、まだ森林にいたことになる。
 その後、ホモ・エレクトスの段階になると、完全に直立二足歩行ができるようになった。この段階では、草原にも進出していただろう。
 そして、その中間であるアウストラロピテクス,アウストラロピテクス・セディバ、ホモ・ハビリスの段階では、直立二足歩行は不完全に実現できていたらしい。

 以上からわかるように、直立二足歩行は少しずつ段階的に進化していったのだ。「草原に出たから、急に直立するようになりました」というわけではないのだ。

 というわけで、「草原に出たから直立しました」という仮説は、あっさり否定される。



 【 関連項目 】

  → 草原説と直立歩行
posted by 管理人 at 20:47| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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