風力発電などの不安定な電力を安定化するために、アジアを結ぶ国際的な送電網の整備を、という案が出た。
《 国際的な電力網の整備を提言 》──
東日本大震災を受けて、新たな国づくりを民間の有識者で検討している「日本創成会議」は、再生可能エネルギーの普及に向けて、日本とアジア諸国などとを結ぶ電力網の整備の実現を日本が主導することなどを盛り込んだ提言をまとめました。
提言では、エネルギー政策について、国の外交などとも密接に関連していて、電力需給や防災の視点だけで検討すべきではないとしたうえで、再生可能エネルギーを今後エネルギーの中核に位置づけ、開発や導入に取り組むべきだとしています。
そのうえで、風力などによる発電の不安定さを克服するため、日本とアジア諸国などとを結ぶ国際的な電力網の整備の実現を日本が主導すべきだとしています。そして、その実現のために、日本の再生エネルギー技術をアジアに広げ、アジアの電力供給体制を強化し、国際的な電力網への接続をにらんで、国内で発電と送電の分離や、全国統一の送電体制を確立することなどを求めています。
増田座長は「エネルギーの安定性の確保は重要なテーマであり、技術を持つ日本が主導的な役割を果たして、ネットワークを作っていく必要がある」と述べました。
( → NHKニュース 2011-10-08 )
言いたいことはわかるが、筋が悪い。
(1) 電力の安定化
「風力発電などの不安定な電力を安定化するため」という目的はいい。しかしそのために、「アジアを結ぶ国際的な送電網の整備を」という方法はまずすぎる。
第1に、アジアの各国は不安定な電力が多い。先日は韓国で大停電が起こったばかりだ。そんな不安定な電力と結べば、とばっちりを食う。そこを理解できていない。「自分の不安定さを他国に尻ぬぐいさせる」という手前勝手な発想があるだけだ。「他国の不安定さを自国で尻ぬぐいするハメになる」という現実を理解できない。あまりにも物事の半面しか理解できていない。
第2に、コストが莫大にかかる。風力発電の不安定さを補填するとしたら、とてつもなく巨大な電力の相互的なやりとりが必要だ。日本海に超巨大なケーブルを敷設する必要がある。
第3に、コストがかかる割に、効果はたいしたことはない。この程度の国際電力網を構築しても、風力発電の不安定さを補填することはできない。(変動の幅があまりにも大きいからだ。太陽光も同様。)
第4に、同じ目的のために、私は全く別の案を示している。それは「需要の側による変動の吸収」だ。
→ スマート家電 > 蓄電池
これならコストは最小で済み、しかも、変動を完全に吸収できる。ずっと低いコストで、はるかに大きな効果を得られる。だったら、その方がいい。ひるがえって、国際的な送電網なんて、莫大なコストがかかる割に、効果はとても小さい。
(2) 全国統一の送電体制
これは (1) の「電力の安定化」の「国際的な送電網」の前提となる条件だから、あとから加えたのだろう。しかしそんな取って付けたようなことを提案しても、有名無実だ。なぜならそこでは、「周波数の統一」の方法が示されていないからだ。
「周波数の統一」自体は、言及されている。
国際電力網の構築を進めるため、地域独占体制による国内の発送電体制の分離と、東西で異なる周波数の統一が欠かせないと指摘。しかし、方針は示しても、その具体的な方法を示していない。
( → 河北新報 )
どうせなら、私のように、その具体策を示すべきだ。
→ 周波数統一のプラン
そして、こういうことができていないのであれば、今回の提言は「絵に描いた餅」にすぎない。
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まとめ。
「電力の安定化」という狙い自体はいい。しかし、そのための方法がまったく駄目だ。長期的な目標は得ることができるが、そのための過程がまったくわかっていない。
[ 余談 ]
こういうのを見ると、ジョブズの偉大さもわかる。「未来はこんなふうになるだろう」と安直に夢想するだけでは駄目なのだ。夢を形にする具体的な能力が必要なのだ。
そういう力は、ジョブズにはあったが、素人にはなかった。それが天才と凡人を分ける点だ。
ジョブズの訃報で、掲載が遅れました。ただ、内容自体は、少しぐらい掲載が遅れても関係ないので、ご容赦ください。
技術的には、発電所事体には、50/60どちらでも発電可能な発電機がありますが、周波数固定の発電機も多いのでその総数は、わかりません。しかし驚くほどのコストにはならないと思います。
60Hzの方が供給での効率が良いが、発電効率からすると 当然50Hzの方が少し小さな力で発電できる訳です。送電網での昇圧を考えるとやっぱり60Hzが良いのかなとか思っています。
やらないのは電力会社の社会主義的独占を守る為のような。
(1)の案は大分前からよく言われているものでして、旧スマートエアコンのエアコン自体を切ってしまう技術はすでにあります。
新スマートエアコンはいいアイデアだと思いますが監視するとしたら周波数になるかと思います。
また周波数を監視したとして意図的に電力会社が周波数を変動させるのは無理があります。大きな工場などではインバータを介していないモーターなどがあり、品質がばらけたりするなどの問題があり、莫大な損害を生み出す恐れがあるかと思います。
スマートメーターなどを介して家電に通信信号を送り負荷制御するほうが現実的に思います。これも似たような考えはすでにあります。
(2)の周波数統一ですが、周波数をこまめに変えるのは無意味に設備交換のコストを大きくするだけです。また需要家側にも大きな負担を強いられます。
10/3の記事では家庭用の機器には問題ないと書かれていますが、これは確かに問題がなく現在家庭内の機器はほとんどが交流から直流に変換しているため、別に70Hzでも問題ないです。工場などの負荷が問題になり、1Hzずつ変えられるぐらいなら一気に統一したほうが良いです。周波数を変えることは簡単だという認識は改めた方が良いです。
> 周波数を監視したとして意図的に電力会社が周波数を変動させるのは無理があります。
おっしゃることが矛盾していますよ。周波数がいいと言ったり悪いと言ったり。
私は周波数変動は困難だと思うので、電圧の変動を支持します。この夏は実際に 15ボルトぐらい低下させましたが、ほとんどの人は気づきませんでした。
> スマートメーターなどを介して家電に通信信号を送り負荷制御するほうが現実的に思います。
蛍光灯などではそんな制御装置を付けたら、価格が非常に上昇します。また、既存の蛍光灯には効果がありません。実現には 50年以上かかるでしょう。電圧変動ならば、今すぐにも可能です。というか、今夏にすでに実現しています。15ボルトの低下という形で。
>周波数をこまめに変えるのは無意味に設備交換のコストを大きくするだけです。
>1Hzずつ変えられるぐらいなら一気に統一したほうが良いです。
> 周波数を変えることは簡単だという認識は改めた方が良いです。
誤解しているようですね。
私が言っているのは、次のこと。
第1に、1Hz ならば周波数変動の許容範囲内だ、ということです。そのくらいの変動で壊れる機械はほとんどありません。一度に10Hzも変動させたら、耐久性の面でいつかは壊れるかもしれないが。(即時に壊れることはないだろう。)
第2に、少しずつ変えることが目的じゃありません。仮に機械が永久の寿命を持つのであれば、一気に変えた方がいいでしょう。しかし現実には寿命があり、10年もたてば大半の機械が寿命を迎えます。つまり、大半の機械は、10年間に1回(1Hz だけ)の変化を受けるだけです。50年間に5回の変更を受けるわけではありません。そこを勘違いしないでください。
ま、50年間に5回の変更を受けるくらいだったら、一気にやった方がいいでしょうけどね。しかしそれは勘違い。
なお、最初の周波数変更(1Hz)は、法律制定の 10年後です。法律論議に 3年かかるとして、13年間の猶予があります。その間に、ほとんどの機械は改修されているでしょう。どうしても改修できなかった機械は 13年後までに買い換えればいい。それだけのこと。13年もたてば償却済みだろうから、周波数変更のためにかかる費用はゼロ同然です。
一方、一挙に変更すれば、大半の機械を交替しなくてはならないし、発電所も大改造する必要があります。兆円単位のコストがかかり、しかも大混乱が起こります。そんな馬鹿げたことをやるくらいなら、周波数統一はしない方が利口でしょう。
比較:
一挙案 …… 大混乱。莫大なコストがかかる。ただし時間は、そのときの一瞬。
私の案 …… 混乱なし。コストもほとんどなし。ただし時間は 50年〜60年もかかる。
この二者択一です。ついでに言えば、「一挙案」は、あまりにもデメリットが大きいので、メリットをはるかに上回ります。実現は無理でしょう。(実現する方針が出たら、私は大反対します。)
管理人さんは基本的な電気工学・電機機器などの知識はありますのでしょうか。
>おっしゃることが矛盾していますよ。周波数がいいと言ったり悪いと言ったり。
電力不足時は周波数が変動しますので、監視するとしたら周波数ですが、周波数変動の影響は大きいので意図的に変動させるのは不可です。
>この夏は実際に 15ボルトぐらい低下させましたが、ほとんどの人は気づきませんでした。
初耳ですが、どこの電圧でしょうか。特高?高圧?商用?
>蛍光灯などではそんな制御装置を付けたら、価格が非常に上昇します。
蛍光灯にはつけません。家庭用ならエアコンです。ちなみに負荷側のコストですが電源OFF信号を送るだけならば有線ですとカプラー1つと端子台程度です。
>第1に、1Hz ならば周波数変動の許容範囲内だ、ということです。
0.2Hzが限度といわれています。
電圧変動より周波数変動の方が厳しく運用されます。
>第2に、少しずつ変えることが目的じゃありません。仮に機械が永久の寿命を持つのであれば、一気に変えた方がいいでしょう。しかし現実には寿命があり、10年もたてば大半の機械が寿命を迎えます。
工場などの現場を見に行くことを勧めます。
> 電力不足時は周波数が変動しますので、監視するとしたら周波数ですが、周波数変動の影響は大きいので意図的に変動させるのは不可です。
だから私の言っているとおりでしょ。
> 初耳ですが、どこの電圧でしょうか。特高?高圧?商用?
家庭用です。本サイトの当時のコメント欄に誰かが計測して報告しています。適当に探してみてください。私の言うことを信じられないのであれば。
> 家庭用ならエアコンです。ちなみに負荷側のコストですが電源OFF信号を送るだけならば有線ですとカプラー1つと端子台程度です。
受信側はそうでも、送信側が大変ですよ。5000万kWの電力に信号を乗せて広大な領域に送信するわけですから、ものすごい規模が必要です。なのに、全然考えていないんですね。
> 0.2Hzが限度といわれています。
家庭用ならば 50/60 が共用なので、0.2Hzが限度ということはありません。一般的には、聞き事に違うはずで、一律の値を示すという点で、ガセですね。
なお、私の言っているのは、「現状の機械で変更する」のではなく、「10年後の機械で」です。「電圧変更対応済み」の処理をすればいいだけですから、「できない」ということは原則としてありえません。
> 工場などの現場を見に行くことを勧めます。
会計の減価償却の計算を見ることをお勧めします。いくら長持ちするからといって、減価償却の済んだ機械を使う必要はないんですよ。
p.s.
それにしても古すぎる。問答するなら、すぐに応答してください。七夕様みたいに年にいっぺんの問答じゃあるまいし。