韓国で大停電が起こった。
ソウルをはじめ韓国各地で15日午後3時半頃から大規模な停電が発生、交差点の信号が消えたり、エレベーターに人が閉じこめられたりするなど混乱が広がった。──
韓国電力公社によると、午後8時前に完全復旧するまで、全国の事業所と家庭162万か所が影響を受けた。( → 読売新聞 )
供給予備率でみると、わずか0.36%。電力需要が供給を超過して全土が一斉停電する寸前だった ( → 日経 )
エレベーターの中に閉じ込められた。 ( → 韓国の停電: 各種報道のまとめ )
これを他山の石として、日本の状況を考えてみよう。
私が初めに思ったのは、次のことだ。
「なぜいきなり停電にしたのか? 電圧低下と周波数低下をすれば、いきなり停電にはならなかったはずだし、エレベーターに人が閉じ込められるというような問題も起こらなかったはずだ」
電圧低下と周波数低下。この手が効くから、いきなりの停電は起こらないはずだ、というのが、私の認識だった。たとえば、大阪府でも、電力不足になる可能性はあったが、その場合も、少しぐらいの不足ならば電圧低下と周波数低下が起こるぐらいで済むだろうと予測していた。しかるに今回の韓国は、昔の日本のように、いきなり大規模停電が起こってしまった。
とすれば、日本でも、似た事情にあるのだろうか? 電力供給が少しだけ不足したときに、関電は、「電圧低下と周波数低下」という方法を取らずに、いきなり電力を切ってしまうのだろうか?
この問題について、電力会社の見解を聞きたいものだ。「日本でも同じことが起こるのか?」という質問に、どう答えるか?
「原発を津波が襲ったら?」という質問に対しては、電力会社はのらりくらりとかわして、まともに答えなかった。結局、何もしていなかったから、何も答えられなかったわけだ。(あるいは、「大丈夫です」という虚偽の答弁をした。)
というわけで、過ちを繰り返してほしくないので、この質問を示しておこう。
[ 付記 ]
「電圧低下と周波数低下で、ある程度は対処できる」
ということは、前に示した。
→ 停電よりは電圧低下を
→ 大停電を防ぐには
【 追記 】
イタリアでは、電圧低下という方法を取っているようだ。次の事情があるからだ。
全体の15%を輸入に頼るイタリアでは電気料金は非常に高く、電力は安定していない。今でも部屋の電気が明るくなったり暗くなったり、突然停電したり。別の理由で電圧低下が起こっているということも考えられなくはないが、人為的に勝手に電圧を操作しているとも思えないので、需要によって自然に電圧が変動するのだろう。日本でも数十年前にはそういう事情にあった。(電灯が暗くなったりチラついたりした。)
ただ、電圧低下では済まずに、大停電になることもあるそうだ。下記を参照。
→ イタリアでは再び大停電が発生した。 (2003年)
電圧低下はありえても、周波数低下なんてありえません。
小型の発発なんかでも、遠心クラッチで回転数を制御しています。
ましてや複数の発電所から広域に送電する場合、周波数がずれると波形の山と谷がぶつかりあうなんてことが起こるため、周波数は厳密に管理されています。
なのでその周波数の正確さを利用して、昔の電気時計やレコードプレーヤーはその回転速度を維持していました。
発電所というのは面白いシステムになっていて、全体が一つのモーターとなって連動するようになっています。どこかの発電機が遅れると、連動して他の発電機もいっせいに遅れるようになります。独立していないわけです。
この事情については、どこかのサイトで解説されていると思いますから、調べてみるといいでしょう。
周波数は、発電所の側が制御しているというより、需要の側の変動に引きずられる形で、勝手に変動します。
→ http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1602335.html
なお、前に別の人のコメントがあったのは、「電力不足の今年は、電圧低下と(ごくわずかな)周波数低下が計測された」ということです。
→ http://openblog.meblog.biz/article/4953467.html
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多くの発電機が一体化するということは、「同期発電機」という概念で説明される。
→ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1150406696
※ この件は、前に下記項目のコメント欄で言及した。
→ http://openblog.meblog.biz/article/4357883.html