(この件に関して、池田信夫の主張は嘘ばかりである。) ──
まず、古いデータを紹介すると、4月のデータとしては次の項目で示したとおり。
→ 放射線の分布地図
これは広域の詳細な地図だ。
その後、いくらかデータが出たようだが、あまり変化はなかったようだ。
──
8月になって、「セシウムの土壌汚染」というデータが出た。
→ 福島の土壌汚染の地図(8月)
これは、土壌汚染の地図(Bq/m2)なので、(空間の放射線量を示す)先の地図とは、直接の対比はできない。参考となるに留まる。
──
そこで、9月のデータだが、範囲は限定的であるにせよ、新たなデータがある。次のサイトだ。
→ 大熊町が実施した町内放射線量の測定結果
ここに、原発近辺の地図がある。
→ 原発近辺の地図
これは、9月13,14日のデータだ。右上に二重の円があるが、これは3キロ圏と5キロ圏を示すらしい。円の中心は、福島原発だ。
見ればわかるように、50以上の高い数値をもつ区域がたくさんある。ここで、数値の単位は μSv/h だから、 mSv/年 の単位に換算するには、9倍すればいい。
つまり、年 450 mSv 以上の高い放射線領域がたくさんある、とわかる。
──
大熊町のサイトには、数値を示したデータ表もある。それを転載しよう。
9月 空間線量率の測定結果 | 単位:マイクロシーベルト/時 |
図 面 | 住所 | 測定位置 | 空間線量率 | |||||
8/5 | 8/13 | 8/23 | 8/29 | 9/6 | 9/14 | |||
23 | 夫沢 | 西北西約2.5km | 20.0 | 22.0 | 17.8 | 20.5 | 20.5 | 19.9 |
25 | 野上 | 西約14km | 3.5 | 3.3 | 3.3 | 2.6 | 2.8 | 3.2 |
26 | 野上 | 西約11km | 3.6 | 3.5 | 3.4 | 3.2 | 3.0 | 3.4 |
29 | 夫沢 | 西約2.5km | 58.6 | 63.0 | 54.3 | 61.2 | 56.3 | 60.0 |
30 | 夫沢 | 西約2.5km | 24.1 | 23.8 | 20.1 | 24.3 | 24.8 | 22.0 |
34 | 大川原 | 西南西約8km | 3.4 | 3.2 | 3.7 | 3.6 | 3.7 | 3.5 |
35 | 野上 | 西南西約7km | 14.6 | 15.0 | 14.1 | 14.2 | 14.1 | 14.4 |
36 | 下野上 | 西南西約5km | 29.6 | 38.4 | 31.8 | 32.2 | 32.0 | 34.4 |
37 | 小入野 | 西南西約3km | 73.6 | 79.0 | 72.3 | 80.1 | 63.3 | 75.0 |
38 | 小入野 | 西南西約3.5km | 11.2 | 15.1 | 10.3 | 10.6 | 10.5 | 12.2 |
47 | 熊川 | 南南西約4km | 34.6 | 32.8 | 34.4 | 35.0 | 36.2 | 37.0 |
50 | 熊川 | 南約4km | 18.0 | 20.8 | 19.0 | 20.6 | 17.7 | 14.3 |
(測定実施者:電力会社)
見ればわかるように、原発近辺では非常に高い値であり、14kmほど離れた地点でも、次の値となっている。
3.5 μSv/h ≒ 30 mSv/年
これは、安全な居住可能な領域としては、ギリギリの値だろう。(政府の言う 年 20 mSv の領域にほぼ等しい。政府の値では屋内で過ごす時間は放射線数値が低いと想定されている。)
──
というわけで、現時点でも、原発周辺は「安全」ということにはならない。特に、半径 10 Km の圏内は、かなり危険であり、人が居住するには適切でないだろう。
( ※ ただし、余命の短い高齢者ならば、あまり問題にしなくてもいいだろう。本人の自由意思に任せてもいいだろう。)
[ 付記 ]
池田信夫は次のように述べている。
今は20km圏内でも数mSv/年ぐらいなので、学校の校庭など特定の場所は除染し、あとは被災者に判断させればいい。しかしこれは例によって、とんでもない言明だ。「今は20km圏内でも数mSv/年ぐらい」ということはない。数mSv/年ではなく、30 mSv/年 以上の地域がたくさんある。特に原発近辺では 500 mSv/年 以上となる!
( → 池田信夫ブログ )
池田信夫は「今は」という言葉を使って、放射線量が激減したようにほのめかしている。しかし放射線量は、4月のころと比べても、あまり変わっていない。せいぜい「ちょっとは減った」という程度であり、「激減した」というようなことはない。
池田信夫の言明は、例によって嘘ばかりなので、だまされないように注意しよう。
【 追記 】
あとで調べ直したら、次の地図データもあった。(クリックして拡大)

→ 出典
新たなデータを追加しました。