2011年09月26日

◆ 防潮堤と二線堤

 津波は防潮堤を破壊する。その教訓を得たのに、陸前高田では防潮堤を構築する予定だ。教訓から何も学んでいない。 ──

 陸前高田では巨額をかけて、巨大な防潮堤を構築する予定だ。
 《 陸前高田の防潮堤は12.5メートルに 県が整備方針 》
 県は、東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市街地を守る新たな防潮堤の高さを 12・5メートルとする方針を固めた。市と県は同震災の津波の高さ13.8メートルを上回る15メートルの防潮堤整備を目指したが、全国一律の安全水準確保を掲げる国の理解が得られなかった。市は15メートルの防潮堤を想定して復興計画の策定を進めてきたため、見直しを余儀なくされる可能性もあり、被災地の現状に即した国の対応が求められる。
 同市街地には約2千世帯が居住し、全ての高台移転は事実上不可能。そこで市は今回の津波の高さを上回る15メートルの防潮堤を整備した上、宅地のかさ上げなどを行い、浸水区域のうちJR大船渡線以北を再び市街地として整備する方針で復興計画の策定を進めてきた。
 しかし建設が固まった新防潮堤はチリ地震津波後に建設された旧防潮堤(5.5メートル)より7メートル高いが、今回の津波より1.3メートル低い。同規模の津波が再来した場合、広範囲の浸水が避けられず、復興計画策定は方針転換を余儀なくされそうだ。また、防潮堤が低くなった分の安全性確保には宅地の一層のかさ上げや第2線堤の整備などが必要。市と県は具体策を検討する。
( → 岩手日報 2011/09/22 )
   
 ── 

 《 岩手、堤防を最大15.5mに 百年に一度の津波想定 》

 岩手県は26日、津波を防ぐために沿岸部の 10カ所の海岸で整備する堤防の高さを 15.5 〜 9.7メートルにすると発表した。津波の発生頻度や費用を考慮し、100年に一度の津波を想定したため、東日本大震災の津波よりは低く設定した。
 震災前の堤防の高さが 5.5メートルで 18.3メートルの津波が押し寄せ、市街地が壊滅した陸前高田市の広田湾は 12.5メートルにする。
( → 共同通信 2011-09-26
──

 しかし、巨大な防潮堤を作っても、津波に破壊される。それは田老地区の教訓からも明らかだ。
  → 堤防は内陸部に

 この教訓を得たのに、ふたたび防潮堤を作っても、ふたたび津波に破壊されるだけだ。田老地区ではその教訓から学んだ。一方、陸前高田では、もともと防潮堤がなかったので、その教訓から学んでいない。
 陸前高田が学ぶのは、いつか? おそらく、次の津波が来たときだろう。そのとき防潮堤が破壊されて、町のすべてが津波に覆われる。すると、「防潮堤は無効だ」とようやく気づくのだ。大量の死と引き替えに。
 何という愚かなことか! 

 ──

 では、なぜ彼らはそれほど愚かなのか? なぜ復興会議の提言から何も学ばなかったのか? そう思って、復興会議の提言を読み直してみた。
  → 復興会議の提言(その核心)

 復興会議の提言には、「二線堤」という用語がある。しかし、「内陸堤防」という概念はない。
 特に、「防潮堤」という概念はあるが、「防潮堤を内陸に置く」という概念はない。また、当然だが、その理由も示されていない。
 その理由とは? 次のことだ。
 「防潮堤を海際に置くと、津波のエネルギーをまともに食って、防潮堤はあっさり破壊される。しかし防潮堤を内陸部に置くと、津波が陸上を進んでいく間に津波のエネルギーを奪われるので、津波は衰弱していく。だから防潮堤は津波を止めることができる」


 このポイントが重要だ。なのに、そのポイントを復興会議は示していない。だから「防潮堤を構築しよう」という発想があるとき、その高さばかりを気にして、その位置を「内陸部」にするという発想がない。
 こんなことでは、防潮堤は津波の直撃を受けて、破壊されるだけだ。

 ──

 どうせ防潮堤を作るなら、内陸部に作る必要がある。たとえば、前出 の普代村がそうだ。
  → 普代村を高さ15メートルを超える防潮堤と水門が守った
  → 普代村第6地割字中山 - Google マップ
 この防潮堤は、高さや丈夫さゆえに有効だったのではない。海岸から何十メートルか離れた内陸部に位置していたから有効だったのだ。その認識が大切だ。

 陸前高田で防潮堤を構築するのならば、その防潮堤は海岸から何十メートルも引き離す必要がある。最低でも 50メートルは離すべきだ。その場合には、高さ 15メートルぐらいで、底辺の幅(▲の幅)のある巨大な防潮堤が必要となる。(普代村のような。)……ただ、この場合にも、津波で防潮堤が崩壊する可能性はある。そのときに命がどうなるかは、ロシアンルーレットみたいなものだ。
 あるいは、海岸から300メートルぐらい離れた場所に、中規模の内陸堤防を作ればいい。その場合には、海岸から十分に離れているので、高さは 10メートル以下で済むだろうし、費用も比較的安上がりに済むだろう。また、壊れる可能性も少ないだろう。この場合には、命をロシアンルーレットに委ねることにはなるまい。

 結局、陸前高田には、3通りの道がある。
  ・ 海のすぐそばに防潮堤を作る  → 巨額をかけて、津波に破壊される
  ・ 海から数十mに防潮堤を作る  → 巨額をかけて、成否は半々
  ・ 海から数百mに内陸堤防を作る → 少額をかけて、きっと安全


 私がお勧めするのは、三番目だ。しかし陸前高田は、1番目を選ぼうとする(らしい)。それは愚者の道である。その結果がどうなるかは、田老地区が教えてくれた。
 はっきり言えば、莫大な金をかけて危険な場所に住む価値など、まったくない。Google マップ を見ればわかるように、陸前高田の高台には、田畑となって余っている土地がたくさんある。だから、住民には、次の二者択一を決めてもらえばいい。
  ・ 安全な高台に済む
  ・ どうせ壊れる防潮堤を構築して、危険な低地に済む。

 前者ならば、費用はほとんどかからない。
 後者ならば、莫大な費用がかかる。その金額は一世帯あたり数千万円にもなるだろう。その金は当然、現地の住民から徴収するべきだ。

 なお、陸前高田の市長は、「その金は国が払うべきだ」と思っているのかもしれない。だとしたら、彼は、「国から大金をもらって、その金で住民を殺す」ということを狙っていることになる。換言すれば、「住民を殺すために、国から金をもらう」と狙っていることになる。
 これはあながち、冗談ではない。陸前高田というのは、被災地のなかでも最悪の市長がいる場所だ。あまりにもひどいので、本サイトでも何度か指摘した。各項で「陸前高田」ないし「市長」という語で検索してほしい。
  → 陸前高田の津波動画
  → 津波被災者の権利(陸前高田)
  → 防災庁を設置せよ

 要するに、今回の震災で最悪の対応をして、不必要な死者を多大に出した馬鹿市長が、それでは足りずに、百年後にも多大な死者を出そうとして、無駄な防潮堤を構築しようとしているのだ。
( ※ なぜ? 公共事業があれば、市長は潤いますからね。小沢政治と同じ。……と思ったら、陸前高田は、岩手県だった。小沢政治そのものである。)
   


 [ 余談 ]
 その小沢の秘書が、地裁で有罪判決を受けた。本日のニュースで話題になっている。
 


 [ 付記 ]
 記事には、「全ての高台移転は事実上不可能」と書いてあるが、嘘八百である。
 Google マップを見ればわかるように、高台には広い田畑がある。そこに平屋を建てると、すべてを使っても足りないかもしれないが、3階建てぐらいのマンションを建てれば、土地はたっぷりと余るはずだ。
 また、上記提案のように、300メートルぐらい離れたところに防潮堤を作れば、半分ぐらいの民家は低地に住むことができる。その場合には、残りの半分を高台に移転すればいい。
 「全ての高台移転は事実上不可能」というのは、見え見えの嘘である。嘘にはだまされないようにしよう。(これは巨大防潮堤を作るために付いた嘘である。小沢流の嘘。嘘をついて、国の金を大量に奪おう、という魂胆。岩手県は、嘘言わんといて県。)
 


 【 追記 】
 陸前高田には、すでに堤防があったが、それは見事に破壊された。その記事と写真がある。
  → http://www.47news.jp/photo/282552.php
  → http://news.so-net.ne.jp/article/photo/627137/
  → http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092601000693.html
 
 記事によれば、「震災前の堤防の高さが 5.5メートルで 18.3メートルの津波が押し寄せた」とのことだ。「15メートルならば大丈夫」と思っているのかもしれないが、堤防の高さばかりを考えていると、百年後の地震ではふたたび破壊されるだろう。



 【 関連サイト 】

  → 海際の津波

 海際の津波はすべてを破壊し尽くす、という話。
 コメント欄で教えていただいた。説明はコメント欄を参照。
posted by 管理人 at 19:01| Comment(1) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>海から数百mに内陸堤防を作る
名案です。
2004年のスマトラ沖地震津波のとき、バンダ・アチェ市街では海岸から1〜2kmの範囲は何も残らず、そこから内陸は人の背丈ぐらい浸水したものの家の外観は残っています。東京大学地震研究所の都司嘉宣は海岸部に近い所では津波は速い流れの凶暴な射流となり、ある地点より内陸側では穏やかな常流の状態となり浸水で済むのではと推定しています。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/KOHO/PANKO2005/openlecture/tsuji.html
射流なら人間の造るどんな構造物でも悉く破壊され、常流ならコンクリートの堤防程度で防げるというわけです。
Posted by 亥の大変 at 2011年09月27日 08:43
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