2011年09月08日

◆ 超球理論の数式 3 (エネルギー保存則)

 前項の続き。
 調和振動子の意味を考える。エネルギー保存則との関連で。 ──

 前項で述べたように、超球は存在振動をする。その振動の仕方は、調和振動子である。
 ではなぜ、調和振動子というものが出てくるのか? それは「エネルギー保存則」から得られることだ。

 ──

 一般に、たいていの物理法則には、共通の原理がある。それは、
 「物理法則は、エネルギー保存則を別の形で表現している」

 ということだ。換言すれば、
 「物理法則は、エネルギー保存則の別表現である」

 ということだ。

 例として、電磁場の方程式がある。これは、「電磁場においてエネルギーは保存される」ということを、別の形で現しただけである。そこでは、電磁場における「エネルギー保存則」が示されていのだ。

 同様に、力学系についても、エネルギー保存則が考えられる。
 たとえば、多くの式は、
    左辺 = 右辺

 という形で書かれるが、ここでは、左辺および右辺において、それぞれの力(またはエネルギー)が均衡していることを示す。それは、
 「エネルギーが系の外部へ逃げていかない」
 と解釈できることが多い。

 一般に、エネルギー保存則が保たれるというのは、(系の)外部とエネルギーの出し入れがないということであるが、それは、(系の)外部と力のやりとりがないということでもある。それは、典型的には、次の二通りが考えられる。
  ・ 等速直線運動
  ・ 円運動


 等速直線運動は、当たり前すぎるから、考察しないでおく。(外部から力の出し入れがなければ当速直線運動をする。)
 円運動は、その射影が三角関数となる。つまり、調和振動子となる。
 調和振動子の基本は、二次微分についての式で簡潔に示される。次のように。( Wikipedia から転載。)

2bibun.png

 この式に従って計算するとわかるが、運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定であり、エネルギー保存則は保たれる。( → Wikipedia

 ──

 かくて、調和振動子ではエネルギー保存則は保たれる。つまり、運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定である。
 では、それぞれのエネルギーの意味は? 私なりに解釈すると、次のように言えそうだ。
  ・ 運動エネルギー …… 物のもつエネルギー
  ・ 位置エネルギー …… 場(媒体)との関係で物に与えられるエネルギー


 たとえば、運動する鉄球には、鉄球の運動エネルギーがある。
 その一方で、鉄球が周囲の場から与えられるエネルギーがある。ここで、場というのは、バネの力であったり、重力場であったり、磁場であったりするが、ともあれ、そのような場から、位置エネルギーが与えられる。

 調和振動子では、運動エネルギーは、増えたり減ったりする。それに対応して、逆の方向に、位置エネルギーが増えたり減ったりする。(和が一定なので。)
 これはつまり、一定量のエネルギーが、運動エネルギーと位置エネルギーの間で、相互変換するということだ。
 つまり、エネルギーの和が一定のまま、エネルギーが次のように往来する。
   運動エネルギー ←→ 位置エネルギー

 これはシーソーみたいなものだ。(左と右とが交互に上がったり下がったりするが、それでいて、全体としての重心は変化しない……というのがシーソーだ。)

 ともあれ、エネルギーが、運動エネルギーと位置エネルギーの形で交互に変換されながら、その全体としては一定の値を保つ。……それが調和振動子だ。
 ここでは、エネルギー保存則が保たれている。エネルギー保存則が保たれているということから、調和振動子が自然に導かれる。

( ※ 調和振動子がエネルギー保存則から導かれることについては、本項末の 【 関連サイト 】 を参照。そこで詳しく説明されている。)

 ──

 さて。位置エネルギーとは何か? 
 これもまた、「エネルギー保存則」との関連で説明される。

 位置エネルギーというのは、基準状態から離れると増えるようなエネルギーだ。
 たとえば、調和振動子(バネ)で言えば、中心では位置エネルギーがゼロであり、中心から離れるに従って位置エネルギーが増える。
 地上の重力で言えば、地球の中心では位置エネルギーがゼロであり、地球の中心から離れるに従って位置エネルギーが増える。

 これらの場合では、「離れたものを引き戻そうとする力」が働いている。では、その力は、どこから来るか? 場(媒体)からだ。
  例。バネ(媒体)。重力場。磁場。

 このような場のわかりやすい例としては、水面がある。水面は、もともとは平らだ。しかし、石が落ちると、そこを中心として、波紋が生じる。どうして波紋が生じるか? 石が落ちたときには下向きの力 ↓ だけが働く。しかし水面には、「離れたものを引き戻そうとする力」が働いている。いったん下向きに動かされた水には、「引き戻そうとする力」によって、上向きの力が働く。この力は、石によってもたらされた力ではなく、媒体(水)によってもたらされた力である。

 この例では、水面には「安定状態」がある。そこからズレると、安定状態に戻ろうとする力が働く。
 では、「安定状態」とは? 空間全体の位置エネルギーが最低である状態だ。水で言えば、全体が平らである状態だ。その状態に戻ろうとする力が媒体に備わっているので、その力を受けて、下向きに落ちた石による下向きの水に、復元力(上向きの力)が働く。

 ── 

 さて。
 調和振動子がひとつだけならば、単に単振動が起こるだけだ。振り子のように。
 一方、調和振動子がたくさん並んでいると、振動が伝播していく。それが「」だ。
 


  
 たとえば、上のような水平線がある。このうちのある1点の(横方向の)座標が 0 という原点だったとしよう。
 この原点において、上下の振動が続くだけならば、それは単振動である。 
 一方、上下の振動が左右に移動していけば、それはサインカーブを描く。それが波である。

 ──

 さて。このとき、なぜサインカーブを描くか? それは、
 「サインカーブを描くときに限り、エネルギーは保存される」

 という理由による。
 仮に、サインカーブでなければ、ギクシャクした動きになる。その場合は、エネルギーは熱エネルギーとして無駄に放出される。そのせいで系のエネルギーはどんどん縮小していく。つまり、エネルギーは保存されない。

 では、単振動でないのにエネルギーが保存されるというのは、どういうことか? それは、
 「各点において、入るエネルギーと出るエネルギーが同じだ」

 ということだ。簡単に言えば、
 「エネルギーを、左から受け取り、右に吐き出す」

 ということだ。
 このように「左から右へ」という方向でエネルギーを伝えることで、波は「左から右へ」と移動していく。

 ──

 さて。波とは何か? 次のことだ。
 「空間の各点が単振動しながら、同じ周期と異なる位相をもつように、単振動が伝わっていくこと」
 この意味で、波は、(基本的に)単振動の一種である。ただし、1点だけの単振動でなくて、空間全体の単振動だ。そして、このことに着目するのが、「調和振動子」という概念だ。
 そして、このように「空間全体の調和振動子」というのを考えるのが、「場の量子論」である。
( ※ 量子力学の諸島教科書の最後の方に、「場の量子論」への言及があるはずだ。そこに、上記と同様のことが書いてあるはずだ。)

 ──

 ここまで理解すると、シュレーディンガー方程式の意味もわかってくるだろう。
 「シュレーディンガー方程式は、空間全体のエネルギー保存則を示す」

 つまり、次の二点だ。
  ・ シュレーディンガー方程式は、エネルギー保存則を示す。
  ・ シュレーディンガー方程式は、空間全体についての状況を示す。


 なぜか? シュレーディンガー方程式では、各所についてエネルギーの分布を考えたあとで、空間全域での存在確率を 1 と見なす。この 1 という値が一定であることが、エネルギー保存則に相当する。(仮に 1 でなければ、エネルギー保存則は成立しない。)

 しかも、それだけではない。各点においても、エネルギー保存則は成立する。つまり、各点ごとに、入ってきたエネルギーと出ていくエネルギーとは、同等である。それがつまり、「波」の性質であり、「調和振動子」の性質だ。

 イメージ的に言えば、こうだ。
  ・ 1次元の場では、波は同じ状態で伝播していく。
  ・ 2次元の場では、波は円状にひろがりながら伝播していく。
  ・ 3次元の場では、波は球面状に広がりながら伝播していく。

 このいずれの場合にも、エネルギー保存則は成立するから、2次元および3次元の場では、波は「1乗または2乗に反比例」の形で振幅が減衰していく。
 換言すれば、波は減衰するが、エネルギーの総和は一定である。

 これは、要するに、エネルギーが拡散するということだ。



 
 次項 に続く。)



 【 関連サイト 】
 調和振動子がエネルギー保存則から導かれることについては、下記サイトを参照。。シュレーディンガー方程式を解く形で、説明されている。

  → 単振動の波動関数
  → 調和振動子を解く
posted by 管理人 at 22:01| Comment(0) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
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