2011年09月05日

◆ 超球理論の数式 2 (調和振動子)

 前項 の続き。
 超球理論において数式はどんな意味があるか、というような話題を扱う。

    ※ かなり専門的な話になるので、普通の人は読まなくてもいい。
 ──
 
 「数式が大事だ」と主張するならば、「数式とは何か」を根本的に考えるといいだろう。

 量子力学の数式には、主に、二通りがある。(ファインマンの経路積分を除く。)
  ・ シュレーディンガー方程式
  ・ ハイゼンベルクの行列式

 この二つは等価である。ではなぜ等価なのか? また、なぜ量子力学に限ってはそのような等価な表現がなされるのか? (普通の物理学公式では、これほど極端に別々の表現をとることはない。)
 そこまで理解して初めて、「数式が大事だ」という言葉が意味を持つ。

 実は、この二つの数式が等価であることには、次の共通点がひそむ。
 「量子力学の数式は、調和振動子の形で解かれることが多い」

 ここで、調和振動子とは何か? 実は、それこそが、超球の本質である。
   調和振動子 = 超球

 ということが、おおむね成立する。

 ──

 超球は調和振動子と等価である。
 では、それは、どういうことか?
 これを理解するには、量子力学の本質を考えるといい。

 量子力学の本質とは、「量子は 正準交換関係 にある」ということだ。そのことは、行列力学 を見てもわかるが、下記にも初歩的な説明がある。
  → 正準交換関係の物理的な意味 ( OKwave )

 では、正準交換関係とは何か? たいていの人は、数式だけで認識して、天下り的に数式を受け入れるだけだ。しかしそれでは物事の本質を理解しがたい。
 そこでまずは、これを量子力学でなく古典力学で認識すると、正準交換関係のかわりに ハミルトニアン で理解される。ハミルトニアンは、ラグランジアン で理解される。
 では、これらの古典力学の意味は何か? 「運動エネルギーと位置エネルギーの和は一定である」ことを数式化したことだ。つまり、「エネルギー保存則」である。これを数式で示している。
 特に調和振動子の場合には、ある基準点を中心として、位置をその周辺へと少し変えることができる。そういう形で振動できる。その際、エネルギー保存則が保たれるとすると、調和振動子になる。
 なお、振動して、元の位置に戻ると、元の状態に戻る。たとえば、
 「中央の振り子が、右に振れてから、右端に達して、そこで反転して、また中央に戻る」
 という例では、最初は右向きで、途中では右端に達して、最後は左向きとなる。
 ( ※ その間、最初と最後は位置エネルギーが最小値で、運動エネルギーが最大値だ。途中の限界では、位置エネルギーが最大値で、運動エネルギーが最小値だ。また、行って戻ってきたときには、運動方向が反対となる。ただし符合が反対でも、二乗すれば運動エネルギーは同じになる。)
 
 以上は、古典力学の場合だ。このあと、量子力学に転じよう。
 量子力学では、同様のことをするが、そこでは、正準交換関係が成立する。その場合、
   [ XP ] = XPPX
 の値は、 0 でなく i ħ I となる。( ħ は、換算プランク定数。)
  ( → Wikipedia
 これは何を意味するか? それこそが実は、量子力学の本質だ。たいていは、その意味を与えないが、私はその意味を与えようとした。そのために提出したモデルが、超球理論のモデルだ。
 超球理論のモデルでは、粒子は次の運動をする。
 「虚数次元への調和振動子。ただしその振動は、位置振動ではなくて、存在振動である」

 ここで用語を説明すると、次の通り。
  ・ 位置振動 …… (振り子のように)位置を往復させる振動
  ・ 存在振動 …… 粒子と反粒子の間で形を変える振動

 
 存在振動は、別名で、「粒子反粒子振動」とも呼ばれる。この振動では、
   粒子 → 反粒子 → 粒子 → 反粒子 → …… 

 という振動が高速で周期的に起こる。しかも、エネルギー保存則が成立する。このような存在振動を、
 「振動の途中では、エネルギーが虚数次元に一時的に逃げる」

 という形でモデル化したのが、超球理論だ。

 具体的には、次の図を見るといい。

波の伝播

玉突きモデルの説明

 この図において、超球は振動している。では、どの方向に振動しているか?
  ・ その位置で(平面上の)上下や左右に振動している。
  ・ 平面(パソコン画面)に垂直な方向に振動している
  ・ 宇宙の3次元のいずれにも直交する虚数次元の方向に振動している

 このうちの3番目が正しい。そして、振動は、位置振動ではなくて、存在振動である。つまり、粒子反粒子振動である。

 そして、このようなモデルによって、正準交換関係を幾何学的に示すことができる、というのが、私の立場だ。それがつまりは、超球理論だ。(一種の仮説である。)
 この意味において、超球理論は量子力学のモデルである。つまり、次のことだ。
  ・ シュレーディンガー方程式をモデル化する
  ・ 正準交換関係を幾何学的に示す

 結局、「超球理論の数式とは何か?」という質問への回答は、「この二つの数式だ」と言える。(本質的には、二つというより一つの数式だとも言えるが。)
    
 《 補足 》

 もう少し説明しよう。
   [ XP ] = XPPX
 というのは、両者の積の差分だ。
 振り子で言えば、位置エネルギーも運動エネルギーも実数値なので、両者の積の差分はゼロとなる。
 量子で言えば、位置エネルギーも運動エネルギーも実数値ではないので、両者の積の差分はゼロとなるとは言えない。この差分が i ħ I となる。邪魔っけな単位量をなくして単純に表示すれば i I である。
 
 では、 i とは何か? 虚数単位だ。つまり「2乗すると -1 になる」ということだ。では、その意味は? 「2回続けて実行すると、存在性が反転する(粒子が反粒子になる)」ということだ。
 このことは、複素平面における回転運動 cos θi sin θ で理解するといい。つまり、
 「その過程を2度続けて実施すると、粒子の符合が逆になる(= 反粒子になる)」
 ということだ。(このことは、位置振動とは大きく異なる。)

 古典力学の振動(位置振動)と、量子力学の振動(存在振動)とは、このような違いが出る。
  ・ ハミルトニアン からのモデル ……  実数の波 (位置振動)
  ・ 正準交換関係 からのモデル …… 複素数の波(存在振動)

 こうして、数式の違いを、モデル的に説明できる。
 


 【 関連項目 】

  次項に続きます。(未完)
  次項に重要な話題があります。



 【 関連サイト 】
 複素数と行列の関係については、下記サイトに記述がある。
  → 行列と複素数(同値)
posted by 管理人 at 23:54| Comment(6) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白いです。モデルと言われると、数学基礎論のモデル論を思い出したり、物理学科出身の数学好きには、刺激的な内容です。

続きを楽しみにしています。
Posted by 安藤和浩 at 2011年09月06日 01:27
ひも理論で言う振動は複素平面で見れば回転になるので、超球理論は単にひも理論の表現を変えただけではないのか。また、4次元時空と直交する余剰次元が、電磁場、強い力、弱い力に対応して3つの複素平面(による次元)になるとなぜ言えるのか。さらに、時空と直交する次元における回転が、時空における粒子の存在・非存在にどうして結びつくのか、ご教示願いたい。
Posted by 坂根麿 at 2012年06月23日 09:40
> ひも理論で言う振動は複素平面で見れば回転になるので、超球理論は単にひも理論の表現を変えただけではないのか。

超ヒモは、綴じたヒモ(ループ)・開いたヒモなので、全然違います。性質も違う。
また、超球理論の原理は、「超球であること」ではなくて、「粒子の波」もしくは「波と粒子の相互変換」です。これは、超ヒモ理論にはありません。

> 4次元時空と直交する余剰次元が、電磁場、強い力、弱い力に対応して3つの複素平面(による次元)になるとなぜ言えるのか。

見当を付けて、モデル化しただけです。違うかもしれません。次元数はどうでもいい。今のところは、適当につじつまを合わせているだけ。

> 時空と直交する次元における回転が、時空における粒子の存在・非存在にどうして結びつくのか、ご教示願いたい。

仮説なんだから、「どうして」を問うのは無意味です。相対論に対して、「どうして光速度は一定なのか」と問うようなもの。数学の公理に対して、「どうしてその公理は成立するのか?」と問うようなもの。基本原理は、演繹的には出されません。
Posted by 管理人 at 2012年06月23日 11:06
早々のご回答ありがとうございます。
確かに、粒子と波の相互変換のモデルは、コペンハーゲン解釈の難点をうまく解決しているのではないかと思います。ただし、量子のもつれと言われる現象については、どう説明されるのでしょうか? 一般的には、もつれ状態にある一方の量子の量子状態が観測により収束すると、もう一方の量子状態も収束すると説明されますが、この非局所性について新たな解釈が可能でしょうか。

また、仮説に対して理由を問うのは無意味とされますが、どこかで書かれているように、納得できるモデルのイメージは必要かと思います。

特に、ご指摘の光速度普遍の事実によりエーテル仮説は一般的に否定されたと考えられていますが、複素エーテルということで問題点を克服できるのでしょうか? 単に超球の密度ということでは、静止系と観測系でなぜ密度に差が生ずるのかなど、説明に無理があるように思います。
Posted by 坂根麿 at 2012年06月24日 07:19
疑問点があれば、下記の表紙ページの最後にある検索窓で、検索してみてください。
  → http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/quantum.htm

> 量子のもつれと言われる現象については、どう説明されるのでしょうか? 一般的には、もつれ状態にある一方の量子の量子状態が観測により収束すると、もう一方の量子状態も収束すると説明されますが、この非局所性について新たな解釈が可能でしょうか。

 「もつれ」で検索すると、次の箇所が見つかります。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/trivial.htm#70

 さらにリンクなどをたどれば、次の箇所も参照できます。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/2slits2.htm#21
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/trivial.htm#epr

> また、仮説に対して理由を問うのは無意味とされますが、どこかで書かれているように、納得できるモデルのイメージは必要かと思います。

基本はそうですけど、次元数という問題はそうではありません。そもそもこの宇宙の次元数がどれだけであるかは、まったく不明です。誰もがわかっていないのに、私だけが特別に完璧な理論を出せるわけがありません。(超ヒモ理論では10とか11とかが出ますが、それだって仮説の一つであり、あやふやです。)

>  特に、ご指摘の光速度普遍の事実によりエーテル仮説は一般的に否定されたと考えられていますが、複素エーテルということで問題点を克服できるのでしょうか?

 「複素エーテル」だけでは解決できませんが、解決するためには「複素エーテル」の概念が不可欠です。それが超球理論の立場。

> 単に超球の密度ということでは、静止系と観測系でなぜ密度に差が生ずるのかなど、説明に無理があるように思います。

 超球というのは実在するものではなくて、思考のためのモデルです。実在するのは「複素エーテル」であり、それは「(調和振動子の)波長を自由に変更できる 複素数の媒体」という性質を帯びています。こちらが本体である旨は、下記のコメント欄の最後で述べたとおり。

 → http://openblog.meblog.biz/article/5916074.html
Posted by 管理人 at 2012年06月24日 08:57
よくよく考えると相対論には光速度不変の原理はあるけど
その光速度の定義はないですよね?
Posted by ひゃま at 2012年06月24日 09:52
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