人工細胞の増殖が実験的に成功した。次の三つが原理。
・ DNA と DNA合成酵素
・ 有機化合物(≒ 脂肪酸)の膜
・ 温度の上げ下げ
詳細は、下記。
→ 朝日新聞 2011-09-05
上記の三点のうち、肝心のことは「温度の上げ下げ」だとわかる。紙の新聞には、詳報がある。
昨年、米国のチームが、自己増殖する「人工細菌」を作成した研究は、器となる細胞膜は別の細菌のものを使い、人為的な操作を加えなくても増殖した。今回は、増殖に温度管理が必要だが、原料は有機化合物と基本的な酵素という単純な形でできた。このポイントをつかむことで、まさに人工的な材料で「増殖」を実現したわけだ。
──
今回の実験では、ものすごい真実が発見されたように思う人がいるかもしれない。だが、実は、この内容は、私がすでに提示していたことだ。
→ 生命の起源 ( 2008年02月11日 )
このページは、「生命の起源」でググると、10番目ぐらいに来るページ。ちょっとググることで、誰でも容易に知ることができる。(いわんや専門家をや。)
このページには、次の内容がある。
「自己複製」という機能だけについて言えば、生物の存在は必要なく、DNA の存在だけで可能だろう。ここでは「温度変化が PCR法 の再現になる」という重要な点を指摘した。そして、そのことが、今回の東大の実験で明白に実証されたことになる。
それを示すには「PCR法」の概念を用いればいい。
プライマーがたくさんある状況で、温度変化さえあれば、DNAはどんどん増殖していく。しかも、温度変化は、海底の熱水噴出孔のそばでは容易に得られる。(熱水噴出孔のそばでは温度が高く、離れたところでは温度が低い。水が循環していれば、熱変化のサイクルができる。)
こうして、「自己複製」という機能だけなら、「生物」はなくても DNAだけで可能となる。これが生物以前の「前生物」となりそうだ。
仮説の実験的な証明。
[ 付記 ]
生命の誕生には、膜と DNA が必須だということは、すぐ上で紹介した項目で説明しておいた。詳しくはそちらを参照。
→ 生命の起源 ( 2008年02月11日 )
膜の形成については、この項目の「コメント欄」で紹介しておいた。転載しよう。
膜ができることについては、最新号の科学雑誌「ニュートン」で説明されている。この件は、今回の実験にも当てはまる。(朝日の記事の図を見ればわかる。同様の図がある。)
ええと。よく覚えていないが、脂質か何かの同一分子がたくさん集まって、自動的に膜状の物質が形成されるそうだ。
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のような感じで、 | という分子がたくさん横並びになってから、全体が湾曲して、円弧状になり、さらに円環状になり、球状になる。
つまり、今回の実験は、最初から最後まで、私がすでに示した項目に書いてあるわけだ。理論的には。……そして、その理論を実証した、ということに意味がある。
こんな実験、誰にでもできそうだが、そんな簡単な実験をやるだけで、大々的な成果を上げることができるわけだ。本サイトの話をちょっと読んでおけば。
( ※ この実験がノーベル賞をもらったら、私もいっしょにもらえるかも。 (^^); )
( ※ ま、ノーベル賞はありえないけどね。

[ 余談 ]
この実験でノーベル賞、ということはないだろう。それでも、本サイトにあるアイデアを読んで、それを実験で実証すれば、大々的な話題を呼ぶ大きな成果を上げることができる、とわかる。
だから、「大きな成果をあげる実験をしたい」と思う人は、本サイトの項目をいくつか読んで、そのなかからアイデアを拝借するといいだろう。
ノーベル賞級(?)の成果を上げたい人は、本サイトを読んでおきましょう。そうすれば、誰でも容易に、大々的な成果を上げることができます。
本サイトでは、他にもアイデアはたくさん書いてある。自分の専門分野に当てはまるアイデアを見つけるといいだろう。
【 関連サイト 】
(1)
研究者本人のサイト。(詳細な説明がある。お勧め。) New !
→ http://rcis.c.u-tokyo.ac.jp/SugawaraLab/news1109/
(2)
新聞記事を列挙する。(ネット上のみ)
→ 朝日新聞 2011-09-05
→ 毎日新聞
→ 日経
→ 読売新聞
(3)
NHK の番組。2011年3月。
→ NHK 「人工細胞はつくれるか?」
(4)
掲載雑誌 Nature は、下記。
→ Nature
※ 詳細は有料。
ご紹介いただいた論文の共著者の鈴木です。
ご紹介いただきありがとうございます。
新聞報道は、こちらの思ったニュアンスが伝わっていないところがあり、かなりやきもきしています。
できれば、我々の作った下記の解説ページの方を参照いただけませんでしょうか?
http://rcis.c.u-tokyo.ac.jp/SugawaraLab/news1109/