2011年08月25日

◆ 鳥と恐竜(通説の矛盾)

 鳥と恐竜は、進化的にどういう関係にあるか? (学界で一般的な)通説を紹介し、同時に、その矛盾を示そう。 ──

 これまで私が自説として示したのは、次の形の進化だった。
  → 恐竜と鳥の系統図 (解説)
  → 恐竜と鳥の系統図  (図)

 この図から明らかなように、鳥類には2系統あったことになる。
  ・ 古鳥類と真鳥類 (恐竜絶滅期以前に繁栄したが今日では絶滅した系統)
  ・ 恐鳥類と新鳥類 (今日の鳥類につながる系統

 
 前者はエウマニラプトルの系統であり、恒温性をもたない。それゆえ、恐竜絶滅期の寒冷さを生き延びられず、恐竜とともに絶滅した。
 後者はオビラプトルの系統であり、恒温性をもつ。それゆえ、恐竜絶滅期の寒冷さを生き延びることができて、今日まで継続している。

オビラプトル
 ( ※ 上図は、オビラプトル。出典は Wikipedia )

 
 このような形で、系統関係を細かに示している。時期的にも矛盾はない。古いものは古い時期に存在して化石が見つかっている。新しいものは新しい時期に存在して、古い時期には化石が存在しない。何も矛盾はない。
 このような私の説は、すでにあちこちで詳しく説明してきた。
  → カテゴリ(生物・進化)

 ──
 
 本項では、私の説とは別に、進化論の通説を紹介しよう。紹介すると同時に、その矛盾点も示す。

 (1) 基本

 まずは通説を紹介しよう。通説の基本は、次の4点だ。

  [a] 単系統である

 私の説では、恐竜から鳥へという進化は、2系統あった。この場合、「古鳥類と真鳥類」および「恐鳥類と新鳥類」という二つのグループがあり、それぞれ収斂進化したことになる。(空への適応。似た例としては、海に進出した爬虫類や哺乳類が魚類に似た形になる、という例がある。)
 通説では、恐竜から鳥へという進化は、1系統だけである。この場合、「古鳥類と真鳥類」および「恐鳥類と新鳥類」というのは、まとまって一つのグループ(一つの系統)となる。
始祖鳥
  [b] 初期はエウマニラプトルの系統である

 通説では、一つの系統だけがあるはずだ。その初期のものは、エウマニラプトルの系統であり、アンキオルニスや始祖鳥などがある。ミクロラプトル・グイや、ヴェロキラプトルといった、「羽根のある恐竜」もまた、この仲間となるようだ。
 ( ※ 右図は 始祖鳥。Wikipedia から。)
 
  [c] 「真鳥類 → 新鳥類」という順で進化した

イクチオルニス 現代の新鳥類(歯のないクチバシをもつ)を、古代の真鳥類(歯のあるクチバシをもつ)の、ほぼ直接の子孫だと見なす。つまり、同じ系統に属すると見なす。その理由は、真鳥類はすでに鳥として現代の鳥に劣らぬ立派な翼をもっていて、十分に空を飛べたので、現代の鳥類と大差ないと見なされるからだ。
 ( ※ 右図は イクチオルニス。Wikipedia 英語版から。)
  参考  → 真鳥類(Ichthyornis)の画像 

  [d] 「飛ぶ鳥類 → 走鳥類」という順で進化した

 走鳥類(ダチョウなど)は、飛ぶ鳥類のあとで出現した、と見なす。そのわけは、走鳥類には、翼の退化した痕跡が存在するからだ。
 
 ── 
 
 (2) 通説の難点

 上記の4点 [a] 〜 [d] には、次の難点(矛盾)がある。

  [a] 単系統である ?

 単系統だとすると、「系統図を描けない」という問題が生じる。私の説ならば、きれいな系統図を書けるのだが、通説に従うと、きれいな系統図を書けない。実際、系統図を書いた人はいない。書けば、矛盾だらけになるからだ。どういう矛盾が起こるかは、以下で説明する。

  [b] 初期はエウマニラプトルの系統である ?

 通説における初期の鳥類(始祖鳥や孔子鳥など)は、エウマニラプトルの系統であるらしい。このこと自体は、問題ではない。中生代では、エウマニラプトル系統にしか、翼のある生物は存在しなかったからだ。しかし、そのあとが問題だ。
ヴェロキラプトル エウマニラプトル系統では、ミクロラプトル・グイや、ヴェロキラプトル(右図)といった、「羽根のある恐竜」がいる。しかし、これらが鳥類の先祖だとすると、矛盾が起こる。なぜなら、もっとずっと前に、始祖鳥や孔子鳥という、まともな翼をもつ「飛ぶ鳥」が存在していたからだ。
 なのに、ずっと後になって、「(地上を駆け回る)羽毛をもつ恐竜」が誕生したというのは、順序関係がおかしい。それはまるで、「ネアンデルタール人の子孫として、直立猿人が出現した」というような、進化の逆行を意味する。
 この問題を解決するには、「これらは、単系統ではなくて、別々の系統であった」と見なすしかない。しかるに、通説は、単系統を取っているので、その時点で、破綻する。矛盾。
 ( ※ 右上図は ヴェロキラプトル。Wikipedia 英語版から。)

  [c] 「真鳥類 → 新鳥類」という順で進化した ?

 この順で進化したとすると、古い鳥類(異鳥類と真鳥類)だけが絶滅した理由が、説明できない。換言すれば、古い鳥類と恐竜だけが絶滅して、恐鳥類と新鳥類が絶滅しなかった理由が、説明できない。これは今日では「謎」として残されている。
( ※ だが、私の評価を言うなら、これは通説の「謎」ではなく「矛盾」である。「単系統」という前提を取るから、矛盾が起こる。一方、別系統だとすれば、矛盾は起こらない。恒温性の有無で説明できるからだ。)

  [d] 「飛ぶ鳥類 → 走鳥類」という順で進化した ?

 「飛ぶ鳥類 → 走鳥類」という順を取るのは、走鳥類に「翼の痕跡があること」を理由としている。だが、私の判断を言うなら、これは通説の誤認にすぎない。その痕跡は、「翼の痕跡」でなく、「前肢の痕跡」なのだ。とすれば、走鳥類の祖先は、翼をもっていたのではなく、前肢をもっていたのだ。
パラフィソルニス  その具体的な例は、私の系統図(冒頭)を見ればわかる。ティタニスのように前肢をもつ恐鳥類がいた。また、もっと古くには、オビラプトルという前肢をもつ恐竜がいた。このように、祖先は前肢をもっていた。
 その前肢が縮小して、「手のない鳥類」(恐鳥類・巨鳥類・走鳥類)が誕生した、と考えれば、問題ない。それが私の説の基本だ。
 ( ※ 右図は 恐鳥類の一例。図は Wikipedia から借用。)
 
 一方、通説では、「飛ぶ鳥類 → 走鳥類」という順で進化したことになる。これは四つの点で矛盾する。
 
 第1に、羽毛の形状だ。走鳥類の羽毛は原始的であり、飛ぶ鳥類の羽毛は進化している。これは羽毛の進化の順を見るとわかる。
   → 鳥の翼と羽毛
   → 走鳥類の羽毛と足

羽毛の発達史

  《 羽毛の発達史 》( Wikipedia から。)

  
 第2に、化石的な年代だ。
エピオルニス 新鳥類のうち、最も古いものは、南極で発見されたカモ類の化石であり、その時期は 7000万年ほど前だ。
  → Nature想像画

 一方、走鳥類の仲間には、マダガスカルのエピオルニスがいるが、マダガスカルが大陸分離をしたのは、6500万年前である。
  → Wikipedia
 このことから、6500万年前には、すでに走鳥類のエピオルニスがいたことになる。最古の新鳥類(南極のカモ類)と、ほぼ同じ頃に走鳥類がいたことになる。これは「飛ぶ鳥類 → 走鳥類」という順に矛盾する。
  
 同様な例として、走鳥類の仲間には、モアがいる。これは(マダガスカルでなく)ニュージーランドに棲息する走鳥類だ。
 そして、ニュージーランドは、マダガスカルよりももっと古い時期に大陸分離をしたと推定される。
モア というのは、ニュージーランドには、(オーストラリアに似て)有袋類ばかりで、有胎盤類(普通の哺乳類)がいないからだ。これはつまり、哺乳類の発達以前に、ニュージーランドやオーストラリアが大陸分離したことを意味する。つまり、ニュージーランドの大陸分離はマダガスカルよりも前であり、そのときモアが生存していたことになる。( 7000万年ぐらい前か?)

 いずれにせよ、マダガスカルやオーストラリアやニュージーランドは、7000万年ぐらい前の原始的な生物を残してきた。(たとえば有袋類や原猿類など。)そして、同じところに、走鳥類が存在した。とすれば、走鳥類は、すでに 7000万年ぐらい前に存在していたことになる。つまり、 7000万年ほど前に最古の新鳥類が出現したという化石的事実に、ちょっと順序的な矛盾が起こる。[同時期ならば矛盾というほどではない、とも言えるが、以下で述べる点からすると、矛盾である。]

( ※ 上の二つの画像は、エピオルニスとモア。それぞれ Wikipedia 英語版から借用。)
( ※ 他に、参考画像もある →  モアとエピオルニスの図
 
 
 第3に、サイズの問題だ。恐鳥類・巨鳥類は、きわめて大型の鳥類だ。このような鳥類が小型の鳥類から進化するには、何千万年かの時間がかかる。実際、小さな哺乳類から、巨大なゾウやクジラが誕生するまでには、何千万年もかかった。
 しかるに、7000万年ぐらい前には、大型のエピオルニスやモアがいた。また、ざっと 6000万年ぐらい前には、大型のディアトリマがいた。現世鳥類が誕生したのは、化石からは 7000万年前ぐらいらしいし、それを大幅にさかのぼることはないはずだが、しかるに、1億年以上前には現世鳥類が誕生していたと考えないと、7000万年ぐらい前に大型のエピオルニスやモアがいたことを説明できない。矛盾。
( ※ 私の説では、この矛盾は生じない。飛ぶ鳥から恐鳥類・走鳥類へ進化したのではなく、オビラプトルのような恐竜から恐鳥類・走鳥類へ進化したはずだからだ。この際、体のサイズは、特に変化する必要はなかった。形態的には、上肢が消失しただけだった。一方、カモ類は、翼の発生と小型化の過程を取って生じたのだろう。 → キジ類の祖先
  
ダチョウ 第4に、分子生物学の成果だ。分子生物学は、私の主張を裏付ける事実を解明した。つまり、「新鳥類のなかでは走鳥類は最も古い」ということだ。このことは、鳥類の系統樹を見ればわかる。
  → 鳥類の系統樹
 
 通説では、「飛ぶ鳥 → 走鳥類」という順になっていたはずだ。それならば、進化の系統樹で、飛ぶ鳥よりも後の位置に走鳥類が来ているはずだ。しかるに、あらゆる「飛ぶ鳥」に先立つ位置に、走鳥類はいる。
 ( ※ 右上図は、ダチョウ。出典は Wikipedia )

 それだけではない。走鳥類のなかでは、次の順が成立する。
 「 ダチョウ → レア → シギダチョウ」

 これは、次の順を意味する。
 「飛ばない鳥→ 翼をもって走る鳥 → 翼をもって少し飛ぶ鳥」

 このことも、通説には矛盾する。(私の説には合致する。)
 
 それだけではない。キジ類を見れば、次の順が成立する。
 「 走鳥類 → キジ類 」

 これは、次の順を意味する。
 「飛ばない鳥・ほとんど飛ばない鳥 → 翼をもって少し飛ぶ鳥」

 このことも、通説には矛盾する。(私の説には合致する。)

 ──

 (3) その他

 以上では、通説の基本点に絞って、難点を示してきた。一方、通説には、他にも小さな難点がいろいろとある。ざっと示そう。

 (i)羽毛の発達

 羽毛の発達は、私の発想を取れば、矛盾なく説明できる。一方、通説を採ると、羽毛の発達の順と、鳥としての進化の順が、矛盾する。特に、「飛ぶ鳥から進化したはずの走鳥類」の羽毛が、最も原始的だという点を、説明できない。
( ※ 「飛ぶ鳥から進化して地上性になった」という例では、ドードーがいるが、ドードーの羽毛は、原始的ではなく、発達した羽毛である。ペンギンの羽毛も同様。)

 (ii)竜骨突起

竜骨突起 走鳥類には、竜骨突起がないと言える。飛ばない鳥であるダチョウには、竜骨突起がない。少しだけ飛ぶシギダチョウには、未発達な竜骨突起がある。これらは、「走鳥類 → 飛ぶ鳥」という順を仮定すれば、矛盾しない。
 しかし通説では、「飛ぶ鳥 → 走鳥類」という順を採用する。この場合、走鳥類には、竜骨突起が残っているはずだ。ちょうど、飛ばない鳥であるドードーやペンギンには発達した竜骨突起があるように。にもかかわらず、現実には、竜骨突起がない。
 ( ※ 右図は、Wikipedia の 竜骨突起 から。)
  参考 → 他の項目での言及(一覧)

 (iii) 樹上説と地上説

 翼がいかにして生じたかについて、通説は「樹上説」と「地上説」を取る。
  ・ 樹上説 …… 空中をグライダーのように滑空して、翼を使った。
  ・ 地上説 …… 地上で走りながらジャンプして、翼を使った。

 どちらもそれなりに正しさを含んでいるが、通説のように「単系統」を前提とすると、おかしなことになる。
 たとえば、ヴェロキラプトルは、地上を走りながら翼を使ったらしい。しかし、ヴェロキラプトルが存在したのは、白亜紀晩期(約8300万- 約7000万年前)である。( → Wikipedia ) 一方、まともに空を飛べるエナンティオルニス類は、白亜紀の全般にわたって繁栄した。( → Wikipedia
 つまり、鳥類以前(羽毛をもつ恐竜)であるヴェロキラプトルの方が、まともに空を飛べるエナンティオルニス類よりも、ずっと後に出現したことになる。これは通説に矛盾する。
 なお、この問題は、私の説に従えば、問題はない。冒頭の系統図に従って解釈すればいい。(つまり、ヴェロキラプトルは、あくまで「羽毛のある恐竜」であるにすぎない。それは鳥類とは何の関係もない。一般に、「羽毛」とか「翼」とかは、鳥類の本質とは何の関係もない。クジラのヒレが哺乳類の本質と関係ないのと同様だ。)
 
  cf. → 樹上性/地上性(飛ぶ前)
  
 ── 

 (4) オマケ(走鳥類の化石)

 ついでに、関連した話。私の説の難点について。
 私の説には、一つだけ難点があった。走鳥類の化石が見つかっていないことだ。私の説に従えば、走鳥類が7000万年よりも前にいたはずだから、その化石が見つかっていいはずだ。なのに、見つかっていない。
 このことは難点だと思えたが、意外な面から解決が付いた。それは、「生きた化石」の存在である。エピオルニスやモアは、つい最近(16世紀ごろ)まで生存した。とすれば、(大陸分離のあった)7000万年ぐらい前の時点では、そこにはすでにエピオルニスやモアが存在していたことにな。たとえそれらの化石が 7000万年ぐらい前の地層から見つからないとしても、だ。……つまり、「生きた化石」があれば、「本物の化石」がなくても構わないのだ。(大陸分離が「過去を現在に持ち込むこと」を保証する。)

 一般に、化石が存在するためには、「骨が溶けない土壌(酸性でない土壌)」という特別な事情が必要となる。その事情を満たさない土壌は多い。実際、日本の大部分は、その事情を満たさない。だから、化石が存在しないことは、生物が存在しなかったことを意味しない。「化石はあったがすでに溶けてしまった」ということが大いに考えられる。走鳥類の化石が古い地層から見つからないことは、走鳥類が古代において存在しなかったことを意味しない。
 そもそも、鳥類の化石さえ、その数は格別に多いわけではない。鳥類はものすごく大量に存在したはずだが、今日まで残って発見された化石の数はあまり多くない。(大部分は溶けてしまったのだろう。)

 なお、走鳥類の化石が見つかっていないことには、別の理由も考えられる。その時代は恐竜の天下であった、ということだ。当然、鳥類や哺乳類の化石は、あまり見つからないはずだ。実際、中生代における哺乳類の化石は、ごく少数しか見つかっていない。が、だからといって、中生代において哺乳類が存在しなかったということにはならない。おそらく、かなり多様な哺乳類がいたと推定される。ただしその大部分は、化石にならなかったのだろう。鳥類も同様だ。その時代に、エピオルニスやモアのような走鳥類はいたはずだが、恐竜に比べれば不利な位置づけだったので、数は多くなく、従って化石も残らなかったのだろう。
  
  ────────────

 まとめ

 通説の基本は、次の二点だ。
  ・ 鳥類は単系統である。(古鳥類,真鳥類は現在の鳥類と同系統だ)
  ・ 走鳥類は、飛ぶ鳥から進化した。

 しかし、これらは矛盾を生じる。
  ・ 古鳥類,真鳥類の絶滅の理由を示せない。
  ・ 羽毛,遺伝子系統,化石などでは走鳥類が新鳥類に先立つ。

 簡単に言えば、通説に従えば、まともな系統図を書けないのである。もし書けば、矛盾が起こる。(たとえば、分子的な系統樹は「走鳥類が最も古い」というふうに示すので、通説と矛盾する。)
 このように、通説は至るところで、矛盾だらけとなる。
 
 通説がこのように矛盾だらけになるのは、「腕が翼に変化した」という発想を取るからである。現実には、そんなことはありそうにないのだが。(腕と翼の中間形態となる器官は、どちらにも役立たずであり、不利である。ゆえに、そんなものは存在しそうにない。
 私の説では、「腕がいったん消失してから、翼が生えた」という発想を取る。つまり、「腕のある恐竜から、腕のない恐鳥類・走鳥類を経て、翼のある鳥が生じた」と考える。初めは小さな翼が生じてから、その翼が大型化して、かつ、体が小型化して、飛翔能力を持つようになった、と考えるわけだ。これならば、矛盾は何も起こらない。
( ※ 初期の小さな未熟な翼は、たたむことができるので、特に不利ではない。)
( ※ レアの場合には、小さな翼をそれなりに役立てている。 → Wikipedia
     腕と翼の中間形態となる器官は、存在しないはずだが、例外的なものが少しだけあってもいい。ヴェロキラプトルは、その例外に当たるかもしれない。ただし、ヴェロキラプトルが翼をもっていたかどうかは、はっきりとしていない。羽根をもってたことが確実視されているだけだ。レアのような未熟な翼をもっていた、ということは考えられる。



 【 補説 】 
 鳥類の進化について、私の説は、次のことが大切な原理となる。
  ・「上肢・下肢」の形状(足・ヒレ・翼)の違いは、生物の本質ではない。
  ・ 四肢の形質が異種で似ているとしても、収斂進化にすぎず、本質ではない。
  ・ 生物の違いの本質は、内臓の構造にある。特に、生殖のシステムだ。
   (例。卵生生物/有袋類/有胎盤類)
   (例。殻のない卵の卵生/軟殻のある卵の卵生/硬殻のある卵の卵生)
  ・ 恒温性の有無は、抱卵の有無に結びつくので、生殖に影響する。
  ・ 恒温性のある生物は、高度に進化することが可能である。


 この発想の基本にあるのは、次のことだ。
 「進化の原理は、突然変異と自然淘汰だけではない。進化は、ランダムな当然変化のあとで、適者適応という形だけで起こるのではない」
 「進化を起こすには、『進化する能力』が必要だ。その能力を(突然変異と自然淘汰で)獲得したものだけが、高度に進化できた。進化の有無を決定づけるものは、『進化する能力』の有無である」
 「『進化する能力』は、生殖システムを高度化するたびに、新たに発展した。だからこそ、魚類のあとで、両生類、哺乳類(単孔類・有袋類・有胎盤類)という進化が起こった。これらの進化が起こったのは、進化が起こる理由があったからだ。決して『突然変異と自然淘汰』だけで起こったのではない」

 比喩的に言うなら、ロケットが空を飛ぶためには、少しずつ技術を蓄積していく必要がある。決して「ランダムに部品を試行錯誤したら、たまたまうまく組み合わせのできたものが宇宙に達した」というようなことはない。地道な着実な蓄積が必要なのだ。
 
 仮に「進化は、ランダムな当然変化のあとで、適者適応という形だけで起こる」という発想を取るのであれば、次のような結論になる。
  ・ あらゆる種は、同程度に進化している。( → 円形の図
  ・ 古細菌のような低度な生物から、人間のような高度な生物へと、進化が可能だ。


 しかし、私はそれを否定する。進化にはレベルがある。そのレベルを一つ一つ上がることによって、「進化する能力」を獲得していかなくてはならない。その能力を獲得しない限り、どれほど「突然変異と自然淘汰」があっても、巨大な進化は起こらないのだ。たとえば、古細菌にどれほど放射線を浴びせて大量の突然変異を発生させても、古細菌から人間が誕生することはありえないのだ。進化は段階的に少しずつレベルアップしていくものだからだ。(あるレベルから一つ上のレベルに進化することはあっても、途中を省略して一挙に大幅にジャンプすることはありえない。)

 換言すれば、私の発想では、「進化とは生命としてのレベルアップ」である。
 一方、通説では、「進化とはただの形態差にすぎない」ということである。それに従えば、「現代の古細菌と、現代の哺乳類とは、進化のレベルは同じであり、形態だけが異なる」ということになる。
 逆に、私の説に従えば、「現代の古細菌と、現代の哺乳類とは、進化のレベルがまったく異なる。一方、現代の古細菌と、古代の古細菌は、進化のレベルが同じである。(小進化レベルの違いしかない)」となる。

 私の説と通説とでは、「進化とは何か」という意味がまったく異なる。では、その違いは、どこから生じたか? 
 通説が信じているのは、「小進化の蓄積で進化が起こる」ということだ。つまり「小進化だけで進化は起こる」ということだ。(なお、小進化とは、突然変異と自然淘汰だけによる進化のこと。通常、その範囲は、種の範囲内での進化にすぎないことが、ほぼ判明しているのだが。)
 私が唱えるのは、「小進化の蓄積で進化が起こらない」ということだ。つまり「小進化だけで進化は起こらない」ということだ。かわりに、「進化する能力」の獲得が必要だ、ということだ。そのような能力は、通常の「大進化」では得られず、「超大進化」というべき過程で得られる。そして、その過程を経て、「超大進化」をなすと、その後に急激な大進化を何度も起こせるようになる。

 恐竜の場合には、両生類から爬虫類へという「超大進化」をなしえた。そのおかげで、両生類の生物にはなし遂げることのできないような、大規模な進化をなし遂げることができた。たとえば、ものすごく巨大化するとか、ものすごい顎をもつとか。さらには、一部は小型化して、空を滑空できるようになった。……それでも、その範囲には限界があったので、恐竜の仲間はすべて絶滅してしまった。(近縁の爬虫類の一部が生き残っただけだった。)
 一方、恐竜の仲間の一部には、半・恒温性を獲得したものがいた。そのまた一部には、十分な恒温性を獲得したものがいた。それが鳥類だった。鳥類の初期のものは、恐鳥類だった。ディアトリマやエピオルニスのような大型の鳥類で、見た目はほとんど恐竜同様のものだ。それらはただ一点、恒温性という点でのみ、違っていた。そして、その違いゆえに、抱卵という方式を選ぶことができた。これが「進化する能力」をもたらした。
( ※ 抱卵では、外部から熱エネルギーを与えられるので、卵はその栄養素を熱エネルギーに消費する必要がない。その分、肉体を高度に発達させることが可能となる。)
( ※ なお、熱エネルギーだけでなく、栄養素まで補給してもらうようになると、いっそう高度に進化する能力をもつ。それが哺乳類だ。)
( ※ 実は、抱卵と恒温性とは、同じことではない。抱卵は、半恒温性 の段階で生じた。それは一部の恐竜に備わる。一方、十分な恒温性を備えたものも現れた。それが現生鳥類につながる系統であり、それだけが恐竜絶滅期を生き延びた。一方、半恒温性をもつ恐竜はすべて滅びた。)
 


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posted by 管理人 at 19:08| Comment(5) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。こうもりの例があるように、別系統の種から空への進化が複数回あっても何ら驚くべきことはないのですが、学者は保守的ですね。
Posted by YT at 2011年08月26日 08:03
成体は飛べなくても幼体が飛べたと考えることもできますね。幼体の時に飛べると捕食者から逃げることができます。また、その幼体がネオテニー化して成体でも飛べるようになったとも考えられます。
Posted by YT at 2011年08月26日 20:24
前にも似た話を聞きましたが、ちょっと無理でしょう。ヒヨコが空を飛べる、という事実があるのなら、まだわかりますが。現実には、ヒヨコはヨチヨチ歩きだけで、成体になってから、高さ数メートルの飛翔力を付けます。
Posted by 管理人 at 2011年08月26日 22:14
通説の矛盾点については、興味深く読ませていただきました。
1つだけ疑問があるのですがお答えいただけたら幸いです。
恐竜から恐鳥類に進化し、飛ぶ鳥になったという部分についてですが、恐鳥類には既にクチバシがあります。
クチバシは、飛行のために体を軽くする必要性から歯を捨てて進化したのだと思いますが、恐竜から恐鳥類に進化したのであれば、歯を捨てる必要がなかったと思います。
個人的には飛ぶ鳥から走る鳥という考えのほうが矛盾がないと思うのですが、どう思われますか?
Posted by AAA at 2012年08月18日 23:56
疑問点があればサイト内検索してください。
 今回は「クチバシ」で検索。
Posted by 管理人 at 2012年08月19日 06:03
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