2011年08月23日

◆ 10年後の太陽光発電

 太陽光発電は、今すぐには普及しないだろうが、10年後には普及する可能性が高い。では、10年後の普及を実現するには、どうすればいいか? 何もしないことがベストだ。 ──
 
 太陽光発電を 10年後の普及を実現するには、どうすればいいか? 今すぐドイツのように、普及率を最大限に高める努力をするべきか? いや、その逆だ。何もしないことが最善だ。
 逆に、ドイツのように今すぐ最大限の普及をめざすと、10年後には普及率を上げることができなくなる。
 このことは、「ウサギとカメ」の話にも似ている。マラソンにおいてスタートで全力疾走すると、すぐに疲れてしまって、一休みするしかない。そうして休んでいる間に、亀に抜かれてしまうので、最終的には負けてしまうのだ。
( ※ 実際、スタート直後に全力疾走するマラソンランナーはいない。いれば、必ず負ける。)
 
 ──

 何をとぼけた寓話を語っているのか……と疑問に思う人もいるだろう。しかし、現実は、このような愚かな策が取られているのだ。つまり、「スタート直後に全力疾走する」という方針だ。
 その典型的な例が、ドイツとスペインだ。また、孫正義の方針もそうだ。これらの例では、現時点で「市場価格の 4〜6倍」という、途方もない高価格による買い取りが示されている。つまり、太陽光発電の推進は、最初から全力疾走となっている。しかしこのような方針は、途中で息切れしてしまうので、最終的にはペースが落ちてしまう。
 つまり、初期の段階では、太陽光発電の推進をやればやるほど、ゴールに到達する時期がかえって遅れてしまうのだ。(急げば急ぐほど、遅くなる。一種の矛盾のようなもの。)

 ──

 まず、ゴールを設定しよう。
 太陽光発電の占める割合は、最大限でも、電力の 10%だろう。
 なお、太陽光発電は正午ごろに発電量が高い。( → 前項
 電力の 10%を太陽光でまかなうとすると、ピーク時(正午)には 20〜25%が太陽光発電となる。この水準が最大限だろう。

 さて。「電力の 10%を太陽光でまかなう」というのをゴールだとしよう。それは 10年後か 15年後に実現するかもしれない。では、実現するとして、そのためにはどうすればいいか? 
 もちろん、補助金で推進すればいい。ただし人々が補助金として出せる金額には、限度がある。その上限は一定だ。

 補助金の総額が一定であるときには、次の式が成立する。
   補助金の総額 = 単価 × 数量

 これはまあ、当り前ですね。たとえば、1000円あるとして、10円ならば 100個買えるが、1円ならば 1000個買える。だから、安いときに買う方が、たくさん買える。
 太陽光発電でも同様だ。市場価格が 18円のときに、20円で買えば、補助金は2円だけだ。しかし、40円で買えば、補助金は 22円だ。2円と22円では、11倍も差が付く。
 逆に言えば、こうだ。同じ補助金を出すにしても、40円で買うと、買える総量は 11分の1にしかならない。だから、価格が高いときには、なるべく買わないことがベストなのだ。

 ──

 どうしてこれが大切になるか? それは、太陽光発電の買い取り価格が「固定価格」であるからだ。10〜15年という長期間に渡って、同一の高価格が持続する。たとえば、現時点で 40円で買うことにした太陽光パネルについては、10年後にも同じ価格が適用される。すると、10年後にはコストが 11分の1になった太陽光パネルを買いたくても、はるかに価格の高い太陽光パネルを使い続けなくてはならない。

 対比すると、次の通り。
  ・ 2012年のパネル …… 価格 11  / 数量 1
  ・ 2022年のパネル …… 価格 1  / 数量 11

 
 10年後には、価格が大幅に低下している。それを買って発電すれば、数量は 11 となり、大量の電力を発電できる。
 しかるに、もし 2012年の時点で太陽光パネルを買っていれば、それが 11 という金を食ってしまう。その状態が 2022年にも続く。……そのせいで、 2022年の時点では、11 という量の電力を発電できず、1という量の発電しかできない。

 ──

 以上からわかるだろう。技術革新により、太陽光発電の価格が劇的に低下するのであれば、価格が低下してから一挙に大量に普及させる方がいいのだ。(そうすれば将来的に大量の普及が可能だ。)
 一方、価格がバカ高い時点で少しずつ普及させようとすると、そのために金を奪われる状況がずっと続く。そのせいで、10年後に大量の太陽光発電を普及させようとしても、そのための金がなくなってしまうのだ。
 これはちょうど、「マラソンにおいてスタートの時点で全力疾走する」ということに相当する。エネルギー(スタミナ)が切れてしまうので、最終目的地には到達できなくなるのだ。

 ──

 以上からわかるだろう。
 「最初からどんどん普及させよう」という、ドイツやスペインや孫正義の方針は、太陽光発電の最終的な普及を、かえって阻害しているのである。それは未来の人々の手を縛ることを意味する。(実際には財布を縛る。)

 ──
 
 これと似た例を例示的に示すなら、次のような愚挙が想定される。

 (1) ISDN の補助金

 今から 15年前の時点で、ISDN という中速回線を普及させるために、莫大な補助金を投じる。その補助金の支払いが毎月1万円ぐらいかかる。人々はその負担がいつまでも続くので、日本だけは、ADSL にも 光ファイバーにも取り残され、いつまでも古臭い ISDN を使い続けるしかない。(解約したくても、長期固定価格の契約があるので、解約できない。)

 (2) プラズマテレビの補助金

 今から 15年前の時点で、プラズマテレビを普及させるために、莫大な補助金を投じる。それはあまりにも高額だったので、14インチのテレビでしかなかった。このための補助金が莫大にかかった。人々はその負担がいつまでも続くので、日本だけは、大型の液晶テレビから取り残され、いつまでも 14インチの不鮮明なプラズマテレビを使い続けるしかない。(解約したくても、長期固定価格のリース契約があるので、解約できない。15年前のオンボロテレビを使い続けるしかない。)

 ──

 このような例からもわかるだろう。「未完成の高価な先端技術」というものを、補助金によって普及させても、ほとんど意味がない。補助金というものは、「産業がヨチヨチ歩きのときの助太刀」ぐらいには役立つが、「大量の普及」のためには役立たないのだ。「大量の普及」のためには、技術革新こそが大切なのであって、それには時間を要する。「大量の補助金を出せばいい」という発想は、有害無益なのである。
 
 15年前に ISDN を普及させようというのも、15年前にプラズマテレビを普及させようというのも、現時点で太陽光発電を普及させようというのも、すべては「無駄」にすぎない。どんなに金を出しても、しょせんは時代遅れになる技術だからだ。

 大切なのは、補助金ではなく、技術革新だ。技術革新こそが、新技術を世間に普及させる。ひるがえって、「補助金で大量生産をすればいい」というのは、共産主義の発想だ。大量の粗悪品が普及して、やがてはゴミになるだけのことだ。そして、そのときに、ゴミ処理のお金がやたらとかかる。おかげで、肝心のものを買えなくなり、世間から取り残される。

 ──

 結論。

 10年後に太陽光発電の普及率を 10%にするには、そのための資金を今のうちに用意しておくべきだ。つまり、貯金しておくべきだ。
 ひるがえって、その金を今のうちに食いつぶしてしまえば、10年後に太陽光発電を普及させるための金がなくなってしまう。すると、どうなるか?
 10年後、世界各国が太陽光発電を普及させようとして、「電気代を5%上げます」というふうにする。そのとき、日本・ドイツ・スペインだけは「すでに電気代を 50〜 100%ぐらい上げているので、これ以上は太陽光発電のための金を出せません」となる。世界各国が太陽光発電で 10%の電力をまかなうときに、日本・ドイツ・スペインだけは2%ぐらいの電力しかまかなえない。日本・ドイツ・スペインだけは、最大限の金を払いながら、太陽光発電の発電量は最小となっている。
 そのとき、世界中の各国から、馬鹿にされるのである。「あわてる乞食はもらいは少ない。バカな国だ、あはははは」と馬鹿にされる。

( ※ ただし、孫正義だけは、馬鹿にされないだろう。「孫正義はさすがだな。太陽光発電で大儲けした。国を大損させて、国を破壊しながら、自分だけはボロ儲けした。国を破滅させることで、自分の懐をさんざん豊かにした。つまり、国を売って儲けたわけだ。坂本龍馬とは正反対のことをやっているわけだから、彼としては「これで自分も坂本龍馬に匹敵する」と大喜びだろう。……ま、建設と破壊という違いはあるが、規模の点では、似たようなものかもしれない。)
 


 [ 付記 ]
 孫正義のツイート ( → 出典

もちろん、龍馬さんに憧れ、龍馬さんが「世界の海援隊に成りたい」という言葉に刺激を受け渡米したんですからね。
RT @ti_jiyuugyou 孫さんが日本を好きになった理由に、坂本竜馬への憧れもあったと思っていました。less than a minute ago via TwitBird iPad Favorite Retweet Reply


posted by 管理人 at 19:42| Comment(2) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
発電量を固定価格で買い取るという事が問題だと思います。
設備設置に補助金を出すとして、
元が取れると思われるのはKWあたり40万円程です。
一番安い業者の設置価格(今なら100万円程で今後逓減に向かう)と40万円の差を補助金で出し、電力買い取りは買電価格と同じにすれば良いと思います。
Posted by 川嶋省エネ at 2011年08月26日 15:59
補助するとしても毎年売電補助できる金の上限を決め、それを計画的に使いますよ、って感時にして欲しいです。
売電補助額総額を決めて、これを売電単価で割った額だけ高く買い、それに達したらあとは二束三文で買い取るとか。そうならないよう予想される適正設備量以上は新規増設を認めないとか。
その点家庭用太陽光発電は補助金の限度額がこの役割を果たしてますが・・・

もうそう言う制限を掛けることは建前上はできないような法律を作っちゃったから手遅れです。
送電網が対応できないとかなんとかいってうまく実質制限をかけてほしいものです。
Posted by aki at 2011年09月01日 14:16
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