2011年08月17日

◆ 産業用電力の価格を上げよ

 今後、電気料金の大幅な引き上げが見込まれている。どうせなら、家庭用でなく産業用の電力を値上げするべきだ。これと「需給調整契約」の組み合わせにより、企業側は特に負担なく、値上げを受け入れることができる。 ──
 
 原発の停止にともなって、火力発電が増えているが、そのせいで、燃料コストが上昇している。だから今後、電気料金の大幅な値上げが見込まれている。
 
 ここで、先に述べた「需給調整契約を拡張せよ」の話を思い出すといい。つまり、「前日の通知で自主休業する会社」に大幅な電力割引がなされるという制度だ。

 そこで、この両者を組み合わせるといい。次のように。
  ・ 産業用の電力を大幅に値上げする 
  ・ 需給調整契約によって産業用の電力を大幅に引き下げる(該当企業のみ)


 結果的に、次のようになる。
  ・ 猛暑日に休業する会社 ……  値上げなし
  ・ 猛暑日に営業する会社 …… 大幅な値上げ


 ──

 具体的に言えば、こうだ。
 自動車会社や電気会社などは、工場を止めることができる。そこで、「明日は猛暑日です」という連絡を受けたら、翌日休業すればいい。そのことによって年間の電気料金を大幅に割り引かれる。結果的には? 特に損得はなくて、単に猛暑日の休業があるだけだ。(その分、春や秋に仕事を増やせばいい。)
 一方、電気を止められない半導体工場とか、営業を止められないデパートなどもある。これらは、勝手に営業すればいい。ただし、大幅割引は受けられない。当然、基本となる電力料金の大幅アップだけを受け入れることになる。しかし、それはやむを得ない。電力不足になりがちな猛暑日に、エアコンをがんがん効かせているからだ。そんなことをしていれば、その分、電力料金の負担をしてもらう。その分の料金は、とても高くなる。(大幅な割引を受けられない、という形の、大幅な負担。)

 ──

 というわけで、
  ・ 産業用の電力料金の大幅アップ
  ・ 需給調整契約の拡張 (前日通知による休業)

 を組み合わせれば、電力不足は解決するし、また、料金値上げの問題も緩和される。まさしく、名案。

 太陽光発電なんかに巨額の補償金を出すよりも、はるかに賢明だ。たとえば、
 「太陽光発電は、夏のピーク時に発電量が増える。だから、ピーク対策として、太陽光発電には大幅な補助金を出すといい」
 という発想がある。しかし、そのためには、大幅な補助金という巨額の負担がかかる。全国民が大幅な負担を強いられる。
 それだったら、上記のようにすればいい。そうすれば、一般家庭は、あまり値上げにならない。夏にがんがん冷房を効かせる企業ばかりが大幅な負担となる。それ以外の企業(夏休みを取る企業)は、別に負担は増えない。(相対的にはかえって負担が減る。)
 要するに、巨額の負担によって供給を増やすよりは、全体の負担はゼロのまま、配分の変更だけをする方が、はるかに賢明なのだ。それならば巨額のコストはかからない。
 
 なお、この制度が広く普及すると、スーパーなどの企業は夏季休業になりそうだ。それはそれでいい。欧州ではバカンスの間、商店も休みになっていることが多い。それで苦情が出るわけでもない。(ホテルなどは営業している。そしてホテルでは、自家発電をしている。)
 半導体工場のように、止められない工場も、自家発電を増やすことになるだろう。それはそれでいい。そのことで電力会社の負担も減る。



 [ 付記1 ]
 ここにあるのは、「価格調整によって需給を均衡させる」という発想だ。それは、市場原理の発想である。それはまさしく有効に機能する。
 ところが、市場原理というものを自分勝手に理解している古典派経済学者は、「産業用の電力を市場原理で調整する」という発想を取りたがらず、「家庭用の電力を市場原理で調整する」という発想を取りたがる。
 そのせいで、「家庭用の電力を3倍ぐらいに上げよ」と提案して、それで名案を出したつもりでいる経済学者もいる。(野口悠紀雄など。他にもいる。)
 まったく、呆れるしかない。家庭の電力は、コストで決まるものではなく、人間の生存のために必要となるものだ。それを止めると言うことは、場合によっては「死ね」ということだ。(熱中症の死者が出るので。)
 その一方で、コストで決まるはずの産業用の電力には、「それを止めよ」と言うことができない。「産業用の電力を止めたら、金儲けができなくなってしまう。そんなの、あかんわ」と橋下府知事みたいなことを言って、金儲けばかりを優先する。

 人の命よりも金儲けばかりを重視するのが、古典派経済学者や橋下府知事だ。彼らの頭には、「人間の生命を大切にする」という発想はまったくない。「企業の金儲けこそが大切であり、そのためには人間の生命を犠牲にする」という発想があるだけだ。
 だからこそ私は語る。「物事の本質を見よ」と。「人間は生きるために電力を使うが、企業は金儲けのために電力を使うだけだ。そのどちらが大切かを、本質的に考えよ」と。
 しかしながら、それを理解できないのが、古典派経済学者と独裁者だ。馬の耳に念仏
 
 [ 付記2 ] 
 このような「値上げ」と「ピーク電力対策」の兼用は、特に、関西でただちに実行することが望まれる。関西では電力需給が逼迫しているからだ。8月の下旬を乗り切れないかもしれない。
 ここで知事が指導力を発揮すればいいのだが、知事はやるべきこととは逆方向にばかり進んでいる。「産業は電力を節約する必要はありません」なんて大見得を切っている。「俺様が止めろと言ったら、府民はみんな俺様の言うことを聞いて、エアコンを切ってくれるよ」と思い込んでいる。
 それで停電になったら、どうするつもりなんだか。東京でどんな大混乱が起こったか、理解していないんだろうか? 電車が止まって、あちこちで出勤できなくなったり帰宅できなくなったりして、都市マヒ状態になったのだが。……それを再現させようとしている橋下府知事の馬鹿さ加減には、呆れるしかない。
 知事による都市テロですね。
posted by 管理人 at 13:35| Comment(1) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
池田信夫が「スマートメーターで解決」という市場原理主義を述べている。
 → http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2011/08/post-370.php

 当日になって急に電力料金を上げられても、会社は創業をストップできない、という事実を理解できないわけだ。
 本項でいろいろと述べたことを理解できない人の見本として、池田信夫が登場する。

 ま、たとえると、「緊急手術が必要な患者には、莫大な料金を吹っかけることができる」という悪徳医者に似ている。
 問題が起こらない制度を構築することが大切なのに、「問題を解決するには市場原理で金できめてしまえ」という粗っぽい発想。
 そんな発想をするなら、この世に知識人は必要ない。悪徳業者だけがいればいい。
 人間の知恵が何のためにあるのかを、市場原理主義者は理解できていない。
Posted by 管理人 at 2011年08月18日 17:27
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