次にまたいつか地震が来る。その対処として、防災庁を設置するべきだ。なぜなら、自治体の防災レベルは低すぎるからだ。自治体任せでは不足だ。 ──
東北の大地震のあとで、「政府任せでは遅すぎる。自治体に権限を委譲せよ」
という声が、自治体から結構出てくる。しかしその自治体がしっかりしているかというと、そうでもない。釜石のようにしっかりした自治体もあるが、陸前高田のように最悪の自治体もある。釜石は津波被害を最小に押さえたが、陸前高田は被害も最悪だし、対策も最悪だ。
→ 前々項 ,前項
これほどにも自治体は玉石混淆だ。とすれば、その状況を改善することが必要だ。つまり、どの自治体でも最高レベルの対策が取れるような、国家規模の体制が必要だ。
そのために、専門の省庁を設置することを提案したい。すなわち、「防災庁」の設置だ。
──
すでに環境省の外局として、原子力安全庁の設置が決まっている。職員 800人の環境省に対して、職員 500人の原子力安全庁。かなりいびつな構成だ。
私としては、むしろ、次の体制を提案した。( → 前出項目 )
《 新組織 》 《 旧組織 》
・ 原子力安全庁 ← 保安院・原子力安全委
・ 交通安全庁 ← 国土交通省(の一部。自動車・飛行機など)
・ 食品安全庁 ← 厚労省(の一部)
・ 生活安全庁 ← 消費者庁
一方、先に、「震災対策の省庁」として、「自然省」というものの創設を提案した。
→ 震災予防の省庁
この「自然省」を「防災庁」と改名して、上記の「安全省」と合体するといい。
つまり、「防災庁」を新設して、それを、「原子力安全庁」「交通安全庁」「食品安全庁」「生活安全庁」と並置すればいい。
さらには、現在の環境省を「環境庁」と改めて、いっしょに並置すればいい。また、気象庁や消防庁も同様だ。
結果的に、環境省は、環境安全省と改名され、そのもとに、いくつかの庁がぶらさがる。
環境安全省
・ 原子力安全庁
・ 交通安全庁
・ 食品安全庁
・ 生活安全庁
・ 防災庁 (新設)
・ 環境庁
・ 気象庁
・ 消防庁
これらの各庁は、「安全重視」という統一思想のもとで、人事交流がある。特に原子力安全庁は、「原子力エネルギーの確保」という経産省の目的をハズれて、「人間の生命や安全を最優先とする」という方針で運営される。
また、そこから得られた結論は、自治体に下ろされる。自治体が阿呆な運営をしていれば、自治体に対して指導がなされる。こうして、陸前高田のような馬鹿な防災対策は、きちんと是正される。
以上が私の提案だ。
[ 付記 ]
ひるがえって、現状の案は、こうだ。
「環境省の外局に、原子力安全庁を設置する」
これでは、組織に独立性が与えられるだけだ。悪くはならないだろうが、改善される保証は何もない。唯我独尊の勝手な運営がなされるだろう。トップに就くボスの発想しだいで、いかようにも運営される。あまりにも独立性が強すぎる。「組織の暴走」という危険性が、頭を過ぎる。
[ 余談 ]
「復興庁」も、ここに入れてもいいかもしれない。(が、入れない方がいいかも。復興庁は、旧・自治省の、新・総務省に該当するかも。)
【 追記 】
復興会議は、現在は活動停止状態だ。しかし、もう少し活動を続けた方がいい。その目的は、次の二点だ。
・ 陸前高田のような悪しき例を、指摘する。(是正する)
・ 復興会議の役割を受け継ぐ機関の設置を提言する。
陸前高田のような悪しき例は、他にもあるだろう。だから、今後は、そのような悪しき例を指摘して、是正するべきだ。
また、復興会議はやがて消滅するが、そのあとにも、同様のことを継続的に実施する機関が必要だ。だから、そのような機関の設置を提言するべきだ。そして、そのような機関が「防災庁」だ。
【 参考 】
ここで言う「防災庁」は、現在の復興会議の作業部会をそのまま引き継ぐといいだろう。それはまた、各省庁の出向者の集まりでもある、ということだ。
「防災庁」は、機関としては恒常的であるべきだが、人員は恒常的である必要はない。各省庁の出向者で十分だ。そして、普段はその人員は少なめだが、災害が起こった直後には、人員が急増されるべきだ。その人員は、これまでに防災庁に短期的に出向した経験のある人々だ。
つまり、これらの出向者は、短期的に防災庁に出向して仕事に慣れておく。そして、いざ大災害が起こったら、各省庁から大量に防災庁に派遣されて、防災の業務に携わる。事態に応じて、人員数が最適に変動するわけだ。
2011年08月15日
過去ログ
タイムスタンプは 下記 ↓
──
《 地震直後、4割がすぐ避難せず 》
東日本大震災で津波被害を受けた岩手、宮城、福島3県の被災者870人を対象にした内閣府などの面接調査で、地震の発生直後に42%の人が帰宅や家族を探すために直ちに避難せず、11%の人が何らかの行動の最中に津波が迫ってきて避難する「切迫避難」だったことが、16日分かった。
直後に避難した人のうち、津波に巻き込まれた人は5%だったのに、切迫避難では49%の人が津波に流されたり、体がぬれたりした。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011081600782
──
釜石のように対策が進んでいた都市もあれば、陸前高田のように駄目な都市もある。
自治体任せでは、玉石混淆だ。
ゆえに、国家的に統一的な防災対策が必要となる。さもなくば、陸前高田のような都市では、自治体が馬鹿だったというだけで、多くの人々や子供が死ぬハメになる。市長が愚かで自分が死ぬのは構わないが、現実には、愚かな市長が生き残り、他の人々ばかりが大量に死んでしまう。
→ 「防災庁を政府が否定」:Openブログ
http://openblog.seesaa.net/article/460581346.html