・ 節電は是非ともするべきだ、という過剰意識。
この両者は似ている。 ──
放射線の風評被害が広がっている。朝日の記事を紹介しよう。
・ 送り火用の被災松からセシウム 京都市、使用中止を発表 (はてブ)
・ 海越えた風評被害、深刻 日本産リンゴ、輸出8割減
ここでは、「放射線はものすごく怖いんだ」という過剰意識がある。(豚インフルエンザの場合と似ている。)
これらは、賛否両論を含めて、さんざん話題になったから、知っている人が多いだろう。
( ※ なお、松であれリンゴであれ、セシウムが検出されたことは、危険であることを意味しない。日本中のあらゆる薪や食品には、微量の放射性物質が含まれている。「絶対安全」「放射性物質ゼロ」を求めれば、何も食べられなくなるし、どこにも住めなくなる。「この世に絶対安全などは存在しない」と理解することが必要だ。)
( ※ 京都では、測定した松とは別の薪を測定すれば、やはり微量の放射性物質が検出されたはずだ。海外では地元の果物を測定すれば、やはり微量の放射性物質が検出されたはずだ。……それさえもわからないで、微量の検出値にあわてふためくのが、愚かな危険厨だ。)
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一方、節電にも同様の現象がひろがっている。「節電しないと大変だ」という過剰意識だ。これについて話題にしている人は、あまりいない。私ばかりが話題にしていて、世間では過剰意識があるということすら認識されていない。むしろ、過剰な行動を当然視している。
これによる被害は、いろいろとある。
・ 節電でスパコンピンチ!稼働率低下
・ 街灯消えひったくり急増 節電で
節電のためにスパコンを止めるというのも馬鹿げているし、節電のために街灯を消すというのも馬鹿げている。
なぜなら、真夏の猛暑日以外には、たとえ午後であっても、電力は余裕たっぷりだったからだ。また、街路灯をつける夜間であれば、常に電力は余っていた。
( ※ 今夏[本日まで]の最大電力需要が生じた8月10日でさえ、午後5時以降には大幅な余裕があった。)

東電の電力需給
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過剰な「節電運動」では、「電力不足が怖い」という騒ぎがあった。そして池田信夫も、そのお先棒を担いでいるようだ。池田信夫は、放射性物質については「微量放射線は危険ではない」と言って、原発擁護派らしい言動をしている。一方、節電については、「電力不足はすごい悪影響を及ぼす」と言って、やはり原発擁護派らしい言動をしている。(言動の方向は正反対だが。)
日本経済は、これまで生産能力が余って需要が足りないためにデフレが続いているといわれてきましたが、今回の震災で起こった電力不足は日本が供給制約の時代に入ったことを象徴しています。( → 池田信夫ブログ )
菅直人氏が日本経済に与えた損害は、たぶん5兆円ではすまないだろう。史上最大の経済犯罪といってもいい。( → twitter )
ここで検証してみよう。電力不足は、日本経済にどれほどの影響を及ぼしたか? っつまり、電力不足のせいで、どれほどの生産低下が起こったか?
まず、3月11日の大地震の直後(計画停電のあった時期)には、いくらかの電力不足が起こった。ただしこれは、地震の影響であって、電力不足の影響とは異なる。(地震による一時的な作動停止だ。)
電力不足は、夏に起こるものだ。それは、池田信夫の予想では、「今回の震災で起こった電力不足は日本が供給制約の時代に入ったことを象徴しています」となる。つまり、彼の持論である「原発を稼働させるべきだった」ということになる。で、そうさせなかった菅直人のせいで、「日本経済に与えた損害は、たぶん5兆円ではすまないだろう」となる。
では、本当に、5兆円以上の損害が発生したか? 答は、ノーである。実は、電力不足で発生した損害はゼロである。なぜなら、電力不足そのものが起こらなかったからだ。
日本のどこでも、今までピーク電力に達したことはなかった。当然、停電も起こらなかったし、電力不足も起こらなかった。もちろん、計画停電も起こらなかったし、停電による産業縮小も起こらなかった。電力不足による損害は、5兆円どころか、ゼロであった。
( ※ 今後、いくらか停電が起こる可能性もなくはないが、あるとしても、関西と東北に限定されるだろう。東電管内では、起こる可能性はない。余裕はたっぷりとあるからだ。 → 別項1、別項2。)
このように、実際の被害はゼロであるにもかかわらず、「5兆円もの損害が起こった」と推算する人がいる。これもまた一種の過剰意識である。そのせいで、あちこちで、しなくてもいい過剰な行動を取って、損害が発生する。(上記のスパコン停止とか、街路灯の停止とか。)
こういう理不尽な行動と、それによる被害は、「風評被害」と言ってもいい。そして、それに一役買っているのが、池田信夫のような原発擁護派だ。「原発は必要だ!」と騒ぎ立てるために、あえて、ありもしない「電力不足による損害」を言い立てる。
それはちょうど、ありもしない「放射性物質による健康以外」を言い立てる危険厨と、同様である。
池田信夫は、微量放射線に騒ぐ危険厨をさんざん批判しているが、自分自身が、危険厨と同様の空騒ぎをしている。ありもしない電力不足を危険視して、「電力不足のせいで5兆円の損害が起こった!」と騒ぐ。とんだ煽動者だ。
[ 付記 ]
※ 以下は特に読まなくてもいい。
東北地方では、震災被害により、生産力が大幅に低下した。自動車産業では生産額が半減したところもあった。
しかしそれもすでにほぼ回復している。日産は6月に回復したし、トヨタやホンダも8月に回復する見込み。秋以降の増産も含めると、年間を通じて、昨年度を上回る生産が想定されている。
なお、6月まででさえ、「電力不足による生産減」は、一度も発生しなかった。というのは、電力は常に余っていたからだ。換言すれば、電力需要が供給の上限に達したことは一度もなかった。(最悪でも夏の猛暑時のときだけであり、それ以外のときにははるかに余裕があった。)
生産力の低下は、一時的にはあったが、それは震災による設備の破損によるものだった。電力不足による生産減は、一度もなかった。なのに、ありもしない恐怖を「ある」と騒ぎ立てるのが、妄想を信じる人々だ。
微量放射線を「怖いよ」と騒ぐ危険厨と、ありもしない電力不足を「怖いよ」と騒ぐ池田信夫。どちらも過剰意識がある。そして、彼らの言葉を信じた阿呆がいるせいで、現実に被害や悪影響が発生してしまう。
池田信夫の発想を見ると、興味深い。頭だけは利口ぶった秀才が、偏見に凝り固まることで、いかに道を踏みはずしてしまうか、その例がよくわかる。
「自分は利口だ」と思うことほど、本人を愚かにさせることはない。自惚れと無反省こそは、真実の敵なのである。
池田信夫の例を見れば見るほど、「人間、こうあってはならないな」ということを教えてくれる、よき反面教師となる。
【 関連サイト 】
→ 放射能対策にアップルペクチン
※ 不安に付け込んで高額商品を売りつけよう、というサイト。
→ アップルペクチンはセシウム被曝を軽減するのか? -
※ アップルペクチンを飲まなくても自然にセシウムは提言する。
→ 私がECRRを狂気の集団と呼ぶわけ
※ 危険厨の代表とされる ECRR が気違いじみて見えること。
(同じようでも、池田信夫はそこまでひどくはないと思うが。)
【 追記 】
朝日の WEBRONZA に本項が記載された。節電の過剰意識は必要ない」という趣旨。
この趣旨であれば、他の項目も参考にしてほしい。「節電は不要だ」という話は、以前から多くの項目で記しておいた。下記のように。
→ 電力使用制限令は不要
→ 電力使用制限令は見当違い
→ 電力不足は起こらない
→ 電力不足は起こらない 2
→ 「電力不足」という嘘の狙い
→ サイト内検索「電力 不足」
→ カテゴリ 「大震災・原発」
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その後、8月16日には、次の項目を新たに記載した。
→ 節電の不要性は確定した
→ http://blog.livedoor.jp/nnnhhhkkk/archives/65681040.html
「デマを撒き散らしてきた原発村の藤沢数希と池田信夫の総まとめ」