2011年08月12日

◆ 太陽光に蓄電池は不要

 太陽光発電は、光がないときには発電できない。その弱点を補うために蓄電池を使えばいい、と思う人が多い。しかし、蓄電池は必要ない。発電機があればいい。(特に、火力発電。) ──

 太陽光発電の弱点を補うために蓄電池を使えばいい、と思う人が多い。何とかして太陽光の弱点をなくそう、と思ってのことだろう。しかしそれは、発想が根本的に狂っている。太陽光発電の弱点をなくすことはできない。弱点を弱点として認めることが必要だ。そうすれば、最適解がわかる。

 そもそも、太陽光発電は、太陽光がないときには発電できない。夜間には発電できないし、夕方や雨の日には発電量が激減する。これはどうしようもない問題だ。たとえ蓄電池を使うにしても、蓄電池の容量は限度があるから、雨が何日も降り続ければ、蓄電池では足りなくなる。どうしても蓄電池だけで済ませようとすれば、実現不可能なほど大量の蓄電池が必要となる。
 また、そもそも、コスト的にも蓄電池は超高額だ。いくら頑張っても、非常用の発電機にさえ太刀打ちできない。
  → 家庭用の蓄電池

 この弱点を認めることが大切だ。そして、弱点を認めれば、「太陽光発電は主力にはなれない」とわかる。つまり、「あくまで補完的な電力にしかなれない」と。その意味は、「主役は別にある」ということだ。その主役が、「火力発電」だ。
 そして、火力発電がある状況では、蓄電池はもともと不要だ。なぜなら、太陽光発電の電力が落ちたときには、火力発電を使えばいいからだ。雨の日であれ、夕方であれ、夜間であれ、火力発電の発電量を上げればいい。夏のピーク電力時間帯に急に雲が増えて太陽光がなくなったら、休止中の古い火力発電所を稼働させればいい。……このようにして、火力発電を活用すればいい。蓄電池も不要だし、非常用電源も不要だ。また、敷地も手間も設備投資も不要だ。
 とにかく、休止中の古い火力発電所を稼働させるだけでいい。そのためには、(燃費効率は悪いが)古い火力発電所の燃料費が一時的にかかるだけだ。これによって、最低のコストで電力をまかなうことができる。(太陽光発電が発電しなくなった分。)

 ──

 そもそも、「蓄電池を使おう」というのは、
 「太陽光発電だけで全電力をまかなおう。火力も原子力もなくそう」
 という主義(超過激な急進派の主義)のもとでの発想だ。しかし、そういう「太陽光万能主義」は、もともと成立しない。太陽光発電は、せいぜい全体の1割程度にしかならない。(他に風力が2〜3割ぐらいあってもいいが。)
 太陽光発電はそういうふうに補完的な電力にすぎないのだ、とわきまえればいい。そうすれば、蓄電池も非常用発電機も不要になる。特に、莫大なコストのかかる蓄電池は、まったく不要になる。

 電気自動車の電池を使う……というのは、太陽光発電の安定性を高めるための手段としては、有効に思える。しかし、よく考えれば、その程度のことなら、火力発電や系統電力でまかなえるのだ。いちいち電気自動車の電池を使う必要はない。次のようにすればいい。
 「太陽光発電で余剰電力が発生したら、電気自動車の電池に溜めるかわりに、系統電力に流す」

 つまり、普通に売電すればいい。それだけのことだ.やたらと手間をかけて、いちいち電気自動車に充電する必要はない。また、家庭用の蓄電池に蓄電する必要もない。

 家庭用の蓄電池が有効になるとしたら、安価な夜間電力を使う場合だけだろう。しかし、「安価な夜間電力」というのは、原発の電力だけだ。原発は夜も昼も発電するから、どんなに安価であっても夜間電力を売るしかない。しかし火力発電ならば、安価で赤字販売するぐらいなら、発電機を止める方がマシだ。(そうすれば赤字にならない。)
 逆に言えば、赤字販売をやめるには、火力発電所の夜間電力はかなり高額に販売する必要がある。昼間電力の2割安程度が限度だろう。その程度の割引のために、いちいち電気自動車の電池を使う必要はあるまい。もし使えば、電気自動車の電池が劣化して、電池交換の費用がかかるので、かえって大損しかねない。

 ──

 結論。

 太陽光発電の電力は、蓄電する必要がない。余ったときには、系統電力に売電すればいい。足りないときには、系統電力から購入すればいい。系統電力そのものが蓄電機能を持つ。
 そして、その理由は、火力発電が発電量を自由に増減できるからだ。そして、その条件は、太陽光発電の発電量が1割程度にすぎないからだ。

 参考。

 逆に言えば、太陽光発電の発電量が1割程度である限り、太陽光発電は特に問題なく導入できる。
 一方、太陽光発電の発電量が大幅に増えたなら、太陽光発電の変動を吸収するための蓄電池が必要となる。そしてそれには超巨額の費用がかかる。太陽光発電そのものよりも、蓄電池の方がコスト高になるだろう。(雨が1カ月間続いて日照がほとんどない場合でも大丈夫なようにするには、蓄電池の費用は太陽光発電の費用の百倍ぐらいになるかもしれない。)
 ここからわかるように、太陽光発電は、あくまで補完的な電力となる。「太陽光発電があればクリーンなエネルギーでバラ色だ」と思うのは、とんでもない勘違いだ。太陽光発電だらけになれば、次の二者択一となる。
  ・ 雨が続くと、たちまち停電となり、国中がマヒする。
  ・ 莫大な蓄電池の費用がかかるせいで、日本人の大半が貧困で餓死する。


 単純に言えば、「太陽光発電でバラ色」と思うのは、SFの世界に生きている阿呆である。そんなことを思う人は、SFの夢物語の中だけで生きていけばいい。
 


 【 関連商品 】



人造人間キカイダー:
(エネルギー源は太陽光線)




 【 関連項目 】

  → 家庭用の蓄電池

 


 【 追記 】 
 池田信夫ブログ経由で知ったが、ビル・ゲイツも蓄電池(バッテリー)の問題を指摘している。以下、引用。

 
ふたつ目は送電用のバッテリーで、こちらのほうが困難であるといえます。例えば、使用エネルギーの半分を太陽光から取り込むとしても、日が昇るのは日中だけです。夜に備えて十分な量のエネルギーを備蓄する必要があり、これは非常に厄介な問題です。現在使用しているもの100倍の性能を持つバッテリーを必要とするからです。
( → http://j.mp/qkdvHv
 「だから太陽光は駄目だ」というのが池田信夫の結論だが、それは非論理的。「だから1割程度までにせよ」というのが私の主張だ。
 1割程度ならば、太陽光の電力の変動は大きくない。局所的には変動があるだろう。しかし、雲の移動につれて、ある地域で減るが、その分、別の地域で増える。全体としてみれば、変動はあまり大きくない。
 また、最大限に変動があったとしても、110ボルトが100ボルトに下がるぐらいだ。家庭用の電源は、90〜110ボルトの間で、20%の変動に耐えられるから、1割程度の変動はまったく問題ない。別途、風力の変動があるとしても、太陽光が1割までなら、別に問題はない。
 3割になれば、さすがに大問題となるが。(その場合には、蓄電池による変動の抑制が必要だ。)

 ついでだが、風力発電は、大型風車の場合、変動は小さい。(風車そのものが風の変動を吸収する。)一方、小型風車だと、変動はかなり大きい。(風の変動をダイレクトに反映する。)
posted by 管理人 at 19:56| Comment(11) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新聞記事から。
 ──
太陽光発電パネルや蓄電池を新築段階から設けるなどする「スマートハウス」事業に、ヤマダ電機が算入。
 → http://www.asahi.com/business/update/0812/TKY201108120416.html
 ──

 こういうのがいかに馬鹿げているか、ということが、本項からわかる。
Posted by 管理人 at 2011年08月12日 23:10
最後に、【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2011年08月13日 11:24
14日の読売新聞朝刊から。
 ──
 経済産業省産業構造審議会の研究開発小委員会は、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故、経済の停滞などで厳しい状況にある国内産業を活性化するため、新エネルギー技術の開発と少子高齢化対策に特化した大型国家プロジェクトの創設を柱とする提言をまとめた。
 大容量の次世代蓄電池や電力利用の効率化など新技術の開発を目標に20〜30年後の事業化を目指す、異例の長期プロジェクトだ。

 ──

 本項でも述べたように、「大容量の次世代蓄電池」などは必要ない。そもそも、電気自動車の中古バッテリーが大量にあふれるのに、いちいち新品を開発する必要がない。
 だいたい、人類が必死に研究して、何十年もかかっても、いまだにろくな蓄電池はできていないのだ。あと 10年ぐらいで急激に新技術が誕生するとは思えない。
 ま、少なくとも、「研究開発投資を投入すれば、画期的な新技術が出現する」ということは、ありえない。そのことは、過去の同様の計画が、すべて in vain に終わったことからも、判明する。
Posted by 管理人 at 2011年08月14日 13:56
太陽光は現在のコストだけでもひーひー言うレベルなのに、今の技術レベルで持ち込んで蓄電まで話をするのは確かに滑稽です。
自然エネルギーは蓄電抜きで火力とセットであるべき。おっしゃるとおり少なくとも10年はない、と感じます。
充電池を使うよりは変動に強いLNGガスターピン(コンバインド抜き)を一定量組み込めば同等以上じゃないかと思います。

今は総量に制限をかけ、技術維持に努める程度ということに賛成です。1割だって大変だと思うけど、せめて1割はないとピークカットにもなりませんし。

国民が払える金(税金でも電気代でも)には限度がありますので、再生可能エネルギー促進法案にも、総量を規制する方法を明記して欲しかった。
買取価格だけを定めて無制限にやらせると、国産の設備購入率が低下する。好き者が家庭用に導入する場合は国産びいきが働くが、売電を商売でやる場合は安い海外産を利用する率があがり、結果国民の金が海外流出する結果になるのではないかと思います。

急ぎすぎてはいけない。
Posted by aki at 2011年08月16日 11:08
> 売電を商売でやる場合は安い海外産を利用する率があがり、結果国民の金が海外流出する結果になるのではないかと思います。

 それ、今日書こうと思っていたネタなのに!   (^^);

 書くのをやめるしかないのか。 …… 

 なお、私の見解は、次の通り。
 「国産品の値段で 40円に決めておいて、孫正義は海外からの製品で33円ぐらいで済ませる。その差額を自分のポケットへ。そのために第三者の委員会にこっそり圧力を掛ける。国産品の価格ばかりを強調する」
Posted by 管理人 at 2011年08月16日 11:12
太陽光発電を1割程度まで逆潮流したとして、発電所ではこの動きを察して「燃料」を減らすことはできますでしょうか? どうも無理なような気がします。まして数秒単位で天候により出力変動があるとするならば。ということは、現在の太陽光発電で減らした燃料は1リットルもなく、CO2削減量もゼロということになるのでしょうか?
Posted by tettyan at 2011年09月06日 14:09
> tettyan

http://openblog.meblog.biz/article/5766356.html
「 (瞬間的な)急激な変動には、どう対処するか?」

 すでに説明済みなので、質問する前に、自分で調べてください。
Posted by 管理人 at 2011年09月06日 18:42
NEDOのMWソーラープロジェクトでは、NAS電池による出力変動抑制試験をやってみたようです。
数秒から数十秒周期の変動を抑制するには水力に頼るしかなく、高調波対策と同じでできれば発生源である程度調整したほうが良いとのこと。
http://www.jpea.gr.jp/pdf/PV_Japan2009_203.pdf

夜間とかそういう話ではなく、雲が次々やってくるような天候の時に役に立つ程度のものですが。

一方、NAS無しだと
http://www.e-wei.co.jp/sustainable-tecnology_seminar/pdf/B-21.pdf
Posted by けろ at 2011年09月14日 23:16
けろさんへ
その結果は、1カ所に集中設置するメガソーラーだからだと思いますよ。
雲の大きさより広く分散設置されれば、ある程度は平滑化されます。ある変電所領域の端っこが曇っても、他端の太陽光発電から融通されますので、1変電所では秒単位の高速変動は少ない形になると思います。http://unit.aist.go.jp/rcpvt/ci/about_pv/output/fluctuation.html
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/pdf/s1_20110121.pdf
ある程度の設置量までは変電所より上位への逆潮流も不要でしょう。少し越えても、万一余ったら発電抑制で対応してもよいし。住宅・事業所用であれば、曇ったら家のエアコンや冷蔵庫を一度止めて1〜数分後にゆっくり再始動(家毎に再始動時間を変える)する消費コントロールで対応することもできそう。
そういう意味では、発電所で吸収できない高周波変動を取り除きやすい小規模多数設置の方がメガソーラーより有利じゃないかと思います。
Posted by aki at 2012年01月28日 11:26
これに関しては、ブログ主の言われるとおりです。
Posted by ms at 2012年01月31日 15:13
蓄電池としては、揚水発電(地下/海水)が使えませんかね。

あと、水素精製と、石炭液化やメタン合成。
Posted by ポポイ at 2012年06月26日 03:52
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