家庭用の蓄電池を、積水ハウスが発売するという。
《 積水ハウス:3種の電池使用、省エネ住宅発売 》
積水ハウスは8日、太陽電池、燃料電池、蓄電池を組み合わせた省エネ住宅「グリーンファースト ハイブリッド」を発売した。三つの電池を組み合わせた住宅は世界初。昼は太陽電池と燃料電池で発電、夜は電力会社の電力を蓄電池にためる。年間約25万円の光熱費を支払っている家庭(4人)の場合、年約26万円削減でき、トータルでマイナスになる。
燃料電池は都市ガスから取り出した水素を化学反応させて発電し、廃熱で給湯もまかなうシステムで、日中は燃料電池と太陽光発電でほとんどの電力をまかなう。夕方から夜間は燃料電池と蓄電池を用い、足りない分は一般電力を使用する。蓄電池の電力は、停電時にテレビと冷蔵庫1台ずつなら約23時間持つ。設置費用は、建設費に加え、一般家庭の場合、三つの電池代で560万〜600万円がかかる。
《 積水ハウス、創エネ・蓄電住宅投入−太陽光発電、燃料電池、鉛蓄電池 》
鉄骨住宅、木造住宅に対応。コスト面などを考慮し、鉛蓄電池とした。蓄電池は200万円。燃料電池は240万円、太陽光発電1キロワット当たり44万8000円。
日常的には夜間に燃料電池や蓄電池の電力を使い買電を減らし、光熱費は年間26万円削減できる。非常時は太陽電池、蓄電池、燃料電池などからの電力供給に自動で切り替わる。
蓄電池だけで冷蔵庫200ワット、テレビ150ワット、照明100ワットが約17時間使用できる。
( → 日刊工業新聞 )
業務用の小規模な蓄電池を、ソニーが発売するという。
《 ソニー、業務用蓄電池 9月に発売 》──
ソニーは8日、非常用電源などに使う業務用蓄電池を9月に発売すると発表した。オフィスや大学の研究施設など向けで、パソコン1台を約20時間稼働できる。電力問題が深刻化するなか、停電対策として高まる需要を取り込む。今年度300台の販売を目指す。
発売するのは容量が2.4キロワット時のリチウムイオン電池。材料に新素材を使い、10年以上の長寿命を確保した。家庭用コンセントから最短2時間で95%を充電できる。6個の出力用コンセントを備え、重さは約90キログラム。価格はオープンだが200万円前後を想定する。
( → 日経 )
( ※ 詳細は → マイコミジャーナル
いずれも興味深いが、実用水準に達していない。
(1) 積水ハウスのは、年約26万円削減で、費用は 600万円と工事費で 700万円。利子がなくても、償却に 30年近くかかる。利子を考えれば、償却は 50年以上。50年たったころには、とっくに機械が壊れている。また、別途、メンテナンス費もかかる。トータルでは大幅な赤字だろう。
(2) ソニーはもっとひどい。こちらは発電機もなくて、たった 2.4キロワット時の蓄電池だけ。それでいて200万円。しかも寿命は十年ちょっと。メチャクチャな大赤字となる。
──
もっとマシなのはないか? ある。これだ。
《 電気自動車が、自宅用走る蓄電池になる時代 》日産のこのシステムは、比較的安価だが、難点がある。「自動車が外に出ているときには家庭では蓄電システムを使えない」ということだ。ま、その場合には、普通の電灯線から電力を導入できるから、問題はあまりない。しかしそれだったら、もともとずっと電灯線を使う方がいい。
日産自動車は、電気自動車リーフの駆動用バッテリーから一般住宅に電力を供給するPCS(パワー・コントロール・ユニット)を公開した。
このPCSは、日産リーフのバッテリーに蓄電された電力を家庭用に使える電圧や周波数に変換するユニット。リーフに搭載されるバッテリーの容量は24kwhと、なんと一般家庭における約2日分の電力に相当する。この大容量の電力をPCSを経由することで停電や、緊急時のバックアップ電源として使用可能。
( → livedoor )
日産では、「LEAF to Home」を2011年度内に販売開始する予定としており、価格については、現在100万〜200万円で販売されている蓄電システムに対して、競争力を持つ価格を実現するとしている。
( → impress )
元の木阿弥。 (^^);
ただし、日産では、「10年後には、古くなった電気自動車からリチウム電池を取り出して、それを家庭で再利用する」という方針を示している。古い電気自動車は廃棄するしかないが、そのリチウム電池を再利用できるとなると、大量の蓄電池が市場に出回ることとなり、かなり安価にリチウム電池を入手できる。
というわけで、10年後には、これが最も現実的となるだろう。それまでは、新品の電池を買うのは、馬鹿らしい。先走って購入するべきではあるまい。
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では、10年後までには、どうすればいいか? 私のお勧めは、こうだ。
(1) 非常用の電源がほしいなら、非常用の発電機。2kW で3万円。
(2) せっぱつまっていないなら、何もしない。
・ 企業ならば、特に暑い日を休むだけでいい。
・ 家庭ならば、停電の心配は不要。
停電なんて、まず、ありえない。3月にあった「計画停電」が再発することは、まずありえない。
・ 関東地区ならば、東電の電力は来年以降も十分に足りる。(現状の節電が前提)
・ 東北地方ならば、「需給調整契約」と「東電からのお裾分け」で足りる。
というわけで、つまらないことを考える必要はない。「大変だあ」と騒いで、200〜700万円もの金をかけるべきではない。
どうしても金をかけるなら、非常用の発電機を数万円で買えばいい。買っても、宝の持ち腐れになるだけだが、気休めぐらいにはなる。「ずっとお蔵入りさせる」つもりで買えばいい。
高いか? 心配性を治すための治療薬としては、そんなに高い価格でもあるまい。安いものは3万円でも買える。ホメオパシーのレメディよりはマシだ。(安心して、不要だと感じたら、「未使用新品」という名目で、ヤフオク or 中古業者に売り払ってしまえばいい。2万円で売れば、自分の損失は1万円で済む。)
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結論。
積水ハウスやソニーの蓄電池は、数百万円もするが、その能力は、たった数万円の非常用発電機と大差ない。そんなものを買う必要はない。「エコだから」という名目で、人は莫大な金を払いたがるが、そんな気持ちでいると、詐欺に遭うだけだ。
孫正義であれ何であれ、「エコのため」という名目で、人々から莫大な金を奪い取ろうとする詐欺師が多い。エコ詐欺に引っかからないよう、注意しよう。
この手の問題に関する南堂さんの見解には100%賛同します。
でも、解らない、あえて解ろうとしない人が多すぎですね!
こんな「無駄」の購入に、我々の税金から補助金でも出されたら、
私は暴れます!
これは(蓄電池でなく)発電部分だから、仕方ないのかも。太陽光発電にうん十万円よりはマシだ、と思うしかない。
2015年の実用化を目指しているそうですが、リチウムイオン電池に比べてコストが5分の1、大きさも半分の体積で済むとなるとリチウムイオン電池なんて目じゃないですね。