太陽光発電を推進する人々(孫正義や朝日新聞)は、高額買い取りをするドイツを引き合いに出して、「ドイツに学べ」と主張する。
→ 孫正義の主張
→ 朝日新聞の主張
よろしい。ドイツに学べばいい。ただし、ドイツに学ぶならば、その失敗に学ぶべきだ。
ドイツは太陽光発電をすさまじく推進した。そして、どうなったか? 孫正義と堀義人のプレゼンから引用すれば、次のようになる。
・ ドイツの買い取り価格
…… 「太陽光発電の最低買取価格は市場取引価格の約6倍」(孫正義)
・ ドイツの電気料金
…… 2000年に比べて 2009年には料金が2倍にアップ
・ ドイツの太陽光発電の量
…… 全体の 2%
まとめれば、こうだ。
「太陽光発電の買い取り価格を6倍にして、電気料金全体を2倍にする。それほどまでに太陽光発電を圧倒的に優遇しても、それでもドイツの太陽光発電は全体の 2% にしかならない」
これはほとんど「骨折り損のくたびれ儲け」に近いが、より正確に言えば、こうだ。
壮大な無駄!
これがドイツの例からわかることだ。ドイツは見事に、太陽光発電の先駆者として、他人に先んじて、未開の土地を進んだ。まことに見上げた根性だ。
ただし、その結果は、大失敗であった。つまり、ドイツは、その道を進めば成功することを教えたのではなく、その道を進めば大失敗することを教えたのである。
「他山の石」という言葉もある。われわれはドイツの例を見て、学ぶべきだ。「そこを通れば失敗する」と。
そして、そうわかったからには、その道を通らなければいい。まともな頭があれば、そうわかるはずだ。
にもかかわらず、「ドイツの真似をして太陽光発電の道を通ろう」と主張する孫正義は朝日新聞は、先人の失敗を見ても、何も学べない。頭がイカレているのだろうか? 阿呆としか言いようがない。
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何事も反省が大切だ。たとえば、8月9日の長崎・原爆式典で、次の言葉があった。
「『ノーモア・ヒバクシャ』を訴えてきた被爆国が、どうして再び、放射線の恐怖におびえることになったのか」……「自然への畏れを忘れていなかったか、人間の制御力を過信していなかったか」これは、原発事故への反省だが、太陽光発電についても当てはまる。太陽光発電についても、孫正義や朝日新聞は同じような「科学への過信」をもっている。
( → 毎日新聞「長崎市長の言葉」 )
たとえば、孫正義や朝日新聞は、「大量生産によって太陽光発電の価格は大幅に下がる」と主張する。
→ 朝日新聞と孫正義
しかし、「大量生産によって太陽光発電の価格は大幅に下がる」ということは成立しない。朝日は同じことを7年ぐらい前からずっと主張しているが、オオカミ少年と同じだ。「下がります、下がります」と主張するが、太陽光発電のパネル生産量がどれほど急激に上昇しても、価格の低下率はごくわずかでしかない。
ちなみに、オオカミ少年の例は、シャープもある。( cf. 前出項目 )
→ シャープ、太陽電池コスト半減
これによれば、「2010年に太陽電池の発電コストを現在の半分、1kWh当たり23円に下げるめどがたった」ということだ。しかし現実には、とても半分にはなっていない。2割ぐらいしか下がっていない。
孫正義も、朝日新聞も、シャープも、すべてはオオカミ少年だ。「大幅に下がります」と主張しているが、ちっとも大幅に下がっていない。
ただし、である。「人件費を下げることで大幅に価格を下げる」という道を取っている企業もある。中国企業がそうだ。そこで、中国企業を見ると、価格はかなり下がっていることになる。
しかし、その結果は、「中国企業の躍進」である。実際、太陽光パネルでは、中国企業が世界一だ。だから、太陽光発電を推進すれば推進するほど、中国企業が得をすることになる。(韓国も。)……この点は、国会でも審議された。
→ 2011.07.07 参議院 予算委員会 片山さつき の質問
片山さつきが舌鋒鋭く質問しているのに、菅直人は答えられない。もちろん、孫正義や朝日新聞も、同様だろう。
( ※ それでいて孫正義は、プレゼンでは、「産業促進の効果がある」と主張している。……ふん。日本じゃなくて、中国の産業でしょ。)
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ドイツに学ぶべきことは、もう一つある。それは、次の写真だ。

( ※ 解説は → Weed-Covered, Neglected Solar Park)
つまり、莫大な金をかけて、メガソーラー施設を作っても、たったの1年半で、太陽光パネルは雑草に覆われてしまう。(ぺんぺん草が生える、という慣用句もあるな。)
孫正義は、「福島の休耕田に太陽光パネルを敷き詰める」と述べているが、その結果がどうなるかは、ドイツの例が教えてくれる。
繰り返す。
太陽光発電について、ドイツに学ぶということは、ドイツの失敗に学ぶということだ。