2011年07月30日

◆ 朝日新聞と孫正義

 朝日新聞が孫正義の記事を書いている。まるで馴れ合いだ。 ──

 朝日新聞が孫正義のインタビュー記事を書いている。と言えば、読まなくてもわかるが、内容はこうだ。
 「太陽光発電は素晴らしいですね。どんどん推進しましょう」


 これだけ。それを、孫正義と、朝日の記者とが、いっしょに論じている。論じているというよりは、二人で馴れ合っている。
  「おれたちはなんて素晴らしいことを言っているんだろう」
  「ほんとにそうですね。おれたちって素晴らしいなあ」

 という調子。……気持ち悪い。まるでおホモだちの馴れ合いだ。げっ。

 ──

 そもそも、政治的なインタビューというものは、聞き手と話し手の意見が違っているのでなくては、意味がない。話し手が自分の理念を語るのはいいが、そこにある欠陥などの問題点を、聞き手が鋭く指摘すべきだ。そうしてこそ、政治的なインタビューというものは成立する。

 ところが、朝日の記事と来たら、まるで芸能人に対するファンの態度だ。
 「きゃーっ。すてきな孫正義さん。私、あなたの大ファンなんでーす。お話しし
たいんでーす」
 という調子で、孫正義の言い分を一方的に持ち上げる。ファンとして。
 さらには、彼の語っていないことまで、「こんなに素晴らしいんですよねえ」と追従する。まるで、オセロに追従するイアーゴーみたいな調子で、追従する。(気持ち悪い。げげげ。)

 朝日はこんなに気持ち悪い記事(提灯持ちの記事)を書いて、はずかしくないのだろうか? それともこれは、孫正義が自分でお金を払った、全面広告なのだろうか? それならばきちんと「全面広告」と記すべきだ。
 仮に、全面広告でないとしたら、朝日は狂っている。世論が二つに分離しているときに、一方だけを支持する偏向記事を書くからだ。 

 ──

 それにしても、孫正義もどうかしている。これほどの偏向記事を書いてもらって、おかしいと思わないのだろうか? 「反対論が皆無であり、公正さを欠いているな」と思わないのだろうか? もし平気でいるのだとしたら、彼の精神はすでに相当、正常なバランスを欠いている。「自分のお追従を言ってくれる人だけが正しく、自分を批判する人はみんなバカばかりだ」と思っていることになる。
 そうだとしたら、孫正義は、すでに「独裁者病」にかかっている。(橋下府知事や石原慎太郎と同様だ。)……その場合、ソフトバンクという会社は、もはや先は長いことはない。独裁者が他人の批判を聞かなくなったら、その会社はもうおしまいだ。
 
 私としては、孫正義がそこまで正気を失っていない、と信じたい。そして、それを信じるには、孫正義が朝日の記事を読んで、「はずかしいな」と思う羞恥心があることが必要だ。彼はいったい、どう思っているのだろう? 
 とりあえずは、次のツイッターがあるが。
今日の朝日新聞に私が若宮主筆からインタビューを受けた記事が掲載。私の震災後の考えが出ています。 もし読んだ方がいれば感想を。
( → 孫正義 ツイッター
 彼は批判を聞くだけの度量があるだろうか? それとも批判には耳をふさぐのだろうか? (池田信夫みたいに。)
 


 【 追記 】
 この二人の馴れ合いのどこが駄目かというと、難点はいろいろとあるのだが、最も駄目な点は、次のことだ。
 「補助金を出して大量生産をすれば、太陽電池が大幅に安くなる、と信じているところ」

 《 解説 》
 
 一般に、「大量生産されれば安くなる」という原理が成立するのは、まだ大量生産されていない商品だけである。一方、すでに大量生産された商品は、このあと生産量が2倍ぐらいに増えても、ほとんど値下げされない。(ただし技術革新による値下げならば、起こりうるが。)
 だいたい、「大量生産で値下げ」という図式が成立するのであれば、何も太陽電池だけを推進する必要はない。自動車でも、テレビでも、文房具でも、みんな同じ理屈によって補助金を求める資格がある。……ただし現実には、補助金をもらっても、その分の値下げが起こるだけであり、大量生産の効果なんか、ほとんど生じない。
 その例外となるのは、いまだ大量生産されていない商品である。たとえば、初期のハイブリッド車(初代プリウス)とか、初期の電気自動車(現在の日産リーフ)など。……これらには、補助金を出すことで、将来の生産増を促す効果はある。
 一方、すでに大量生産されているシリコン型の太陽電池なら、補助金を出す効果はない。
 しいて言うなら、効果がありそうなのは、「シリコン型以外の太陽電池」である。たとえば、CIS とか、有機塗布型とか。……これらに補助金を百億円ぐらい出すというのなら、まだわかる。しかしながら、シリコン型に莫大な補助金を出すなんて、あまりにも馬鹿げている。どうせあと数年もすれば、シリコン型は時代遅れとなって、衰退するはずだからだ。補助金を出せば出すほど、バブルがふくらむだけで、そのあとには、バブル破裂のあとの廃墟となった工場が残るだけだ。無駄の極み。

  


 【 関連サイト 】

  → 街まるごと太陽光発電…福山・尾道にモデル地域
  太陽光パネルで発電した電気を、電気自動車に蓄えて各家庭に供給する――。広島県は福山市や民間企業などと、そんな未来型エコタウンを目指す構想を進めている。
  自然エネルギーを巡っては、ソフトバンクの孫正義社長が大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を提唱。35道府県や17政令指定都市と協議会を設立するなど、普及への動きが活発化している。
 すべての自動車を電気自動車にしても、その蓄電量はあまりにも小さすぎる、とすでに判明している。なのに、計算だけで「駄目だ」とわかることを、莫大な金をかけて「できると検証しよう」というのだから、呆れる。まるで「天に届くことを実証するために、バベルの塔を建てる」というのに等しい愚挙だ。
 無駄金をつかうより、頭と電卓を使うべし。

 しかし、こんなところにも孫社長の影響が及んでいるとしたら、まったく罪深いな。
  


  ※ 下記はどうも間違いらしいので、取り消します。
  
 朝日の記事を改めて読み直すと、最後の箇所が気になる。次の趣旨。(大意)
 「太陽光発電などの自然エネルギーは、年率 20〜30% の高成長を続ける。なぜ国を挙げてそこに参入しないのか」
 
 孫正義はこう語る。これを読むと、孫正義の本音が透けて見える。つまり彼は、「高成長」を望んで止まないのだ。ちょうどホリエモンのように。
 ただ、ホリエモンの場合は、やみがたい欲望があった。酒も女も美食も金も、すべてを望んだ。孫正義の場合は、そういう欲望はない。かわりに、何があるか? 莫大な負債がある。
 → Google 検索 「ソフトバンク 負債 2011」
 兆円規模の負債があるようだ。これでは、ソフトバンク本体が数百億円の利益があっても、なかなか追いつかない。そのうち、金利が上昇したら、それだけでソフトバンクはパンクしそうだ。
 ソフトバンクが成立できるのは、ゼロ金利が続くとき、つまり、不況のときだけだ。そのときには、金の借り手がいないので、低利で金を借りていられる。しかしその後、不況が解決すれば、莫大な利払いを迫られる。そうなると、ソフトバンクは一挙に破綻しかねない。
 そして、それを避ける方策は、ただ一つ。「会社が右上がりで拡大し続ける」という信念を人々に抱かせることだ。走っていなければ倒れてしまう自転車と同様で、ソフトバンクは拡大し続けなければパンクしてしまう。ソフトバンクならぬソフトパンクか。 (^^);

 というわけで、孫正義は、急成長市場に参入することが、必要不可欠なのだ。急成長市場に参入できなくなったら、その時点で、ソフトバンクは倒産しかねない。
 だからこそ、ソフトバンクは、政府を巻き込んででも、太陽光発電に参入しようとする。
 そして、その裏事情を知らない文学系の朝日は、経済も数字も理解しないまま、きれいな理念だけのホラにあっさりと騙される。そして、「さすがに孫さんは素晴らしい哲学をもっていますね」と感心したあげく、金を差し出そうとする。……ただし、差し出すのは、自分の金ではなくて、国民の金だ。(そこが朝日の悪魔的なところ。)

 


 【 関連項目 】

 孫正義の太陽光プロジェクトについては、本サイト内でもすでに、いろいろと論じている。下記の検索でわかる。

  → サイト内検索「孫正義」
posted by 管理人 at 17:38| Comment(9) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ツイッターでつぶやきが飛んできた。

> 有機に賭けるなんて愚の骨頂

 だれもそんなことを言っていませんよ。賭けるならば、莫大な賭金が必要です。兆円規模が必要でしょう。

 私が言っているのは「補助金を百億円ぐらい出す」だけです。つまり、研究開発補助だけ。
 普及補助金と研究開発補助とを、間違えないように。

 なお、有機塗布型が有望であることについては、下記。
  → http://openblog.meblog.biz/article/5100715.html
Posted by 管理人 at 2011年07月30日 23:11
孫正義批判の優れた文書があった。紹介する。
  → http://nosoftbankno.blog84.fc2.com/blog-entry-86.html

 Nosoftbank という人。けっこう有名らしい。
 悪口のツイッターばかりを飛ばす人だとも思っていたら、そうではなくて、実に実証的な指摘を上で記している。私も知らなかった情報を指摘している。よほど丹念に情報を探っているようだ。この点では、負けました。   (^^);

 池田信夫の孫正義批判は、同じことの繰り返しで、あまり情報量は多くないのだが、上の人の話には、実証的な情報がたくさんある。

 一つの問題を突き詰めていくという点では、私はたいていの分野(ネット上の問題)ではトップを行っているつもりだったが、こと孫正義批判に関する限りは、上の人の方が情報収集力は上だ。シャッポを脱ぎます。  (^^);

 ま、一般に、私の攻撃目的は、政府などの公的団体であって、個人ではない。だから、孫正義批判は、最初から乗り気でなかった。今も、あんまり乗り気ではない。間違いを指摘するつもりはあるが、ことさら攻撃する気はない。

 その点では、私は、池田信夫(およびトンデモマニア)みたいな喧嘩体質ではない。私は性格が温和なので、喧嘩は嫌いなんです。

( ※ 嘘付け、というなかれ。私は喧嘩は嫌いです。……ただし、政府を相手にした「たった一人でやる戦争」は好きです。  (^^);  なお、映画「ランボー」の原題は、「たった一人の軍隊」です。)
Posted by 管理人 at 2011年07月30日 23:14
朝日新聞を購入して、該当の記事を読んでみました。

管理人さんが指摘した、「補助金を出して大量生産をすれば、太陽電池が大幅に安くなる、と信じているところ」と直接言及している箇所はありませんでした。ただ、「再生可能エネルギー特別措置法案」の内容が、企業参入を促進する必要がある旨の記述がありますので、「結果として大量生産につながり」との解釈は可能です。やや苦しいです。

孫さんが、「太陽光はハイテク技術だからコストダウンする。」、続いて「おそらく10年くらいで発電コストが逆転し、残り40年は自然エネルギーの方が安い時代が来る。...」と述べていて興味深いところです。孫さんは、補助金を新規に設定可能な期間を10年と見ているように思えます。

また、孫さんは、「発電事業の利益を株主配当や本業への流用はしないで、発電事業へ再投資」、「再生可能エネルギーでもうけるつもりはさらさらないのです。」、「本業に早く戻りたい」とあり、本気度の後退を感じます。

どうも、この記事は『脱原発』と銘打っていますが、「太陽光発電」への傾注からの軌道修正と考えた方が納得がいきます。
Posted by 安藤和浩 at 2011年07月30日 23:17
> 直接言及している箇所はありませんでした

 紙面の右下にありますよ。直接引用すると、下記。

 ──
(朝日) 「いま日本製パネルは高いけど、大量発注すれば大きくコストダウンできて産業も興せる」
( 孫 ) 「その通り」

 ──

 大量発注というのは、コストダウンするほどの大量発注だから、1万や2万ではなくて、国家規模の大量発注となる。それはつまり、孫正義がかねて主張している補助金政策。
(まさか自腹で大量発注するわけではあるまい。たちまち倒産だ。)

 ※ 補助金には、電気料金への上乗せという形も含む。

> 「太陽光発電」への傾注からの軌道修正と考えた方が納得がいきます。

 いや。当初はただのアドバルーンだったが、いよいよ実現間近になったので、発言を慎重にしているだけでしょう。
 再生エネ法案自体はもはや成立が確実で、あとは料金を 40円にするかどうかの攻防があるだけです。
 何とかして 40円にしたいので、なるべく反発を買わないようにしているだけでしょう。 40円をテーマに論争したくないだけです。……なかなかの策士ですね。喧嘩ばかりしたがる池田信夫とは違って賢い。池田信夫は反発をひどく買っている。
Posted by 管理人 at 2011年07月30日 23:30
「東北再生にもつなげられませんか」に対して、「その通り」と、理解していました。ご指摘ありがとうございます。

> 孫正義批判の優れた文書があった。紹介する。
  → http://nosoftbankno.blog84.fc2.com/blog-entry-86.html

ご紹介ありがとうございます。参考になります。
Posted by 安藤和浩 at 2011年07月30日 23:52
最後に 補説 を加筆しました。
  タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2011年07月30日 23:54
補助金による全量買取制度はスペインでの前例がありますが、
結局補助金がパンクして破綻しましたね。

しかも一時的なパネルバブルで自国のパネル生産では追いつかず
安価な外国製パネルの輸入が増えただけで
自国内雇用にもほとんど寄与しないという
ていたらく。

今後原発停止による電力不足は確実で、国内産
太陽光パネルの大量生産にも支障が出るでしょう。
企業の電気代が上がれば価格にも跳ね返ります。

そうなれば中国韓国製の安価なパネル輸入で
儲けるのはあちらさんだけという結果になりかねません。

孫氏が「日本の原発は危険だが韓国は安全」
と発言したように、孫氏の脱原発は最初からそういう
意図があるような陰謀論まで考えてしまいます。
Posted by たか@ at 2011年08月01日 08:48
朝日のサイトが、本項目を紹介している! 
  → http://webronza.asahi.com/business/2011073100001.html

 びっくり仰天。朝日新聞の悪口ばかりを書いている本項目を、朝日のサイトが紹介するとは! 
 何という太っ腹。池田信夫とは正反対だ。

 いやはや。朝日にもすごい人がいるものだ。他にも孫正義批判のページも紹介されているから、間違いではないのだろう。
 
 朝日のこの胆力には、感嘆した。マスコミ界でも最大の胆力だ。編集長がすごいらしいが、ネットの編集長にしておくには惜しい。

 これほどの豪傑ならば、朝日を根本的に改革できるかもしれない。
(……いや、これほどの豪傑だから、本社部門からはじき出されて、ネット部門にまわされたのかも?   (^^);  )

 ともあれ、この編集長が活躍することを望む。できれば社長になってほしい。そうすれば朝日は日本一のオピニオンリーダーになれる。

 それにしても、やはり、朝日はすごい。自社への批判を掲載するのは、マスコミ界でも、朝日だけだろう。(最近の本紙ではその傾向がなくなってきたが。)
 この点、読売や産経とは正反対だ。
Posted by 管理人 at 2011年08月01日 12:39
この方、報道ステーションのコメンテーターだった方ですね。豪傑だから外されてしまったのかもしれませんね。
Posted by マッシュ at 2011年08月01日 21:46
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