2011年07月19日

◆ 塗る太陽電池

 シリコン系の太陽電池とは別に、有機系の太陽電池もある。その一種で、「塗る太陽電池」というものが開発され、いよいよ実用段階にあるそうだ。 ──
 
 まずは朝日の記事から抜粋する。
 《 塗る太陽電池、実用化めど 三菱化学、13年春ごろ発売 》
  ビルの壁や車のボディーで使える「塗る太陽電池」の実用化のめどが立った。従来の太陽光パネルでは置きにくかった場所に塗ることができ、量産もしやすい。2013年春ごろに出回ることになりそうだ。
 三菱化学が、光を電気に換える効率が実用レベルの10%を超える試作品づくりに、世界で初めて成功した。従来のガラス板で挟む結晶シリコンではなく、炭素化合物を使う。
( → 朝日新聞 2011-07-19

 関連情報は、メーカーサイトにある。
 《 塗布変換型有機太陽電池開発 》
 三菱化学は材料も製造法も異なる、塗布変換型有機化合物を塗布する太陽電池(OPV)を世界で初めて開発。新開発のOPVはフィルム基板の上にBP(ベンゾポルフィリン)=p型、FLN(フラーレン誘導体)=n型の2種類の有機半導体を塗料のように塗って製造。ガラス基板が不要で各層がナノサイズの薄さになるため、従来製品に比べて重さ1/10以下と非常に軽い上、柔軟性が高く、簡単に曲げられます。従って工場や駅舎のスレート屋根等、重い太陽電池パネルを設置するには強度の足りない建物にも設置可能なほか、自動車にも貼れるなど、太陽電池の用途が大きく広がります。また、輪転機で印刷するように量産することも可能で、製造コストを大幅に下げることができます。
( → 三菱化学
 ──

 この情報で大事な点は、何か? 「物に塗れるからすごい」ということか? 違う。「太陽電池はシリコン型とは限らない」ということだ。(しかるに再生エネ法案で推進しようとしているのは、実質的には、シリコン型一辺倒だ。)

 シリコン型太陽電池というのは、とにかく、コストがかかる。単結晶型は、特にたかい。現在は多結晶型が主流だが、単結晶型に比べてわずかしかコストを下げていない。もう何十年も研究しているのに、いまだに単結晶型に対する優位性をはっきりと確立していない。……というわけで、どのタイプであれ、シリコン型はもう先の見えた古い技術だと言えよう。

 それに対して、無機薄膜型や、有機塗布型などがある。これらは開発途上だが、まったく原理が異なるがゆえに、大きく発展する余地がある。このような開発中の技術を推進することこそ、何よりも大切だ。

 ──

 ひるがえって、「シリコン型の古い太陽電池を大量生産でコストダウンしよう」というのは、あまりにも筋が悪い。ちなみに、あなたが社長だったとして、どちらを選ぶだろうか? 

 《 テレビの場合 》

  ・ きれいな液晶テレビを開発する
  ・ 重たい CRT ブラウン管テレビを大量生産でコストダウンする

 《 自動車の場合 》

  ・ ハイブリッド車を開発する
  ・ 2サイクルのロシア製旧型車を大量生産でコストダウンする

 これと似たことが、太陽電池でも行なわれている。孫正義のような古臭い経営者とか、文系の朝日新聞とかは、最新技術を理解することができない。そこで、「古いシリコン型太陽電池を大量生産でコストダウンしよう」と考える。いくら大量生産をしたって、シリコン型では、たいしてコストダウンはできないのだが、それを理解できないのだ。(技術音痴ですね。)

 ── 

 で、仮に、その方針(古いシリコン型を大量生産する方針)を実行したら、どうなるか? 日本には大量の「シリコン型太陽電池の大量生産工場」ができて、そのあとで、有機塗布型などの太陽電池に敗れて、工場は閑古鳥が鳴くようになる。そしてその生産会社は倒産する。
 前にも書いたが、再掲しよう。
 再生エネ法案が成立すると、シャープの太陽電池は莫大に売れる。シャープはどんどん工場を増設して、株価が急上昇する。しかしその後、バブルが破裂する。市場は中国製の太陽電池が大半を占める。シャープは莫大な設備をもてあまして、倒産する。倒産したあとは、中国がシャープを買収する。シャープは中国企業の子会社となる。
( → 再生エネ法案の是非 [ 付記2 ])

 そういうふうになるだろう、という馬鹿らしさを予言したが、それは早くも現実のこととなりかけている。2013年には、有機塗布型が出現して、その時点で、シャープは「倒産危険企業」に指定されるかもしれない。……もし「再生エネ法案」が成立してれば、だが。

 「再生エネ法案」というのは、それほどにも日本を破滅させようとする法案なのである。
( ※ その理由は? 「太陽電池バブル」である。上記の再掲した文章の、元の部分に書いてある。)
posted by 管理人 at 19:59| Comment(8) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
再生エネ法案(再生可能エネルギー特別措置法案)で、太陽光発電の買取価格を特別優遇する理由が技術面からも無くなりつつあります。知り合いは、スプレーで吹き付けると言ってました。詳細を教えてもらえませんが^^;

シャープは海外生産で頑張るようです。
http://www.asahi.com/business/update/0708/OSK201107080226.html
これはイタリアの電力会社と組んでやるので損は無いと思いますが。
Posted by 安藤和浩 at 2011年07月20日 09:39
フラーレンを使っているのはなぜなのでしょうか?
最近シリンダー状のカーボンナノチューブの話を学んでいたので,何か関連があるのかと思いました.
暇がありましたら,お話聴かせてください.よろしくお願いします.
Posted by のりボン at 2011年07月20日 20:09
> フラーレン

良い着目点ですね。
「フラーレン 太陽電池」
で検索すると、いろいろと情報が得られます。

専門的になるので、ここでは紹介しきれません。ご自分で読んでください。
Posted by 管理人 at 2011年07月20日 20:32
塗る太陽電池の本家は、北陸先端技術大学院大学の下田達也教授ですよ。通常のシリコン太陽電池の百分の1のコストで製作できるので、太陽電池普及のブレークスルー寸前の技術です。
 これに安価で簡便な半導体レーザーによる、レーザーアニーリングによる品質向上を加えると、さらに良いでしょう。
Posted by 地下水 at 2013年01月24日 22:54
本家がどこかはともかく、あちこちで競いあっているようですね。
 → http://www.asahi.com/eco/TKY201107190319.html
 → http://taiyoko-manual.com/news/power-generation-to-apply.html
 → http://ameblo.jp/rush08/entry-11358650666.html
 → http://blog.goo.ne.jp/fukuchan2010/e/f7e4e86dc4641c22c40ad1ac3e18605d

 どんどん競争して、さっさと実用化してほしい。シリコン系の太陽電池はどん詰まりなので、さっさと捨ててしまった方がいい。「量産効果で大幅値下げ」なんて馬鹿げたことを言っていた朝日新聞に冷や水を浴びせてほしいものだ。
Posted by 管理人 at 2013年01月24日 23:10
朝日を含めマスコミは淡々と事実だけを報告すれば良い。誘導したいと言うおこがましさが悲劇を招く。
色素系、有機材料が励起状態から電子を抜くたびに劣化するから固体系は厳しいですね
Posted by 京都の人 at 2013年01月25日 21:41
下田達也教授のは、液体のシリコンインクを用いた、塗るシリコン太陽電池で、有機より安定で高効率で安価ですよ。
 最近米国のイノバライト社で、電極のインクも開発されたので、印刷するだけで、高効率な塗るシリコン太陽電池の作成が可能になりました。
 本当に爆発的な普及の寸前ですよ。
 さらに、高効率な量子ドット型太陽電池も考えられているので、この簡便な制作方法も実現すれば、シリコン太陽電池はどんどん普及します。
Posted by 地下水 at 2013年01月26日 20:09
すみません、私が批判したのは現在主流の「シリコン単結晶系」のことです。「塗るアモルファス」は別系統なので、また別の話。
Posted by 管理人 at 2013年01月26日 21:11
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