2011年07月13日

◆ 朝日の「脱原発」提案

 朝日新聞が特集で、「脱原発」「自然エネルギーへの転換」を提言している。
 提言すること自体は悪くないが、あまりにも一面的で偏向しているのが問題だ。 ──
 
 朝日新聞 2011-07-13 が特集で、「脱原発」「自然エネルギーへの転換」を提言している。ネットでは社説だけが掲載されている。 
  → 社説「提言 原発ゼロ社会」

 毎度お馴染みの話だ。ただ、今回は、社の方針として、大々的に論調を展開している。
 詳しい話は、ネットにはなく、紙の新聞にあるだけだ。それを紹介しながら、問題点を指摘しよう。

 ──

0. 要旨 


 要旨は、次のことだ。
  ・ 脱原発を推進する。段階的に。本来なら 40年でだが、なるべく 20年で。
  ・ 自然エネルギーを推進する。(さまざまな方式を紹介する。)
  ・ スマートグリッド。送電網で多様な電源を受け入れる。
  ・ スマートメーター。需要を賢明に制御する。

 ま、自然エネルギー派の持論を総花的に紹介した、という感じだ。

1. 基本的な問題点 


 基本的な問題としては、あまりに楽観的すぎる、ということがある。実現性を無視して、「金さえかければ実現できる」という方針。科学的というよりは、金の亡者のような発想だ。「札束で頬を張り倒せば、人は誰でも俺様の言うことを聞く」という発想。しかもその金は、自分の金ではなく、国民の金である。
 要するに、自分の信じる「エコ教」という宗教のために、国民の金をお布施として強制徴収しよう、というわけだ。「俺様は正しいことを主張しているのだから、俺様の主張に人々は金を出すべきだ」というわけ。ひどい新興宗教だ。しかも、まるで聞く耳を持たず、他人の批判的意見はまったく掲載しない。あくまで「俺様は正しい」という一面的な主張だけ。現実遊離の空理空論であるが、徹底的に金で推進しよう、という立場。

 しかも、である。この方針を取っているのは、政界ではたぶん菅直人だけだろう。なのに、ふだんは菅直人批判をする。
   → 菅直人批判の社説
 一方では菅直人批判をしながら、他方では菅直人と同じ方針(再生エネ法案の推進)を取る。一方ではブレーキを踏み、他方ではアクセルを踏む。比喩的に言えば、右足と左足が反対方向を向いて進んでいる。自己矛盾と言える。分裂症気味。
 朝日というのは、一つの社なのだろうか? それとも、「双頭の鷲」とか「シャム双生児」みたいなものなのだろうか? いずれにせよ、精神分裂的だ。大驀進する前に、どっち向いて走るか、決めた方がいい。今のままでは、一つの体が逆方向に向かった末、体が二つに裂けますよ。

2. 安全策の欠落 


 「脱原発」と唱えて、止めることばかりに熱中している。しかし記事にもあるように、「脱原発」が完全に済むには、通常では 40年かかるし、朝日の促進策でも 20年かかる。で、「 20年短縮することが大切だ」という方針を取り、脱原発を推進しているつもりになる。
 しかし、その間、原発の安全性についてはほったらかしだ。「原発をなくせ」ということばかり考えて、「原発の安全性を高める」ということを考えていない。私ならば、「国際的な安全機関による検査」とか、「水棺システムによる暴走の阻止」とか、そういう具体的な安全策を優先する。
 ところが朝日と来たら、「止める」ことばかりに熱中して、「安全性を高める」ことについてはほったらかしだ。
 これはちょうど、福島に対する反原発派の立場と同じだ。「福島原発を止めろ!」とだけ叫んで、「福島原発の津波対策を取れ!」とは叫ばなかった。反対することばかりに熱中する過激派みたいなことばかりを主張して、具体的な安全策についてはほったらかし。
 そういう「安全策の欠落」がある。朝日の提言には。

3. 自然エネルギーの弊害 


 自然エネルギーは、核廃棄物も出さないし、二酸化炭素も出さない。「だからクリーンなエネルギーだ」とだけ書く。しかし、自然エネルギーには、それなりの弊害がある。
 風力発電ならば、低周波公害とか、バードストライキングという問題がある。(また、日本は陸地面積が低く、安定した風力資源にはなかなか恵まれない、という問題がある。)
 太陽光発電ならば、「黒いパネルによって熱吸収が増して、ヒートアイランド効果が生じる」という問題がある。
 地熱発電ならば、高濃度の鉱水や酸性水によって環境が破壊される、という問題がある。(そばの温泉が枯渇する、という問題も指摘されている。)
 あれやこれやと自然破壊の環境問題が起こるのに、そういう問題を一切無視しているのは、あまりにも片手落ちだ。それはいわば、「鉱害を無視して産業を推進した」という足尾銅山事件や水俣病の問題と類似している。都合の悪い環境破壊を隠すというのは、ひどく悪質である。

4. 自然エネルギーの不安定性 


 「太陽光エネルギーは電力のピーク時に発電量が増えるので有利だ」
 という話を示すが、実は、日が暮れたあとも膨大な電力需要がある。


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 見ればわかるように、午後6時台や7時台でも、ピーク時の9割ぐらいの電力需要がある。なのに、太陽光発電の電力は、ゼロ同然だ。
 ついでに言えば、午後4時台や5時台は、電力需要のピークと言えるが、太陽光発電はもはや大幅に減少している。(夕日になっているので。)
 つまり、「太陽光エネルギーは電力のピーク時に発電量が増える」なんてのは、まったくのデタラメだ。それは真実度がゼロとは言えないが、真実度が半分以下しかない。
 仮に朝日のような見解を真に受けて、「夏のエアコン電力を太陽光発電だけでまかなおう」なんて思ったら、5時から8時までのエアコンをストップしなくてはならない。そんなこと、できっこないのだが。

 太陽光発電だけでなく、風力も同様だ。欧州の風は比較的安定しているが、日本の風はかなり不安定である。あまり当てにはできない。特に、台風が来たら、風車を止めるので、ひとつの電力会社の管内では風力の発電量はゼロになるかもしれない。

 というわけで、自然エネルギーはとても不安定だ。なのに、その不安定さを隠すのは、妥当ではない。「自然エネルギーあまり頼りすぎると、停電の危機に見舞われますよ」とはっきり書くべきだ。

5. 他の発電技術 


 コジェネや燃料電池についても、きちんと言及するべきだ。
 記事では少しだけ言及してあるが、「天然ガス」というふうにしか表現されておらず、「コジェネ」「燃料電池」という言葉はまったくない。「自然エネルギー」「太陽光」「風力」という言葉は山ほど出てくるのと比べて、あまりにも差がありすぎる。せめて用語を1回ぐらいは示せばいいのに、まるきり無視だ。あまりにも偏向した記事だ。

 実は、「燃料電池」は太陽光発電の普及と同じ頃に実現するかもしれない。その場合、次のことが成立するかもしれない。
 「熱帯の砂漠で太陽光発電で水素を生産し、その水素を日本に持ってきて、燃料電池で発電する」
 こうなった場合、同じように太陽光発電を使うとしても、発電の場所は、光の弱い日本ではなく、光の強い砂漠を使うことになる。雨も降らずに日光は強いから、発電量は2〜3倍になるだろう。そこで生産された水素を日本に持ってくれば、日本の太陽光発電のパネルは、コスト的に太刀打ちできないかもしれない。
 これは、将来の技術だから、できるかどうかは不明だ。とはいえ、そういう可能性もある。なのに、その可能性を示さないのは、不公平だ。
 どうせ紹介するなら、「太陽光発電が世界的に推進されると、日本における太陽光発電は経済的に成立しないかも」というふうに記すべきだ。やたらと補助金漬けで普及させよう、なんていう発想ばかりを推進するべきではない。

6. スマートグリッドの限界 


 総花的に紹介するついでに、スマートグリッドの紹介もしている。どうせ生半可な知識だろう。詳しい話は、Google の話などがある。
 → Google のスマートグリッド
 だが、スマートグリッドを万能の救世主のように見なすのは、大げさすぎる。期待過剰とも言える。
 なるほど、「あちこちの自家発電を組み込む」という形のスマートグリッドならば、好ましい。それは「発送分離」の一環として、推進するべきだろう。
 しかし、「スマートグリッドがあれば電力は安定する」というのは、期待過剰だ。安定性という意味でなら、すでに日本の電力はかなり安定的だ。
 自家発電の組み込み以外に有力な方法としては、「電気自動車のリチウム電池に、太陽光発電の電力を溜め込む」という案がある。「これはうまい方法だ」と思って、私も提案したことがある。しかしこれは成立しない、と判明した。
 なぜか? 量があまりにも小さすぎるからだ。仮に、電気自動車が普及して、すべての乗用車が電気自動車になったとしても、それによって電気自動車が占める割合は、電力需要全体の 2.5% にすぎないという。換言すれば、すべての電気自動車を止めて、ただの蓄電池として利用するとしても、そのリチウム電池でまかなえる量は、電力需要全体の 2.5% にすぎない。(2カ月前のモーターマガジンに書いてあった話。専門家の調査による。)
 要するに、「スマートグリッドがあれば、電気自動車の電池を利用して、太陽光発電による昼間の発電を、蓄電できる」というのは、まったく成立しない。それでまかなえるのは、全国の2%ぐらいにすぎない。電気自動車の電池なんて、全然、当てにならないのだ。
 なのに、「スマートグリッドがあれば大丈夫」なんてのは、とんでもない夢物語だ。朝日は、夢を前提として、自説を論じている。それは、論説というよりは、ホラというべきだ。

7. 需要抑制の方法 


 スマートメーターがあれば電力需要を調整できる、という発想がある。よくある発想だ。朝日の提言にも書いてあるが、Google もそう述べている。
  → Google のスマートメーター
 しかし、スマートメーターというのは、根本的に狂った方針だ。それは橋下の方針と似ているが、もっとひどい。

  ・ 橋下
   …… 「猛暑日には、エアコンを OFF にしてください。お願い」
  ・ スマートメーター
   …… 「猛暑日には、エアコンを自動で OFF にする。有無を言わせない」

 独裁者の橋下もびっくり。相手がお年寄りだろうが、病人だろうが、否応なく、勝手にエアコンを自動で切ってしまう。それで死人が出ようがお構いなし、だ。あまりにもひどすぎる。狂気の政策だろう。
 それというのも、橋下の「数字合わせ」という発想と、同じ発想を取るからだ。「数字だけ、つじつま合わせするには、スマートメーターが最善だ」というふうに。
 ま、現実には、「自動 OFF 」ではなくて、「料金だけを上げて、OFF にするかどうかは各人に任せる」というシステムになりそうだ。その場合、被害は生じにくいが、効果も不安定となる。「暑いから切りたくないよ」と思う人が多ければ、需要過多は避けられない。

 では、どうすればいいか? 物事の本質を考えればいい。
 電力のピークになるのは、猛暑日だ。猛暑日は、最も暑い日だ。そのときには、無理にエアコンを切る必要はない。かわりに、仕事を休めばいい。そうすれば、電力はたっぷりと余る。(土曜・日曜・お盆と同様だ。)
 だいたい、「くそ暑いときに無理して働こう」という方針が狂っている。日本は欧州よりもずっと暑いのだから、無理に働く必要はない。涼しい欧州でさえ、バカンスを取るのだから、日本人が無理して働く必要はない。さんざん働いて、円高(今や 1ドル= 78円 )になってしまうのでは、何をかいわんや。自分の首を絞めるために働いているようなものだ。
 
 猛暑日には、無理して働かない。遊興地で遊ぶか、エアコンの効いた自宅で休む。……これが本質的だろう。物事の本質を考えれば、「暑いときには休む」という正解を理解できる。「暑いときにはエアコンを切ってしまえ」なんていう人でなしの発想をするのは、橋下と、Google と、朝日だ。
 これらの連中の言うことを、「進歩的な発想」だと思うのは、間違いである。「くそ暑いところで働くのが正しい」なんて思うのは、ただの気違いだ。

( ※ 「ピークのときに各戸1キロワット節電すれば全体で100万キロワットカットできる」と Google は述べる[ 出典 ]。ふざけた発想だ。「 Google のコンピュータを止めれば、100万キロワットカットできるから、Google を止めよ」と言ってやりたい。)
( ※ 「 Googleは電力を原発1基分(100万KW)くらい使っているわけです」という Google の証言がある。→ 出典

8. 技術発展の見通し 


 技術発展の見通しは、不明である。これが正しい。なのに、やたらと楽観的に語るのは、詐欺師の論法だ。
 たとえば、シャープは 2008年の時点で、「コストを半減します」と誓約していた。このことは、本サイトでも前に紹介したとおりだ。( → 該当項目
 改めて引用しよう。
 「2010年に太陽電池の発電コストを現在の半分、1kWh当たり23円に下げるめどがたった」
 しかしながら現実には、23円どころか、40円ぐらいのままだ。ごくわずかしか下がっていない。つまり、2008年の時点で、「コストを半減します」と誓約していたのは、とんだ嘘だった。詐欺師の確約。

 なるほど、ある意味では、価格低下は見込まれている。たとえば、高純度シリコンの生産技術がそうだ。しかしそれは、「補助金でパネルを大量生産を推進すれば、価格が下がる」というのとは、まったく異なる理由だ。ここではパネルに補助金を投入する意味は、ほとんどない。
 「補助金を出せば大量生産で価格が下がる」というのは、とんでもない嘘八百だ。

 もう一つ。風力と太陽光をきちんと区別するべきだ。朝日の提言では「風力は低コスト化が進んで、実用段階に近いレベルまでコストが下がってきた」という趣旨の話を書く。ま、それはいい。なのに、それがいつのまにか、「太陽光発電を推進せよ」という話に転じてしまっている。
 朝日の論拠に従えば、「風力発電は実用段階に近いが、太陽光発電はまだまだ高コストだ」というふうになるはずだ。とすれば、「風力発電は推進してもいいが、太陽光発電は推進するべきではない」という結論になるはずだ。なのに、そうなっていない。いつのまにか、「風力発電はOKだから、太陽光発電もOKです」というふうになってしまっている。
 論理的ペテン。「結構毛だらけ猫灰だらけ」みたいな論法で、高価な太陽光発電を購入させようとする。テキ屋まがいだ。こんな口車に引っかかってはいけない。

9. コスト負担 


 朝日の方針は、再生エネ法案の趣旨と同じだ。莫大な金を投入することばかり考えている。「どの程度の値上げならば受け入れ可能か考えよ」なんて言っている。
 だが、それは公正さをなくした言い方だ。正しくは、こう語るべきだ。
 「巨額の値上げは不可」
 と。つまり、
 「火力の4倍以上の高値で買い取るのは不可」
 と。
 とにかく、「高値買い取り」をはっきりと否定するべきだ。
 なのに、曖昧して、ゴマ化して、バラ色のことばかりを語って、都合の悪いことは曖昧に示す。ほとんど詐欺師の口車だ。
 「この羽毛布団はすごく優秀なんですよ。健康にもいい、夫婦生活にもいい。これを購入した人はみんな幸福になっています。ですからこれを高価で買いましょう」
 「そんなにすごいの? それ、いくら?」
 「本来ならば、定価 200万円なのですが、この会場に限り、特別サービスで 99万円です。さらに! このあと1時間に限り、特別に49万円です! しかも! 先着 10名様は 39万円の大サービスです。さあ、早い者勝ち。ほしい人は?」
 こういうインチキ商法で、1万円の羽毛布団を 39万円で売りつける。朝日がやっているのは、それと似ている。
 「このエコ発電すごく優秀なんですよ。健康にもいい、環境にもいい。これを購入した人はみんな幸福になっています。ですからこれを高価で買いましょう」
 「そんなにすごいの? それ、いくら?」
 「本来ならば、キロワット 40円なのですが、他人が負担してくれるので、ちっとも負担ではありません。電気代の値上げなんて考えなくても大丈夫。電力の不安定性なんか考えなくても大丈夫。スマートグリッドとスマートメーターがあれば、万事解決します。夜でも雨でも冬でも、太陽光発電で、たっぷりと発電できます。無から有を生む打ち出の小槌と同じです! しかも! この法案が成立するのは、脱原発派の菅直人が首相であるとき限りです。さあ、今すぐ大急ぎで、この法案を成立させましょう」
 こうやって、人々を詐欺的にだまして、エコ教に回収させようとする。そして、その狙いは、人々の懐の金だ。その金で、自分の大好きな宗教(エコ教)を布教するわけだ。

10. 核心 


 朝日の提言の核心は何か? 換言すれば、その最大の問題点は何か?
 それは、自然エネルギー発電を推進するか否か、ではない。むしろ、買い取り価格を上げるかどうかだ。
 買い取り価格を上げなければ、自然エネルギー発電を推進してもいいと思う。しかし、火力発電の4倍ぐらいという高値で買い取るのであれば、無理に推進するべきではない。つまり、「推進するか否か」ではなく、「コスト(買い取り価格)が高いか否か」が問題なのだ。
  → 再生エネ法案の是非

 コストが高いか低いか。ここが核心だ。だから、それを書くべきなのだ。
 なのに、それを書いていないのが朝日だ。単に「太陽光はバラ色だから、太陽光に莫大な補助金を注ぎましょう」という補助金政策を推進する。
 これは、詐欺的と言える。

11. 結語 


 朝日の提言は、あまりにも偏向している。それは記述が一面的すぎる。「自然エネルギー推進」という一方からのみ主張して、批判をすべて無視している。弊害も安定性もコストも無視している。
 その独りよがりなところは、原発推進と同様だ。原発利権の二番煎じ。自分の都合のいいことばかりを書いて、自分の都合の悪いところを隠す。
 朝日は何かを語る前に、もっと事実をきちんと語るべきだ。たとえば、太陽光発電についてなら、「ドイツはやっているから、日本でもできるはずだ」なんていうふうに語るよりは、「ドイツ以外は(ほとんど)やっていない」というふうに示すべきだ。また、「ドイツでは電力料金が2倍になったのに太陽光発電は2%でしかない」とか、「スペインでは大失敗だった」とか、そういう事実をきちんと示すべきだ。

 朝日の提言は、批判には一切、耳を貸さない。ただ自説ばかりを述べる。せめて反対派の見解を掲載したらどうか? そうすれば、公正さを保てるのに。
 公平報道でなく、一方のみに肩入れをするのは。偏向報道だ。そういうことをしている時点で、マスコミとしての公正さをなくしている。と同時に、真実に対しても公正さをなくす。物事を一面からだけ見ることで、他の面から見ないでいる。色メガネの認識。そのせいで、マスコミとして失格になるだけでなく、真実を見失うことにつながる。
 

12. 講評 


 今回の原発事故のあとで、人々はいろいろと反省した。しかし、朝日は、反省しているつもりで、反省ができていない。
 「Aを反省せずに失敗しました。そこで、Aを反省して、Bにします」
 これでは、Aについての失敗はなくせても、Bについての失敗をなくせない。自分自身への反省ができていないからだ。
 本当の問題は、Aという点ではない。「対象よりも自己について無反省だった」ということだ。
 今回の原発事故で判明したのは、「原発は危険だ」ということではない。人類の技術について、過信や自惚れがあった、ということだ。自分は正しいと思い込んで、一定の方向にのみ突き進んだ。批判を聞かずに、批判を無視した。
 それと同じ過ちを、朝日や繰り返そうとしている。朝日は、「一つの馬鹿をやったから、この馬鹿をやめて、別の馬鹿をやります」と言っているだけだ。そこには「馬鹿を反省する」という立場はなく、「自分は利口だから自説を主張する」という自惚れだけがある。それは原発の自惚れと同じだ。そこでは、技術の低さに対する自覚が抜けている。あまりにも自惚れが強い。
 そういう無反省が、原発事故の特徴であり、朝日の提言の特徴でもある。



 [ 付記1 ]
 では、どうするべきか? ここで、私の提案を示そう。
 私の提案は、朝日とは反対だ。その意味は、(自然エネルギー発電を)「やるな」ではなく、「急ぐな」だ。つまり、「待て」だ。正確には、「価格が下がるまで、数年間、待て」だ。
 自然エネルギーの推進論者の楽観的な予想に従えば、価格は五年で半額になるはずだ。それなら、五年ほど待てばいい。価格が半額ならば、補助金はほとんどゼロでも済む。単に待つだけで、莫大な補助金は不要になる。
 というわけで、「待て」というのが、私の方針だ。この件は、前にも述べた通り。
  → 太陽光発電の将来と地域   2.
  → 太陽光発電の嘘(朝日1)   (c)
  → 孫正義 v.s. 池田信夫   [ 付記 ]

 [ 付記2 ]
 「待て」という方針には、反論も予想される。
 「いちいち待っていたら、その間に、外国企業が市場を独占してしまう。日本の太陽光産業が発達しない」
 というふうに。しかし、それは別に、構わない。環境政策と産業政策は別だ。そして、特定産業を推進するために巨額の補助金をかける、というのは、必要はない。
 だいたい、シリコン型太陽電池なんて、先の見通しは明るくないのだから、日本企業があえて担当する必要はないのだ。すでに述べたとおり。
  → 再生エネ法案の是非 [ 付記2 ] ,[ 付記3 ]



 【 関連サイト 】
 
 朝日と菅直人の話は、なかなか興味深いので、池田信夫が食いつくかと思ったら、次の記事だった。
  → 池田信夫ブログ
 例によって、ろくでもない話を書いて、アフィリエイトで金儲けをしようとしているだけだ。いやしいね。この話ぐらいは、まともに論じればいいのに。
 だから首相が本気で脱原発を進めるつもりなら、再生可能エネルギー法案なんかどうでもよく、サハリンとの間に天然ガスのパイプラインを敷設すべきだ。
 というふうに、取って付けたような結論を書いている。(アフィリエイトの本に合わせた結論だ。)
 しかし、ピンぼけだ。朝日や菅直人が狙っているのは、脱原発なんかじゃない。「エコ教」の不況である。そこをきちんと理解しないから、批判がピンぼけとなっている。
    
 【 追記 】
 池田信夫の上記記事には、リンク先に、次のページがある。
  → グリーン・テック・バブル
 私が「シャープは株式暴騰のあとで倒産するだろう」と予言したことが、ドイツやスペインではすでに実現している。その例を示した記事。
  


 [ 余談 ] 
 菅首相が「脱・原発依存」の方針を記者会見で語った。(各紙報道)
 この件については、政治の話題なので、「泉の波立ち」に書いておいた。
posted by 管理人 at 21:10| Comment(2) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
NHKも似たような報道です。NHKの方が昔に報道しているから、まるぱくりかもしれません。

さて、「エコ教」より、「自エネ教」の方が良いと思いますどうでしょう?「自然エネルギー教団」の略です。「自分勝手エネルギー教団」の意味もあります。半分冗談です。
Posted by 安藤和浩 at 2011年07月13日 23:10
マスコミの不勉強さと傲慢さが国を悪くしてると感じてます。人の難癖はつけるが自分達の過失は蓋をする。そして、国民の意見だと勝手に言う。

マスコミが適切な報道をすればもっと日本は良くなると思んですが。
Posted by MacWinおうこく at 2011年07月16日 14:05
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