内陸堤防を築くときの材料にしてしまえばいい。 ──
地震・津波のあとに残った大量のガレキがあり、処分に困っているという。
→ がれき撤去やっと35% 被災3県、焼却施設も未整備
→ 避難所に2万4千人…がれき6割が手つかず
→ がれき撤去されず…ハエ猛威
木材は焼却すればいいにしても、放射性物質を含む大量のガレキがあって、その処分先に困っているそうだ。
これに関連するが、私は先に、次のように述べた。
校庭の表土を除去したあと、汚染土の処置に困っているようだ。ならば、その汚染土を、沿岸部に運んで、堤防にすればいい。これと同じ方針を取ればいい。大量のガレキを使って、内陸堤防にすればいい。(堤防でなく高台にしてもいいが。)
( → 汚染土で堤防を )
──
ところが、復興会議の提言でも、同様のことが示された。次の図だ。

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この図では、内陸堤防ではなくて、海岸線に近い防災林(土壌堤防)の下にガレキを埋める、という案になっている。発想としては、ほぼ同じだ。
ま、復興会議がそういう提言をしているのであれば、私がいちいちここで繰り返すまでもないかも。
[ 付記1 ]
土をかぶせることで放射線を減衰・遮断できる、ということについては、次の記事が参考になる。
→ 日本放射線管理学会の発表(朝日・朝刊 2011-06-25 )
簡単に言うと。
土(砕石と海砂の混合土)で、放射線の遮断をする。厚さ2センチで、68%の遮断となる。厚さ10センチで、93%の遮断となる。
上の記事を参考にして考えてみよう。
93%の遮断は、7%の残存だ。厚さが倍の 20センチならば、2乗になるので、0.05%の残存となる。とすれば、土の厚さは 20〜30センチで十分だろう。つまり、かなり大量の放射性ガレキがあっても、土をかぶせるだけで処置できるわけだ。
[ 付記2 ]
0.05%の残存だとしても、ガレキが莫大にあるとしたら、それらの大量のガレキの蓄積によって、莫大な放射線が出るだろうか?
そう思うかもしれないが、そうではない。なぜなら、このガレキは、低濃度の放射線しか出さないからだ。その場合には、ガレキ自身が、他のガレキからの放射線を遮断する効果がある。(ガレキでなくて汚染土でも同様だ。)
その意味でも、ガレキや汚染土は、前処理によって体積を縮小しない方がいい。もし体積を縮小すれば、高濃度の放射線を出すので、かぶせる土で遮断するのが難しくなる。(遮断するには何メートルもの厚い土の層が必要となる。)
だから、低濃度のガレキをそのまま単に積み重ねればいい。あとは最上部に30センチぐらいの土をかぶせるだけだ。これなら、低コストで済むし、安全だ。
[ 付記3 ]
朝日新聞・朝刊・2面( 2011-07-13 )に、ガレキの処理についての、まとめ記事があった。情報整理みたいな話。本項ともかなり共通する。興味のある人は、読むといいだろう。
( ※ 私が本項を書いたのは 2011-07-12 だったが、公開する前に、似た話が朝日の朝刊に掲載されてしまった。 (^^);)
[ 補足 ]
ついでだが、下水汚泥は事情が異なる。下水汚泥は、あちこちからの放射性物質が集められるので、高濃度の放射性物質を含むそうだ。それを焼却してセメントにするとしても、販売先に困っているらしい。仕方なくセメントを無駄に埋めてしまう、という案もある。
しかし私としては、安価であっても販売する方がいいと思う。ただし、居住用のビルの材料にされてしまっては困る。人間のいないところの建築物に使えばいい。たとえば、下記。
・ 福島の原発のそばに建設する処理施設の建材
・ ビルの地下に打ち込むコンクリ柱の建材
・ ダムの建材
・ 下水溝の建材
こういうものならば、放射性物質がいくらか含まれていても、問題ないと思う。(下水溝を通る作業員は、少しだけいるが、いつも同じ下水溝ばかりを通るわけではあるまい。たまに少量の放射線を浴びるぐらいなら、別に問題ないはずだ。健康診断でレントゲンを受けるのと大差ない。)
【 関連サイト 】
調べるついでに読みあさったサイト。参考のために記す。(見なくていいです。)
http://www.asahi.com/national/update/0508/TKY201105080339.html
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/04/30/20110430k0000e040052000c.html
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110623_7
http://news.livedoor.com/article/image_detail/5638342/?img_id=1988986
http://www.asahi.com/business/update/0615/TKY201106150609.html
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野田佳彦首相は「今までの発想を超えて大胆に活用してほしい」と要請。関東大震災のがれきで横浜市に山下公園を整備したエピソードを引き、将来の津波から住民を守る防潮林の盛り土や避難のための高台の整備、道路などの材料として、被災地のがれきを再利用していく考えを示した。
→ http://www.asahi.com/politics/update/0313/TKY201203130197.html
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なお、ガレキの処分については、本サイトで何度も述べてきた。項目の一覧は下記。
→ http://goo.gl/K4UQT
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● ブラウン管ガラス廃材で放射線遮るコンクリ
ブラウン管のガラスには、ガンマ線を遮蔽するために重量比最大約25%の鉛が混ぜられており、粉砕したガラス廃材を厚さ約50センチにして箱に詰めると、放射線の99%を遮ることが実験で分かった。
この結果をもとに同機構が、新たな材料の開発に協力する企業を募ったところ、ゼネコンの清水建設(東京)が、コンクリートへの応用を検討。コンクリート全体の半分の量のガラス廃材を混ぜると、厚さ44センチのものでも放射線の99%を遮蔽できた。
→ http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20120313-OYT8T00204.htm?from=yolsp
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実はこの方法は、本サイトでも過去に言及している。
→ http://openblog.meblog.biz/article/5276709.html
→ http://openblog.meblog.biz/article/6629499.html
http://www.youtube.com/watch?v=gDOEs2_ONGM
http://www.youtube.com/watch?v=M3BENrrhJJM&feature=related
貼り付けた動画は2011年4月8日に撮影されたようです。
宮脇昭は以前から著作『木を植えよ!』などで堤防に植樹を施して、堤防の耐久力というのか機能を向上させるべきだという提言を出し実行してきました。そういう提言をしてきた経験があるので、東日本大震災発生後のかなり早い時期に旧来の防潮林の問題点を見抜き、津波発生時に有効に機能する防潮林の再開発の提言を出すことができたのでしょうね。がれきは有効に使用してほしいです。
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●海岸防災林の盛り土に…震災がれき再利用で合意
仙台市から南側の仙台平野沿岸部の約50〜60キロに防災林を整備する。その際、防災林を植えるための数メートルの高台をがれきを埋め立てて建設する。利用するがれきは、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の汚染の問題がないかどうか、環境省が安全性を確認する。事業は国直轄で行い、6月までに着手する。
(2012年3月18日20時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120318-OYT1T00530.htm