2011年06月29日

◇ 前項の補説

 前項 の 補説となる話。朝日新聞と池田信夫の悪口。(特に読まなくてもよい。) ──

 前項では、風力の発電の話を述べたが、そのついでの話をする。批評ふう。
 
 朝日の記事(前項で紹介した)には、見るべき点もあるが、全体としては、偏りすぎている。問題点をいくつか掲げる。

 (1) 太陽光発電

 太陽光発電は、スペインでも、全然ダメだ。そのことを隠蔽している。
 第1に、発電量は、上記ページでも「その他」に分類されているように、微々たる量だ。陽光さんさんたるスペインでさえ、その量は微量でしかない。
 ちなみに、太陽光発電量が世界で最も多いのはドイツだが、そのドイツでさえ、たったの2%にすぎない.そのことは朝日新聞自身が報道した。
  → 太陽光発電の将来と地域 (朝日新聞夕刊 2011-05-25 の紹介。)
 第2に、スペインは世界最高の補助金制度を導入した。そのせいで国家財政が歪むほどの莫大な補助金制度だ。なのに、記事ではそのことを隠している。問題点があったことに少し言及しているが、ひどい結果になったことを隠している。この件は、前にも紹介したように、次のページに詳しい解説がある。
  → 太陽光発電 スペインの教訓―固定価格買い取り制度の光と陰

 (2) 地理・気候

 自然エネルギーは、地理・気候に依存するのに、そのことに言及されていない。
 風力については、「西岸海洋性気候のスペインでは、穏やかな風が一年中吹くが、モンスーン気候の日本では、強弱の激しい風があって、利用が難しく、かつ、風車が壊れやすい」という問題がある。そのことに、ほんの少ししか言及されていない。
 太陽光発電については、「日本では梅雨があって不利」ということに言及されていない。
  → 風力発電(地理・気候)
  → 太陽光発電の将来と地域 の 4.

 
 (3) 人口・面積

 人口・面積についても言及されていない。肝心の点は、こうだ。
 「自然エネルギーの比率は、面積に比例し、人口に反比例する」

 なぜそうかは、少し考えれば、すぐにわかるだろう。
 この点を Wikipedia で調べると、次のことがわかる。
 「人口・面積の点では、スペインが日本に比べて、3.7倍も有利である」

 ( ※ 面積では、1.5倍ぐらいで、人口では、3分の1強だ。)
 さて.朝日の記事によると、水力発電を含めた自然エネルギーの発電量は、スペインが日本の 3.7倍ぐらいだという。なあんだ。それだったら、ちょうどぴったりだ。人口が多くて面積の小さい日本では、スペインの 3.7分の1だけ自然エネルギーを発電しているとしても、その量は、決して少ないわけではなく、ほぼ同等なのである。
 記事では、「日本では全然努力していない」というふうに説明されているが、実は、日本も結構頑張っていることになる。
( ※ ただ、日本では、水力が多い。この点は、山岳地の多い日本が有利だ。それぞれの国ごとに、自然エネルギーの利用形態が異なる、と考えていい。平地の多いスペインでは風力を。山岳地の多い日本では水力を。)
( ※ 太陽光発電については、どちらも少ししかやっていない。相対量ではスペインは日本よりも何倍もやっているが、絶対量ではどちらも微々たる量でしかない。)
 


 ※ 以下はついでに、(朝日を批判する)池田信夫についての悪口。
   話のついでに書くが、特に読まなくてもよい。

  
 ──
 
 池田信夫は最近、太陽光発電にしきりに噛みついている。朝日の自然エネルギー推進にも噛みついている。( → 本日の記事
 ま、そのことは、悪くはない。ただし、あんまり人のことをけなさない方がいいだろう。なにしろ自分だって、つい最近までは、太陽光発電のことを論じていなかったからだ。
 ネット上で調べたが、池田信夫は2010年ごろまで、太陽光発電についてはほとんど言及していない。2009年ごろには、「温暖化ガスを減らすのには太陽光発電は役不足だ」というふうに否定的な見解を出したことはあるので、太陽光発電の推進者だったということはないようだ。それでも、太陽光発電の否定をしていたわけではない。

 この点では、私の方がずっと早い。2005年ごろから、太陽光発電(特に補助金漬けの推進策)について、ずっと批判してきた。そのころは「太陽電池」という言葉だったが。

 ● http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/99c_news.htm
 ただし、青色LEDの例を見ても、日本では、技術者がないがしろにされている。こういう技術者軽視の風土からは、新しい技術というものは生まれにくい。莫大な金を費やしても、血税をドブに捨てるだけの結果になるだろう。たとえば、太陽電池には、これまで莫大な補助金を費やしてきたが、補助金の効果はほとんどない。どうせなら、その金を風力発電の補助金に回していれば、よほど環境改善の効果があったのにね。

● http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/99d_news.htm
 一般に、「燃料電池の購入者」とか「太陽電池の購入者」とかだと、特定の少数の人に数十万円または数百万円を渡すだけだ。これだと、不公平である。かつ、それは、(しょせん赤字にしかならない)非効率な無駄な事業だから、やればやるほど、無駄が増える。

● http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/99d_news.htm
 「燃料電池の購入者」や「太陽電池の購入者」への補助金は、特定の人が国民全体の金を勝手に使うことであり、「風力発電の購入者」への補助金は、国民全体の金を国民全体が使うことだ。前者は不公平かつ無駄であり、後者は公平かつ無駄がない。

● http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/99d_news.htm
 つまりね。朝日は「燃料電池への補助金を増やせ」と主張するが、それは無効かつ有害だ。「燃料電池の購入者」や「太陽電池の購入者」への補助金が増えても、あなたの財布の金が減るばかりで、環境はちっとも改善されない。一方、「風力発電の購入者」への補助金が増えれば、あなたの財布の金はほとんど変わらないまま、環境だけが改善される。

● http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/99d_news.htm
 これは、「燃料電池や太陽電池なんていう研究途上段階のものに、莫大な補助金を出して、莫大な赤字を埋める」なんていう無駄遣いに比べれば、ずっとよい。
 以上は、最初期のものだ。(2005年ごろ)。私は6年前からずっと批判している。2006年以降の分は、本サイト に多く書いてある。
 1年ぐらい前にようやく気づいた池田信夫は、あまりデカい顔をしない方がいい。むしろ「自分もつい最近までは無知でした。おのれの無知を恥じます」と反省した方がいい。
 しかしまあ、「反省」という概念は、池田信夫とは水と油ではあるが。  (^^);

 ( ※ 反省するだけなら猿でもできる、と言われるが、彼はまあ、闘犬みたいなものですし。反省は無理ですね。  (^^); )

 ──

 ついでに、池田信夫の間違いを指摘しておく。
 原発事故が起こったら、自分は何の責任もないかのように「自然エネルギー派」に転向する朝日の体質
( → 出典
 これは間違いだ。朝日は、原発事故のあとになって、「自然エネルギー派」に転向したわけではない。7年ぐらい前からずっとそうだ。そのころから私は朝日の記事(太陽光発電の推進・補助金政策)に噛みついていた。
 池田信夫は、そのころのことを知らないから、「朝日は最近になって転向した」と思っているのだろう。違う。最近になって転向したのは、朝日ではなくて、池田信夫である。朝日は7年〜10年ぐらい一貫して、「自然エネルギー派」であった。池田信夫は、ずっと「無関心派」であったのだが、ここ1年ぐらいで、急に「アンチ自然エネルギー派」になった。

( ※ ついでだが、私はどうかというと、「自然エネルギー派」を批判するが、「アンチ自然エネルギー派」ではない。私は「アンチ補助金派」と考えていい。補助金を出すのは駄目だが、自然エネルギーの推進自体は好ましいと思う。無駄な金がかからなければ、という条件つきで。)



 [ 余談 ]
 池田信夫は、朝日への悪口で、一項目を書いている。喧嘩の好きな人だ。
 しかし私は、そんなに喧嘩が好きじゃないので、朝日の悪口だけで一項目を書く気はしない。朝日の記事にある美点を取り上げて、一項目とした。(前項)。
 そのオマケとなる補足ふうの話を、本項で書く。そしてまた、オマケのオマケという形で、池田信夫の悪口を書く。それだけだ。  (^^);
 私はとても穏やかで紳士的なので、喧嘩や悪口は本格的には書かないんです。( ← 「嘘つけ!」という声がたくさん寄せられそうだが。   (^^);  )
  
 ──
 
 ただ、私は悪口ばかりが好きなわけじゃないので、池田信夫の功績も示しておこう。
 彼が最近、太陽光発電について大々的に批判していることは、それ自体、とても良いことだと思う。彼が大々的に批判するまでは、世間で太陽光発電を批判している人は、少なかった。私が孤軍奮闘していた、と言ってもいいくらいだ。小さな声を上げている人は、ときどき目に付いたが、大きな声を上げている人は、私ぐらいだった。結果的には、太陽光発電の批判者は、あまりも少数派だった。
 なのに、池田信夫が語り出したころから、あちこちで太陽光発電への批判者がわんさと湧いてきた。いまだに少数派ではあるが、対立する一派としての位置を占めるぐらいになった。これほどにも反対派が勢力を増したことには、池田信夫の功績はとても大きい、と思う。彼が今のように大声を上げなければ、世間的には反対派の声は掻き消されていたであろう。
 彼がこれからも太陽光発電への批判をすることに、私としては期待を寄せたい。その分、私の負担が減るからだ。
 私の狙いは、一般的に、世間よりも数年早く、真実を指摘することだ。その真実がすでに世間でも広く知られるようになったなら、私の役割はなくなる。世間よりも一歩先を行くことは、池田信夫に任せよう。私は世間よりも十歩先を行くことを基本とするので。
 で、本サイトの読者も、そういうふうに、「世間よりも十歩先を行く情報を得たい」と思う人が多いようだ。すでに多数派を形成した見解を知りたい人は、Wikipedia でも読んでいるといいだろう。何事も、初心者向けには、Wikipedia が最適だ。(世間よりも十歩遅れた見解を知りたい物好きな人は、「トンデモ」という言葉で検索するといいかも。)



 【 追記 】
 朝日の太陽光発電については、インチキ数字が使われているので、それも指摘しておく。
 朝日の太陽光発電の解説では、「設備費は1キロワットあたり 60万円ぐらいなので、水力発電よりも安価である」というふうに説明される。しかしこれは、「太陽光発電をヨイショしよう」という意図のもとで書かれた、インチキ情報だ。
 太陽光発電の投資で説明されるときの「1キロワットあたり」というときの「1キロワット」とは、「最大出力」のことである。そして、その出力が達成されるのは、真夏の昼間に限られる。
 現実には、そうはならない。たとえば、4月ごろでは、雲一つない快晴のときでさえ、その8割( 0.8キロワット)ぐらいしか発電されない。曇りならば激減するし、黒雲の雨ならばほとんどゼロに近くなり、夜間にはゼロそのものになる。(メーターなどを働かすために電力消費があることを考えると、夜間にはかえってマイナスになるかも。  (^^); )
 ひるがえって、水力発電ならば、ほぼ1日中、同じような出力を続けることができることが多い。(水流にも依存するが。……それでも太陽光ほどひどくはあるまい。そもそも、水流が足りないところには、発電機を置かないので。)

 とにかく、朝日の記事では、太陽光発電の出力について、「名目値」(最大値)と、実質値(平均値)とが、区別されていない。最大出力の「1キロワット」という数値で太陽光発電を評価しており、実際には(平均して)その半分以下しか発電されないという事実を隠蔽する。
 朝日の太陽光発電の記事は、こういうふうに情報を歪めて書かれてある。詐欺同然だ、とも言える。だまされないように注意しよう。
posted by 管理人 at 19:25 | Comment(0) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
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