節電対策として、「エアコンを買い換えるといい」という提案がある。「最新のエアコンは大幅に省エネになっているから、エアコンを買い換えれば大幅な節電ができる」という主張。
→ 今すぐエアコンを買い替えよ
計算上では、これでうまく行くはずだが、現実には、そう甘くはない。なぜか? それを実現するには、日本中のエアコンを買い換えることが必要だが、そんなことはとても無理だからだ。
それどころか、エアコンの生産量は、震災の被害のせいで部品不足となり、かえって減っているらしい。一方で、家屋流出などのあった被災地では、エアコン需要が急増している。需要は増えて、供給は減っている。こういうときに、人々が「わっ」とエアコン購入に走れば、価格が大幅に上昇して、被災地の人はエアコンを買えなくなる。それはかわいそうだ。
となると、本来ならば、「被災地の人々のために、無理してエアコンを買わないようにしましょう」という方が妥当だろう。「買いましょう」ではなく、「買わないようにしましょう」という方がいい。 (^^);
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ただ、エアコンをそろそろ買い換えたい、と思っている人もいるだろう。「うちのエアコンは電気ばかり食って、ちっとも冷えない」と思っている人も多いはずだ。そういう人は、買い換えた方がいいだろう。
ちなみに、(買い換えるか否かの)境界は、どの辺にあるか?
年間で消費する電力を表す「期間消費電力量」の推移をみてみると、10年前(2000年)と比べ約15%、15年前(1995年)からはなんと約45%も削減されています。これからわかるように、「 15年ものなら買い換えた方がいいが、10年ものなら買い換えなくてもいい」と言える。一つの目安になるだろう。(ちなみに、私が買い換えたのは、20年ものだった。 (^^); )
( → エアコン節電対策5つのポイント )
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買い換えるとしたら、高級品がいいか、低級品がいいか?
「高級品の方が、節電能力が高い。大幅に節電できる」
という説があるが、インチキである。それは、対人センサーを使って、風向を人のいる方に向けるから、そうなるだけだ。それが効果を持つのは、次の場合だけだ。
・ 室内にいるのが一人(一箇所)だけ。
・ 風向の向きを、手動で調節しない。
逆に言えば、次の場合には、高級品でも意味がない。
・ 室内にいるのが大勢(数人)である。
・ 風向の向きを、手動で調節する。(人のいる方に向ける。)
ただ、高級品には、「空気清浄機」とか「フィルターの自動クリーナー」とかの付加価値が付いていることがある。これらの付加価値を求めるのならば、高級品を買ってもいい。(ただしそれは節電とは別の話だ。)
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節電のためには、どうすればいいか? 前に、次の方法を示した。
→ 室内機の冷却フィンをクリーニングする
他の方法を探すと、次の方法が見つかった。
→ 室外機の裏側をクリーニングする
→ 室外機を斜めに配置する(壁と平行にしない)
この二つの方法はいずれも、室外機の風通しを良くする方法だ。たしかに、効果があるはずだ。
よく考えると、エアコンを買い換えると、室内機も室外機もフィルターはきれいになる。だから、たしかに、節電の効果はあるはずだ。
とはいえ、いちいち買い換えなくても、室内機と室外機のフィルターをきれいにすれば、似た効果は得られることになる。
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さて。節電は、他人のためにやるわけじゃない。自分のためにやるといい。というのは、節電すれば、電気代が節約できるからだ。これは重要だ。
子供がいる家ならば、子供にお駄賃を与えて、掃除をさせればいい。家庭内アルバイトみたいなものだ。
これは結構、お利口な方法だ。
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最後に、エアコンの節電について、決定的に重要なことを書こう。
エアコンで節電できるか否かは、エアコンの使用時間に依拠する。たとえば 20%の節電ができるとして、それが十分に有効であるかどうかは、そのエアコンの使用時間に依拠する。
毎日 18時間ぐらい使うような場合には、20%でも節電の効果は大きい。
昼間は使わずに帰宅後に3時間ぐらい使うような場合には、20%の節電の効果はたいしたことはない。
カタログ値はどうか? 年間電気代は1日18時間運転した場合の数値だ。
カタログでは、11〜12年前の機種と比べて年間電気代が数万円減るとアピールしていることが多い。しかしJISの算出条件は1日の使用時間が18時間とかなり長く設定されており、差額が大きくなりやすい。だが実際は、エアコンを1日18時間も使う家庭は決して多くない。使用時間が短ければ差額も大幅に縮む。これは、冷房期間3.6カ月、暖房期間5.5カ月の場合だ。これに対して、私の場合は、冷房も暖房もつけない日がとても多い。1年のうち9カ月間も、毎日エアコンを3時間使用します、なんてことはない。私の場合、年間平均では、30分以下になりそうだ。となると、差額は年間 500円以下か。……これが、エアコン買い換えの効果だ。 (^^);
《 年間電気代の差額 》
1日18時間使用した場合 …… 差額 1万9668円
1日 3時間使用した場合 …… 差額 3278円
( → 日経 )
要するに、エアコン買い換えの効果が大きい人は、エアコンをやたらと使いすぎている人に限る。
そして、そういう人は、エアコンの買い換えをしてもいいが、しかしその前に、使用時間を減らすことの方が先決だろう。
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なお、エアコンの使用時間を減らすコツは、次の二点だ。
・ 体脂肪を減らす。(デブでなくて痩せになる)
・ 毎日、運動をして、たっぷりと汗をかく。そのあとでシャワーを浴びる。
この二点をやれば、夏の間も、よほどの猛暑でなければ、エアコンなしで過ごせる。(扇風機があれば足りる。)
[ 付記 ]
子供にお駄賃をやって家庭内アルバイトをさせるといい、と述べた。
一般に、家庭内アルバイトは、お勧めである。次の二点のメリットがある。
・ 家庭内の所得は外部に流出しない。あくまで家庭内の配分だけだ。
・ もし子供にやらせなければ、お年玉か小遣いを与えるので、払う金は同じかも。
・ 子供は、その作業を通じて、社会体験を積む。これが大切。
ちなみに、私の友人の一人は、子供には何もやらせないでいる。そのせいで、子供は 20歳ぐらいになっても、料理も大掃除もできないままだ。役立たずの人間になってしまった。
女の子なのに、家事がろくにできないのだから、こんな人間がお嫁に行けるのだろうか……と心配してしまう。逆に言えば、子供が結婚できるまともな人間に育つように、子供にはいろいろと辛い仕事をやらせた方がいい。甘やかして駄目にする(スポイルする)のは、親のしつけとしては最悪だ。
下手をすると、引きこもりのオタクになってしまう。 (^^);
【 追記 】
「夜間のエアコン稼働を弱めて節電する」という話がしばしば見られるが、夜間は節電する必要はない。電力は余っている。
ピーク時だけ節電すればいい、というのが基本線だ。それを忘れてもらっては困る。
ま、省エネや金銭節約のためにエアコンをつけない、というのは成立するが、それは話が別だ。(今は電力危機の回避という話題。)