2011年06月20日

◆ 全量買い取りの問題(太陽光発電)

 太陽光発電の全量買い取りが話題になっている。その問題(または核心)を示す。 ──
 
 太陽光発電の全量買い取りが話題になっている。
  ・ 孫正義が大々的に主張している。
  ・ 菅首相が法案の成立こだわっている。(辞任の条件。)
  ・ 与野党の超党派の議員が賛成している。(207人)
  ・ マスコミや世間でも支持者が多い。

 記事は掃いて捨てるほどあるから、勝手に検索して調べてほしい。

 ここで、たいていの人は、「ただの買い上げ」と「全量買い上げ」の区別が付いていないはずだ。そこで、私が解説する。

 ──

 太陽光発電の電力買い上げは、家庭用の分については、すでに実現している。2011年4月の時点では、こうだ。
 経済産業省は、4月から適用する太陽光発電の余剰電力買い取り制度の価格で、10kW未満の住宅用を1kWh42円に決めた。現行の48円から6円引き下げる。非住宅用と10kW以上の住宅用は1kWh40円となり、24円から大幅に増額する。
 同制度は2009年11月に始まった。設置した太陽光発電での発電量が、自宅などで使う電気の量を上回った際、上回った分の電力を10年間、電力会社に売ることができる。電力会社が買い取るための費用は、太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)として電気料金に上乗せし、電気利用者全員が負担する仕組みになっている。
 新しい価格は、4月以降に電力会社に契約を申し込むと10年間適用される。既に契約している場合に価格の変更はなく、申し込んだ時点の価格が10年間続く。
( → エコニュース
 記事にあるとおり、「自宅などで使う電気の量を上回った際、上回った分」に限定される。では、その量は?
 通常、7〜8割ぐらいを自宅に使い、2〜3割ぐらいを売電しているようだ。( → 出典

 つまり、1kWh あたり42円で売電するとしても、その売電収入となるのは、全体の2〜3割ぐらいの電力消費でしかない。それ以外の電力消費は、自宅で消費する。自宅で消費する分については、高コストを自分で負担している。残りの2〜3割の分だけ、補助金を受けていることになる。

 ──

 では、これが「全量買い取り」となると、どうなるか? 発電量の全額について、補助金をもらえることになる。ボロ儲けだ。
  ・ 家庭の場合 …… 2〜3割の分だけ、補助金をもらえる。
  ・ 企業の場合 …… 10割全額について、補助金をもらえる。

 つまり、家庭に比べて、4倍ぐらいの補助金をもらえることになる。

 ──
 
 実を言うと、それだけでは済まない。もっとひどい。
 家庭の場合には、電力会社から購入する価格は 23円ぐらいで、売電する価格は 42円だから、差額は 19円だ。
 発電業者の場合は、LNG 発電で発電する場合は 11円ぐらいで、太陽光全量買い上げの場合は 40円だから、差額は 29円だ。
 家庭に比べて、発電業者は、補助金のおかげで得する額が圧倒的に多い。それだけ余計に補助金をもらっていることになる。
( ※ わかりにくいかもしれない。説明しよう。こういうことだ。……家庭の場合は、電力会社との売買では 23円になるところを、42円で売却できる。その差額が補助金となる。発電業者の場合は、11円で売却するところを、40円で売却する。その差額が補助金となる。)

 ──

 結論。

 「全量買い取り」制度は、太陽光発電の普及とはたいして関係ない。それは単に、「発電業者への莫大な補助金」という制度であるにすぎない。簡単に言えば、「太陽光発電を推進しよう」という世間の風潮に乗って、国民の金を大量に盗んでやろう、という詐欺師の方針であるにすぎない。
 自民党政権時代には、「建設事業で国民の金を盗んでやろう」という利権企業がたくさんあった。また、その利権を利用する政治家もいた。(小沢が代表だ。)
 民主党政権時代には、「太陽光事業で国民の金を盗んでやろう」という利権企業が一つ出た。孫正義だ。その利権を利用する政治家が現れた。(菅直人が代表だ。……ただ、彼の場合は、自分では利権を得ず、利権を得ようとする孫正義にうまく利用されているだけだ。利口な悪人というより、踊らされている馬鹿なピエロに等しい。その意味では、小沢ほどの悪人ではなく、善人である。善なる阿呆か。)

 ま、菅直人を「阿呆」と呼ぶのはいいが、実を言うと、同じことは、全国民に当てはまる。このからくりを理解している人は、ろくにいないからだ。たいていの人は、孫正義の悪巧みに、引っかかってしまっている。

( ※ この方針が孫正義の利権狙いだということは、私が当初からずっと指摘してきた。それを読んだ人なら、この悪巧みを見抜いていただろう。たとえば、私が語ってから1週間ぐらいたってから、池田信夫も「孫正義の利権狙いだ」という意味のことを語り続けている。)
( ※ ともあれ、孫正義の悪巧みを見抜くことが大切だ、というのが、本項のポイントだ。)
( ※ 孫正義には、全量買い取りに関して、「財源はどうするのか? 増税か、料金値上げか?」と twitter で質問したが、今のところ回答がない。)



 [ 付記1 ]
 次の記事がある。
 同制度は太陽光や風力などの自然エネルギーで発電した電力を、電力会社が全面的に買い取る制度。自然エネルギー大国であるドイツなどで実施されている制度であり、その実用性は立証済みだ。
( → スポットライトニュース
 こういう話は良く聞くが、間違いだ。
 なるほど、ドイツでは、そのような制度が実現している。ただし、次の点を見失ってはならない。
  ・ それで買い上げられた電力は、全体の1%にすぎない。
  ・ にもかかわらず、ドイツの家庭用電力料金は、他国の倍近い。

 つまり、効果については、たったの1%であり、焼け石に水というのに近い。
 にもかかわらず、電力料金という面では、莫大な負担となっている。(これは、産業用の電力価格が据え置かれたことも関係する。家庭にばかりしわ寄せが来るので、家庭用電力価格はすごく高くなる。)
 
 ついでに一言。ドイツでは、電力料金が高いこともあるし、緯度が高いこともあるが、エアコンはほとんど普及していない。夏はエアコンなしで過ごす。
  → 太陽光発電の将来と地域
  → 放射線より心配性が危険 [余談]
 「ドイツにできることは日本でもできるはずだ」と主張するのはいいが、ドイツのように、電力料金を2倍にして、夏をエアコンなしに過ごすことが、本当に可能なのか? よく考えてみるといい。
 ついでだが、これは、1%の買い上げだけの場合だ。全量買い上げを実現すれば、1%どころか20%ぐらいになるから、電力価格は今の数倍にまで引き上げとなる。たとえば、月に 10万円だ。夏場には月に 20万円ぐらいになる。それだけの電気代を支払う気があるのだろうか?
 ついでだが、あなたが払うその多額の金の大部分は、孫正義のポケットに入るのだろう。

 [ 付記2 ]
 「孫正義だけじゃなくて、おれもやろう。おれも投資しよう」
 と思う人もいるかもしれないが、そう甘くはない。全量買い取り制度は、発電業者は儲かるが、個人は儲からないようにできている。
 第1に、今すぐの時点では、太陽光発電の初期投資がかさむので、あまり得をしない。実行している人は、「ほぼトントンだ」と体験談を語っている。かろうじて得をしているのは、別荘に太陽光発電を取り付けた場合だ。この場合は、自家消費がなく、全量を売りつけるので、黒字になるようだ。(ただしその分、国家に大損をさせていることになる。国の金を盗む泥棒と同じだ。「国の金を合法的に盗めば得をしますよ」という理屈。)
 第2に、将来の時点では、太陽光発電の価格低下にともなって、いくらかは黒字になる可能性が出る。ただし、将来の時点では、発電しても電力を売ることができなくなりそうだ。
 どうしてか? 家庭用の発電の場合、初期に売電する人は売電が可能だが、あとで売電する人は、売電が不可能になるからだ。というのは、あとになって参入した人は、売電する電圧を高めなくてはならないからだ。なのに、売電する電圧には、上限があるので、その上限に達してしまうと、せっかく発電した電力を、系統電力に流すことができなくなる。
 この件は、詳しい話は下記ページの最後にある。
  → 太陽光発電のパワコン



 【 関連サイト 】

 関連するページを紹介しておく。特に読まなくてもいいが。

  → 首相:超党派9人と会議 再生エネ法案成立に意欲
  → 政府・与党:再生エネ法案、急浮上 今国会成立図る
  → 河野太郎の自然エネルギー推進

  → 国の補助金制度+買取制度 活用ガイド

  → 太陽光発電の6月の売電料金は・・・
  3.15kw程度のパネルなど年間にして10万円の電気代にしかならない
 


 【 関連項目 】

 じゃあ、どうすればいいのか? こうすればいい。
  ・ 今は何もしないで、貯金する。
  ・ 将来コストダウンが起こったら、そこで一挙に普及させる。


 詳しくは、下記。
  → 太陽光発電の将来と地域
posted by 管理人 at 20:47| Comment(2) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
太陽光発電への補助金政策については、私が何年も前から指摘してきたが、ここ1年ぐらいは、池田信夫も強く論陣を張るようになった。私の発言量よりも多いくらいだ。
 本日も、固定価格買い上げ(FIT)について池田信夫が論じている。
  → http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51719592.html

 池田信夫の主張には、橋下府知事が反論したが、論理的には、橋下府知事が正しい。この件は、私が twitter で説明した。
  → http://j.mp/kFSaeB

 ただし、そこでも述べているように、論理的には可能だが、現実性はない。莫大な補助金を提供することと等価だからだ。その意味では、池田信夫の解釈の方が正しい。

 橋下府知事は、形式論理で反論しているだけで、意味空疎なことを語っている。彼の語っていることは、「国民の金を全部奪えば自然エネルギーで大丈夫ですよ。論理的に間違っていません」と言っているようなものだ。馬鹿げている。

 菅直人は、よく理解していないだけで、ただの阿呆だが、橋下府知事は、わかっていないことをわかっているつもりになっているという点で、非常に危険である。ほとんどヒトラーに近い危険性がある。
 いろいろと大網と、橋下府知事というのは、すこぶる危険人物だ。せいぜい府知事ぐらいに留めておくのが安全だ。首相になるのだけは勘弁してほしい。実行力があるだけに、暴走した場合の破壊力は抜群だ。そうなったら、日本は悪夢だ。

 菅直人を「無能だ」と批判する人が多いが、無能な人間は危険ではない。有能な人間こそ、危険なのである。
Posted by 管理人 at 2011年06月20日 21:15
太陽光発電のかわりに LNG 発電がいい、と私は述べたが、これにもちょっと弱点がある。津波対策がなされていないらしいことだ。

 川崎もそうだし、東京都が建設するつもりらしい東京湾内の発電所もそうだ。いずれも、津波対策がなされていない。
 で、津波が生じたら、これらの LNG発電所は、水没しかねない。大丈夫なのかな? 対策は取ってあるのかな?

 関連ページ。
  http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2011/110527.htm
Posted by 管理人 at 2011年06月20日 21:26
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ