2011年06月19日

◆ 原発の再開の是非

 運転停止している原発を、再開するべきだろうか? 是と否の両論がある。そのどちらを取るべきか? ──
  
 運転停止している原発を再開したい、という政府の方針がある。経産相が発表した。
  → 定期点検中の原発22基の運転再開を求めた
 これに対しては、賛否両論がある。

 賛成派は、例によって、池田信夫が代表的だ。
 「原発停止で、電力不足になると、その地域の企業が海外に逃避する」
 という趣旨で、何度も書いている。( twitter や ブログ などで。)

 否定派は、福井県知事と大阪府知事が代表的だ。
  → 立地知事、批判が噴出
  → 経産相の再稼働要請に大阪府知事が猛反発

 ──

 私の見解では、どちらも極論過ぎる。

 池田信夫の説については、前に批判した。「(東電管内や中電管内では)電力不足は起こらない」と。
  → 池田信夫のデマ(電力)

 もっと詳しくは、次の項目がある。
  → 全国の原発を即時停止できる
 ここで述べたように、関西の夏季を除けば、原発なしでも大丈夫だ。

 問題は、関西の夏季だ。「 15%の節電をすれば、たぶん大丈夫だ」というのが私の見込みだった。
  → 関電の電力 15%削減要請

 ただし、である。「これで大丈夫」と言い切るには、次の2条件がともに必要だ。
  ・ 15%削減を実施する。
  ・ ピーク日には「翌日休業」の制度を整備しておく。


 ところが、大阪府知事は、この条件を拒否している。
  → 15%節電要請 橋下・大阪府知事、協力を拒否
 
 呆れるしかない。いくら何でも、原発は動かさず、節電もしないというのでは、「天から電力が降ってくるのを期待する」というようなものだ。駄々っ子のわがままに等しい。
 池田信夫とは反対の方向で、これはひどい暴論だろう。(理系の発想が全然抜けているのかもしれない。物事を、対人交渉や喧嘩としてしか捉えていないのかもしれない。弁護士の癖で。)

 ──

 ま、私としては「電力需要の 15%削減」というふうに主張したが、大阪府知事はそれを認めない。ま、関西人というのは、「他人のために協力する」という東京ふうのエチケットはなじまないのかもしれない。となると、「 15%削減」は無理かもしれませんね。
( ※ 「みんなで少しずつ我慢することで、全員が利益を得る」という発想は、エゴイストには理解できないので。) 

 ──

 では、その場合、どうなるか? 停電が起こるだろう。ここで、単に無計画な停電が起こると、大変だ。計画停電を実施するしかない。その場合、どういうふうに計画停電を実施するか? 
 私としては、うまい提案がある。次のことだ。
 「計画停電は、福井県と大阪府のみを対象とする」


 福井県は原発を稼働させるのを嫌がっているし、大阪府は節電を嫌がっているのだから、これらの両県では、電力不足のときには計画停電を実施すればいい。物の道理というものだ。
 そういうことは、たぶん、年に数日だろう。ひょっとしたら、十数日になるかも。……いずれにせよ、電力不足になったら、その間は、これらの両県で、毎日計画停電を実施すればいい。
 関東の場合とは違って、輪番制にはしない。福井県と大阪府では、毎日毎日、午後の時間帯を停電にする。(電力不足になりそうな暑い日には。……涼しい日は別。)
 
 これで、問題は解決する。……というか、問題を福井県と大阪府に集中させることができる。
 
 ただ、橋下府知事は、気が変わりやすいから、そのうち「節電を実施します」と言い出すかもしれない。(「最初は強気に語るのは、交渉術だよ」なんて弁護士ふうの言葉を言って。  (^^); )
 で、大阪府が「節電します」という方針に転じたら、今度は、福井県だけで「全県の計画停電」を実施すればいい。福井県は、規模が小さいから、ひょっとしたら、夏の間はずっと「毎日、午後は停電」になるかもしれない。ま、それはそれで、仕方あるまい。原発を稼働させたがらないのだから、当然だ。電力の供給を嫌がるなら、電力の需要も得られない。

 特に、福井県の場合、罪は重い。というのは、「原発の補助金」をずっと受け取ってきたからだ。今も受け取っている。「代金(補助金)だけ受け取って、商品を払いません」というのは、契約不履行に当たる。詐欺も同然だ。犯罪的と言える。
 ゆえに、「原発の再稼働を認めない」という福井県については、「電力を打ち切る」という措置を取ってもいいだろう。場合によっては、「夏の間はずっと停電にする」という措置を取ってもいい。(詐欺師に対する懲罰だ。)

 ──

 以上の話を聞くと、まるで池田信夫みたいな主張に聞こえそうだ。私がまるで「原発擁護派」に転じてしまったように聞こえそうだ。

 しかし、違う。私は「原発を再稼働せよ」という主張は取っていない。そのことは、前にも述べたとおりだ。
  → 他の危険な原発
  → 原発再開の条件

 ここでも述べたように、原発の再稼働には、条件がある。「安全対策を十分に取ること。特に、水棺の措置を取ること」だ。
 そして、それは、現時点の安全対策では、実現していない。経産相は「安全対策は済みました」なんて言っているが、全然、不十分だ。現状程度の安全対策では、全然足りない。

 ではなぜ、今夏に原発を再開することを、是認するのか? それは、前にも書いたとおりだ。
  → 全国の原発を即時停止できる

 つまり、「夏の3カ月間だけ原発を稼働させる」という応急措置だ。この3カ月間だけは、電力が逼迫するので、臨時に原発を再稼働する。そして、その3カ月間を経たら、原発はふたたび停止する」という方針だ。
 これは、単なる「原発再開」でもなく、「原発再開の否定」でもなく、「原発を短期間だけ再開させる」という中間的な方針だ。
 これを私の方針とする。(現実的ですね。リアリスト。 (^^)v )



 [ 付記1 ]
 では、今夏の3カ月間はそれで乗り切るとして、来年以降はどうか? これは、特に心配する必要はないだろう。来年から再来年にかけて、建設中の火力発電所が、次々と稼働する。
  → 東京電力 川崎火力発電所
  → 中部電力 上越火力発電所
  → 関西電力 姫路第二発電所

 中部電力は来年は問題ない。
 東電と関電は、再来年には問題ない。来年は問題になるかもしれないが、来年に限ってまた原発を3カ月間だけ稼働してもいい。どっちみち、それまでだ。再来年になれば、次々と火力発電所が稼働する。
 また、来年の分だって、中型の LNG 発電所ならば短期間で建設できるので、中型の発電所をたくさん建設する、という手も利く。(東電の川崎発電所では、その手を使って、今夏に間に合わせた。3月の大震災のあとで着工して、8月には間に合う予定だ。 → プレスリリース

 [ 付記2 ] 
 長期的には、どうか? 原発は再稼働させるべきか? それとも、すべて廃棄するべきか?
 ネット上には、「原発はすべて廃棄せよ」という声が強い。
 一方、新聞の世論調査では、「現状維持」や「段階的縮小」という声が大半だ。(現実派ですね。)
 原発擁護派の池田信夫は、再開を肯定する。その根拠は、コストだ。次のような。
 既存の原発のランニングコストは非常に安いので、それを止めると数兆円の損失が出る。
( → twitter

 これは論理的には正しい。私も前に言及したとおり。
  → 賠償支援機構には原発保険料を[ 付記1 ]

 ただし、私が原発の再開を認めるに当たっては、「十分な安全措置を取ること」(特に水棺の措置を取ること)が条件だ。(前述・上記)
 現状では、その条件を満たしていない。また、この条件を満たすには、2年ぐらいの工事が必要だろう。

 というわけで、その工事が済むまでは、原則、再稼働を認めるべきではない。(ただし夏に限っては例外的に認めてもいい。それも、今年と来年だけだ。)
 一方、長期的には、その工事が済めば、原発の再稼働を認めてもいい、と私は思う。(ただし浜岡は例外だ。あれは危険すぎるので、永久に停止するべきだ。)(また、特に古い原発のいくつかについては、廃止した方がいいかもしれない。すでに減価償却が済んでいるような原発は、廃止しても問題はないはずだ。)

 [ 付記3 ]
 以上をまとめると、私の立場は、次の通りだ。
  ・ 原発は、原則、なるべく稼働しない。(大部分の原発)
  ・ 必要な場合のみ、限定的に稼働を許容する。(夏季の関西電力)
  ・ 十分な安全措置を取ったあとでは、再稼働を許容する。(数年後)


 「原発の即時廃棄」は、国民的合意になっていない。大部分の国民は、「現状維持」や「段階的縮小」を望んでいる。とはいえ、現状の原発は、危険なままであるものが多い。それらについては、なるべく、稼働させない方がいい。できれば、「節電」という形で、稼働させないことがいい。
 大阪府知事のように節電を嫌がる人もいるので、そのような場合には、計画停電を実施するしかない。その後、大阪府知事の気が変わって、「節電します」と言い出すかもしれない。それで済めばいいが、それで済まなくなったら、福井県で計画停電すればいい。
 福井県が計画停電をいやがるなら、原発を再稼働するしかない。ただし、夏季に限って、2〜3カ月ぐらい原発を稼働すればいい。この場合には、たぶん、大阪府の節電も不要になるだろう。

 [ 付記4 ]
 そもそも、浜岡と他の原発では、事情がまったく異なる。東日本大震災のあと、浜岡が地震によって暴走する危険はかなりあるが、他の地域では、それほどでもない。もちろん、大津波が来る危険も、ほとんどない。
 実を言うと、今の時点で、一番危険なのは、原発じゃない。次の大地震だ。それは「余震」という形で、近いうちに襲いかかる可能性がある。次の記事を参照。
  → 昨年9月4日の余震(2月22日)
  → 6月13日の余震
 つまり、4〜5カ月の感覚で、二度も余震が起こっている。この分だと、3月11日の東日本大震災(の地震)のあと、半年足らずのうちに、ふたたび巨大な余震が起こるかもしれない。最も危険な時期は、7月〜9月だ。この時期に、巨大な余震が起こり、被災地には巨大な揺れが起こるかもしれない。
 もし海中に震源があれば、ふたたび津波が来る。もし陸地に震源があれば、直下型地震としてだ規模な建物倒壊が起こる。(阪神大震災に似ている。)……その場合、死者が多数発生する可能性がある。
 
 はっきり言って、「放射能が危ない」「原発が危ない」なんて騒いでいる人々は、真に危険なものを見失っている。あるかどうかもわからない微小な危険にばかりとらわれて、真に危険なものを見失っている。
 池田信夫のように、原発の危険性をまったく理解しないのも困りものだが、危険派の人々のように、原発や放射線の危険性を過剰に受け止めるのも困りものだ。いずれにしても、真に危険なものを見失っている。
 それはつまり、真実に目をふさいでいるということだ。
posted by 管理人 at 22:14| Comment(6) |  放射線・原発 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
池田信夫氏に対する的確な批判をたどってここに流れ着きました。件の人物があまりに○○すぎるとはいえ、管理人さんの批判は至極真っ当であり首肯できます。

ただ私は原発はできるだけ早く全廃すべきと思っています。

熱量の3分の2を海に捨てて、地球温暖化を助長し、
廃炉や廃棄物処理費用をきちんと盛り込めばコスト的にも破綻し、
(たとえ発生率が低くとも)事故発生時にはあまりに大きいそのインパクトを社会全体で吸収することができない、

原子力発電に未来はないと思います。

よろしければこのあたりについてもご意見いただければと思います。
Posted by とーりすがり at 2011年06月20日 08:38
新規分については「建設せず」ということで、ほぼ合意を得ていると思います。

 問題は、既存の分を廃棄するかどうか。つまり、あるかもしれない危険性のために、数十兆円をドブに捨てるかどうか。あなた自身で言えば、そのために百万円を捨てる覚悟があるかどうか。

 今のような不況の状況では、百万円というのは大金です。恵まれないお年寄りや失業中の若者がたくさんいます。それらの人々から強制的に百万円を徴収して、不幸のどん底に落とすことが正しい、といいきれますか? 統計では年間3万人の自殺者が出ます。それからすると、百人以上の自殺者が出そうです。それほどにも多くの人々を自殺させる政策が正しいのでしょうか?

 人はエコにとらわれると、金銭のことを忘れがちです。人はパンなしには生きられないし、パンを買うにはお金が必要です。
 私の基本方針は「エコよりも人命が大切」といものです。それは一貫しています。
Posted by 管理人 at 2011年06月20日 12:27
週刊現代(本日発売)に、次の地震の危険性が書いてある。
 その場合、福島4号機の(タンクの)耐震性がやばいらしい。
 詳しくは同誌を参照。

 読者感想は
 http://blog.livedoor.jp/raichann/archives/51631568.html
Posted by 管理人 at 2011年06月20日 12:59
ひとつだけ指摘しておくと、関西電力管内なのは、福井県の美浜町以西で、残りの福井県は、北陸電力管内。小浜は、関電で、敦賀は、北陸電力。

 実際問題としては、選択的計画停電は、できないだろう。一応、公益企業という建前もあるので。

関電も、東電みたいに、デイリーの電力予測と供給力表示のウェブサイトを始めるらしい。
Posted by k75rider at 2011年06月20日 14:11
ま、関西人というのは、「他人のために協力する」という東京ふうのエチケットはなじまないのかもしれない。となると、「 15%削減」は無理かもしれませんね。
( ※ 「みんなで少しずつ我慢することで、全員が利益を得る」という発想は、エゴイストには理解できないので。)

私は関西人ではありませんが、関西に数年間暮らしたことがあり、街にも人にも愛着を持っています。
ですから、上記のようなお笑い芸人やバラエティ番組が誇張して言うところの関西人を、そのまま信じて蔑む人がいることには心底失望させられます。

本旨と関係なくて申し訳ありません。
Posted by 匿名 at 2011年06月23日 02:47
別に関西人を馬鹿にしているわけじゃないです。言葉は悪けれど、その趣旨は「関西でも節電をして、自らを救え」という意味です。22日の項目を呼んでください。
 http://openblog.meblog.biz/article/4896079.html

 このようにして「関西人よ目覚めよ。節電せよ」と述べて、関西人の人命を大量に救おうとしているのは、私ぐらいでしょう? 口は悪くても、救おうとしているんです。

 人が間違いをして死にそうになっているときに、「このアホ。そのままじゃ死んでしまうぞ」と警告する人は、言われた人から憎まれても、人命を救います。

 「あんたのやっていることは正しい。あんたは利口だ」と述べて、そのまま死に至らしめるのは、悪魔です。人をいい気持ちにさせて人の命を奪います。

 あなたは悪魔の方がお好みのようですが、そんなことだと、あなたも悪魔の手先になりますよ。

 ついでに忠告。あなたは甘い言葉の詐欺に引っかかるタイプです。「巧言令色少なし仁」を理解した方がいい。
Posted by 管理人 at 2011年06月23日 12:12
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