実は、同様の指摘は、もともとあった。
「原子力発電がなくても、火力と水力だけで、夏の電力はまかなえる。定期点検などで休止中の火力を稼働させれば足りる」
という指摘だ。たしかに、計算すれば、そうなる。
ただ、「まさか東電がそんなに嘘をつくこともあるまい」と信頼していたので、「夏には 900万kWぐらいが不足する」という東電の話の方を信じていた。
→ 今夏の停電をなくすには?(逐次タイムシフト)
しかし、それは嘘だったわけだ。嘘つき東電の言葉を信じたのは、不覚であった。 (^^);
( ※ その後の4月15日には、「5200万kW」を供給できると東電は修正した。だが、それも嘘だった。)
──
では、正しくは? 次の二つの情報がある。
(1) ホームページ資料の削除。
東電は3月下旬、今夏の最大需要見込み5755万KWに対して、4995万KWの供給能力しかないため、計画停電を続行するとしていた。しかし、4月8日になって突然、「お客さま各位の節電へのご関心、ご協力が広範囲にわたって浸透してきた結果、需給バランスは著しく改善を見せております」として、計画停電の中止を発表した。初めのころは、「夏には計画停電をします」と告げていたが、突然、その言い分を取り下げた。「供給が改善したから」という理屈。しかし、供給が改善するのは、もともとわかっていたことだ。なのに、「供給不足で夏を乗り切れません」と大げさな嘘をついてきた。
東京電力が、原子力や火力など電源別の発電実績を示した資料を4月6日ごろ、ホームページから密かに削除していたことが明らかになった。その直後の4月8日、東電は今年の計画停電の全面中止を発表した。計画停電の実施や中止を巡っては、同社の本当の発電能力が問題の核心になっていた。ホームページからの突然のデータ削除は、このデータを開示し続けると、東電が不利な立場に追い込まれることを恐れたためではないか、との見方も出ている。
該当ページでは、東電の発電設備出力の原子力、水力、火力、新エネの割合と合計が表になっていた。2009年度末の実績(他社受電分を含む)として、合計7769万KW(そのうち原子力は1819万KW、火力は4486万KW)と掲載。
( → Yahoo!ニュース )
で、嘘をついたのがバレそうになったので、あわてて、真実を記したホームページ資料をこっそり削除した。
なお、その資料の古い版(2年古いもの)は、下記に魚拓がある。
→ 2007年のデータ
これを見ればわかるとおり、火力と水力で、余裕しゃくしゃくだ。
【 追記1 】
削除されたホームページ資料のデータを残しているサイトがある。
→ http://earthian.seesaa.net/article/194466905.html
これを見ると、2009年の数値が得られる。
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(2) 揚力発電の分
さらに、別の情報がある。火力と水力のほかに、揚力発電の分が 1000万kW もあるそうだ。
本誌『週刊ポスト』はそのことを示す1枚の極秘資料を入手した。しかし、それが示す事実は国民には公開されていない。この記事の計算では
資料には、『東京電力の設備出力及び地震による復旧・定期検査等からの立ち上がりの動向』と表題が記されている。東京電力のすべての原子力、火力発電所や水力発電の出力、被災状況、7月末までにどの発電所の何号機が復旧するかの見通しが一覧表にまとめられたものだ。資源エネルギー庁が官邸や政務三役、与党幹部などへの電力制限の説明資料として作成したもので、右肩に「厳秘」と入っている。
資料を詳細に分析すると、7月の供給力には盛り込まれていない“隠された電力”がある。「揚水発電」の出力が計算されていないのだ。
(東電は)多くの大型揚水発電所を持ち、資料によると出力は全部で1050万kWに上る。
東電の7月末の4650万kWに加え、揚水発電の1050万kWをフル稼働させると計算すると、7月末に使える東電の供給力は5700万kWになる。
( → Newsポストセブン )
4650万kW + 1050万kW = 5700万kW
となるが、その後、4650万kW から 5200万kW へと変更があったのだから、
5200万kW + 1050万kW = 6250万kW
となる。揚水発電の分( 1050万kW )が、まるまる使えることはないとしても、6000万kW は余裕でクリアできる。
しかも、6000万kW というのは、史上最悪の猛暑だった昨年の場合だ。今年はそうなるとは思えない。(私の予想では冷夏となる。)
また、現在の節電ブームによって、毎日 1000万kW 以上が節電されている。(企業や家庭の節電意識のほか、電圧低下による節電もある。あれこれ合計して 1000万kW 以上の節電。)
となると、今夏の予想最大需要は(昨夏実績の) 6000万kW から 1000万kW を引いた 5000万kW である。(今の節電意識が続いたと仮定する。また、猛暑は昨年並みだと仮定する。)
その一方で、最大供給は(揚水発電込みで) 6000万kW 以上ある。
差し引きして、電力の余裕は、1000万kW ある。夏の気温が猛暑でなければ、さらに余裕は出る。
それに加えて、「電力逼迫時には、電力使用を止めてもらう」という契約(大手企業との契約)が、110万kW ある。( → 出典 )
もはや余裕しゃくしゃくだ。夏の停電について憂慮する必要は、さらさらない。また、企業が輪番休業などをする必要も、さらさらない。
東電にだまされた!
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【 追記2 】
このあとさらに、供給電力は追加された。2011-04-19 の報道によると、 5500万kW の供給だという。
→ http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011041800881
これだけあれば、停電の可能性は完全に回避されたと言えるだろう。
[ 付記1 ]
ただし、東電にだまされたことは別として、夏季の早期操業は、(停電とは無関係に独立的に)実施した方がいい。
・ 涼しい時間帯に仕事や勉強を始めた方がいい。
・ ラッシュアワーの混雑を避けた方がいい。
これらは、「サマータイム」とは別の理由だ。照明の電気を節約するためではない。朝の涼しい時間帯を利用するためだ。
実際、すでに「当社だけのサマータイム」を実施した企業では、ラッシュアワーが避けられるなどの理由で、社員に好評だ。
→ 森永乳業の例
あちこちで、「エレベーターを止める」とか「室内を暗くする」とかの努力がなされているが、そんな馬鹿げたことをするくらいなら、「当社だけのサマータイム」を実施する方が、よほど賢明である。
( ※ 現在の電力のピークは、18時〜19時台であるから、このピークを引き下げるには、早期操業が有効である。前述の通り。 → 部分タイムシフト )
( ※ そもそも、エレベーターを1機か2機ぐらい止めても、節電にはならない。むしろ、電気を余計に食いそうだ。理由はいちいち説明しないので、自分で考えてみてほしい。)
[ 付記2 ]
ちょっと混同しやすい点があるので、注記しておく。
本項で述べたのは、「夏の停電対策は必要ない」ということだ。具体的には、輪番休業や、シエスタや、長期夏休みなど、特別な措置は不要だ、ということだ。
一方、現在なされている節電は、必要ないということはない。現在の節電は、ちょっと過剰なところがあり、エレベーターを止めるとか道路の照明を弱めるとか、弊害のあることまでやり過ぎている。そういうのはやりすぎであり、そこまでやる必要はないだろう。とはいえ、しきりに節電意識を持つこと自体は、悪くはない。
第1に、もし節電意識がなくなれば、夏の電力はたちまち逼迫してしまう。
第2に、現在の余裕は、トヨタなどの工場が全面操業していないことや、震災不況で夜の繁華街が寂れていることによる。夏になって経済状況が改善してくれば、電力需要は増えるだろうし、いくらか逼迫する度合いが生じる。
というわけで、今のところはかなり余裕があるにしても、節電意識を持つことは悪くはない。
【 参考サイト 】
→ 本日の電力需給のグラフ(東電)
【 関連サイト 】
今夏の停電の有無は別として、一般に停電というものは起こることがある。だから病院では、「非常用電源」というものが確保されている。
個人・企業レベルでも電源を確保するために、いろいろと案があるだろうが、そのために、参考となる情報がまとめられている。
→ アゴラ「夏に向けた電力確保-個人や中小企業で可能な取組みは?」
《 余談 》
私も前に、夏の停電対策(特にパソコン用)として、「UPS(無停電電源装置」を紹介したことがあった。
→ 停電でノートPCもダメ
ここでは、「停電対策にWiMAXのノートパソコン」という案も紹介したが、今から考えると、この対策をしていたら、余計な出費を強いられたことになる。賢明な対策を取っていたつもりでいたら、東電にだまされただけだった、となる。
腹にすえかねる思いの人もいるでしょうね。

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【 追記2 】
このあとさらに、供給電力は追加された。2011-04-19 の報道によると、 5500万kW の供給だという。
→ http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011041800881
これだけあれば、停電の可能性は完全に回避されたと言えるだろう。
http://blogs.yahoo.co.jp/semidalion/44831507.html