この件は、前に次のように述べた。
「公平を期してのことらしいが、あまりにも馬鹿げている。これでは予定というものがまったく立たない。これは私が前に問題視したことだが、この弊害が顕著になってきている。新聞記事を引用しよう。
せめて1週間交替にするべきだ。それなら、1週間は同じ時刻なので、毎日の予定が立つ。
現状は、ほとんど狂気の沙汰だ。」
( → 停電のローテーション )
《 「計画停電で手術できない」 病院、不安の声 》場合によっては、あなたが被害に遭うこともある。交通事故で頭を打ち、昏睡状態で病院に運ばれたが、「MRIが使えないので、手術できません」と言われて、治療を受けられずに死んだ、とか。
東京電力の計画停電で、救急患者の受け入れ制限や重症患者の手術の延期を余儀なくされる病院が出るなど、医療現場が混乱している。夏にはさらに電力不足が深刻になる可能性が高く、不安の声が上がっている。
大動脈瘤(りゅう)など心臓血管の治療実績が全国トップレベルで、救急車の受け入れが年間約6千件の川崎幸病院(川崎市)。関東全域から患者が来院し、通常3カ月先まで心臓手術の予定が入っているが、計画停電が始まってすべて延期した。
停電の時間が日によって違い、直前までわからないことがあるので、長いと10時間以上になる手術の計画が立てられないからだ。非常用発電機で人工心肺装置を動かしている時に発電機が故障したら患者の命が危ない、という不安もあった。
自治医大さいたま医療センター(さいたま市)も停電時は予約患者以外の外来受け付けを中止し、手術件数を制限している。
救命救急センターであるさいたま赤十字病院(さいたま市)は停電時にCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴断層撮影)が使えず、頭部外傷や脳卒中などの救急患者の画像診断ができなかった。交通事故に遭い昏睡状態で搬送されてきた患者は隣の市の大学病院に転送せざるをえなかった。
( → 朝日新聞 2011-03-30 )
他人事じゃないですよ。
──
輪番制というのは、公平性だけを狙いにして、能率というものをまったく無視している。どうせ3時間の停電でも、毎日同じ時間ならば、まだ対策の取りようがある。しかし、いつになるかわからないのでは、能率が大幅に低下する。
日頃は「生産性の向上が大切だ」と述べている経済学者もいるが、輪番制による生産性の大幅低下には目を向けない。まったく、残念なことだ。
日頃は「生産性の向上が大事だ」と唱えている経済学者は、口をそろえて、「輪番制に反対!」と叫べばいいのだ。
なのに、「生産性の向上で万事OK」という超楽観主義を批判していた私が、生産性の向上(というか、生産性の悪化の阻止)を語るハメになるとは。まったく、困ったことだ。
( ※ 停電が困ったというより、輪番制の愚かさに気づかない経済学者の愚かさ加減が、困ったことだ。)
( ※ 「輪番 能率」で検索すると、現時点では本項ぐらいしかヒットしない。 → 検索 )
[ 付記 ]
お馬鹿なのは、経済学者だけではない。経団連もそうだ。
日本経団連は30日までに、需要のピークをずらす業界ごとの自主的な節電計画作成の方針を打ち出した。これで解決できると思うのなら、あまりにもおめでたい。
業界ごとの自主計画では、2週間ごとに「操業」「休業」の企業を分けて電力を使う「輪番休止」などの案がある。また夜間操業、西日本の生産拠点で稼働率を上げるといった対策で、効果的な「ピークずらし」が見込まれる。
( → zakzak )
「2週間ごとに「操業」「休業」の企業を分けて電力を使う輪番休止」
なんてことをしても、効果は十分でない。日中の産業用の電力は2分の1ぐらい。業種(製造業)の割合が2割で、そのうちの半分が参加するとしたら、
5割×2割×5割 = 5%
となる。つまり、全体の5%しか、節電効果はない。電力不足の解消にはとうてい及ばない。
しかも、これをやったら、その会社の生産力は半分になる。ただでさえ生産力が足りないのに、馬鹿げている。せいぜい夏休みの時期をずらすぐらいの意味しかない。本来ならば、夏休みを全廃するぐらいがいいのだが。
経団連は、輪番制ということにとらわれるあまり、能率とか効果とかいうことを、まったく理解できていない。愚の骨頂。
そもそも、「業界別」という発想がいただけない。ここでは、経団連が一団となって、正しい行動を取るべきなのだが。何事も「業界別」という古臭い発想。どうしようもない、古い体質ですね。昭和の臭いがする。
記事には次の言葉もある。
「電車に例えると分かりやすいが、ラッシュ時以外はほとんどガラガラ。時間ごとにうまく分散させれば客があふれ出すことはない。電気も6000万キロワットを追い求めず、4500万キロワットの上手な割り振りを考えるべきだろう」これはまったく正しい。経済産業省の役人の言葉らしいが、さすがに頭がいい。馬鹿な経済学者や企業経営者よりも、はるかに利口だ。
そして、この発想を理解すれば、正解にたどりつける。これだ。
→ 今夏の停電をなくすには?(逐次タイムシフト)
せめて正解を理解するぐらいの頭がほしいものだ。
【 関連サイト 】
次のサイトでは、夏場の電力の供給の見通しを語っている。
→ http://agora-web.jp/archives/1294234.html
さまざまな供給増強策を紹介している。そのこと自体は、問題ない。ところが、最後に、結論が一挙に飛んでしまっている。
今後は企業の発電所や他の地域電力会社に隣接する地域などでは、結果としての(電力)自由化は避けられないでしょう。我田引水とはこのことだ。事実やデータと、結論とが、あまりにも乖離している。非論理的な文章の見本だろう。
あまりにも非論理的なので、私が正しい論理を示す。
この著者が示した事実や見通しは正しい。とすれば、結論は、こうでしかない。
「どうやっても、供給の増加は不十分だ。今夏の電力は、どれほど努力しても、供給不足が避けられない」
ここから論理的に得られる結論は、ただ一つだ。
「供給が不足するときに、需給を均衡させるには、需要を削減するしかない。需要削減策が重要である 」(さもなくば、停電が起こり、ひどいことになる。)
これが論理というものだ。
なのに、上記サイトの筆者は、「電力の自由化」という結論に飛んでしまっている。これでは、初めに結論ありきだ。あまりにも非論理的だ。
そもそも、供給不足のときに、「自由化」なんかをやらかしたら、闇経済みたいに、電力が高騰してしまうだろう。たとえば、現状ではガソリンや牛乳や納豆が先着順の配給制みたいになっているが、ここで価格自由化なんかを導入したら、ガソリンや牛乳や納豆が暴騰して、国民生活はひどく混乱する。
インフラが破壊されているときには、インフラの整備こそが重要なのだ。なのに、「供給不足なら価格を上げよ」なんていう市場原理至上主義になると、国民は生活苦に追い込まれる。
供給力が破壊されたときには、「価格を上げても問題は解決しない」というのが事実だ。事実を理解できずに、「価格を上げれば問題は解決する」と思い込んでいるのは、まったく嘆かわしいことだ。そのせいで、「大切なのは需給を調整することだ」「特に需要を調整することだ」という真実を見抜けずに、市場だけに任せて調整しようとする。
こういう発想に比べると、「節電キャンペーン」というのは、はるかに正しい。そして、これこそが、現在において「需要縮小」を通じて、需給を均衡させている。本日現在、計画停電は実施されていないが、それは決して、市場原理で需給を調整したからではない。その真実を理解するべきだろう。
( ※ 参考 → 節電のために値上げ? )

→ http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110328/219174/
ただし、「西日本の電力を 60Hz のままもってくればいい」という案は、粗雑すぎて、下記で批判されている。
→ http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51660943.html
省電力のエアコンと冷蔵庫は実施を維持し、製造10年以上前の機種の交換のみエコポイントを大幅に引き上げる提案はどうですか?
古い家電は消費電力が大きい、ならばそれの買い替えを起こす位のメリットを付ける。更に電気料金の引き上げも行う事で買い替えを加速させます。これで家庭の省電力化につなげる。
家電の生産力が程遠いかもしれませんが、現状なんとかなると思います。最悪、外国製も対象。
強化エコポイント対象は50Hz居住の交換工事のみが望ましい。税金の無駄なので。
ただ、あまり期待はできない。それで救われる家庭数は 100万世帯には遠く及ばないでしょう。やらないよりはマシという程度。1000万Kw の不足の前では、焼け石に水の感もなくはない。