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私は一般に、「トンデモだ!」と人を攻撃することはない。その点では、トンデモマニアと異なる。
ただし、個人ではなく、政府やマスコミが相手の場合は、話が別だ。今回は、読売新聞があまりにもひどい記事を書いたので、批判しておく。(下の …… は中略箇所)
中学1年生が夏休みの自由研究をした。次のようなもの。
テーマは、「人間は100時間寝ないとどうなるか」だった。眠気の度合いを数時間ごとに数値化して、折れ線グラフにした。……70時間を過ぎたころからは幻聴という新たな敵も現れた。4日目、100時間目前になると、急にハイテンションに。……そして2学期が来て、体を張った研究を発表すると、理科の先生が「すごい」と大絶賛した。……人と違うことをすれば、ご褒美がある。人生で最初の成功体験だった。この記事のテーマは「幸せ小箱 ゲームな生活」というもの。ゲームクリエーターの少年時代の成功体験を探る、というもの。
( → 読売・夕刊・社会面・コラム 2011-02-22 )
ゲームオタクらしい記者が書いただけあって、あまりにも科学常識を逸脱したトンデモ記事だ。
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人が眠らないとどうなるかは、いちいち自己実験しなくても、すでに過去に人体実験がなされた。引用しよう。
10日間眠らないと人間はどうなるかという (ひどい) 実験が、かつてアメリカで行われました。その結果、10日間眠らなくても体はぴんぴんしていましたが、3日目あたりから会話があやしくなり、幻覚や幻聴が出てきたそうです。また、起きているにも関わらず、睡眠中と同じ脳波が現れることもあったそうです。これは簡単な紹介記事だが、以前、別の実験の詳細を示したテレビ番組があった。興味深く見たが、あまりにも衝撃的な事実に、ぶったまげた。そのせいで、深く記憶に残っている。
つまり、長時間眠らないでいても体の調子はそんなに変わりませんが、脳の働きがだんだんおかしくなり、挙げ句の果てには勝手に寝てしまうようです。この「脳が勝手に寝てしまう」という現象は、居眠り運転などで聞かれる「ハッと気付くと電柱が目の前に迫っていた」という体験談とよく似ています。どうやら、睡眠をもっとも必要としているのは脳のようですね。
( → 10日間眠らないと人間はどうなる? )
古い番組なので、一部には記憶違いがあるかもしれないが、おおむね、次のような番組だった。(あやふやな記憶は ? 印をつけておく。)
- 10日間眠らないと人間はどうなるかという実験がなされた。
- ラジオ番組のDJが、興味を感じて、自発的に実験した。(ろくに眠らない深夜番組のDJか。 ?)
- 最初のうちは、何ともなかった。
- そのうち、眠気を感じたが、必死に我慢した。
- やがてハイテンションになった。
- しだいに、行動に奇矯な点が現れた。
- 番組の上司は「中止」を進言したが、それを聞かずに続行。(?)
- 10日間経過。強制的に実験中止。
- その時点で、本人はやつれた様子だ。ヤク中の廃人に近い面貌。
- 実験後、十分に睡眠や休憩を取ったが、状態は戻らない。
- 前とは人格が一変してしまった。温厚で優しい人間が、怒りっぽくて短気な低脳人間になってしまった。仕事もできず、愛しあっていた妻との家庭も破壊されて、離婚する。結局、半ば廃人のような状態となり、職も失う。
この病気にかかると、人格の崩壊を起こす。顔つきも、いかにも分裂症ふうの顔になる。痛々しいとも言えるし、恐ろしいとも言える顔だ。
では、どうしてこういうことが起こるのか? 脳が破壊されたからだ。それは不可逆的な過程であり、決して元には戻らない。
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ここまで見れば、先の中学生が何をやったか、わかるだろう。「脳が破壊される」という実験をなしたのだ。それは身の毛もよだつほどの恐ろしい実験だ。とんでもないとも言える。(4日間なので、程度は弱いが、それでも少しは脳が破壊されたはずだ。)
どうせ実験するなら、人間の代わりに、動物で実験すればいい。そして、動物実験ならば、百年以上も前になされた。引用しよう。
100年以上前に、10匹ほどのイヌを強制的に眠らせないようにするという断眠実験が行われました(かわいそう...)。どのような結果だったかといいますと、すべてのイヌが死んでしまったのです。ところが、解剖して体を調べてみると、筋肉などにはとくに損傷は見られなかったそうです。こういうことがわかっているから、上記のDJの実験以後、同じ実験を試みた医者はいない。というか、上記の実験がなされた時点で、医者が他人に実験をしたことはない。(被験者であるDJは自発的にやっただけだ。)
その後ネズミなどでも同様の実験が行われましたが、いずれにおいても同じ結果となりました。
では、なぜ死んでしまったのでしょうか? それは、脳です。脳の中には、入ってきた情報を処理する役割のあるたくさんの神経細胞 (ニューロン)が存在しているのですが、これら神経細胞が傷ついたり破壊されたりしていたのです。そして、脳の中でもとくに大脳の神経細胞のダメージが大きなものでした。
( → 眠らないとどうなるか? )
このような人体実験は、今日ならば、最初からドクターストップがかかるはずだ。医者が読売みたいな馬鹿でなければ、だが。
読売記者のような無知な人間(ゲームオタクらしい人間)が、医学的知識もないまま、「不眠の実験は素晴らしい」なんてことを書くと、それを真似した子供が、同じような人体実験をして、脳が少し破壊されかねない。
そして、脳が少し破壊された人間は、大人になったあとで、どうなるか? たぶん、「脳が破壊されるような人体実験はすばらしい」というトンデモ記事を書くようになるだろう。 (^^);
まるで、ゾンビですね。死者が死者を増やす、というふうに、廃人が廃人を増やす、というふうになる。いわば、死が感染するように、狂気が感染する。
そして、このような「狂気の感染」を防ぐために、私はここに警鐘を鳴らしておく。読売のようなトンデモ記事を看過するな、と。
[ 付記 ]
人間にとって睡眠はとても大切だ。それは脳の健全さを保つ。
睡眠が不足すると、脳が少しずつ破壊される。そうすると、やたらと攻撃的な人間になったりする。……たとえば、他人を「トンデモだ!」と攻撃してばかりいて、世間の鼻つまみとなる、というふうな。それでいて、ゲームが大好きなゲームオタクだ、というふうな。
あなたの知っている人にも、そういう人はいませんか? そういう人はたぶん、子供のころに、脳の一部を破壊されたのだろう。
( ※ 子供のころではなく、大人になってからかもしれないが。)
( ※ 「そういうおまえはどうなんだ! トンデモマニアを攻撃しているぞ!」と言われるかもしれないが。 (^^); …… 私はよく寝ていたから、特に睡眠不足ということはないだろう。たぶん。 それに、本項の趣旨は、トンデモマニアを攻撃することじゃない。「狂人からは逃散せよ」という教訓 or 世間智を示していうだけだ。)
【 関連項目 】
→ 快適な睡眠(不眠を治す)
【 関連サイト 】
→ 過労になると脳下垂体細胞が次々と死滅 大阪市大実験
ラットで実験したところ、徹夜になった状態のラットは、5日目から脳下垂体の細胞が死滅して、器官がスカスカのスポンジ状になってしまった、という話。
なお、この実験では脳下垂体が集中的にやられたようだが、私の想像では、脳下垂体だけではないはずだ。長期にわたって徹夜すれば、大脳そのものがおかしくなっているはずだ。
【 追記 】
本文中では、番組紹介をあやふやな記憶で記したが、コメント欄(の最後)で具体的な指摘を得た。
そこでは次のリンクも示された。
→ http://youtu.be/2tlsB00Xz4E
具体的な情報があるので、見ておくといいだろう。(コメント欄も参照。「ピータートリップ」という人の話。)
あとで調べると、ネットにも次の記事が見つかる。
→ 不眠実験・危険すぎてギネス記録から消えた!
※ 上記記事は 2016/12/24 の日付。一方、本項は 2011年02月22日 である。
この部分にすげーひっかかったんですけど。いや俺はトンデモとか興味のない、単なるこのブログのファンです。
だって今や、「個人」がマスメディアと同等のデマ拡散機となりうる時代ですよ。あなた単に、「個人攻撃している人」というレッテルを張られるのが怖いだけなんじゃありませんか?
>読売記者のような無知な人間
これって攻撃的ですよね。かなり。それもマスコミ一般ではなくて記者という個人を叩いているじゃありませんか。しっかりと。しようと思えば簡単に特定できますよ。個人。まあプロとアマという線引をしているのかもしれませんけど、デマ拡散にそんなもの関係あります?
それに俺に言わせると、不眠実験を奨励している人なんて、この話の中に一人も出てきていませんよ。実験を褒めた先生しかり、読売記者しかり。その実験のあり方とか、着眼の仕方とかならともかく、不眠実験を奨励する意図なんてないはずです。まあ違ったらすいませんけど、どっちにしろ、邪推ってもんです。
>睡眠が不足すると、脳が少しずつ破壊される。そうすると、やたらと攻撃的な人間になったりする。……たとえば、他人を「トンデモだ!」と攻撃してばかりいて、世間の鼻つまみとなる、というふうな。それでいて、ゲームが大好きなゲームオタクだ、というふうな。
あなたの知っている人にも、そういう人はいませんか? そういう人はたぶん、子供のころに、脳の一部を破壊されたのだろう。
これって偏見以外の何物でもありませんよね。いいですか。「狂人」だって「ゲームオタク」だって人ですよ。だれだって狂人になる可能性があるし、そういう人を抱えて生きていかなきゃならない人だっているんです。そういう部分の想像力が欠如してますよ。たぶん。でなきゃ「脳の一部を破壊されたのだろう」なんてしれっと書けませんて。頭の良い人だからわかるとおもいますけど。
攻撃的だってことを非難しているわけじゃありません。真実が隠蔽されがちな世の中ですから、それに気づける人が攻撃的な論調になるのはある意味自然です。俺がおかしいなコイツと思ったのは、自らを否定すべき文句でもって他人を罵るあなたの態度です。そういうところが、ほんとうに残念だと思いましたよ。いい記事が沢山あるのに。
まあそういう部分に自ら気づいて付記を書かれたんだろうと思いますが、トンチンカンな言い訳です。
nosce te ipsum
読売が「不眠実験は素晴らしい」と書けば、何千万人もの人がそれを読んで、「じゃ、僕もそれを真似しよう」と思う子供が出てくるかもしれません。
少なくとも、「徹夜は悪いことではない」と思って、徹夜をする子供は出てくるでしょう。しかしそれは自分自身を損ねることだから危険だ、というのが本項の趣旨です。
その際、無機的な学術論文みたいに書いても、誰もがすぐに忘れてしまいそうですから、わざと人を怒らせるような言葉で書いているわけです。あなたも感情が刺激されたでしょ? あなたが怒るのも、狙いのうち。少なくとも読み流しはしなかったですよね。
公器を扱う人は、自分の影響力を自覚する必要があるし、批判を受ける義務もあります。それによって飯を食っているのだから当然です。
一方、私は読者から一円ももらっていません。ついでですが、私は政府には税金を払っているし、読売には購読料を払っています。
あなたが私に文句を言うとしたら、その前に、私にいくら金を払ったか、よく考えてください。
というか、読売は読者から金をもらっているということを、常に忘れないでほしいものです。新聞は無料のブログとは違って、好きなことを好きなように書く場所ではありません。文句うを言われたくなかったら、私みたいに無償公開するべきでしょう。それなら私も文句を言いませんよ。
※ ついでですが、読売の記事はネットでは公開されませんでした。紙面から私が入力しただけ。
※ 読売の文責は社にあります。書いた記者には文責はありません。それの掲載を許可した編集長(デスク)に最終責任があります。それはつまり会社に責任があるということです。
誰が書いたかなんて、今さら誰も知りませんよ。署名記事じゃあるまいし。
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《 睡眠不足で遺伝子発現に悪影響、研究結果 》
たった一週間の睡眠不足であっても、遺伝子に悪影響を及ぼし得る。
毎晩6時間以下の睡眠で1週間を過ごした場合、炎症や免疫系、ストレス反応に関連する711の遺伝子の発現に影響が出た。
睡眠が不足していた人たちの遺伝子は概日リズム(サーカディアンリズム)が不規則になり、1日を通して発現が高くなったり低くなったりする遺伝子の数が急減した他、さらに多くの遺伝子において、約24時間周期の振動の幅が収縮した。
→ http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2931458/10364061
→ http://togetter.com/li/563406
「なぜ「睡眠がそこまで重要なのか」の生物学的な理由」
→ http://www.lifehacker.jp/2013/09/130912skip_a_good_night.html
以下、引用。
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> 睡眠によって、脳細胞(特にミリエンを生成する希突起膠細胞・オリゴデンドロサイト)の生成が増加することがわかりました。このミリエンの増加は、脳を機能させたり、脳を修復したりするのに欠かせないものです。ミリエンは絶縁体のような働きをし、「人間の脳の電気回路を守る役割をしている」とBBCでは言っています。
> マウスが強制的に起きている状態の時は、ストレスと細胞の死亡に関する遺伝子のスイッチが入ることもわかりました。
→ http://www.afpbb.com/articles/-/3001655
ただ、http://youtu.be/2tlsB00Xz4E この動画を見るに、
断眠後に寝て休んだら回復したように見えたが、人柄が変わったようで妻とも別れてラジオもやめセールスマンとして街から街へとその日暮らしになったようですね。
一方で、wikipediaにはラジオ局で1960年に贈賄が発覚し退局、ラジオ局を転々とした後運動機器のセールスマンやフリーランスのmotivational speakingや、作家、証券取引をしていたと記述があります。
睡眠によってこうなったかというと、どうにもわかりませんが、少なくとも「ヤク中状態で寝ても治らずそのまま廃人」という訳ではないのだと思います。