この話題は、もともとは池田信夫のブログに書いてあった話題だ。それを前にメモしておいたのだが、今回、それを取り上げて論じる。
まずは引用しよう。
《 ケータイは固定インターネットを駆逐する 》──
東大の「日本人の情報行動」調査によると、10代の若者のインターネット利用率が減って、ケータイが主なメディアになっている。
これを「若者のネット・リテラシーが落ちている」とか「ガラパゴス化」などと嘆くのは間違っている。若者はケータイでウェブにアクセスしており、テレビからインターネットへという流れは変わらない。問題はさらに「固定インターネットから無線インターネットへ」という変化が起きていることだ。20代でも固定インターネットの利用率が横ばいになっているように、この流れは一時的なものではない。
最近の学生は、下宿の場合は電話回線を引いていないし、自宅でも固定電話は使っていない。メタル回線がなくなるのは時間の問題だが、それは光ファイバーではなく無線に置き換わるだろう。固定回線そのものが「中抜き」されるのだ。
このようなパラダイムの変化が見えないのは、破壊的イノベーションが登場したときよくある錯覚だ。
必要なのは規制強化ではなく、無線が基幹インフラで固定系は補助だというパラダイムの転換に気づくことだ。
( → 池田信夫ブログ )
池田信夫は よほど無線回線がお好きなようだ。しかし、そんなことではケータイ会社の走狗になるだけだ。つまり、ケータイ会社の金儲けの道具にされるだけだ。池田信夫が気づいていない真実を示そう。
──
「固定回線から無線回線へ」というのが時代の流れだ、というふうに池田信夫は述べている。それを真に受けた馬鹿が、それを実行したら、どうなるか? ケータイの小さな画面でネットを見ているだけならまだいいが、画面を大きくするためにノートパソコンに接続すれば、とんでもない高値料金を取られる。つまり、メチャクチャな金を奪われる。そのことは、ドコモなどがちゃんと明言している。
《 パケット通信料の高額利用に関するご注意 》「ここで解説しているからいいんだ」とドコモは思っているのだろうが、あからじめ解説しておけば不当なほど高額の料金をとってもいいということにはならないはずだ。具体的な例としては、下記の例がある。
パソコンなどの外部機器を接続した通信は、動画や画像を含むホームページの閲覧、ファイルのダウンロードなどのデータ量の多い通信を行うと、通信料が高額となる場合があります。ご利用状況に合わせ、「パケ・ホーダイ ダブル」などのパケット定額サービスをご契約いただき、高額とならないよう十分ご注意の上、ご利用ください。
パソコンなどの外部機器を接続した通信を行う場合は、FOMAのパケット定額サービス「パケ・ホーダイ」「パケ・ホーダイフル」「Biz・ホーダイ」の定額対象外通信となりますので、ご注意ください。
◎ 特に高額利用となりうるご利用例
・ 動画閲覧サービス
・ 音楽配信サービス
・ その他画像を多く含むサイト
( → NTTドコモ )
就職活動中の女子学生は携帯電話をパソコンにつなぎ、ネットで情報収集していたらパケット通信料が120万円になった。20代の男性も同様に約6時間ネットをしただけで98万円に。これは、数年前の例だが、ここでは「あからじめ解説しておけば不当なほど高額の料金をとってもいい」という立場を、ケータイ会社は取っていた。
( → ケータイ料金の詐欺 )
そして、そのことは、今も同じである。そのことが、上記の NTTドコモの解説から見られる。この解説は、親切に解説しているのではなくて、アリバイにすぎない。「ここに記してあるんだから、あとで莫大な金を請求しても正当化される。気づかなかったあんたが悪い」というわけ。
比喩。
「ラーメン激安 300円」というお店に入って、ラーメンを食べたあと、「安くておいしいなあ」と思って、ギョーザを頼んだら、ギョーザも激安 300円。すっかり喜んで、会計に行ったら、料金として1万円を請求される。「どうして!」と訝ったら、こう言われる。
「最初のお新香と、最後のお茶が、それぞれ 1000円なんです。あと、テーブルチャージ料が 8000円」
「そんな馬鹿な!」
「でも、ちゃんと入口に書いてあったでしょう? それを読まなかったあんたが悪い」
あらためて見直すと、たしかに米粒みたいな小さな文字で、その文句が書いてあった。頭に来て、
「詐欺だ!」
と非難したら、
「ケータイ会社の真似をしたんですよ。同じことをして、何が悪い」
と居直られた。
なお、この問題への対策として、ドコモの推奨の通り、パケット・ダブルに加入すると、どうなるか? 上限料金があるので、メチャクチャな料金は取られないが、そのかわり、高額の定額料金を取られる。毎月、10,395円だ。 ( → 出典 )
結局、毎月 10,395円という高額料金を取るために、恐怖の馬鹿高い料金を別途設定しているわけだ。「ドスで死にたくなければ高額料金を払え」と脅かすヤクザも同様だ。
というわけで、
「固定なんか古いよ、ネット接続は固定でなく無線にするべきだよ」
と唱えている人(ヤクザの手下?)の言葉を真に受けると、ろくなことはないわけだ。
( ※ 光回線には押し売りが出現しているが、無線回線には詐欺師が出現している。)
【 補説1 】
ついでに述べておこう。
そもそも、ケータイ料金は、馬鹿高い。このことは、何度も指摘されている。たとえば、下記に詳しい。
→ http://net-news-jp.jugem.jp/?cid=11
この馬鹿高さのせいで、ケータイ会社はボロ儲けしている。(不当利益と言ってもいい。)
たとえば、ドコモの売上高営業利益率は、こんなに高い。
2006年 17.5%
2007年 16.2%
2008年 17.2%
2009年 18.7%
2010年 19.5%
2011年 20.0%
( → ドコモの決算 )
AU( KDDI )も似たり寄ったりだ。
( → KDDIの決算 )
不況下の日本で、これほど儲けることができるのは、どうしてか? 経営が優秀だからか? 違う。寡占体制を利用して、ほとんど暗黙の談合をして、料金を高止まりさせているからだ。
そしてもう一つ。前述の通り、馬鹿高い恐怖の料金設定をして、高額の固定料金を無理やり払わせているからだ。
池田信夫は「規制緩和をすれば料金が下がる」と述べているが、とんでもない。規制緩和が行き過ぎれば、寡占や詐欺や押し売りが生じて、料金は高止まりする。つまり、ユーザーはカモにされて、財布の金を不当に奪われる。
【 補説2 】
パケ放題というのは、料金が馬鹿高値にならないが、ここには問題がいくつかある。
そもそも、従量制の料金というのが、原理的な方法であるはずだ。これほど経済学的に公正な方法はない。
ところが、上限制にすることで、やたらと使い放題にさせる。そのことで、いくつかの問題が生じる。
(1) 回線の飽和
「どうせ料金が同じだから」という理由で、やたらと回線を使うようになる。そのことで、回線が飽和しがちだ。たとえば、iPhone ではその問題が生じた。
→ iPhone がつながらない
この件は、池田信夫自身が報告している。
→ 池田信夫ブログ
(2) 上限制という利益戦略
ケータイをたいして使いたくない人にまで無理やり大量に使うような癖をつけさせようとしている。そのために、「上限制」という制度を強要する。強要するために、「上限制にしないと、とんでもない高額料金になりますよ」というふうにメチャクチャな料金設定にする。本当はそんなメチャクチャな料金設定にする必要はないのだが、上限制に追い込んで、毎月何千円かの金を強引に取ろうとする。
( ※ 仮に従量制にしたら、毎月 1000円台で済む人も多くなるはずだが、そうしたら会社が儲からないから、毎月数千円の上限制料金に追い込む。)
(3) ケータイ漬け
こうして「いくら使っても無料だからお得ですよ」というふうに見せかけて、人々をケータイ漬けにする。実は、若者がケータイを好むのではなく、ケータイ会社が若者をケータイ漬けにしている。比喩的に言うと、ヤク中の患者は、自発的にヤク中になるのではなくて、麻薬の売人に安価でヤクをもらってヤク漬けにされるようなものだ。
こうして、「安価でお得だ」と思わせて、若者たちをケータイ漬けにして、ケータイ人間にする。それを見たバカなジジイが、「若者たちはケータイ漬けになっているから素晴らしい! ケータイ会社のために高額料金を払おう!」と推奨する。
(4) ケータイで白痴化
結果的に、ケータイ会社は、ボロ儲け。そのせいで、若者の知性はどんどん低下していく。読書時間はどんどん減り、勉強時間も減り、ケータイでネット接続する時間ばかりが増えるが、結果的に、若者の知的水準は、ここ10年以上、低下の一途だ。
特に、世界最先端のケータイ大国である日本では、十代の子供の白痴化がどんどん進んでおり、台湾や韓国にも負けている。将来的には国全体が負けてしまうだろうし、日本は台湾や韓国の下請けになるかもしれない。
ケータイ会社の利益戦略のせいで、日本の子供がどんどん馬鹿になっていく。ケータイ会社栄えて、国滅びる。
[ 付記 ]
以上の話は、ちょっと面白おかしく書いてあるので、冗談みたいに見えるかもしれない。そこで、事実情報を示そう。
→ 若年層が新聞や書籍、雑誌、固定電話から遠ざかっている傾向がより顕著に
これを読むと、若者たちがケータイ会社の食い物にされて、白痴化しつつあることが、はっきりとわかる。(ヤクの売人に食い物にされるようなものだ。)
それを見て、「これはまずいぞ」と警鐘を鳴らすならともかく、「これが正しい方向だ。あるべき道だ」と提灯持ちをするのは、ヤクの売人の手下になるようなものだ。
自分が何をしているかぐらいは、理解してもらいたいものだ。
※ 以下は生物学に関する話題なので、読まなくてもよい。
[ 余談 ]
池田信夫がいかにメチャクチャなことを考えているかは、子供をやたらと崇拝する非科学的な思想からわかる。彼の意見はこうだ。
脳細胞の数は生まれたとき最大で、その後は減ってゆく。神経回路の結合も子供のとき最大で、脳は自由に活動している。大人になる過程は、既成概念や社会規範に合わせてシナプスの結合を「刈り込む」ことである。ほとんど「トンデモ」と言ってもいいぐらいの珍解釈。
( → 池田信夫ブログ )
第1に、脳の機能は、脳細胞の数で決まるわけじゃない。脳容量を見ても、生まれたときは 400ccぐらいに過ぎず、その後、1500cc弱まで増えていく。
→ 図と解説
第2に、シナプス云々も滅茶苦茶だ。なるほど、シナプスの数は、6歳をピークに減少していく。
→ 図と解説
このことが意味するのは、「6歳のときが知性のピークである」ということではなくて、「6歳のころが最も可塑的である」ということだけだ。
知性の数は、シナプスの数と、等価ではない。人間の知性とは、シナプスの数で決まるのではなく、シナプスの働きで決まる。頭のいい人と頭の悪い人では、シナプスの数はほとんど差はないが、シナプスの働きで大差がある。
知性を脳細胞やシナプスの数で判断するのは、スポーツの能力を筋繊維の数で判断するようなものだ。たとえば、「オリンピックの選手は筋繊維の数が人並みはずれて多いのだろう」と思い込む、というふうな。
馬鹿馬鹿しい素人判断。池田信夫の見解というのは、こういうものだ。(スパコン騒動でもそうだったが。シナプスの働きがとても歪んでいる。)
そもそも、有線電話が、IP電話も含めて、絶滅しつつあるじゃないですか。
寡占問題については、池田氏が常々主張しているように、テレビ局などの既存業者が、使いやすいバンドを専有していて手放さないので、新顔である携帯電話会社は狭いバンドを無理して使ったり(速度が遅くなる)、直進性が高すぎて使いにくい高周波数帯域を割り当てられて、いくらアンテナ増やしても使えない地域が減らないという問題があるので、電波帯域の割り当てをやりなおせば、問題は解決します。
携帯電話で、この15年の間の新規参入は、イー・モバイルだけですが、彼らは1.7GHzという、世界でも例のないバンドを割り当てられて、端末の調達に苦労しています。
誤読。それを否定してはいません。論点は「駆逐するか」です。
例。中国は日本よりも経済大国になる。では、中国は日本を駆逐するか?
動画を中心に通信量は加速度的に増えていくので、無線が固定を駆逐するのは近未来的にはありえないでしょう。無線には情報量の上限があるので、いつかは物理的な制約にぶつかります。というか、すでに設備の点では制約にぶつかっている。
池田信夫は光回線がなくなるという趣旨で述べているが、そんなことはありえない。
それ、どこに書いてありますか?
FTTHよりも無線が優位に立つと書いているだけに思えますけど。
>無線には情報量の上限があるので、
情報量にも需要の上限があります。動画を1家庭で同時に3つも4つも見るということはないでしょう。
イー・モバイルも、UQも、最大40Mbpsのサービスを始めているので、これで間に合ってしまうんではないでしょうか。
「ケータイは固定インターネットを駆逐する」
「メタル回線がなくなるのは時間の問題だが、それは光ファイバーではなく無線に置き換わるだろう。固定回線そのものが「中抜き」されるのだ。」
> 無線が優位に立つと書いているだけ
そんなことなら、誰もがそう思っている。いちいち記事に書く必要はまったくない。誰もが思っていることを書いて何か意味があるの?
私の予想では、メタルだって、長らく残ると思いますよ。いちいち廃棄するコストの方がかかってしまいそうだ。
百年後ならいざ知らず、あと 30年ぐらいはメタルは残るでしょうね。30年もたてば、かなり多数の人々が死んでいるかボケている。そんな先のことを考えても仕方ない。
> 情報量にも需要の上限があります。
動画がなかったころにも似たようなことが言われていましたが、現実には当時は思ってもいなかった需要が莫大に増えてきた。最初はYouTube で、そのあとはYouTube の精細画面化。そのうちテレビのかわりに光回線でハイビジョンが流通するだろうし、ハイビジョンの次の規格(4倍ぐらいの高精細化)も規格化されつつある。3D動画も出そうだし。通信需要なんていくらでも増えます。安ければ。
HD動画の需要が増えてるのは、40型クラスの液晶テレビの値下がりが原因です。画面が大きくなければ、HDなんてSDと差が出ない。
それ以上の規格があっても、見た目に差がないから、需要は出ないでしょう。100型テレビなんて、たとえ作れても、置く場所がない。
3Dはソフトがない。
繁華街では 10Mbps です。
http://gigazine.net/news/20100320_uq_wimax/
住宅地ではこれよりもかなり悪化しそうです。
YouTube の動画ぐらいが限界でしょう。
20インチクラスの PC 液晶はハイビジョン規格なので、これで SD 規格の画像を見るのは苦しい。