2011年02月09日

◆ トヨタの教訓

 トヨタの事故続発問題が潔白であったことが証明された。にもかかわらず、経営的には莫大な損失をこうむっている。そこから教訓が得られる。「一文惜しみの百失い」ということだ。 ──
 
 トヨタの事故続発問題があったが、実は潔白であったことが証明された。
 米運輸省は8日、トヨタ車の急加速問題について最終的な調査結果を発表し、「トヨタ自動車製の車の電子制御システムには急加速を引き起こす欠陥は見つからなかった」と結論づけた。ラフッド米運輸長官は会見で「トヨタ車は安全だと我々は感じている」と宣言、トヨタ車の急加速問題は収束する見通しになった。
( → 朝日新聞 2011-02-09
 しかしながら、たとえ無罪放免されても、損失は消えない。
  ・ 生産台数はいまだに減少したまま。
  ・ 利益額は大幅に低下した。

 特に後者が問題だ。ひところはトヨタの一人勝ちというほどボロ儲けしていたのに、最近では、生産台数が半分以下のホンダや日産にも負ける始末。それほどにも利益が大幅減だ。失った金額は兆円規模になりそうだ。

 ──

 では、どうすればよかったか? そのことは、「今後どうするべきか?」という話で、上記の記事にも記してある。こうだ。
 「当局は、11年末までに、安全対策向上のため、ブレーキ優先装置、事故記録装置などの装着を義務づけることを検討」


 このうち、「ブレーキ優先装置」重要だ。アクセルペダルが運転席のフロアマットに引っかかったのが問題だったらしいが、その場合に「ブレーキ優先装置」が付いていれば、アクセルを解除することができた。そうすれば、今回の事故は起こらなかっただろうし、兆円規模の損失も起こらなかっただろう。実際、ドイツの自動車は、「ブレーキ優先装置」が付属しているから、今回の問題は起こらなかった。

 ここから次の結論が得られる。
 「安全性については、『トラブルが起こらないようにする』だけでは足りず、『トラブルが起こった場合にも解決ができる』というフェイルセーフの思想が必要だ」
 「フェイルセーフの思想を取れば、若干のコストはかかるが、万が一の問題を避けることが可能となる。フェイルセーフの思想を取らなかければ、若干のコストを節約できるが、安全性が低下して自動車の販売価値が下がる。さらには、万一の場合が何度も起こることで、企業イメージが失墜して、兆円規模の大損害を出すことがある」

 つまりは、「一文惜しみの百失い」ということだ。
 トヨタはやたらとコストダウンに励んでいるが、そういう途上国メーカー(韓国や中国のメーカー)と同じ発想をして、「品質の向上」をないがしろにしたから、企業イメージが低下して、兆円規模の損失を出すことになった。馬鹿丸出しというべきか。

 同様のことは、次の例にも当てはまる。
  ・ コースターの事故
  ・ JR西日本の尼崎の事故

 いずれにしても、やたらとコストダウンを狙った結果、事故を通じて、致命的なほどの大損害を負った。安全性を軽視してコストダウンに励むことは、これほどにも巨額の損失をもたらす。
 企業としては、トヨタの例を、他山の石とするべきだろう。下手をすると、倒産する。



 [ 付記 ]
 こういう例はよほどたくさんあるのかもしれない。諺には表現にバリエーションがある。

   ・ 一文惜しみの百失い
   ・ 一文惜しみの百知らず
   ・ 一文惜しみの百損
   ・ 一文惜しみの銭失い


 いずれも同じ意味だ。ググれば、わかる。
posted by 管理人 at 18:58| Comment(10) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブレーキ優先装置はソフトウェアで構成され、ほとんどコストには影響しないのでは。こんなリスクに見合わないコストダウンを行うほど、トヨタは馬鹿ではないと思います。
むしろ、ブレーキ優先装置を採用しなかった技術的なレベルの低さに驚かされます。とは言っても、ブレーキ優先装置を採用していた日産と比較して、技術レベルが低いとも思われないので、なぜ採用していなかったのか、本当に不思議としか言いようがありません。
Posted by Murata at 2011年02月10日 23:27
アクセル停止装置はソフトだけで済みますが、ブレーキを踏むのを検知するセンサーにはいくらかお金がかかるのでしょう。1万円で済むとは思えません。
 日本では長年、3点式ベルトを省略して2点式にしたり、サイドエアバッグを省略したり、というふうに、国内仕様を欧米仕様に比べて低レベルの安全にしてきた伝統があります。
 ついでに言えば、自動車のシートもそうで、腿をきちんと支えない短いシートが大半です。シートのクッションも薄っぺらなことが多い。
 (高級車を除くと)日本の車でまともなのは、欧州仕様をそのまま持ち込んだ日産のデュアリスぐらいかも。デュアリスは本国内での売上げ台数が少ないので、売上げ台数の多い欧州車の仕様をそのまま持ち込んだようです。わざわざレベルを下げるためにコストをかけるのを惜しんだのがよかったか。  (^^);
 というわけで、トヨタに限らず、日本の車はすべて本質が安上がりになっています。ブレーキシステムで手抜きをするのも、ちっとも不思議ではありません。体質なんです。特にトヨタは。
 だいたい、馬鹿でなければ、兆円規模の損失をこうむったりしませんよ。
Posted by 管理人 at 2011年02月11日 01:08
ブレーキランプを点灯するためのSWを使えば、ただ同然でできるのではないでしょうか。トヨタの犯した、ブレーキ優先装置をつけなかったミスは、理解しがたいです。
どこかのメーカーのものを猿まねでもしたのでしょうか。
Posted by Murata at 2011年02月13日 23:41
なるほど。ブレーキ・センサーはコストがかからないんですね。
 とすると、アクセルの方か。アクセルは、電子制御や燃料噴射を使っているのは高級車だけだから、大衆車はコストダウンで機械式のスロットルを使っているのかも。
 もう一つ。日本メーカーは、電子噴射式のエンジンでは、欧州車に比べてすごく遅れている。ボッシュの部品を使えばいいのだが、ボッシュの部品を使わない。デンソーあたりのを使っている。で、その分、技術的に遅れて、燃料噴射を使わない。(コストがかかるのも理由だが。)
 技術の後れとケチ根性が相乗作用で、今回の事態になったのかも。
Posted by 管理人 at 2011年02月13日 23:53
ちなみに今回問題となった電子制御システムの話は、アクセルバイワイヤの制御回路のことだと思います。アクセルバイワイヤならば、ブレーキ優先装置はただでできるはずであり、アクセルバイワイヤを採用するのに、ブレーキ優先装置をつけないなど、考えられないことだと思った次第です。
こんなものに安全宣言がされるとしたら、多分、BIG3のどこかも、ブレーキ優先装置をつけていなかったのでしょう。勝手な想像ですが。
Posted by Murata at 2011年02月14日 00:19
興味のない人にとっては意外かもしれないがトヨタは昔からモータースポーツには熱心だったわけだ。
で、スポーツ走行の基本テクニックとして減速とシフトダウンを同時に行うヒールアンドトウと言われる手法がある。
これはブレーキを踏みながら同時にシフトダウンするギアの回転数にエンジン回転を合わせる為アクセルを踏む必要がある。
トヨタは伝統的にペダル配置をヒールアンドトウを行い易い間隔するとか踏面を揃えるとかこだわってきていて、そういう操作を不可能にするブレーキ優先装置を付けるというのはあり得ないことだったわけだ。
まあ販売数の8割以上を占めるオートマ車にブレーキ優先装置を付けないのはただのバカと言われても仕方がないが。

あと今回の米運輸省の発表は急発進トラブルに対してエンジンの電子制御には問題がなかったという発表であり、これは以前からデータロガーの解析からドライバーの操作ミスの可能性が指摘されておりそれが裏付けられたというものでフロアマットにアクセルペダルが引っかかって暴走するのとは全く別の問題である。
ブレーキ優先装置はあくまでフロアマット問題で指摘された暴走に対する対策で急発進トラブルの対策ではない。
二つの問題をごちゃ混ぜにして論じられることが多いので念のため。

それから管理人氏の認識不足だと思うが、今や日米欧とも極めて過酷な排ガス規制のおかげで安価な大衆車といえども高性能な電子制御燃料噴射システムでないと規制をクリア出来ない。
何処の日本メーカーの電子噴射式エンジンが欧州車に比べてすごく遅れているのかは知らないが、その遅れた技術でどのように排ガス規制をクリアしてしかも低燃費競争をしているのかご存知ならば御教授願いたい。
Posted by sa at 2011年02月16日 14:09
ちょっと舌足らずでしたね。私が燃料噴射と言っているのは、キャブレター式に対する燃料噴射のことではなくて、直噴のことです。用語が少しズレていました。(ま、読めばすぐにわかると思うんだけど。)
 
 ボッシュの直噴システムはVWその他に採用されて、自然吸気で 12ぐらいの圧縮比、ターボでも 10.5ぐらいの圧縮比を実現しています。圧縮比がとても高いので、燃費もよくなる。
 カタログ燃費はともかく、実質燃費では、欧州車はかなりいいですよ。特に、ボッシュの直噴を採用した車種は。

 ただ、直噴にかかるコストはどのくらいになるかは、別問題。そのコストを燃費の良さで回収できるかどうかも別問題。
 ただ、高価格の高級車ならば、全然問題のないコストだと思う。
Posted by 管理人 at 2011年02月16日 18:52
クラッチを切ることのできるMT車に、必要性があるかどうかは別にして、ブレーキ優先装置を設けることは容易ですね。そのアルゴリズムは説明するまでもないと思います。
つまりヒール&トウをやりやすくすることと本件の間には、何の関係もないと思います。
Posted by Murata at 2011年02月17日 00:31
実はヒール&トウは私も考えたんです。書かなかったけど。
 ヒール&トウは関係があります。というのは、ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいることがあるからです。
 ブレーキとアクセルを同時に踏むと、ブレーキの方が力が強いので、自動車は減速します。同時に、不完全燃焼で黒煙が出ます。
 こうなる前にクラッチを切ると、エンジン回転を上げたまま、ブレーキを切ることができます。つまり、クラッチを任意に切れるマニュアル車では、エンジン回転を高めに保ったまま、ブレーキをかけることが可能です。
 レース場ではそういうことがあります。そのあとで急加速が可能となるので。
 普通はそんなことをしたら、自動車が傷みやすいし、故障の元ですけど。
Posted by 管理人 at 2011年02月17日 00:52
管理人様のおっしゃるヒール&トウは、AT車におけるヒール&トウのことですね。確かにブレーキ優先装置がついているとこのテクニックは使えませんね。一般ユーザーには全く不要なテクニックですが。
MT車におけるヒール&トウでは、ブレーキを踏みながらアクセルを吹かす時には、クラッチが踏まれているはずですから、別にブレーキ優先装置があっても成立解があります。必要性があればつければ良いのであって、トヨタがブレーキ優先装置をつけなかったことの言い訳にはならないでしょう。
Posted by Murata at 2011年02月17日 01:20
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